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邂逅!スニフvs.スフィア 時々サンチョ

「さて、例のお城に向かうまでに途中にある『きこりの湖』のあたりで一休み致します。そうすれば明日の昼あたりには着けるでしょう。夜に相手のホームで戦うほど愚かなことはありませんからね。」


スニフさんはそう言って街からしばらく離れた森の中をスイスイと歩いていきます。意外に身体能力も高いのだから恐ろしい人です。

そしてそのまま何事もなく私たちは目的の泉の近くにたどり着きました。

そこには古びた小屋が一つあるだけの静かな場所でした。

「さて、今夜はここで過ごしましょう。サンチョさんは食事の準備をお願いします。私は少し散歩に行ってきます。」

勝手なことを言い残すとスニフさんはさっさと何処かへ消えていきました。

……アホのようで意外と賢いのがスニフ司祭長です。きっと何か考えがあるのでしょう。

私は諦めて食事の準備を始めました。ドンキホーテ様と旅をしている時はずっと私がご飯を作ってましたからね!こう見えて料理には自信が有るんです。


「そういえば、ドンキホーテ様。一人でご飯食べられてるかな……」


ドンキホーテ様のことは信頼しています。それでもやはり少し心配です。

でも、まぁ心配ばかりしていても仕方有りませんよね。

気分を変えてトントントン、と野菜を切っていきます。今はご飯です!

さて、次はお湯を沸かしましょう、と火をつけたのと同時に、ドカーーンッッ!!と突然小屋の壁が爆発しました。


……え?


あまりに同時だったので自分が何か間違えたんじゃ無いかと思うほどでした。

そして砂煙の中、目を凝らしてみると壊れた壁の向こうにはなかなか沢山の、それでいてあまり上品では無い見た目の方々がいらっしゃいました。

……山賊か何かでしょうか。


「スフィア様の言う通りだ、やはりここに居たか!」


なるほど。

スフィア。その名前が出ると言うことは……どうやらただの山賊では無さそうですね。

「こいつは確かドンキホーテの横にいるただの雑魚だ!殺れ!」

なかなか失礼な言葉と共に男たちが向かってきました。

……困りましたね。そんな風に思われてたんですね。

大勢の攻撃をひょいひょい、と避けながら考えます。

取り敢えず包丁は置いておいたほうがいいでしょう。刃物ってあんまり慣れないんですよね。

「くそっちょこまかと!」

「おっと失礼。」

業を煮やした大男の大振りを受け止め、その力を使い投げ飛ばします。

「何っ!?」

続いて、驚き動きを止めた数人の男に狙いをつけると、一気に距離を詰め掌底を撃ちます。

「はいはいはいっ!と」

「……!?」

「な、なんだこいつ!ただの雑魚じゃなかったのか!」

また言ってる……

「あのねぇ。私はドンキドンキホーテ様の従者なんです!ただの雑魚ならとっくにあの人に殺されてしまってるに決まってるでしょうがぁぁぁ!!」

そう叫んで敵の群れの中に突っ込み蹴散らします。

「くそ!どうすりゃ良いんだこんなの!普通に達人級じゃねぇか!」

「後悔しても遅いんですよ!雑魚と侮ったことを後悔すると良いんです!」

叫んで再び特攻しようとした時、なにやら視界の端に見たことのある光が見えました。

これは……

とっさに身をかわします。見ると、さっきまで私がいたところに大きな穴が空きました。

「なるほど、この魔法を確実・・に回避できるとは。たしかになかなか、ですね。」

空から一つの影が降りてきました。

この声、そしてあの姿!


「スフィア!!!」


スフィアは目を細めて一礼をしました。

「お久しぶりですサンチョさん。どこで私の名前を聞いたのかは知りませんが。それにしても貴方の打たれ強さを見誤っていましたよ、まさかあの魔法を耐えていたなんて、そしてこんなに早く動けるようになるなんて、ねぇ。恐ろしい恐ろしい。」

ニコニコしながらスフィアは拍手をしました。

そして、その拍手がだんだんと光を帯びて行きます。

「あまりに恐ろしいので、今度はここで……死んで頂きましょう。」

今度は先ほどよりはるかに強い光が私に向かって無数に飛んできました!

これは、流石に!


100%回避できる自信がなかったのでその場で防御の構えを取りました。が

とつぜん紫の光がその場を包み、全ての光弾を打ち消しました。


「フハハハハハハハハハ!!!くっくっく。ふーはっはっはっはっはっは!!!」


この禍々しい魔力……そしてこの声は!


「お久しぶりですねーえ、スフィア元宮廷司祭長様!おっとどうしたんですかそんな鳩が豆鉄砲を食ったようなお顔をなされて!私ですよ私、貴方の大ファン、スニフでございますよー!!」


スニフ司祭長!いつの間に!

彼の後ろには死屍累々のスフィアの差し向けた刺客が転がっていました。

なにやら彼らは口々に「助けて…」「もう嫌だ…」「なんでもするから許して…」などと言っているように見えるのですが……一体なにをしたんでしょう。

「貴様……!!!なぜ貴様がここに!!!」

そして先程まで冷静だったスフィアの顔が激しく歪みました。

めちゃくちゃ嫌われてるじゃないですか。ってそりゃそうか。毎日殺し続けたって言ってましたもんね。

「いやぁ、貴方の隠れ家までちょうど良い距離にあったこの泉と小屋。貴方を狙う人間はそりゃあここで休もうとしますよね。そこを狙うなんて……あぁ!なんて完璧な作戦なんだ!!」

「黙れ。」

「しかし、その作戦の唯一の穴はそんな天才の貴方よりよーーっぽど天才のこの私が貴方を退治しようと向かってくる可能性を1%も考えていなかった事でしょうね。」

「黙れ!」

「それでは、グランドフィナーレと参りましょう!このスニフ、実は先程散歩のついでにたっくさん魔法の罠を仕掛けておりまして。」

「っ…!!」

スニフさんのセリフと同時に私達を囲むように大量の魔法陣が空に浮かび上がりました。

「いやぁ散歩のついでのお遊びが役に立ってー」

とてもとてもわかりやすい悪役の笑顔をスニフさんが浮かべました。


「本当に、良かった良かった!」

「貴様ぁぁぁぁぁ!!!」


そこからはよく見えませんでした、よく見えませんでしたが、あり得ないほどの量の魔法がスフィアを襲っていたのは分かりました。

「罠をはる方は油断するもの。相手が格下だと侮り策に溺れたなスフィア。」

……何だか私も悪に加担しているのではないだろうか、という気分になってきました。

全ての魔法が終わった後に残されたのはボロボロになったスフィアでした。

「あーあー。ボロボロですねぇ痛そうですねーえ。ふふふ、さぁ!これで終わりだっ!くらえ私の必殺技!」

「ちっ。順序を間違えたな。」

スフィアが小さな声で何かを呟きました。

そして素早く大量の光弾を、あたりに放ちました。

……って、一体なにを狙って?

「しまった!」

いち早く気付いたのはスニフさんでした。そして同時に彼の手元の紫の光がどんどん弱まって行きます。

「ど、どうしたんですか!?」

「あたりをご覧なさいサンチョさん」

言われるがままにあたりを見て合点がいきました。

先程まで死にかけだった刺客たちが全員死んでいたのです。

「私の魔力の源は恐怖。ゆえに、弱い刺客どもを半殺しにして私に恐怖を抱いて貰っていたのですが、くそ、芽を潰されてしまってはどうしようもない。」

「危なかったぞ、スニフめ……相変わらず目障りな奴め。ここは退かせてもらおう。今のままではそこの従者にすら勝てんからな。だが次はない、覚悟しておくんだな……」

「はっ!絵に描いたような捨て台詞を吐きやがって。」

一瞬のスニフさんとスフィアの睨み合いの後、スフィアの姿が緩やかに消えて行きました。


「まぁ、ひと段落ってところですね。」


スフィアが消えたのを確認してから、ふぅ、とスニフさんが息を吐きました。

「しかしまずいな。こんなことは言いたくありませんが……次はもう私では勝てないでしょう。」

「え?あんなに圧倒していたのに、ですか?」

「えぇ、今回は私が来るとは思わなかったからこそ裏をかけた。しかし、もう相手も油断はしないでしょう。無駄な雑兵などは使うまい。そうなれば恐怖を源に戦う私では分が悪い。」

珍しく弱気なことを言うスニフさんです。

「じゃあ、どうするんですか……?」

「二手に分かれましょう。私は秘策の心当たりを当たって見ます。あなたは引き続きスフィアのいる城に向かって下さい。暫くは動けないでしょうが、傷が治り次第逃げられる可能性が高い……それに、少女が無事でいる保証もありません。」

たしかに言っていることは的確なようですが、そもそも、心当たりというのは……?

「なぁに、私は奴より天才だということに賭けてみようと思いまして、ね。」

不気味な笑みを浮かべるとスニフさんは魔法を唱え始めました。


「今から扉の国まで魔法で戻ります。それでは、ご武運を」


びしっと決めポーズを取ると同時に、バシュッとスニフさんの体が光り、空の彼方へ飛び立って行きました。

……秘策がなんなのか、それは分かりませんが今は彼を信じることにしましょう。


さて……それじゃあ。


「まずはご飯、ですね。」





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