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実話怪談 死相他  作者: 弾
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幸福の笑顔

「平山夢明さんの本であるじゃないですか」と怪談好きのM子さんは切り出しました。


 千九百二十年代に心理学者のカーネイ・ランディスは被験者にネズミの頭部を切断させ、その表情を写真に撮る実験を行ったそうです。すると、その写真には被験者の笑顔が写っていたそうです。


 人間って限界を超えて怖いと笑うんですね。それも幸せそうに笑うんです。


 M子さんはデザイン系の会社で働いていて、その会社の割と近くに住んでいたそうです。毎日の通勤は歩きで、その日も仕事を終え歩いていたそうです。


 あるマンションの近くを通った時でした。M子さんはその時ふと誰かの視線を感じたそうです。あれっ? 見られてる様な気がする。前を見ます。誰もいません、後ろを見る。やはり誰もいない。


 ふと上を見上げると、空中に人がいるんです。髪の短い若い男でした、瞬間その人と目が合いました。笑ってるんです。それも凄く幸せそうな顔で、そのままどんどん、どんどん近づいてきて。


 ひゅ~ん、どんっ! ぐしゃっ! と音が鳴りました。M子さんの目の前にその男は落ちました。飛び降り自殺だったんです。


 頭から落ちたらしく、男の身体は妙な形に潰れていたそうです。


 M子さんは慌てて救急と警察に電話しました。辺りの人も集まってきて、騒然となったそうです。


 M子さんも事情を聴かれましたが、その時の状況からやはり自殺だろうと判断され、すぐに解放されました。


 しばらくはM子さんはそのマンションの近くを通らないよう通勤しましたが、その自殺の衝撃もやがて薄らいできて、一番の近道であるそのマンションの付近をまた歩き始めました。


 ある時マンションの前のちょうどあの時男が落ちた辺りに、若い男が立っていました。


 その顔を見てM子さんはぞっとしたと言います。あの例の短髪の男が幸せそうな幸せそうな笑顔でそこに立っていたと言います。

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