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ギア・クロノス  作者: 有角弾正
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4話 改心のいちげき。

     4話 改心のいちげき。



 俺は自宅の玄関前で辺りを見回す。


 まるで、他人の家みたいに感じる玄関のドアを解錠、侵入。



 今日は水曜。


 母さんが、恋の母さんと出掛けているのは間違いない。

が、一応、確認する。


 「た、ただいまー。」

俺は我ながら間抜けな声を、住み慣れた敵陣の一階に響かせる。


 反応、物音、共になし。

よし!


 俺は外に向き直り、ドアのすき間から頭だけ出す。

往来を左右、右左と目視。

頭をスッと引っ込め、施錠、チェーンロックした。

そして2階の自室に入り、ここも施錠。

エアコンを18℃、急速パワー冷房に設定する。



 椅子に座し、このクソ暑いのに、我慢してひっ被っていたフード、キャップ。

次いでマスク、サングラスを取る。


 そして、パーカーの左右のポケット、ズボンの左右のポケット、ボディーバッグから、それぞれ今日の収穫を引っ張り出す。



     ポサ、バサ、ドサッ。



 直ぐに机の上は、折った一万円札、五千円札でいっぱいになった。



 「クッ!ス、スゲー!うー、夢じゃない~!」

紙幣群を眺めた俺は、頭の芯が痺れ、クラクラしてきた。


 そして何故か、使い慣れた机の上、札の山が光り輝いて見えた。



 う~む、悪用に関しちゃあ、我ながら恐ろしい能力だ。

俺は自らの口角が、俺の意識とは無関係に、ギューと、いやらしく上がっていくのを感じた。




 時間は遡る、前日の火曜へ。



 俺はバイト先の店長に、電話で急性の重度感染症で、余命3ヶ月であると告げ、一方的に仮病辞職。


 ある計画の準備に取り掛かる。



 まず、大山商店街のあちこちからサングラス、風邪のマスク、キャップ、今一番売れているパーカー等を買い集めた。


 それぞれ5個づつ、安く、ごくごくありふれた人気商品だけを選んだ。


 オシャレしたい訳ではない。

飽くまでも、変装、そして個性の抹消が目的である。



 次いで夕方、肝心の家の中の要害にも機能停止を確認する。


 「ねー母さん、明日も恋の母さんとランチ?」

こういうのは、何よりも、さりげなさが重要だ。



 母さんは疑うどころか、はつらつと

「うん、行くわよー。

あ、そーそ、銀座にスゴく良いお店が出来たみたいなのよ!

そこのランチ、3時までだってー!人気店だからって予約までしたのよー。」



 紗綾「えー?!お母さん、いいないいなー!ねえ、何料理のお店?」



 母さん「ロブスターとアイスクリーム食べ放題よ!」


 なんじゃそら。



 俺は心中で膝を叩く。

よし!明日しかない!



 そしてむかえた実行日。

本日である。



 玄関の音で、母さんの出て行くのを確認し、俺も着慣れぬパーカーに袖を通した。



 つーか母さん、化粧長過ぎー!ドライヤーも長過ぎー!

いい歳ぶっこいて、それどこに向けてのアピールだよ!!


 ん?イカンイカン!焦っておるな、俺。



 大事をなす前だ、普段よりも余計に落ち着いていなければ!


 うん、分かってる、ゆっくり深呼吸だな。

スゥ~、ハァ~。



 脳細胞に新鮮な酸素が取り込まれ、幾分冷静になった俺は、被り慣れぬキャップの鍔を下げ、かけ慣れぬサングラスの下、そこに決意の眼光を灯らせた。



 俺は最寄りの駅、板橋から埼京線に乗り、十条を越え、赤羽で降り、その駅前にて自転車を買う。


 こいつも一番ありふれた、印象に残らない物を選ぶ。


 最近の自転車屋ときたら、登録がどうだ、保険がどうだと、割りと手続きが面倒臭いんだな。



 何だかんだと3万ちょっとか……くっ、高いな。


 ま、まぁ良い。

こんなはした金、直ぐに戻ってくる!!



 俺は慣れないペダルを踏み、家とは反対の川口へ向かう。


 大きな橋を渡ると、ふむ、埼玉だ。



 犯行は、なるべく家から遠く、俺との関係性を感じさせ難い場所が良い。


 ま、お陰で慣れない自転車を漕ぎ、貧弱な俺の脚はパンパンだったが。



 母さんと(れん)の母さんは、3時にランチを済ませ、どうせ銀座辺りを、買い物などしながらダラダラと見て回るだろう。


 早く帰って来たとして、4時、か。


 紗綾の帰りは早くとも、5時は過ぎる……。



 今は12時過ぎ。

あまり遠くへ行く時間はないな。


 不測の事態も考え、時間的余裕を持たせるなら、川口、この辺りが限界か。



 俺はターゲットを選定。

それは、見たこともない商店街の、ありふれたコンビニだ。



 よし!やるぜ!やってやる!


 超が三つは付く、正に千載一遇!

人類史上初の、こんな素晴らしい能力を手に入れたんだ!


 人の一生は短い、有効に使わねばならない!

先ずは金、しかも大金が欲しい!


 俺はこいつで、この能力で、あれも買えない、これも我慢の、万年貧乏フリーターから脱却するのだ!!


 そして独立するんだ!

板橋とか、退屈な下町なんかじゃなく、もっとお洒落な所で暮らすんだ!


 うーん、そうだ!自由が丘辺りでオシャレなアパートを借り、カフェオレ片手に、フランスパンなどをかじりながら、ひっそりと暮らそうか?!



 はっ!!


 いやいや待て待て!俺はまだ、金を手にしてはいない!功を焦るんじゃない!


 まずは目の前のこの仕事、こいつをクールにこなさねば!



 この地球、リアル、創作、それこそ星の数ほどの悪党が存在したが、功を焦り、浮き足だったやつから凡ミスなへまをやらかし、後一歩、という所で、正義の刃に背中を貫かれ、滅んでいったからな。


 俺も今日から大悪党、気を引き締めねば。



 俺は目立たぬ所に駐輪。

物陰から、何気なくコンビニの自動ドアが開くのを待つ。



 よし、開いた!


 直ちに、首の後ろに意識を集中!

能力ON!



 止まった世界でも(正確には止まっていないが。)コンビニまで油断なく歩く。



 んー、この能力、もう何度やったか忘れたが、やっぱスゲー!

完全に止まってる。(ように見える)


 店内を見回し、味見が期待を上回っていたときのシェフの如く、俺は満足気に何度か頷く。


 

 さて、運良く開いていてくれると良いのだが。


 えっ?何がって?

勿論、レジさ。


 おし!開いてる開いてる!

俺は派手なギャル風のレジ係の前に歩み寄る。


 俺は興奮した。

当然、レジの中の売り上げと釣り銭にだ!

自然と俺の喉、心臓が鳴る。


 スゲー!俺のバイト先より、この店、断然売り上げてる!!



 え?あれは大丈夫かって?

うん、その通り、確かにコンビニのレジにも必ず防犯カメラがある。


 俺のバイト先でも、勿論同じだ。

だから俺は前もって周到に、何度も実験をした。

そう、超スピードの俺がカメラに写るかをだ!



 結果は、写らない!


 俺の超スピードの姿は、現行のコンビニの防犯カメラの性能ごときでは、捉えることが出来ないようだ。


 念を入れ、昨夜遅くに出かけ、俺のバイト先とは別の系列、グループのコンビニでも可能な限り色々とやってみた。

が、バックヤードに侵入し、どこでビデオのチェックをしても、結果は俺の超スピードの完全勝利だった。

影も残像も、それこそ揺らぎほども映ってはいない!



 さて……。

他店舗等で、カメラの実験は重ねた、が、

実際にレジに手を突っ込むのは、今が初めてだ。


 俺は、見慣れぬ型のレジに近付き、彫像の如く固まった、ギャル風店員と目を見る。


 しかし当然、目は合わない、その目線は俺の後ろ、明後日(あさって)の方向だ。


 俺はその娘の、つけまつげの着いた眼、黒カラコンの瞳を見る。


 こんなにハデではないが、歳は多分、紗綾と同じか、もうちょい上か。


 うーん。このコンビニがいつかは知らないが、定時のレジ内のチェックをしたとき、きっとこの娘も疑われるのだろうな……。


 何せ一万円札、五千円札がごっそりなくなっているんだからな。


 俺は、同じコンビニバイトとして、ちょっと同情した。

  

 スマン、ウソだ。

そこは、かなり、だった。



 

 犯行は体感にして一分。

俺は見慣れぬ、そのコンビニを後にした。


 離れた場所、牛丼屋の前に停めた自転車に跨がり、焦げないようにゆっくりと漕ぎ、さっきのコンビニが見えなくなってから、少し心臓が痛み出した辺りで、能力をOFF!



 はぁ……。

結局、金。持って来てしまった。



 うーん。俺は神も仏も信じたことはないが、本当にこんなことして良いのか?


 勿論良くはない! 


 だが……むざむざと、こんな超人的能力を眠らせ、封じ、普通に生活し、歴史の堆積に紛れ、埋もれ、死んで消えてゆくのが賢い、とも思わない。



 俺の胸は、能力の使い過ぎとは異なる痛みを抱え出した。


 犯行の準備をしていた時は、ウキウキさえしていた。


 だがどうだ、実際に悪事に手を染めた今、心が重い。



 俺はもう、なるべく何も考えないように努め、能力の素晴らしさだけを楽しむことにした。



 能力ON!

濡れ手に(さつたば)、こいつは確かに人を狂わせる面白さがあった。


 一度はまると、日頃のコンビニバイトなど馬鹿馬鹿しくてやってられない。



 少し似ているが、ギャンブルの魔力とは違う。


 まず、当たり外れなどないし、なんと言っても、これが出来るのは俺だけ。

古今東西、未来永劫、俺だけに与えられ、許された能力!


 これだ!この果実が俺の脳髄を痺れさせた!


 なあ?あんた、こんな快楽、こんな興奮、他に知ってるか?!



 俺は夢中になって、コロコロ着替えながら、その後も4件、同じ手口でコンビニレジ荒らしを重ねたのであった。



 そして冒頭に話は追い付く。


 俺は几帳面に、ポケットごとに店ごとの収穫を分けていた。


 札束のもたらす、歓喜にうち震える手で、ペンを握り締め、店の名前と奪った金額をノートにつける。



 俺の胸のどこかで、まだ、燻る火のように、良心が(うめ)いていた。


 だが、目の前の札束を数えているうち、胸の欲望の高鳴りが、そんな(かす)かな種火など、知らぬ間にもみ消してしまっていた。



 フフ……やっぱりスゴい!!


 この能力!コンビニを回り続けてさえいれば、いや、この世にオートでないレジがある限り、俺は一生仕事などしなくても良いんだ!


 更には、スーパーマーケット、デパートと、コンビニに限らなくても良い!



 そうだ、家から遠い所、毎回違う服で違う店、そうしてランダムにやれば、先ず捕まることはあるまい。


 まあ、繰り返せばそのうち、コンビニ業界で噂になるだろう。

だが、その時は盗る額を一店舗につき、一万円とかに下げれば良いんだ。


 

 第一、カメラに証拠はないし、先ず間違いなく、内部で、そこの従業員同士でお互いのせいにし出し、疑い合うことだろう。



 「店長ぉ!俺、思うんスけどー!俺達疑うのは分かるんスけどー。

もっと他にもぉー、んとー、時間止めるヤツとか、超スピードのヤツがレジから札をごっそり持ってったっつー、そーゆーの疑った方が良かないスカねー?」


 ハハハ、バカな!!

こんなこと考えたり、まして言うヤツはいないし、いたとしても完全にアレ扱いだろう。


 まぁ終いには、その店舗のオーナーが泣いて終り、って感じだ。


 

 1日一万円でも、月にして30万。

また、店舗の間隔を離し、更に遠く足を伸ばせば、噂にもならんだろう。

 

 その店がくたばらない程度に金をくすね、それを繰り返す。


 ハハハ、俺は蚊か、寄生虫か?

フフ、寄生虫結構、存外俺という人間に合ってるんじゃないか?



 よし、そういうことなら、でっかくやるのは今日限りだな。


 

 俺はノートと札束をボディーバッグに詰め、ベッドの下に隠すと、グウグウなる腹を擦りながら階下の冷蔵庫へ向かった。


 犯行の途中、あれこれと買い、食べたんだがなぁ。



 ちっ、食材ばかりだ!今すぐ、まともに食べれる物がない。


 コンビニでも行くか。

う、コンビニ……か。



 まぁ、母さんを待とう。



 夏の(だいだい)色の夕陽が一階を照らす。

おっそうだ、玄関のチェーンロックを解除しておかねばな。




 暫くして、玄関が開く。


 母さんと、紗綾だ。

「ただいまー。わっ!お兄ちゃん?!」



 俺は牛乳パックを置き

「おー、お帰り。」



 母さん「あら?あんたバイトは?」



 俺は何か言い訳をしようと思ったが

「うん、あぁ。休んだ……。」

これだけだ。



 紗綾「お兄ちゃん、もう身体大丈夫!?

あのねー、わたし欲しいものがあるからバイトしてみたいんだー!


 お兄ちゃんみたいにコンビニでやってみたいんだけど、難しいかな?」



 母さん「まぁ紗綾ったら。先ずは上がって。それから夜、お父さんに聞いてみてからでしょ?

よいしょっと。はぁ、お腹苦しい。」



 紗綾「うん。ねえお兄ちゃん、コンビニって色んな人が来るんでしょ?怖い人とかも居るのかな?」

小ぶりな靴を揃える。



 俺はいっぱしの専門家面で

「うーん、まぁ変わった人もいるけど、特に、怖い人はいないな。


 来るのはやっぱり、近所の常連さんが多いかな?そんな悪い人なんかいない、さ……。」


 俺はこの時、昔の事を思い出していた。


 

 まだ新人の頃、上手くレジが打てず、焦れば焦るほどに失敗しまくり、ピーピーと耳障りなエラーを(しら)せるレジ、それでまた焦ってしまい、無駄にお客の列を作ってしまったことがあった。


 サラリーマン、OLがイラついているのが痛いくらいに伝わってくる。


 遂にその中、列の後ろから舌打ちが聞こえた。

俺はもう涙目。



 だが、その時だ、今は顔なじみのお婆さんのお客さん、市毛木(いちげき)さんが


 「あんた、見ない顔だね、新人さんかい?

大丈夫だよ、慌てず、ゆっくりおやんなさいよ。

どんなことでも、初めから上手に出来る人なんかいやしないんだからね。

大体、焦るってことはね、そら一生懸命な証拠なんだ。

そんなもん、誰が怒ったりするもんかいね。


 あたしは近所なんだよ、新人さん、これからよろしくね。」

とか言われて、何にも出来ない自分がもどかしくて、心底情けなくて、とにかく

「すみません!すみません!」と謝りまくったな……。



 そんなことは、露ほども知らない紗綾

「そっかー!ねぇねえ!レジとか難しいかな?早く覚えるコツとか教えてよー!あれー?お兄、ちゃん?」



 キョトンとする紗綾の顔が、後ろの母さんも、キッチンの景色も、全部が歪んだ。



 俺は、俺は……なんという事をしてしまったんだ!!



 俺は紗綾の無邪気な瞳と、最初に襲ったコンビニの娘の瞳が似ていたのを思い出し……。


 それで……。それで。



 後はもう、サングラスだけをかけ、ボディーバッグをひっ掴み、埼玉県へ駆けていた。




 夜、威厳と自信に満ちた、あの父さんが帰ってきた。


 俺はといえば、情けない……。

昼間の金を全部、襲ったコンビニを回って、俺と分からぬよう、能力を使い、コッソリ返して来たのだ。

(最初の店は警察を呼んでいた。)



 あーダメだ。俺は悪党には成れなかった。


 はぁ……。

俺はバカか?

今日はただ自転車買って、能力で身体を酷使して、買い食いしまくっただけだ。



 これが父さんなら、もっとスマートに、それこそ良心など、即、絞め殺して、つまらなさそうな顔で札束を数えていることだろう。

ピシピシ、パンパンと札の音も聞こえるようだ。



 さて、困ったぞ。

俺はただの思い付きで、考えもなしに、長年やってたバイトを辞めてしまったのだ。


 

 もう常連さん達とも会うことはないだろう。



 俺は悲しく、とても寂しくなった。

俺は結局、小物なんだなー。



 「翔!コンビニ!オーナーさんから電話よ!!あんたスマホはどうしたの?」

母さんだ。



 電話の内容は、病気は本当か?とか、なぜ今まで黙っていた、とかだった。


 俺がどうしても行きたいところがあったから、と、仮病であったことを謝ると、

そうか、ここのところあまり思うように休みもやれずすまなかった、とオーナーが逆に謝ってくれた。


 なんでも、重病という嘘の噂が、店長からバイト、常連さん達に伝わり、お客さん達が休んでいたオーナーを呼び出し、早く俺に電話しろ!と、うるさかったらしい。


 

 ……はぁ。



 末期の感染症とか、そんな訳ないだろ?

バッカじゃねーの?



 大体、ちょっと考えりゃさ……。



 俺は電話を終え、こぼれそうなので、天井を見上げた。



 俺は、思ったね。


「俺は小物で良い!うん!俺なんか小物で良いんだよ!」

想うことを喚いていた。



 居間の父さんと目が合う。


 父さんは無言で、家族からしたら、全く意味不明な事を言う俺を眺めていたが、直ぐに携帯ゲーム機に戻った。


 親子だが、俺とこの人とは違うのだな。




 紗綾は、父さんからバイトを許してもらえなかったようで、落ち込み、ボンヤリとテレビを観ている。



 その画面では、ハデな演出で、有名マジシャンがカードマジックを披露していた。


 その技たるや凄まじく、紗綾の落ち込みを、それこそ跡形もなく吹っ飛ばす程のモノだった。



 例えば、トランプの束の一番下に入れたカードが、マジシャンが指を鳴らすと、一番上に上がって来ていたり。


 ゲストが油性マジックでサインしたカード、それをマジシャンが封筒に入れ、テーブルに置く。


 そうしておいて、なぜか飾っていたメロンを割るマジシャン。

フルーツの中から出てきたのは、なんと、隣のテーブル、封筒に入っているはずの、先程のサイン入りのカード、とか。


 母さん、俺もその技に目を奪われる。



 紗綾「スゴいスゴい!どうやってやってるんだろー?!

全然分かんなーい!あっ!もしかしてー、この人、超能力者かなー?」



 紗綾……。その気安く、超能力者、て言うのは不味いぜー。

龍の喉に一枚だけ生えた、逆さまの鱗だぜ、それ。



 ここで、やはり竜王、いや、父さん

「ふん、下らん。そんなエンターテインメントマジックなどには、必ず種があるものだ。」

顔は携帯ゲーム機に落としたままだ。


 おっ、今日は思ったよりクールだな。

「つまらんテレビなど消せ!!」とはならなかったようだ。



 母さんは、とりなすように

「そ、そうよねぇ。そりゃあタネがあるわよね。

でも、スゴいわぁーこの人。

さっきのあれなんて、まるで時間でも止めてるみたいだったわね。本当スゴいわー。」

まるで、紗綾を撫でるような言い方だった。



 俺は、こんな重度の中二病の人が旦那だと、母さんも大変だな、とか思っ、


       

        アレ?



   い、今。母さん、なんつった?


       

       ズドーン!!



 来ぃったぁー!!

そ、そ、そ、それだぁっー!!!



 俺の緩慢な頭脳に、雷撃の紫電が落ちたのだった!



 そう!俺は誰も傷付けない、新しい能力の利用法を見出だしたのだった!

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