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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第4章

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第90話 ーーー巡り巡ってーーー




 翌朝、何時ものようにお弁当を作りながら、ギルド長の依頼の件やアスカの言っていた事件の事を考えていた。すると、サツキが起きてきて、


「シロウ兄、タコさんウインナー、コゲさんウインナーになってるよ」

「わぁ〜〜もったいない……でも、食べられるよね……」

「そうだ。サツキ、学校終わったら行くけど準備しておいて」

「わかった。ソラスも行くって」

「そうなんだ。それなら俺も安心だよ」

「言っとくけど、私、シロウ兄より強いんだよ。心配なのはシロウ兄の方だよ」

「はい、はい。ほら、早く着替えないと遅れるぞ」

「べっーーっだ」


 サツキも小さい頃は可愛かったのに、生意気になりやがって……

 焦げたウインナーは、エリックさんのお弁当の中に入れておこう……


 俺は、悪代官のような笑みを浮かべながらお弁当を詰め込んだ。




◇◇◇



 部活のレポートの件で話があると高志間先輩に言われ、昼食は部室で食べる事になった。スズネとシアンは飲み物を買ってから行くというので俺だけ先に部室に行くと銅嶋先輩が本を読みながらお弁当を食べていた。


「こんにちは。銅嶋先輩はいつも部室でお弁当ですか?」

「あぁーー教室だと雑念が入ってね」


 銅嶋先輩は勉強をしていたらしい。見ると参考書を読んでいた。


「そう言えば銅嶋先輩は受験なんですね」

「そろそろ本格的にやらないと、浪人はしたくないからね」

「どうして、先輩みたいな真面目な人がこの倶楽部に入ったのですか?」


「そうだねーー、今のこの世界は自由と言いながら狭くて見えない枠の中で生活しているとても閉鎖的な世界だ。ようは籠の中の鳥だね。籠の中では自由だが、それ以外は不自由極まりない感じだね。枠から外れれば白い目で見られるし、変わった奴だと言われる。でも、枠の外では、未だ解明されていない事象が沢山ある。つまり、真実は1つじゃないんだよ。だから、この倶楽部でいろいろな事を見たり、聞いたり、知ったりすると安心する自分がいるんだ。枠なんか外れたって構わない。それに枠なんてすぐ壊れてしまうものだからね。だから、僕はここにいるんだ」


 真面目で尊敬できる先輩だ……俺だったら「誘われたから〜〜」で終わってしまう……


「そうなんですか……。ところで先輩は、将来どうするつもりなんですか? 同じように、不思議を研究するのですか?」

「僕は、小さい頃から、石が好きでね。できれば、石や鉱物などを研究してみたい」

「石ですか……」

「石は、何気なくそこいらに転がっているけど、それにはとてつもなく長い歴史があるんだよ。そういうものを研究する仕事に就きたいかな」


 この先輩の感性は俺にはないものだ。話がしたい。先輩を知りたいと思い始めていた。すると、


「来たようだよ」


 先輩がまるで合図したかのように、ドアが開き女性達がガヤガヤ騒ぎながら入ってきた。

 一気に部室が華やぐが、俺は、静寂の中で銅嶋先輩の話を聞いていたかった。


「鈴風君、早いね〜〜流石、ツッコミ要員」

「高志間先輩、それ、ツッコミ関係ないですよね?」

「いやいや、そんな事ないわよ〜〜。ツッコミは、一瞬の技だよ。絶妙なタイミングでなければ、ウケないんだから〜〜。つまり、素早さが肝心。ねっ、関係あるでしょう?」


……あぁ〜〜みんなが来る前の時間が愛おしい……


「はい、はい。わかりました。で、レポートの件って何ですか?」

「それは、お弁当を食べながら話しましょう」


 高志間先輩の話は、ゴールデンウィーク中の合宿の件だった。どうやら知り合いの人が経営する旅館が格安で取れたそうだ。


「というわけで合宿に行きます」

「みんなでお泊りできるの? 楽しみだわ〜〜」


……スズネは、嬉しそうだ……


「合宿って、みんなでお酒飲んであんな事やそんな事する事?」


……あんな事、そんな事ってなんだよっ!……


「シアン、それ、違うから。みんな健全に活動してるし、確かに一部では、そういう話も聞くけど、俺達高校生だから、そんな事ありえません」


……シアンは、何を想像したのやら……


「高志間君、場所と日時は?」

「あれ、言ってませんでしたっけ……失敬、失敬。場所は、日光です。日時は、5月4、5日の一泊2日です」

「8日の日曜日に、模試があるのだが……どうしましょう」

「先輩、こうしましょう。先輩なら大丈夫です。私がついてますから!」


……意味がわからん……


「日光か……睦美が修学旅行で行ってきたばかりだなぁ」

「鈴風君、いいですよ〜〜ノリノリじゃあないですか。そのテンションで行きましょう」

「ただ、妹が昨日、修学旅行で日光から帰って来たばかりなので、思い出してただけです! 別に、テンション高くありません!」

「はい、はい。では、そういう事で」


……なんなんだ……この先輩と話してると頭がおかしくなりそうだ……


「合宿となると引率の教員が必要なのではないか? 高志間君」

「先輩、それはもう手配済みです。先程、エリック先生に打診をしましたらOKを頂きました……ふぅふん!」


……だから、なんでドヤ顔なの? 頭、大丈夫か?……


「エリックさんのお弁当のタコさんウインナーが焦げてたから、高志間先輩のと交換したのよ。それを条件に引率を強引に迫ってOKもらったんだ」


「スズネちゃん。これも作戦のうちです。そうそう、鈴風君には、この焦げたウインナーあげましょう。美味しいですよ〜〜」


……俺が作ったヤツだよ。知ってるよ!……


 巡り巡って焦げたウインナーが俺のところに戻ってきた。悪い事はできないものだ……。




◆◆◆




 放課後、予定通り、ミリエナ国に来ていた。サツキとソラスは、このまま、ルアンダ国に行くという。俺もサラマー国に行こうと思っていたが、リーナから念話が入り、急遽、冥府を訪れる事になった。


 冥府の居城の応接室でリーナが来るのを待っていると、クルミがお茶を入れて持ってきてくれた。クルミは日本での生活で紅茶の虜になり、ありとあらゆる種類の紅茶を冥府に持ち込んでいた。


「シロウ様、もうじきサリーナ様が来ると思います」

「クルミの入れてくれるお茶はいつも美味しいよね」

「ありがとうございます。今日のは、ダージリンなんですよ。セカンドフラッシュ(夏摘み)のもので、香りが良く高品質なんです」


……近い、近い、顔が近いから……


「随分、勉強したんだね」

「はい。好きなものは自然と知識も増えます」


……紅茶は美味しいけど、リーゼの事、リーナに言わないといけないよね。考えると気が重い……


 すると、リーナが入ってきた。この間、会食にいた吸血鬼達と一緒だ。


「シロウ、お待たせ」

「相変わらず、忙しそうだな」

「今は、途上。仕方がない」

「ところで何の用? 」

「そうそう、この吸血鬼達を外の世界に連れ出してほしい。出ないと、柩の中で引きこもるから」

「別に構わないけど、これから用事があって、サラマー国まで行かないと行けないんだ。それでも大丈夫? 」

「問題ない。外に出れば少しは働く」


 そこにいた吸血鬼は、この間会った背の高いイケメンのドラ太郎、小柄で可愛い感じの男子ドラ次郎、ドラ子に似てるが少し幼いドラ代だった。


「ドラ子はいいの? 」

「ドラ子は、もう引きこもってないから大丈夫」


……あいつも引きこもってたのか……


「わかった。よろしくね」


『はい』


 俺は、少しリーナと2人きりの時間を作ってもらった。リーナは、なぜかモジモジしている。


「リーナ、あのね。その〜〜」

「わかってる。子作りの件でしょう?」

「違う、違う。そうじゃなくて……」

「じゃあ、何?」


 俺は、リーナにリーゼと会ったことを話した。少し驚いていたが、きっとリーナには、感覚共有があるからわかっていてふざけたのだろう。


「そう……」


 俺は、言葉をかけられなかった。リーゼの存在がリーナの中でどれだけの意味を持つのか、知りえなかったからだ。


「シロウは、悪くない。話をしてくれてありがとう」

「うん。リーナには、隠し事できないからね」

「それと子作りの件、今日はダメ。もう少し落ち着いてからじゃないと赤ちゃんが可愛そう」

「リーナ、ふざけてる? 」

「マジだけど」


「えっーー!」


 今回は、キスだけで許してもらった。


 俺、リーナと結婚するの?




◇◇◇



 ミリエナ国に再びやってきた俺は、この吸血鬼達達をどうしようかと真剣に悩んでいた。


「何でこんなに人族が多いのですか?……ブルブル」

「ドラ太郎兄様、空がある。眩しい。広い……ブルブル」

「わ、私、帰りたい。お腹痛い。頭も痛い……ブルブル」


 何千年と柩の中で引きこもっていただけはある。人を見ただけで怯えている。

 人通りの多い通りを避け、裏通りに行くも、人に対して異常に反応する吸血鬼達は、余計、街人の注目を浴びていた。


……これ、どうすりゃいいんだ。俺、カウンセリング経験全く無いよ……


 すると、俺の背後から突然聞き慣れた口調でバカにされた。


「覗き魔の兄ちゃんだーー! また、覗いてんのかーー!」

「やーーい、やーーい。覗き魔、覗き魔ーー」


 シアさんとこの孤児院の子達だ。


「何度も言ってるけど、俺はシロウ。覗き魔じゃないよ!」

「そんなのどうだっていいだろう?」


……本当、クソ生意気なガキだ!……そうだ。シアさんなら吸血鬼達の更生のヒントをくれるかもしれない……


 俺は、子供達に連れ回されながら、怯える吸血鬼達に纏わり付かれシアさんの経営する孤児院に足を運ぶのだった。





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