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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第4章

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第93話 ーーーキメラの巣ではーーー





 三国会談にサラマー国のライン王が出発する日は、まだ、一週間先なので、その間にキメラの件を何とかしようと思っていた。


 サツキと合流する為、ルアンダ国のルアンの森の里にドアを開いて訪れた。すると、ドラ代ことゼロスリーが、いきなりの場面転換でパニクったのか、頭痛を訴えうずくまってしまった。


「ゼロスリー、大丈夫? 薬あるけど飲む? 」

「だ、大丈夫です。こうしていればすぐ治りますから……」


 事前にこういう場所だと伝えてあったのだが、ダメだったみたいだ。

 ドラ太郎、ドラ次郎は、こうした移動は、大丈夫そうに見えるが、内心ではいろいろな葛藤があるのだろう。


「シロウ兄ーー! 」

「シロウ様、ようこそルアンの森へ」

「ホーホーホケキョ」


 サツキとソラス、それとモモリー姫が一緒にこちらに来た。そして、


「モモリー様、こんにちは。ちょっと、サツキと話があって寄らせてもらいました」

「構いませんが、そちらの方々は、どこか具合がお悪いのですか? 」

「少し……そうだ。紹介しますね。背の高い男性がゼロワンです。そして、この可愛らしい男の子がゼロツーです。うずくまっている女の子がゼロスリーです」

「ハイカラで素敵なお名前ですね。どうぞ、中でお茶でも」

「ありがとうございます」


「シロウ兄、ちょっと……何、ゼロワンとかツーとか、どうしたの? 」

「ドラ子の弟と妹何だが、名前のせいで長い間引きこもっていて、少し、精神的に弱っているんだよ」

「そうだったんだ〜〜わかった。私も協力するね」

「まぁ、頼むよ。難しいと思うけど……」

「シロウ兄よりは、他人の気持ちを理解できると思うよ」

「それは認めるけど、そんな風に言わなくてもいいだろう? 」

「はい、はい」


……サツキの奴〜〜本当、生意気なんだから……


「これは吸血鬼達ではありませんか? 外界に出てきたのは何千年ぶりでしょうか。ホーホー」


 吸血鬼達もソラスがいたので少し安心しているようだ。







「キメラ退治ですか? 」


 俺達は、モモリー姫の誘いで、王城の中の応接室で話あっていた。


「サラマー国の北部にある山脈にキメラの巣があるらしく、その為に、財源となる鉱物が取れないらしいのです」


「それは、前から話を聞いてましたから知っていますが、キメラは獰猛な魔獣です。退治するなんて危険です。お考えを改めて下さい」


 モモリー姫は真剣に俺達に話す。本当に心配しているらしい。


「ライン王にも言われましたが、無理はしないつもりです。危なければすぐ逃げようと思ってます」


「決心はお固いようですね。では、私も参ります」

「えっ、モモリー様、それはおやめ下さい。危ないですよ! 」

「シロウ様は、私が危ないと言っていたのに、行くとおっしゃいました。私が行くというと何故、止めるのですか? 」

「そ、それは……」


……理にかなっていて反論できない……


「モモリーちゃん。ここにいてね。それに、モモリーちゃんは、この国のお姫様なんだから、隣の国の問題に手を貸したら後で面倒くさいわよ〜〜」


「サツキ様、それはそうですが、それでも私は……」


「ダメです。モモリーちゃんは、帰りを待っててね」


「サツキ様……」


 サツキの言葉でモモリー姫も納得したようだ。


……もう、サツキが主人公でいいんじゃないの? その方が、面白そうだし……


 俺は、兄の威厳を保てるのだろうか?




◇◇◇




 ソラスの転移により、俺達はサラマー国の北部の山脈に来ていた。


 ドラ代は、サツキに言われたのか、目を閉じている。そして、時間をかけてその場で少しづつ目を開けさせた。


「そうそう、すごいわ。ゼロスリー」

「本当です。頭が痛くなりません……お腹も大丈夫そうです」


 人間ならこんなに上手くいかないのだろうが、流石、悪魔達である。大分、いろいろな状況に慣れてきたようだ。


……でも、まだ、サングラスとマスクは外せないみたいだけど……


 俺は、マップでキメラを探した。いたことはいたのだが、巣がある割には数が少ない。


「この先の、山の中腹にある洞窟に巣があるみたいだ。数は3匹しかいないけど、レベルは、80前後もある。気をつけないと……」


 ソラスを先頭に俺とサツキ、後ろには吸血鬼達が、並んで歩いている。端から見たら冒険者というより、旅する大道芸人に見えるだろう。


 洞窟の入り口に着くと、中から咆哮のようなものすごい音が聞こえる。風が洞窟内に吹き込んで、このような現象を起こしているようだ。


「その角を曲がったとこにいるから気をつけて……」


 みんなに注意を促すと、みんなも気配を察知してたようで軽く頷く。

 洞窟内では、吸血鬼達も安心するのサングラスを外していた。ドラ次郎ことゼロツーは、マスクまで外している。


「ここは、僕がやりたい!」


 ドラ次郎の突然の討伐宣言だ。悪魔としての本能が騒ぐのか、戦いたくてうずうずしている様子だ。


「そうですね。あの数ならドラ次郎だけで余裕でしょう。ホーホー」


 ソラスがそう言うので、ドラ次郎は、意気盛んにキメラ三体めがけて飛び込んで行った。ドラ次郎の武器は、鋼の手甲だ。物凄い速さで、キメラの前に立ちその顔をブン殴っていた。


 キメラ達は何が起きたかわからない様子で、突然の敵襲に戸惑っている様子だ。そして、大きな声を上げ、口から辺り構わず火炎を放っていた。その威力は、岩を溶かすほどのものだった。まともに喰らっていたら、ただでは済まないだろう。


 しかし、ドラ次郎は、それをあっさり避け、宙に舞い、綺麗なムーンサルトを決めて、火炎を放っていたキメラにドロップキックを喰らわした。残りは、後一体だ。時間的余裕があったのかそのキメラは堂々としていた。レベルを覗くと、89もある。この三体の中で親玉クラスだ。口から火炎、尻尾を左右に振り、土埃をたててあたりを見えずらくさせていた。そして、立ち上がり、大きな爪のある手でドラ次郎を襲った。


 しかし、ドラ次郎は、霧化し、キメラの攻撃は宙を切り裂くだけたった。そして、ドラ次郎は、キメラの頭上に現れ、そのまま手甲を付けた手でキメラを思い切り殴り飛ばした。


「す、すごい……」

「本当、すごいね。あれじゃあ、シロウ兄の出番はないね」


 サツキが俺に話しかけている間に、ドラ次郎の戦闘は終わったようだった。


 こちらに息ひとつ乱れないで向かって歩いてくるドラ次郎。その姿は、アイドル主演のアクション映画を見ているようだった。


「ねえ、ドラ次郎じゃない、ゼロツーってあんな可愛い顔してたの? お持ち帰りしたくなってきたよ」


 サツキがそういうのも当然だ。俺も、そう思っていたから……


……俺はノーマルだからね。でも、これで自信がついてくれれば良いけど……


 ドラ太郎、ドラ代は、当たり前のようにドラ次郎を迎えた。褒めるわけでもなく、貶すわけでもない。ただ、当たり前のように……


……ドラ子も強いけど、この吸血鬼達も相当強いんだ……


「ゼロツー、凄かったよ。動きが見えないくらい早いし、それに圧倒的な強さだ」

「これくらい、何でもありません。冥界には、これ以上のものがたくさんいましたから。これでも、柩に引きこもる前までは、すごく活躍してたんですよ」

「ドラ次郎は、堪え性がないですから、すぐ、特攻を仕掛けます。成り行きをみて動けば良いのですが……」

「ドラ太郎兄さんだって、堪え性ないじゃんか。あの時だって、俺より先に攻撃してたよ」

「兄達は、戦闘バカですから、私には理解できません」

「何を言ってるの? この中で一番最悪なのがドラ代だよ。ドラ代が戦闘を始めたら、誰が止めるの? 僕、やだよ。誰彼構わず、切り裂き出すから……」


 吸血鬼達の会話を聞いていると、物凄い強そうな事がわかる。こいつら、もう、冥界に返して良いんじゃないの? 病気も治っているみたいだし……


 俺は、その後、キメラの遺体を亜空間バックにしまい、この洞窟を後にするのだった。


……キメラって、この三体だけだったのか? ……


 少し腑に落ちない事もあったが、俺達は、ルアンの森の里に向かった。




◇◇◇



 ソラスの転移にも慣れたのか、ドラ代は、自分なりの落ち着き方を学んだようだ。流石、悪魔達である。立ち直るのも早い……って思っていたが、里に着くなり、いきなりサングラスをかけ、ドラ次郎はマスクを被った。


……さっきまでの君達は何処にいったの?……


 吸血鬼達は、また、前と同じに戻ってしまった。どうやら、人や獣人に慣れていないのが原因らしい。これでは、血を吸うという食事が心配だ。


 俺は、どうすれば、吸血鬼達が人慣れするのだろうか、と悩んでいた。







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