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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第3章

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第77話 ーーー最悪の日を阻止せよ!(4)ーーー

いつも読んで頂いてありがとうございます。

今回は「ゴキ◯リ」が登場します。苦手な方は、読み飛ばして下さい。

 




 月曜日の朝


 ジュネーブの郊外のホテルでシアンはエリックの到着を待っていた。

 ソラスは、周辺の調査と称して空の散歩に出かけてしまった。


 突然、ドアをノックする音が聞こえた。ドアの前に誰か来たみたいだ。監視カメラで確認すると、エリックだった。


 シアンは、ドアを開けエリックを招き入れる。


「シアン、合言葉を確認しないでドアを開けるのは危険デス」

「監視カメラで確認した。問題ない」

「そうですが……それだけではダメデス。誰かが私に化けている可能性もあるのデスから……」

「妖精の眼を持つ私には、全てわかる。エリックは、過保護すぎ」

「それでもダメデス。現地諜報員のジョンまで殺されているのデス。ここも奴らの監視下にあると考えてよいでしょう。念には念を入れて下さい」

「わかった……変態エリック」

「えっ!?何か言いましたか?」

「何でもない……」


「ソラスが来たという事ですが、どこにいるのデスか?」

「今、散歩中」

「散歩デスか……では、情報を整理して、今後の対策を練りましょう」



 ◇



「という事は、この施設に直接乗り込まないといけないのデスね」

「そう、外部からは遮断されている。中は、全てアナログの世界。プログラムなど存在しない配線の設備」

「この施設に供給されている電力供給を遮断するのはどうでしょう。それなら、ハッキングしてできるのでは?」

「それだけでは、不十分。きっと、自家発電設備がある。それを破壊しない限り止められない」


 2人が話し合っている時、ソラスがやって来た。


「ここの空気は最高であります。シロウ様の世界も捨てたもんではありませんな」

「ソラス、様子はどう?」

「施設の事ですかな?その前に、水を頂けますか?喉が渇きました」


 エリックは、ミネラルウォーターをコップに注ぐ。それを、ソラスは美味しそうに飲んでいた。


「生き返りますな〜〜。それで施設周辺ですが、兵士達が監視しています」

「やはりそうデスか……」

「どれくらいの人数がいるの?」

「ざっと200人程度でしょうか……建物の中まで入れたら倍の数になると思います」


「そんなに……」


「相手は軍隊です。装備もそれなりの物を持っていると考えなければなりません……」


「外の兵士達は、私の睡眠魔法で眠らせる事は出来ますが、建物内部までは及びません。それに、内部が、細かく区分けされていたら、その都度眠らせる必要があります。面倒くさいです」


「反対勢力を動かせば、どうにかなるのでは?」

「外の兵士が抵抗している間に、ボタンを押されてしまっては、どうにもならない。秘密裏に動いた方が良いデス」


 エリックは、ある考えを思い立ったようだ。


「外がどうにかなるのでしたら、あとは私がやりましょう。自家発電設備を破壊してしまえば、起動できないのデスから……」


「私も行くわっ!」

「シアンには、通常の電力供給のシャットダウンをお願いします。これは、シアンにしかできない事デスから」

「……わかった」


「シアンさん、そんなに心配しなくても大丈夫であります。私がついているのですから」


「そうね……ソラス、お願いね」


「かしこまりました」


 決行は、今夜の予定だ。世界の命運は、この2人と1魔にかかっていた。




 ◇◇◇




 俺は、学校に行き、後ろの席の大輝の動向を監視していた。スズネも協力してくれている。


 まず家だが、エリックさんの情報では、この学校から一駅先のところにあり、大輝は電車を利用せず、自転車で通っていた。バスケ部に所属しており、部活が終わるのは、だいたい6時ごろだ。それから家に帰る。


 今日一日、大輝を監視、行動を覚え、明日、火曜日の部活が終わる頃に入れ替わろうとしていた。大輝は、リーナの家に寝かせておけば安心だ。アザゼルに近寄る物好きな悪魔はいないだろう。


「シロウ、シアンちゃん休みなのか〜〜何か聞いてるか?」

「いや、何も……」

「お前、絶対、後悔するぞ。あんな美人な留学生、他にいないぞ!おまけに頭もいいし、みんな狙ってるんだからな」

「そうなのか?」

「そうなのかじゃねーーぞ!も、もしかして、お前、あっちの方か?俺は、ノンケだからな。先に言っておくぞ!」

「ばっ馬鹿な事言うな!俺だってそうだ!」

「良かった〜〜安心したよ。今日は、シロウが俺を熱く見つめてくるんで焦ってたんだぜ!」

「いや、面白い顔してるなぁ〜〜と思って見てただけだ」

「何だとーー!この女ったらしめ!」


 大輝は、以外に感が鋭いらしい……


 今日一日、大輝を見ていて、わかった事がある。こいつは良い奴だ。

 だから、あんな事になってはいけないんだ……俺は、そう思っていた。




 ◇◇◇



 月曜日の夜、エリック達は行動に出た。

 ソラスの転移魔法でエリックとソラスは施設側の林の中にいた。施設を見渡せるところに監視カメラを備え付け、シアンに見えるようにしておく。


 シアンはホテルで周辺の電力供給のハッキングをしている。


 午後9時。


 予定通り、シアンがその施設周辺の電力供給をシャットダウンさせた。

 一瞬、施設は、真っ暗になったが、すぐに回復した。やはり自家発電施設があるらしい。


 ソラスは、空から、羽毛ショットを放った。舞い落ちる不毛が雪のようで、とても綺麗だ。


 外にいる兵士達は、殆どが寝てしまった。しかし、その異変に建物内部にいた兵士がすぐ気づき、警戒態勢に入った。


「さすが軍ですね……隙はないですか……では、作れば良いだけの事デス」


 エリックは、時限装置の爆弾を仕込んだ人形を操り、エリックとは反対側の草原で爆発させた。


「冥福を祈ります……あぁ〜〜マイドール、ルミちゃん……」


 エリックは胸元で十字を切り祈り出した。


 エリックは、兵士達が、爆発の方に注意している間に、反対側から、施設内部に潜入する。途中で、ソラスと合流もできた。


 ソラスの気配隠蔽のお陰で、スムーズに、入り込めたが、兵士の数が思ったより多かった。それに、以外と大きな設備だ。地上より地下がメインらしい。


 地下奥深くまで、繋がっている。


「少し、厄介な場所デスね……」


 地下の施設は、逃げ道が限られている。そこを抑えられたら脱出は困難だ。


 兵士達が行き交う通路をソラスの隠蔽能力で相手をかわしながら奥に進んだ。エレベーターの前で、エリックはそれに乗る事を躊躇した。


「どこかに階段があるはずです。そこから行きましょう」


 エレベーターのような密室では、身動きが取れない。そんな単純な理由だったが、それは、正解だった。上に上がって来たエレベーターの中に、国連事務総長アレグロ・カターシアが乗っていたからだ。エリックがエレベーターに乗っていたら、悪魔ハルファスに感づかれていただろう。


 悪魔ハルファス事、国連事務総長は、迎えの車に乗りどこかに行ってしまった。


 非常階段を見つけ降りて行ったエリックが見たものは、整然と並んだ核ミサイルだった。


 5機程あるが、起動できるのは3機みたいだ。まだ、整備が済んでいない。


「ホーホーこれがカクカクミサイルでありますか?」

「これが、発射されたら、世界は大変な事になります……」


 作業員達が忙しそうに仕事をしている。地下は、最新機器で埋め尽くされていた。


「シアンがアナログだけの施設と言ってたのは間違いのようデスね……」


 ここだけ、完全独立の施設みたいだ。どっちみち外からのハッキングは不可能だった。


「ここは、特撮の秘密基地に近いデスね……スイスにこんなものがあるなんて…」


 エリックは、電力供給施設を探したが、この地下には見当たらない。


「どういう事デスか……もしかして、電力供給施設だけ独立してるのデスか?」




 ◇



 エリックが林の中の取り付けた監視カメラからシアンは施設の様子を見ていた。施設の明かりはまだついている。


 おかしい……そろそろエリックが自家発電施設を破壊しても良い頃だ……

 もしかして、エリックの身に……ソラスがついてるから大丈夫か……

 すると、施設から、誰か出てきて車に乗り込んだ。監視カメラを拡大して

 覗き込むと……アレグロ・カターシアだ……ここに来てたの?


 シアンは不安になった。


 シアンは、小型の無線機でエリックに連絡を取った。しかし、電波が届かないのか繋がらない。


 これは……もしかすると……


 シアンは、施設周辺をマップで確認した。すると、施設の側に小さな建設物がある。


 発電施設は、別にあるんだわ……


 シアンは、荷物を抱え部屋を飛び出した。



 シアンは、止めてあったバイクを拝借して現地に向かった。ここからだと、急いでも1時間はかかる。

 シアンは、アクセル全開でバイクを走らせていた。


 その頃、エリックは、この施設内に自家発電施設がない事に気づき、少しでも核ミサイルの発射を防ごうと、思案していた。悪戯に電力関係をいじれば、どのような事態を招くか予想ができないので、格納庫から発射台までの移動システムを破壊しようと思っていた。


 すると、ソラスが……


「もし、お困りでしたらお手伝い致しましょうか?」

「そうデスね。お願いします」

「わかりました。私の配下の者にやらせましょう。来たれ!我が11番目の配下。その名も『G』たちよ!」


 ソラスの掛け声で、どこそこから『G』が溢れ出す。もう数を数えられない程だ。


「ソラス……こ、これは……」

「我が配下『G』であります。生命力溢れたかわいい者達です。黒光りする羽根が何とも優雅ではありませんか〜〜」


 ソラスは、その光景にうっとりしていた。エリックは、吐き気が込み上げてきた。


『G』達は、あっという間に作業場を埋め尽くし、階段を登り司令室まで達していた。人々の悲鳴があちこちから聞こえてくる。『G』達の数がどんどん増え、膝下あたりまで埋め尽くされている。しかし、エリックの周りだけ近寄って来ない。きっと、ソラスが肩に乗っているお陰だと思う。


 我先に逃げようとする作業員達に容赦なく『G』は群がる。作業員達は人の形をした黒い物体へと変化していた。


 施設内を埋め尽くした『G』は、施設外にも溢れ出した。逃げ遅れた、作業員や兵士達は、無残にも気絶している。


 その頃、シアンは、施設近くまで来ていた。施設を見ると、黒く見える。

 バイクで走っている道の先も黒いものがこちらに向かって来ていた。


「何、あれ?」


 シアンは、バイクを停め、妖精の眼でその黒い物体を確かめる。すると……


「キャーー!『G』だわーー!それも、たくさんの……」


 シアンは、バイクを反転させ、来た道を戻り出す。迫り来る『G』のスピードもかなりの速さだ。


「やだ、やだ、気持ち悪い〜〜!」


 シアンは、一目散に逃げるのだった……



 施設内のエリック達は、


「ソラス、こ、このくらいで大丈夫だと思います……」

「そうでありますか? まだまだ『G』達も遊びたりない様子ですが、仕方ありませんね。『G』達よ。よくやった。あとで褒美を与えましょう」


『G』達は、動きを止め、ソラスを見つめている。そして、どことなくその場から消えていった。


 施設内は無人状態だ。虚しく機械音だけがこだましている。それと、エリックの生理現象の音だけが……


 シアンは、無我夢中で逃げていたが、急に『G』の気配が消えた。恐る恐る振り返ると、そこには、黒い物体がなくなっている。


 ……もしかして、ソラスの配下?……


 シアンは、また、引き返し施設へと向かい始めた。


 エリックは、稼働システムを破壊して、すぐには復旧できないようにした。

 そして、急いで施設内を出ると、ちょうどシアンと出会った。


「シアン、来たのデスか? ここは危険です」

「そうね〜〜どんな場所より危険だわ……」


 もちろんシアンは『G』の事を言ったつもりだが、エリックは、核ミサイルの事だと勘違いしていた。


「シアン、自家発電施設は、別のところにあるみたいデス」

「やはりそうなの……そう思ってここに来たの。場所はわかってるわ」

「では、行きましょう」


 おちこちで兵士達が気絶していた。よく見ると、残った『G』が、兵士の服やら口の中から出て来たりしていた……




 ◇




 自家発電施設は、あの施設から1キロ離れた場所にあった。エリックは、人がいない事を確認して、持っていた爆薬でその施設を破壊した。


「これで、復旧までには相当の時間がかかるでしょう」

「あとは、地元の関係者に任せましょう」

「でも、さっきのアレは何だったの?」

「アレというとアレデスか? アレは、ソラスの配下だそうデス」

「やはりね〜〜ソラスだけは敵にまわしたくないわ」

「同感デス……」


「何か言いましたか〜〜?」


 ソラスは、空の散歩を楽しんでいた。その後、エリック達は、転移して日本に戻った。



 ◇◇◇



『朝、7時のニュースです。スイスのジュネーブで冷戦時代に製造された核ミサイルが発見されました。関係当局は、この核兵器でクーデターを画策していた軍関係者を拘束しました。また、国連事務総長のアレグロ・カターシア氏が国連事務局で死亡しているのが確認されました。今回のクーデターとの関係を調べています……』


「これで、核の脅威は、ひとまず大丈夫でしょう」

「これも、みんなのお陰だよ。ありがとう」

「シロウ様、礼など及びません。私達は、当たり前の事をしたのですから……」


 ……ドラ子、そう言いながらお弁当のおかず、食べるのやめてね……


「あとは、ハルファスだけだ」

「私も気配を消してついていきます」

「ありがとう、ドラ子」


 ……だから、おかず摘むなって……なくなるだろう……


 今日は、ハルファスが大輝と接触する日だ。


 あいつだけは許さない……俺は、卵焼きを食べながらそう思っていた。







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