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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第4章

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第96話 ーーー忙しない日ーーー




 部屋の中では、みんなが集まり今後の事を話しあっていた。


「ペリンさん、どうしますか? 」

「イヤです。人族と関わり持ちたくありません!」


「いきなりは無理だよ。シロウ兄さんは急ぎ過ぎなんだよ」


「俺もそう思うけど、せっかくの提案を無碍にするのも勿体ないと思うし」


「エルフの民が受けた苦しみは、エルフ達しかわかりません。私は、他の者がこの件に携わる事はいけないと思います。例えシロウ様でもです」


 モモリー姫の意見は、最もだと思う。


「ソラスはどう思う? 」

「よくわかりません。人族だの、エルフだの、やりたいようにすれば良い話です。復讐するなら相手を皆殺し、逃げるならとことん逃げる。私達には無い感性であります」


「ゼロワン達は? 」


「引きこもります」

「引きこもりとたいと思います」

「引きこもった方が楽です」


「う〜〜ん。如何にも君達らしい意見だ。アンリエット王女には、申し訳ないが、お断りの念話を入れておくよ。それで、良い? ペリンさん」


「お願いします」


 どうやら急ぎ過ぎてたようだ。俺は、アンリエット王女に何て言おうか考えていた。




◇◇◇




「あれ、もう姉様帰られたのですか? 」

「カトリーヌ、貴女もちょっと来てください」

「はい? 」


 王宮に戻ったアンリエット王女は、カトリーヌ第2王女を連れて現国王と王妃に会いに行った。


 カトリーヌ王女は何が起きたのかわからなかったが、姉様が真剣なことだけは理解できた。


「王女様お待ち下さい。今、謁見中で御座います」


 王と王妃のいる謁見室では、半魚人族のカシミールと話し会っていた。

 昔、栄華を誇ったいた半魚人族の話を聞くためだと思われる。事務筆頭のドリトスや研究所所長シルベル、魔道士のグラハムなどが一緒にいた。


 突然、開けられた扉に、皆相応に驚いていたが、アンリエット王女は、御構い無しに、王と王妃の前に、立ちふさがった。


「アンリエット様、今、話し合いが行われております。王女としての振る舞いではありませんよ」


 事務筆頭のドリトスが諭すように話しかけると、アンリエット王女は、


「無礼な振る舞いなのは承知しております。でも、どうしてもお話があります。エルフの民と和睦を進言致します」


「アンリエットよ。お前が真剣なのはわかるが、こちらは、唐突な話で意味が分からん。詳しく話しておくれ」


「はい。実は……」


 アンリエット王女は、エルフの民に会った事。今もまだ、エルフの民は、人族を恐れている事。隠れるように怯えながら暮らしている事などをみんなに話した。


「事情はわかった。だが、アンリエットよ。儂らがいくら敵対心が無いと言っても信用してくれんだろう。だから、エルフの民は、隠れて暮らしているのではないか? 」


 国王の意見はもっともだと。その場にいる人達は頷くが、


「ですが、このままでは良いはずがありません。むしろ、今、和睦をしなければいつ、このようなチャンスが巡ってくるのかさへわかりません。昔、私達が行った非道な行為をここで、清算する事は間違ってますか? 」


「アンリエット王女様、会われたエルフの方は怯えていたのでしょう? まだ、時期が早いのではありませんか? 」


 事務官筆頭のドリトスは、アンリエット王女の話から、エルフの民に残っている遺恨は早々、解決できるものではないと改めて思っていた。


「私は、賛成であ〜〜ります。エルフの民は、特殊な魔法を使えます。それを研究できるのであ〜〜るなら、和睦でも何でも歓迎であ〜〜ります」


 研究所所長シルベルらしい意見だ。


「儂も、老い先短い身である故、エルフの民には、興味がある。できれば、一緒に魔法を学んでみたいものじゃ」


 魔道士グラハムもエルフの民に興味があるらしい。


「そうは言っても、居場所もわからない現状では、どうしようもない」


 国王は、皆の意見を聞きそう答えた。


「私、三国会談にエルフの民をお招きしようと思っておりますわ。この会談で、エルフの民に謝罪し、過去に人族が行った行為を正すべきだと思いますわ」


「アンリエットよ。もし、仮にエルフの民が出席してくれるのであれば、誠意をもってお迎えしよう。ここにおるもの達も含めて、今の人族達は、エルフの民を無碍な扱いをする者はおらんだろう。だが、エルフの民が、その謝罪を受け入れるかどうかは別であるぞ」


「わかっております。エルフの民に今の人族が敵ではないと知ってもらえるように努力いたしますわ」


「あの……少し良いでしょうか? 」

「カシミール殿、どうかされましたか? 」


 半魚人族のカシミールが発言したので、ドリトスは気になった。


「人族はエルフの民と仲違いされているようですが、それは何故なのですか?」


 カシミールは、半年前、冥府の結界が外れた事により、この世界に戻って来ることができた。人族とエルフの争いなど知る由も無かった。


「そうでしたなぁ……実は……」


 ミリエナ国王は、人族とエルフの民の過去を話した。すると、カシミールは、


「そうでしたか……半魚人族も今は、私だけになってしまいました。エルフの民とは、寿命も似たようなものでしたから、昔は、仲が良かったのですが、この世界に来て、見かけない事に疑問を持っておりました。私も、エルフの民に会いたいです。昔、仲が良かったエルフの子も知っております。そのような機会があるのであれば、是非にも、私からもお願い致します」


「アンリエットよ。三国会談にエルフを連れて来れるのか? 」

「やってみますわ。お父様」

「わかった。もし、エルフの民が出席してくれるのであれば、王家を代表して私が謝罪しよう」

「ありがとうございます。お父様……」


 アンリエット王女は急いで部屋に戻り、シロウに念話をかけようと思っていた。




◇◇◇




 アンリエット王女が必死に話し合いをしていた時、シロウは、呑気に温泉に入っていた。この温泉では、ワイバーンに糞を落とされた苦い思い出があるが、温泉の魅力にはかなわない……


「どう、ゼロワン、ゼロツー、気持ち良いでしょう? 」

「湯に浸かるという行為は初めてですが、これは、なかなか良いものです」

「僕も気に入ったよ」


 2魔とも温泉は気に入ったようだ。でも、サングラスとマスクは被っているけど……


「ゼロツー、マスクしてて熱くないの? ゼロワンみたいにサングラスだけにすれば? 」


「いいんです。これが、ないと無理です! 」


 まだまだ、先は長そうだ……


 すると、アンリエット王女から念話が入った。


『シロウ様、シロウ様』

『アンリエット様、こちらからご連絡しようと思っていたところです』


……どう話すか迷ってたんだけど、どうしよう ……


『皆にエルフの方々との和睦を進言しましたところ、受け入れてくれましたわ。そちらに伺って、話をしたいのですけど……』

『それは、素晴らしい事です。アンリエット様、頑張ったのですね』

『はい。シロウ様の為に頑張りました』


……俺の為?……この様子だと、断りずらい……


『そうですか……実は』

『えっ、何ですの? 聞き取れませんわ。そちらに伺いますから迎えに来て下さい』

『実は……』

『よく聞こえませんわ。お待ちしてますわ。ガチャ』


……[念話終]……


 なんて言おうか迷っているうちに、念話を切られてしまった。

 これは、会って直接話すしかないみたいだ。


……憂鬱だ……


 俺は、温泉を早々に出て、着替えを済ませるのだった。




◇◇◇




 アンリエット王女のところに行こうとしたら、リーナから念話が入る。どうも、急ぎの用らしい。


『シロウ、吸血鬼達を連れて来て』

『いいけど、どうかしたの? 』

『来たら話す』

『わかった』


……[念話終]……


 どうしたんだ……?

 先に、吸血鬼達を冥府に連れて行こう……


 ゼロスリーは、まだ、女性達と温泉に入っていた。どうしようか迷ったがサツキに念話を入れる。


『サツキ、リーナから吸血鬼達を冥府に連れて来てくれって念話があったんだ。ゼロスリーは、まだ、お風呂か? 』


『わかった。もう出る〜〜』

『待ってるよ』

……[念話終]……


 公衆浴場の待合室で女性達が来るのを待っている間、アンリエット王女に少し遅れると念話を入れておいた。どの世界でも、女性達のお風呂は長い……


「お待たせ〜〜」

「あれから、結構、待ったぞ。何、してたんだ」

「凄いんだよ。ペリンさんのアレ。マシュマロみたいなんだ」


……サツキ、どこで道を間違えたんだ……


「そういう事は、言うな! おっさんみたいだろう」

「それとね〜〜ゼロスリーは、着痩せするタイプなんだよ」

「サツキ……お兄ちゃん、サツキの教育方針間違ってたよ……夕飯抜きな!」

「えっーー! シロウ兄が喜ぶと思って教えてあげたのに〜〜」


……本当にこいつは!……


 俺は、サツキはほっといて、ゼロスリーを連れて、吸血鬼達と一緒に冥府にドアを開いた。




◇◇◇




「シロウ、遅い! 」

「お風呂に入っていたんだよ」

「そうなの? それなら仕方がない」


……リーナの価値判断は、よくわからん……


「で、何なの? 」

「そうそう、ドラキュラ伯爵が家出した」

「はぁ!? 何それーー! 」


「家出とは違います。行方が分からなくなってしまいました」


 その場にいたドラ子がそう話す。


「どういう事なの? 」

「わかりません。ドラ太郎達がシロウ様と一緒に出かけた後、連絡が取れなくてなりました」

「それって、どうして? 」


「徘徊老人になっている」

「リーナ、違うと思うよ。しっかりしてたし……」

「もう、良い歳、痴呆になっても仕方がない」

「リーナ、悪魔にも痴呆ってあるの? 」

「無いよ」


……リーナは訳がわからん……


「それで、どうするの? 」

「吸血鬼達に探してもらいたい。冥界の何処かにいるはず」


「リーナ様、気配感知が優れていても、それは昨日の話です。今は、冥界だけとはかぎりません」

「ドラ子も一緒に探すんでしょう? 」

「はい。ドラキュラ伯爵には、まだ、仕事が残ってます。兄妹達でそれをこなしながら探そうと思います」

「わかった。俺は、まだ、向こうの世界に用があるから手伝えないけど、かまわない? 」

「大丈夫。吸血鬼達は、仕事をしだせば、皆、優秀」


……しかし、どこ行ったんだ? ……


 俺は、吸血鬼達を冥府に残して、迷宮都市ルーンの宿屋にドアを開いた。


 今日は、(せわ)しない日だ……






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