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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第4章

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第98話 ーーー犯人は誰だ! ーーー




 ここは、神屋代の家。


 王女達に会いに、学校帰りに寄る事にした。シアンとアスカは、例の事件の件があるのでそうそうに家に帰った。


 スズネの家の庭先では、剣を打ち合う音がする。どうやら、カトリーヌ王女と黎明祖父さんが剣の稽古をしているらしい。


「ほほ〜〜中々の腕じゃ。儂の剣をこう容易く受け留められてしまうとはのう」

「いいえ。そんな事はありません。姉様の剣筋と似てらっしゃるので、かろうじて防げているだけです」


「2人とも、凄い才能じゃわ」

「お褒めいただきありがとう御座います」


 2人の打ち合いを見ていると、モモリー姫が来て、


「シロウ様、シロウ様の国は大変面白いのですね」

「モモリー姫、慣れないと思いますけど、楽しんでもらえたら嬉しいです」

「魔法が使えない世界なのですね。でも、みんな、工夫して私達の生活より便利に暮らしております」

「いろいろ見ていって下さい。本当は、もっと外の世界をお見せしたいのですが、今回は、そんなにゆっくりできないかもしれません。またの機会にいろいろお連れしますね」

「いいえ。この界隈だけでもどれもこれも珍しい物ばかりです。飽きる事などありませんよ」


 モモリー姫は、異文化に対して寛容であるらしい。その方が助かるけど……


『シロウはシロウでまだ、スズネのとこ? 』


 シアンから念話が入った。


『そうだよ』

『犯人らしき人物を特定した。今すぐ、来て』

『わかった。どこに行けば良い? 』

『エリックの部屋』

『すぐいくよ』


……[念話終]……


「スズネ、シアンから呼び出しがかかったから行くね」

「私もいこうか? 」

「いや、大丈夫。王女達を頼むね」

「わかったわ」


 俺は、スズネの家から、エリックさんの家にドアを開いた。




◇◇◇



「シロウ、こいつが犯人! 」


 シアンは、周辺の監視カメラをハッキングしたらしい。そこに写っていた人物は……


「それ、俺じゃんかっ!!」


「見るからに怪しそう。女児と手をつないでいる」


 監視カメラに映像は、数日前のものだった。そこには、俺と手をつないでいる女の子が写っていた。


「シアン。それ、睦美だから……修学旅行のオヤツを買いに行った時だと思う」

「このニタニタ笑ったイヤラシイ笑顔はまさにサイコパスの表情」

「シアンいい加減にしてよ〜〜」

「冗談はさておき、ここを見て」


 それは、俺と睦美が通り過ぎた後だった。目深に被った帽子に黒ずくめの格好。まさに怪しい人物が俺達の後を見ていたのである。


……もしかして、睦美が狙われていたのか? ……


「こいつ、怪しいな」


「多分、睦美ちゃんを狙ってた。でも、シロウが一緒だったから事件は避けられた。そして、こいつは、他のカメラにも出てくる。それも、女の子達を付け狙うように写っている」


「でも、これだけでは、誰が誰だかわからないぞ。帽子を深く被ってて顔見えないし……ちょっと、シアンここ拡大できる? 」


「できるけど、シロウは、ロリコンなの? 」

「バカ、違うよ。この子、幽霊の子じゃない? 」

「本当だ。気づかなかった……そう、これあの子」

「とすると、睦美を諦めて、この子を標的にしたのか? 」

「そう考えるのが自然」


……何て事だ……あの時、注意深く周りを気にしていれば……


「目星がつけばあとは特定するだけ。それほど難しい事ではない」

「できるの? 」

「私に任せて」


……シアンが警察なら未解決事件もなくなるんじゃないのか? ……


「でも、この雰囲気どこかで見たような気がするんだけど……」


 俺は、モヤに包まれたようにその怪しい人物を思い出せずにいた。


「アスカはどうしたの? 」

「訓練とか言って出て行った」

「それ、マズくない? 魔のものがいる可能性もあるんでしょう? 」

「この辺りにその気配は無いから大丈夫」


……シアンがそう言うなら大丈夫だろう……


 俺は、家に戻り、夕食の準備を始めた。買い置きが沢山あるが、明日の分の牛乳とパンが無い。


「買い物行かなくちゃ……」


 俺は、食器棚の引き出しにしまってある食費の入った財布を取り出して買い物に出かける。辺りはもう、薄暗くなっていた。


「この時間って逢魔が時って言うんだよなぁ……嫌な予感がする……」


 牛乳とパンなら近くのスーパーで間に合う。スーパーに向かって歩いていると背後に人の気配を感じた。気になったのでマップを展開して様子をみると、何とあの時、俺を犯人扱いした若い警察官のようだ。それに、背広姿の人もいる。どうやら、私服の警察官らしい。


「マジかよ……」


 俺は、気づかないふりをして買い物を済ませた。そして、家に戻る途中、話かけられた。


「そこの君、ちょっと良いかな? 」


 声をかけたのは、私服姿の恰幅の良いおじさんだった。若い警察官は、その後ろに隠れるようにこちらを見ていた。


「えっ、何でしょうか? 」

「この近くで事件があったのは知っているね」

「はい。ニュースで見ました」

「その件で、近くの交番の来て欲しいんだ」


……またか……


「俺、何も知らないですよ。そちらの人にもそう言いましたけど……」

「まぁ、ちょっとの時間だから、協力してもらうよ」

「買い物の途中なので、良かったらうちに来てくれませんか? 」

「君の家かい? 」

「話なら何処でも同じでしょう。それに、疑っているようなので、うちの様子を知ってくれれば、その疑いも晴れそうですし……」

「じゃあ、お邪魔させてもらうよ」


 この判断で良かったのかわからないが、交番に行ったら直ぐに帰れそうにない。それに、エリックさんやシアンもいる。何かの時には、その方が都合が良い。


「ここです。どうぞ」


 俺は、警官達を家に招き入れた。


「シロウお兄ちゃん、お客さん? 」

「うん。警察官の人らしい。ちょっと聞きたいことがあるらしいんだ」

「何か悪い事したの? 」

「何もしてないよ。買い物してただけだよ」


 出迎えてくれた睦美は驚いていた。俺も、まだ、疑われていたとは驚きだ。


「どうぞ、狭いですけど……」


 俺は、刑事たちを中に入れた。2人の警察官は家の中をキョロキョロしている。


「普通のお茶しかないですけど……」

「あぁーー悪いね」


 俺は、お茶を出して尋ねた。


「俺が疑われているんですか? 」


「そう言うわけではないんだ。ただ、先日、交番で職務質問を受けた時、何も書かなかったらしいね。どうしてだい? 」


「あの時は、何もしてないのに疑われて少し頭にきてたので意固地になってました。でも、どうせ調べられたら直ぐ分かるだろうと思ってましたし」


「ご家族が多いみたいだけど? 」


「父は海外出張で年に数回帰って来る程度です。母は、介護の仕事で忙しいです。ここには、姉2人と妹2人の5人の兄妹がいます」


「そうなんだ。今時目面しいね。でも兄妹は沢山いた方が安心だよ」


「大変ですけど、そう思います」


「これは、誰にでも聞いているんだけど、〇〇日の午後5時から7時の間何処にいたかわかるかね? 」


……睦美とお菓子を買いに行った日だ……


「確か……下の妹が修学旅行に行く前の日なので睦美、妹ですけど一緒にお菓子を買いにスーパーに行った時間がその頃だと思います」


……あの防犯カメラを見たのか? ……


「そうなんだ。良く覚えているね? 」

「家の事はほとんど俺がしてますから……うちの女性達は家事が苦手なもので」

「へーー君がかい? 普段からずっと? 」

「はい」


 すると、三季姉が帰って来たみたいだ。


「ただいまーー!シロウ、麦茶ちょうだい、ってお客さんがいたの? 」

「麦茶は冷蔵庫に入ってるから勝手に飲んでよ。それと、こちらは刑事さん達だから」

「えっ! シロウ、何かしたの? 」

「何もしてないよ! 」


「すみません。勝手にお邪魔してしまって……〇〇署の歌賀井 (うたがい)と言います。シロウ君には、聞きたい事があってお邪魔しております」

「そうですか……姉の三季です。シロウと同じ高校の三年です」


「これは、活発そうなお嬢さんですね。今、帰りというと部活ですか? 」

「はい。陸上部です」

「そうですかーー将来、警察官になってほしい方ですね」

「まだ、先の事は考えてません」

「これは、失敬」


 すると、今度は、サツキが帰って来た。


「ただいまーー! お腹すいたーー!委員会遅くまでやるんだもん。参ったよ、ってお客さん? 」

「刑事さん達だよ」

「シロウ兄、何かしたの? 」

「してないよ! 」


「すみません。うちはいつもこんな調子で騒がしくって……」

「いやいや、結構な事です。仲が良いのがわかります。そろそろお暇しようか? 」


 私服の警察官は、若い警官に話しかけて帰ろうとしていた。俺の疑いはす少しは晴れたのだろうか?


 すると、今度は、ドアをノックする音がした。


「誰?……」

「シロウ、いますかーー!お弁当箱持ってきましたデス」


 エリックさんだ。


 ドアを開けるとエリックさんが、空のお弁当箱を2つ持ってやってきた。


「今日のお弁当も美味しかったデス。ってお客さんでしたか? 」

「警察の方だよ」

「ほうーー、シロウは何かしたのデスか? 」

「だから、何もしてないよ! 」


「貴方は、この間の警察官デスね。まだ、シロウに何か用デスか? 」


「ちょっとお話を聞きに来ただけです。貴方は、この間、身元を引き受けてくれた方ですね。確か、シロウ君の担任とお聞きしてますが? 」


「はい。そうデス。下の階に住んでいます。シロウには、いつもお弁当作ってもらっています」


「良いのですか? 先生が生徒からお弁当の差し入れなど? 」


「エリックさんとは、学校の教師になる前からの知り合いです。たまたま、うちの学校の先生になりましたけど……」


「シロウの言うとおりデス。それと、私の素性をどうぞ調べてください。その方が、話がはやそうデス」


「いやいや、我々は、無闇にそのような事はいたしませんから、それでは失礼します」


 2人の警察官は帰って行った。きっと、あの若い警察官が俺の事を怪しんで報告したのだろう。


 警察官も大変だ……エリックさんの素性を知った時どうなる事やら……


「シロウ、あとでうちに来て下さい。シアンが特定しました」

「わかった。夕飯作ってから行くよ」


 シアンは仕事が早い……


 俺は、疑われて少し腹がたっていた。それは、犯人を憎む気持ちにすり替わっていた。




◇◇◇



「シアン、わかったんだってーー」


 俺は、うちの分の夕飯を作り、エリックさんやシアンもそれとアスカ達の分も作って持ってきた。今日は、刑事が来たせいで時間がなくなり、結局、オムライス一品となってしまった。サラダは、別にあるけどね……


「シロウ、オムライスにかけるケチャップは、ハートマークがいい」

「シアン、食べたらみんな同じだから」


「で、犯人は誰だったの? 」


 そう尋ねたが、シアンは、口に運んでいたスプーンでエリックを指した。


「えっ!? エリックさんなの? 」

「シロウ、バカな事を言わないでください。私が知ってる人物と言いたかったみたいデス」

「そうなの? 」

「こいつ……」


 シアンが画像に示した人物は確かにエリックさんは知っている筈だ。俺も、この顔を知っている。


「本当なのか? 」


「間違いない。駅の防犯カメラから、利用する定期券を調べて割り出した。こいつが犯人」


 確かに言われてみれば、あの防犯カメラに写っていた人物に似ている。それに、俺の頭の中のモヤが晴れたように記憶が蘇った。


「そうだったのか……」


 どうやって、この犯人を追い詰めてやろうか……


 俺は、無性に腹がたっていた。




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