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実話怪談 死相他  作者: 弾
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森の小路に出る自殺した女2

 前回の怪談で女の出る小路は箱物の文化センターに繋がっているとお話しました。この体験は僕が子供の頃弟の子守をしていた時、その箱物の文化センターへ弟を連れて行ったときの出来事です。


 僕が多分小学校の二年生か三年生で弟が二歳から三歳くらいの時だったと思います。当時始めたばかりの実家の商売は忙しく、小っちゃな弟の面倒を見るのは主に僕の仕事でした。


 家の近くの文化センターは学校の社会見学で行って知り、無料で入れたので行ってみることにしました。そこは僕の家から歩いてすぐくらいの場所でした。


 弟を玩具の車に乗せ、それを僕が紐で引っ張って連れて行きました。その文化センターは蚕の一種である天蚕の織物や織物作りの資料なんかが展示してある場所で、子供心に地味な処だなとは思っていましたが、弟は着物が綺麗だったのを気に入ったようで、割と満足そうでした。


 行きは何ともなかったんです。帰りにその道を歩いていた時です。森の小路のちょうど四つ辻に差し掛かった時でした。


 弟がうわぁ! と急に大きな声を上げました。上を見上げて顔は恐怖に引き攣り、おもちゃの車をにまたがったまま足をばたつかせました。


 僕も頭上にただならぬ気配を感じました。ギシィッ! ギシィッ! と何かが軋む音が鳴り、松葉と小枝がポロポロと落ちてきました。僕はあまりの怖さに上を見ることはできませんでした。


 すぐに逃げようと思い、弟の玩具の紐を引っ張ると、ボキリと紐をくくり付けていたハンドルが折れました。半ばパニックになりながら玩具を抱きかかえ、弟を抱える様にして、全速力で走って逃げました。


 例のUさんの家の前を走り抜け、自宅のある方向の東側の道を走り、開けた道路まで逃げました。


 僕は息を切らしながら弟を見ました。あれほど恐怖に引き攣っていたにしては弟は落ち着いていました。小路の方を何度かチラチラ見ていましたが、何もいないことに安堵している様子でした。


 弟は一息つくとこう言いました。「ふぅ~殺されるところだったね」と、


 僕が「どうして? 何を見たの?」と聞くと弟は「だって、白いフワフワのお姉ちゃんが追いかけてきたじゃない」と言いました。

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