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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第4章

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第87話 ーーーギルド長からの依頼はーーー





 私は、サラマー国第一王子の地位にあったものだが、現在は、この国の王として、このサラマー国を統治している。


 悪魔の騒ぎにより、この国は壊滅状態であった。私は弟の呪術にかかり寝たきりを余儀なくされていたので、その時の事は良く覚えていない。悪魔に支配された弟は、獣人の国ルアンダ国に戦争を仕掛け、両国ともとてつもない被害が出るはずだった。それを救ってくださったのが、あのシロウ殿だ。年若いのに才智に長けており、普通では成し得ないこの難局を回避してくださった。


「本当に感謝する事しかできない……」


 私の父や母は、まだ体調が完全には戻っていないが、王城を散歩できるまで回復している。それに、当時の要人達も徐々ではあるが回復してきている。


 まだまだ、この国は、完全なる状態とは、言い難いが、ルアンダ国、ミリエナ国の支援により、城下の民達も元気を取り戻して来ている。それに、私にも信頼の置ける部下が何人も増えた。シロウ殿が言っていた通りだ。


「もう一度、お会いして、この感謝の気持ちをお伝えしたいところだが……」


「ライン様、ライン様」

「な、何か用か? ニール」

「ライン様が城下を見ながらボーってしておりましたので、ついお声をかけてしまいました。ご無礼をお許し下さい」

「構わない。少し考え事をしていただけだ……」

「それは、5の月の3日に行われる三国会談の事ですか? ミリエナ国やルアンダ国にもお世話になりましたからね」

「まぁ、そんなところだ……」

「私もご同行できればよろしいのですが……」

「それはダメだ。まだ、この国は不安定な状態だ。ニールが私の留守の間、この国を守ってほしい」


 ライン王が一目を置く、ニールは、城下の平民の出だ。悪魔に襲われて荒れ果てたこの城下を人知れず民の為に尽力を尽くしていた人物をライン王子が城に招き入れた事から始まり、今では、サラマー国に無くてはならない人物になっている。


「ニール、私がニールの分までライン様のお側に控えております」

「フレンダ姉さん、いきなり話かけるのはやめて下さい」


 ニールとフレンダは、姉妹である。姉のフレンダも優秀な人物で、今は、ライン王の秘書のような仕事をしている。


「2人は仲が良くて羨ましい……私も弟とお前達のような関係であったなら、この国は、最悪な状態にならなかったのかもしれない」


「ライン様、今は、三国会談の事を考えましょう。この会談が成功すれば、さらなる援助も期待できます。まだまだ、この国には必要な物がたくさんあるのですから」


「そうだ。そうだったな。ニール……」

「はい」


「それと、ライン様の護衛の件ですが、どういたしましょうか?」

「護衛はいらない。今、私にそんな人材をかける余裕はない、と前に言ったではないか?」

「ですが、ミリエナ国までの道中や会談場所に行かれても護衛無しというのは、些か、危険ではないでしょうか?」

「フレンダがいれば十分だ」

「私も、剣の心得はありますが、不安なのです。もし、ライン様に万が一の事があったらと考えると夜も眠れません」


「もし良かったら、冒険者ギルドで有能な人物を派遣してもらったらどうでしょうか?」


「ニール。冒険者など荒くれ者が集まっているような人達です。それこそ、ライン様に失礼があったら、と考えると、また眠れなくなります」


「そうでしょうか? ライン様のお話に出てくる冒険者の方は、戦争を止めてくれたのでしょう? 冒険者が、全て 野蛮な人だとは限りません」


「そうかーー! その手があったーー!」


『ライン様、どうかなさいましたか?』


「すぐに、ミリエナ国の冒険者ギルドに書簡を送ってくれ。今、手紙を書くから〜〜」


 ライン王は、スキップして執務室まで出かけてしまった。


「あんな嬉しそうなライン様を見るの初めてだわ」

「姉さん、僕もです……」


 ライン王の書簡は、ミリエナ国の冒険者ギルドに送られたのだった。




◇◇◇




 俺は、ミリエナ国の王都に来ていた。アンリエット王女から言われたギルド長のロベルトさんに会う為だ。シアンやスズネも誘ったのだが、シアンは、ローマ聖教の用事があり、スズネは、あのエロ退魔師祖父さんの用事と重なって俺は、1人でこの世界に来ることになった。


……マイルームを経由するから時間は関係ないのに……


 シアンやスズネがいれば、あのメイド1号や2号に会っても少しは、俺に対する態度が緩和されるかもしれないという身勝手な理由で誘ったのだけど、仕方がない……


「アンリエット王女に連絡入れないと……」


『アンリエット様、アンリエット様』

『シロウ様ですか? 初めてです……』

『えっ!? 何がですか?』

『シロウ様から念話を頂けるのは……』

『はぁ……今、ミリエナ国に着きました。これからギルド長に会ってきます』

『そうですか……』

『元気がありませんが、どうかしましたか?』

『シロウ様にお会いしたいのですが、三国会談が控えておりまして自由にならないのです』

『そうでしたか……でも、それはアンリエット様しかできない仕事なのでしょうから、今は、仕方ありませんよ』

『そうなのですが……』

『私は、女性が自分のやるべき事をしている姿がキラキラ輝いて素敵に見えますよ』

『はい!私、頑張ります!ガチャ!』


……[念話終]……


 念話の切り方が、サツキみたいだ……


 でも、これであのメイド達に会わなくてすみそうだ……


 俺は、少し高揚した気分で、ギルド長に会いに行くのだった。




◇◇◇



「シロウ殿、探したぞーー」

「しばらく生家に帰っておりました」

「シロウ殿は、東国の島国の出身だったな? どおりで見つからないはずだ」


 俺は、ギルド長室でロベルトさんと話していた。メイド達と会わなくて済んだという気分の良い事があったので、その高揚感が自然と態度に出ていたらしい。ギルド長は、そんな俺を見て、


「シロウ殿、前にも言ったが、俺はそんな趣味はないからな……」

「えっ!? 何の事でしょうか?」

「いや……何でもない……」


 そういえば、前にアスカが悪戯してギルド長に抱きついた事があったっけ……

 もしかして、俺、勘違いされてる?

 話を変えなきゃ……


「ロベルトさん!」

「な、何だーー」

「今日の用事は何でしょうか?」

「ふぅ〜〜そっちか……いやいや、こちらの事だ。実は、シロウ殿に名指しで仕事の依頼がきている」

「俺を名指しでですか?」


……誰だろう?……


「そうだ。サラマー国のライン王から護衛の仕事が直接きている。5の月の3日に行われる三国会談の護衛だそうだ。シロウ殿は、ライン王を知っているのか?」


……あの王子か……王様になったんだ……


「はい。ちょっと縁がありましてお話しした程度ですが……」

「で、引き受けてくれるか?」

「別に予定もありませんし、良いですよ」

「そうか、そうかーー、断られたらどうしようかと思っていたんだ」


 王様直々の仕事を断ったらロベルトさんも立場がないのだろう。


「わかりました。いつからですか?」

「直ぐにでもサラマー国に行ってほしい。ここまでの道中の警護も仕事に入っているようだし」

「はい。では、直ぐにでも出発します」

「それと、サツキさんは、シロウ殿の妹だろう?」

「はい。そうですけど……」


……サツキ、何かしたのか?……


「サツキさんにも名指しで仕事の依頼がきているんだ。そちらはルアンダ国のモモリー様からだ。同じ三国会談の護衛の任務だ」


……そうか〜〜あのシロクマ耳っ娘、サツキに会いたがっていたからなぁ……


「わかりました。妹に伝えておきます」

「それは、仕事を引き受けてくれるって事で良いんだよな?」

「はい。多分、大丈夫です。本人に確かめてみますけど予定は俺と同じでなさそうですし……」


……あとでサツキに念話が入れておこう……


「ふぅ〜〜良かった。良かった。これで、俺の首も繋がるよ」

「えっ、この仕事の依頼の受託がそんなに大変な事だったんですか?」

「もちろんだ。ルアンダ国もサラマー国も王直々の仕事依頼なんて初めてだ。これをシロウ殿達が受けてくれなかったら、と考えただけで夜も眠れなかったぐらいなんだぞ」

「そうだったんですか……それは、ロベルトさんに苦労かけました。わかりました。護衛の任務、無事完遂致します」

「助かったぞ。シロウ殿。無事終わったら、あとで祝杯をあげよう!」

「はい。楽しみにしています」


 俺達は、護衛の任務を引き受ける事になった。サツキには、事後報告で勘弁してもらおう。


……でも、三国会談って、何するんだ?……


 俺は、この世界の政治的なものに関しては、できれば関わりたくないと思っていたので、少し不安になった。











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