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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第4章

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第99話 ーーー事件は、これで解決? ーーー





 犯人の目星はついたが、直接な証拠ではない為、シアンの掴んだ情報だけで捕まえる事は出来ない。


 俺達は、エリックさんの部屋で、どうやって犯人を追い詰めるか話し合っていた。


 すると、急にシアンの妖精の眼が疼き始めたらしく痛がっていた。


「シアン、どうしたの? これ飲んで」


 フェニックスの涙が入った薬瓶を渡し、それを飲み干すと、


「上の階で魔の者の気配を感じる」

「それって、リーナの家? 」

「多分、そう……」


 俺は、リーナの家に向かった。するとそこには、


「あんた。どこ行ってたのよ! シロウだったわね」

「えーーと、確か、吸血鬼のマリーンさんですよね」

「そうよ。あれっ! 冥府の悪魔達はどこ行ったの? 」

「みんな、冥府に帰りましたけど、何か用ですか? 」

「そうだったんだ〜〜困ったわね〜〜」


 エリックさんとシアンも駆けつけて来た。


「シロウ、大丈夫デスか? 」

「あっ! バンパイヤ貴族のマリーン……」


「あ〜〜この間のエクソシスト達ね。この間は、血をご馳走様」

「どうして、ここに来たのデスか? 」

「冥府の悪魔達に用があって来たのよ。悪い?」

「今はもう、いません。冥府に帰ってしまいましたから」

「それは、シロウから聞いたわ。ところで、シロウ、この間のバックとかどうだった? 」


「マリーンさんから頂いた物は、女性達が凄く喜んでいましたよ。特に化粧ポーチが人気でした」


「化粧ポーチか……あれは、出来るだけシンプルな感じで作ったのだけど、日本では、奇抜な物はイマイチなのかしら〜〜」


「そんな事は無いと思いますよ。あの化粧ポーチだって、デザインはシンプルでしたけど、造りはしっかりしていたし、色使いも良かったと思います」


「シロウは、わかってるわね〜〜。就職に困ったら、うちに来てアドバイザーになってもらおうかしら〜〜」


「俺なんかダメですよ。センス無いですし……。そう言えば、用事は何だったのですか? 」


「そうそう、主人のバンピーゼ様と連絡が取れないのよ。様子がおかしいから、冥府の悪魔達なら何か知ってるかも、って来たのだけど……この様子じゃあ、見当違いだったみたいね」


「さぁーー冥府でも何も言ってませんでしたけど……」


「そうなの〜〜まぁいいわ。急ぎの用でも無いし、気まぐれな方だから、また、直ぐに現れると思うけど。そうそう、今度は、化粧品のサンプル置いていくわ。また、感想お願いね。じゃあね〜〜」


マリーンが置いていった段ボールをみると沢山の化粧品が詰まっていた。男の俺には、価値がわからない。


「何だったのでしょう? 」

「相変わらず、神出鬼没な女」


「シアン、眼は大丈夫? 」

「薬のおかげで治った」

「ここにある化粧品、好きな物持っていってよ」

「興味ないからいらない」


……あとで、二葉姉達に分けてもらおう……


「シロウ、私はこの口紅を下さい」

「えっ、エリックさん、化粧するの? 」

「違います。人形達につけてあげるのデス」


「変態化粧人形好きのエリック……」

「シアン、そう言う君もそろそろ化粧の1つぐらい覚えた方が良いデス。女の子なのデスから」

「興味のないものに価値は無い」

「困ったものデス」


……そう言えばドラキュラ伯爵も行方不明だったよね……吸血鬼の家出が流行っているのか? ……


「しかし、こんなに大量の化粧品どうしよう……そうだ! 俺が変身能力を使って女の子に化けて、囮になるっていうのはどう? 」


「シロウがデスか……気持ち悪いデス」

「エリックさん、感想じゃなくて、作戦だから!」


「シロウの女の子の姿、見てみたい」

「シアン、おもしろがっているよね? 」

「私は真面目。そんな不謹慎な事は考えていない」


……どういう意味? 何考えてるの?……


「わかりました。それで、作戦を練りましょう」


 この囮大作戦は、果たして上手くいくのだろうか?




◇◇◇



 俺は、小学4年生ぐらいの女の子に化けて公園をうろついていた。服は、睦美の昔の物を拝借した。履き慣れていないスカートが気になって、公園にある遊具で上手く遊べない。仕方がないので、ベンチに腰掛け、本を読んでいた。


 エリックさんやアスカと一緒に砂場で遊んでいる。シアンは、家で待機していた。


 俺のポケットには、位置情報がわかる端末と胸に着けてあるブローチには、小型の監視カメラがつけられていた。


『CQ・CQ・CQ こちらシアン。シロウ聞こえる? オーバー? 』

『シアン、これ念話だから……無線じゃないし』

『何事も雰囲気は大事。映像、音声共にクリアー、対象との接触まで待機。オーバー?』

『わかったよ。もう、勝手にして』

『シロウ、最後にオーバーつけないとルール違反』

『はい、はい、オーバー! 』

『シアン了解』

……[念話終]……


……よくわからん妖精っ子だ……



 打ち合わせの時間になると、エリックさんとアスカは、砂場で遊ぶのをやめ、家に帰るふりをした。


 公園には、俺1人しかいない。もう、辺りは暗くなっている。すると、


「君、家はどこだい? もう、遅いから帰らないとダメだよ」


 来たーー! 犯人と思われる対象人物だ。


「今日は、遅くまでここにいなさいって言われたんだーー」

「お母さんにかい?」

「うん」


 対象人物の口元がニヤリと不気味笑った。正直、気持ち悪い……


「じゃあ、おじさんが一緒にいてあげるよ。危ないからね」


……危ないのは、おまえだ! ……


「そうだ。おじさんがお菓子を買ってあげるよ。一緒に行こう」

「お菓子買ってくれるの? 」

「あぁ〜〜なんでも好きなもの買ってあげるよ」


 周りに見られたら、即、通報ものだが、この相手では、誰もが安心するだろう。そう、警察官の制服を着ているからだ……


 俺は、その対象人物の後をついて行った。



◇◇◇



 行き先は、廃工場のようなところだった。ここでは、少しの音が出ても気づかないだろう。いつも、こうやって誘っているのだろう。慣れている感じだ。それに、この廃工場は、対象人物の隠れ家みたいだ。鍵をちゃんと持っていた。


「ここ、どこ? 」

「おじさん、この奥に沢山お菓子を隠してあるんだ。きっと、気にいるよ」

「そうなの? 」


 俺は。奥にあるテーブルに腰掛けさせられた。おじさんは、ジュースを持ってきて俺の目の前に置く。


「飲んでいいよ」

「わ〜〜い。ありがとう」


 俺は、そのジュースを飲む。鑑定で調べたら、睡眠薬入りだったが、俺には、効かない。でも、ここは、薬が効いたふりをしないと……


「どうしたんだい? 眠くなったのかな? 」

「う……ん」


 そうやって寝たふりをした。男は何やら道具を持ってきていろいろ設置している。どうやら、撮影道具らしい。どこまで変態な奴なんだ!


『CQ、こちらシアン。シロウどう? オーバー? 』

『睡眠薬入りのジュースを飲まされた。今、対象は撮影道具を設置している』

『アスカが、気配を消して近くにいる。エリックは、関係筋に連絡を入れている。もうじき、手配が済む。オーバー? 』

『わかった』

『シロウ、最後はオーバーだよ』

『はい、はい。オーバー! 』


 対象は、撮影準備が整ったようだ。着替えを済ませて俺の近くに寄ってきた。これ以上は、気持ち悪くて耐えられない。俺は、起き上がり、その人物を睨みつけた。


「おやおや、どうしたの? ジュースをもっと飲まないとダメだよ」

「睡眠薬入りのジュースなどいらない」

「何言っているの? 君……」

「そっちこそ、警察官がこんな事していいのか? 」

「ちょっと、怖い目に遭わないとダメな子みたいだね」

「怖い思いをするのはどっちかな? アスカーー!」


 俺の掛け声と共に、アスカがそのおっさんをロープで縛り出す。はじめ抵抗していたおっさんもアスカのハイスピードな縛りについてこれない。おっさんは、とうとうロープ人間にされてしまった。


「何なんだ。お前は! 」

「それが本性か……おっさん、いつもこんな事してたのか? 」

「してない! 俺は、何もしてない! 」

「ここには、いろいろと証拠がありそうだな? 」

「クッソーー! 」


 おっさんは、手を動かし腰にある拳銃ホルダーを開けていた。すかさずアスカが、その手を払い、さらに、今度はガムテープで拘束する。


「あっちがいる限り、下手な事はさせねーーぜ! 」

「誰だ! 他に誰かいるのか? 」


「アスカ、いいよ」

「よっしゃーー! アスカちゃん、見参! 」


 アスカは気配を解いておっさんの前に姿を晒した。おっさんは、急に現れた少女に驚いている。そして、アスカは、殺された女の子も連れて来ていた。アスカが鍛えたのだろう。その子も姿を現わせるようになっていた。


「ひっーー! お前は、お前は……」


「おっさんが、悪戯して殺した女の子だ。そうだな? 」

「この人が、私を殺した〜〜」


 幽霊の女の子は。アスカに言われたのだろう。身震いする程、迫真の演技だった。


「違う! 事故だ。一緒に遊んでて、事故だったんだ! 」


 幽霊の少女は、おっさんの周りを、幽霊らしくうろうろしている。その度に、おっさんは「ひっーー!」っと短い悲鳴をあげていた。


「悪かった! 勘弁してくれ!」


 屈強なおっさんは、幽霊相手では、意気地がないみたいだ。


「この女の子を殺した事は認めるんだな? 」

「殺してない……ひっーー!……ちょっと力が入って首を締めてしまったんだ。殺すつもりなどなかったんだ……」

「嘘をつけ! 両親も殺したくせに」


「違う! あれは俺じゃない! 俺が、この子を誤って殺してしまった時には、両親はいなかった。あの家は、両親が共働きで、いつも、夜までこの子1人だったんだ。信じてくれーー」


「本当か?」


 アスカは、その事を幽霊に聞いているみたいだ。確かに両親はいつも遅くまで帰って来なかった、っと言っている。しかし、殺された日はよく覚えてないようだ。


「あとは、専門家に任せるか……それでいいか? 」


 女の子の幽霊は、頷いている。きっと、少しは満足したのだろう。


 遠くで、パトカーのサイレンの音がした。ここには、ビデオやらいろいろな証拠が残っている。俺のブローチを通してシアンは今の映像と音声を録音しているはずだ。もう、言い逃れもできないだろう。俺は、黒翼のマントを羽織り気配を消した。アスカも連れの女の子も気配を消す。


 その廃工場には、おっさんの怯えた悲鳴だけがこだましていた。




◇◇◇




 ここは、エリックさんの家。


「でも、市民の安全を守る警察官のする事ではないデスね」

「俺は、あの若い方の警官だと思ってたけど、あの交番にいた偉そうなおじさんの警官だったとはね〜〜」

「あの若い警察官は、職務に忠実な感じを受けました。少しやり過ぎなところもありますが……」

「でも、あのおっさん、両親の件は否定してたけど、どうして? 」

「それは、わかりません。これからの捜査で明らかになるでしょう」

「イマイチ、納得できないんだけど」

「それは、私もデス。捜査が進んだら、その内容を伝手を使って教えてもらいます。あとで、シロウにも教えます」

「流石、ローマ聖教だね。いろいろなとこに伝手がある」

「宗教は、いまや、政治の奥深くまで関わっています。本気になれば、FBIやCIAより、多くの情報を得る事が出来ます」

「そうなんだ……」


……あまり、関わりたくない世界だ……


「ところでシアンやアスカは? 」

「幽霊の女の子の浄化をしに行きました。思い出の公園で去りたいと言うので、その場所に行っています」

「そうなんだ。向こうで幸せになれるといいけど……」

「神の御心のままに……私もそう願っております」


その頃、夜空に小さな光が天に昇っていった……






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