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祭典かなたに朝焼けを  作者: 猫石 真
1/1

あまりに出会って急接近

 1話「あまりに出会って急接近」

 

 「ふわあ・・・」


 昼下がりの日曜日、天気予報曰く夕方にかけて気温は32度を超えるが本日はお散歩日和らしい。が、今週から始まるテスト習慣のため勉強に励んでいる最中だ。表向きは。

 「気分転換に図書館きたけど・・・進まん・・・」

 「おいおい春喜(はるき)、あそこの席に座っている女の子めっちゃ可愛くないか?なあ?」

 俺の隣で一緒に勉強してい"た"こいつはクラスメイトの赤塚礁(あかつか しょう)。すっかり勉強に飽きてさっきまで子供向け絵本を読んでいたのだが、

 「これはベクトルだからスカラー量は・・・え?なんかいったか?」

 「お前なーなんのために図書館来たんだよー可愛い女の子見つけにだろ!」

 「・・・明日からテストなんですが」

 この通り自由奔放に生きているどうしようもない男だ。

 「今年で最後の夏休みなんだぞ?俺は追試で夏休みがつぶれるなんてまっぴらごめんだね。」

 「そんなつれないこというなよ~俺たちの仲だろ?な?」

 「腐れ縁、な」


 礁と俺は家が向かい通しでいうなれば幼馴染、言い換えれば切りたくても切れない腐れ縁の関係だった。親同士も仲が良く礁の家には晩御飯を食べに行ったり、また食べに来たりと同い年の兄弟みたいな感じだ。小中高と同じ学校同じクラスと神様のいたずらか、悪魔の罠のような仕打ちを受けているのだが・・・

 「なあなあ、俺あの女の子に声かけてみようかな?俺の夏が始まる予感、むひひ」

 「・・・あのな、俺は忙しいから礁だけでいってこいよ」

 「ちぇ、高校生活最後の夏だっていうのにさ。後悔しても知らねえぜ」

 「追試の先生さ、体育の宮下らしいぜ。何が言いたいかわかるか」


 体育の宮下先生はとても生徒思いで人気も高い。が、

 「あ、あの、お昼になると無理やりにでも連れていかれる・・・無限ライス地獄!」

 そう、宮下先生は面倒をみている生徒をよくお昼に連れて行ってくれるのだが、その店の店主も気前が良すぎる人で食べても食べても茶碗一杯にご飯をもってくるという、生徒の間では無限ライス地獄といわれているのだ。


 「あのあと食べすぎで動けなくなったところを宮下先生と学校までマラソン競争するっていう噂があってな・・・」

 「ひい~~~!やっぱ俺も勉強しよう!!!」

 まあマラソン競争なんてのは嘘っぱちだろうけど、礁がやる気になってくれてよかったやらなんやら。やっと集中して勉強ができる。


 「それにしても今日は図書館にいる人多くないか?外暑いからか」

 「ああ、なんか今日からここらで夏祭りがあるらしいぜ。今日から7月20までだから・・・だいたい一週間くらいやってるみたいだな」

 「そんなにやってるのか?だいぶでけえ祭りなんだな」

 「俺にもかわいい彼女がいたらこんなとこで男と勉強なんてせずお祭りいくんだけどな~はあ・・・世は世知辛いぜ・・・」

 「お前から図書館で勉強しようぜっていってきたの忘れたのか。このすかぽんたんめ」

 「おい、すかぽんたんはひどいだろ」


 勉強ばかりするのもさすがに疲れるけどな。もうすぐ夏本番っていうのに祭りの一つもいかなきゃ気が乗らない。礁にはああいったけど俺も心の中では彼女の浴衣姿を見ながら花火を見上げて・・・


 「なにしてるの?」


 「うわあ!!!!!!!!!」


 少し怪しげな妄想に浸ってた時に声をかけられて思わず叫んでしまった。やばい、ここは図書館だということをすっかり忘れていた。まわりの視線をごまかしながらも声をかけてきた張本人に目をやる。

 「・・・あかね、何してるんだ」

 「えへへ、ちょっと読みたい本探しにきたら知ってる顔があったからねー、あ、礁ちゃんも一緒だったんだ。」

 「そりゃないぜ、今更気づいたのか・・・とほほ」


 毛先だけ茶色かかった黒髪ボブのこの子は日色(ひいろ) あかね。中学校のころ転校してきてからよく席が隣になったりとこいつとも変な縁がある。俺らとは違う高校に進んですっかり忘れていたのだが


 「なんか・・・いろいろと成長したな」

 「へ?なんのこと?」

 馬鹿礁!普通言うか!まあ確かに立派に成長はしてるが


 「というか二人って勉強するキャラだったけ?春喜はともかく礁ちゃんは・・・ねえ」

 「今日という日を俺は忘れないぞ!悲しい!実に厄日と言えよう!わー!」

 そう声を荒げながら駆けていった彼の背中を俺は引き止めることもなくただみているだけだった・・・ほんと何しにきたんだあいつは。


 「春喜の学校はテストこれからなの?」

 「え?ああ、明日から、そうだな。」

 「ふーん、私の学校はもう終わったからさ。今週の金曜からはもう夏休みって感じだよ。」

 っく、流石県内有名な私立高校だぜ・・・俺たちにできないことを平然とやってのける・・俺らは金曜までテストで火曜日に就業式さ。


 「いいな、俺らはその金曜までテストだ。」

 「そうなんだ・・・あのさ、土曜日とかはもう暇だったりするの?」

 「土曜、まあテストも終わってるし特に予定とかも入ってなかったと思うが。」

 「・・・また、図書館きて」

 「ん?」

 「だから!今週の土曜、図書館にまたきてっていってるの!18時に」


 18時?また変な時間を指定するな。俺の周りには変なやつしかいないのだろうか。

 「別にいいけど・・・何かするのか?」

 「夏休みもう入るし・・・久しぶりにあったからさ、ゆっくり話でもしたいなって・・・だめ、かな」

 「いや!だめじゃねい!俺も、その、いろいろ話とかしたいしさ。土曜の18時にね、おっけ」

あかねの困ったような上目遣いがかわいくて思わずかんでしまった。恥ずい。

 「じゃあまたね」

 そう言い残し少し赤らめながら出口に向かって急いでるような、そうでもないように歩いていく彼女は中学の時と比べて確実に大人に近づいていると思わせる魅力があった。


はじまりました!「祭典かなたに朝焼けを」

みなさんも青春してますか?夏楽しんでますか?そんなひと夏の思い出を満喫しながら、また思い出しながらも読んでいただけたら良いなと思います。

それではまた来週会いましょう!

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