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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第3章

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第76話 ーーー最悪の日を阻止せよ!(3)ーーー

 




 大丼田 海士に、変装している俺は、土曜出社で、朝の通勤電車に揺られていた。ドラ子、ソラスは気配を消して、ビル屋上に待機してもらっている。


 電車内は、ほぼ満員だ。息をするにも苦しい……


 すると、『キャッ!』と、悲鳴のような声がした。俺のすぐ後ろからだ。雰囲気からすると、女子大生のようだ。まだ、都会に慣れていない感じがする。


『やめて……』


 小さな聞こえないような声だった。俺は、もしかしたら、と思い後ろの様子を伺うと、30代後半ぐらいの男性がしきりに手を動かしていた。


 俺は、少し、体制を変え、その男性の手を掴んだ。


「次の駅で降りてもらいますよ。理由はわかりますよね」


 少し、威圧的に言うと、男は騒ぎ出した。


「何だ!君は〜〜俺が何をしたって言うんだ!」


 その大きな声に、電車内は騒然とする。そして、


「君!その手を放してくれ。いい加減にしないと訴えるぞ!」

「訴えられて困るのは、誰でしょう?あんたの手には、その女の人の服の繊維やもしかしたら体液もついてるはずでしょう?身の潔白を証明したいのならきちんと鑑定してもらいましょう」


 駅に着くと、俺は、その男を駅員に渡した。その女の人も証言している。すると、その男は、駅員を振り払い逃げようとした。線路に飛び降りようとしたところをまた、捕まえた。もう、言い逃れもできないだろう……


 警察が来て、いろいろ聞かれたが、経緯を話し解放された。もう、1時間経っている。


「マズい……遅刻だ!」


 俺は、駅のトイレからドアを開き会社のトイレに移動した。


「大丼田君、大変な目にあったね」

「痴漢捕まえたんですって〜〜」


 会社に連絡を入れといて正解だった。怒られずに済みそうだ……


「大丼田さん、頼んでおいたケーキ持ってきてくれた?」


 OLさんが、訳のわからない事を言った。


「えっ!?ケーキって?」

「やだ〜〜忘れたの?今日、社長の誕生日だから、大丼田さんがケーキ買ってくるって言ってたじゃない」


 そういう事か……もちろん、そんなものは買っていない……


「すっかり忘れてたよ。すぐ、買ってくるから〜〜」


 俺は、そのまま会社を飛び出しケーキを買いに近くの洋菓子店に行った。そして、ケーキを買って戻ってみると、みんなの雰囲気が少し違う事に気づいた。


 ……もしかして、もう、操られてしまったのか……


 俺は、ケーキを取り分ける為の包丁を持ちながら、みんなの動向を見ていた。みんな、虚な目をしている。そして、俺の前に、あの社長が来た。

 社長は、目を見開いて俺をみる。多分、これが、精神魔法をかけているのだと気づき、かかったフリをした。社長の手首には、あの腕輪があった。


 ……マンモンだ!……


 社長に扮したマンモンは屋上に上がろうとしていた。それを俺は、亜空間から取り出した聖剣エクスカリバーで、その腕輪を破壊した。


 すると、一気に社長の魔力が散開した。これでドラ子やソラスも気づくだろう。


『お、お前、何者だ!』

「生憎だったな、マンモン」

『私の名前を知っているという事は、冥界のものか?』

「ハズレーー!冥界の者は聖剣を持たないよ」


 俺は、マンモンに剣を振るったが、すんでのところで避けられてしまった。


『面倒な奴め!』


 マンモンに操られた社員達が、俺を取り囲む。このままだと、前回と同じ結末が……


 ところが、


「ソラスーー!頼むーー!」


「わかりました。我が睡眠の餌食となれ、大回転羽毛ショット!」


 ソラスの羽毛が会社内を覆う。睡眠魔法で、社員達は寝てしまった。


『ソラスだとーー!』


 マンモンは、転移しようとしたが、それをドラ子が捕まえた。


『ドラ子までいたのか……』


 ドラ子の拘束魔法でマンモンを縛り付ける。上級悪魔でも、幹部であるドラ子の魔法は解けないだろう。


 俺は、ドア2を開きマンモンを押し込んだ。ここからは逃げられない。

 あとで、冥界に連れて行って、正当な裁きを受けさせてやる!


 ……良かった……今度は、みんなを救えた……


 俺の目には涙が溢れていた。




 ◇◇◇



 眠りこけた社員達に、ソラスが治療魔法をかけ、精神支配を解いた。あと数時間で目を覚ますだろうと言っていた。


 俺達は、ドアを開き、リーナの家に戻る。すると、そこにはアザゼルがビールを飲んでいた。近くには、ボロボロの爺さんが気を失っている。


「あら〜〜ん、早かったのね〜〜」

「アザゼル、その爺さんは?」

「アガレスよ。少し痛めつけちゃったわ」


 ……どおりでボロボロのはずだ……


 俺は、ドラ子に頼んでアガレスを拘束してもらいマンモンと一緒のドア2に押し込んだ。あとは、サキュバスとあのハルファスだけだ。




 ◇◇◇



 その日の夜、俺はスキル、ディスガイズでシアンに化けていた。気配を消してドラ子もついて来ている。

 アスカには、新宿の歓楽街に行ってもらいここまで、戻って来てもらう約束だ。


 シアンに扮した俺とクルミは、両手に買い物袋を抱えて、道を歩いていると、不良らしき者達が絡んできたが、クルミが、一撃で倒してしまった。


 すると、アスカが戻って来た。


 その後に続いて、空間からサキュバスが現れた。


「あっ!サキュバスさん」


 ……こいつがサキュバスか……色っぽいお姉さんって感じだ……


「クルミだったの?誰かと思ったわ。何でここにいるの?サリーナのとこにいたんじゃないの?」

「サキュバスさんこそ、何でこの世界に来てるんですか?冥界に戻りましょうよ」

「だって、あそこ、つまんないじゃない〜〜。サリーナは、雑魚まで庇うし〜〜」

「冥界を安定させる為です」

「安定って、私達悪魔なのよ〜〜、そんな事されてもつまらないわ〜〜」

「そんな事ありません。とても立派な事だと思います」

「あんたは、サリーナの腰巾着だもんねーー、同情するわ〜〜」

「サリーナ様への侮辱は許しません!」

「私とやるっていうの?」

「お望みなら……」

「面白いわ〜〜でも、今日はやめとくわ。面白そうな幽霊の後をつけて来ただけだから……あんた達の仲間って訳ね」

「そうです。アスカちゃんに手出ししたら私が許しません」

「鬼っ娘のクルミも言うようになったわね〜〜面白いわ〜〜ひとつだけいい事教えてあげる。この世界、後6日で滅びるわよ。私と来た奴らが息巻いてたから……それじゃあね〜〜」


『ちょっと、待って!』


「何よ〜〜人間!」


 シアンに扮した俺はサキュバスに話しかける。このまま転移されたら意味がない。


「あんたには用があるんだよ!」

「人間のくせに偉そうな奴ね。私に喧嘩売ってるの?」

「喧嘩じゃなくて、あんたを一方的に罰してあげるよ」

「生意気な小娘ねーー!いいわ。相手になってあげる」


 すると、気配を消していたドラ子が現れ、拘束魔法でサキュバスを縛り上げた。


「な、何するのよ〜〜ドラ子じゃない。どこにいたのよ〜〜」

「サキュバス、貴女はサリーナ様の契約者であるシロウ様の世界を滅茶苦茶にしようとしています。これは、極刑に値します……」


 ドラ子の冷たい声がどんな意味を持つのかサキュバスにも理解できたようだ。


「待って、待って!私は、この世界に来れば好きにさせてくれるって、マンモンが言ったのよ。私は、魔力を貸しただけなんだから〜〜離してよ〜〜」


「言い訳は見苦しいですね」


 ……こういう時のドラ子は、迫力がある……


「本当なの、本当なのよ〜〜私は、悪くないわ。ただ、虫ケラを殺しただけじゃない。私だって、魔力の補充をしなければ、消滅してしまうわ。同じ冥界の仲間でしょう?助けてよ〜〜」


「それは、サリーナ様の前で言いなさい。サリーナ様の黒炎が判断してくれるでしょう……」


 その言葉の意味を悟ったサキュバスは、大人しくなった。そして、俺はドア2を開き、サキュバスを押し込んだ。


 あとは、ハルファスだけだ……




 ◇◇◇



 国連本部の潜り込んでいたエリックは、国連事務総長のアレグロ・カターシアが留守の間に、部屋に潜り込んだ。デスクの上の天井に隠しカメラを配備する。


 もし、悪魔なら魔力を感知されてしまう。現代技術で対抗しようと思っていた。


「これで、大丈夫なはずデス。あとは、シアン頼みますよ……」


 エリックは、部屋を出て人込みの中に紛れた。


 シアンは、エリックから連絡を受け、その監視カメラを注視していた。すると


「来た〜〜アレグロ・カターシアだ……」


 事務総長は、デスクに座り持ち込んだノートパソコンを開いた。どうやら、メールをチェックしているらしい。その中に、スイス国軍の兵士からのメールを熱心に見ていた。


 そして、パスを入力してあるプログラムを開いた。どうやら銀行系のサイトみたいだ。数字を入力して、エンターキーを押した。資金を振り込んだらしい。シアンは、そのパスを確認した『a2929114e』……

 このパスが通れば、あの奥に進める……シアンはそう思っていた。


 事務総長は、それから、数回の連絡をして、部屋を出て行った。その手には、腕輪があった……。



 シアンは、前にハッキングして開いた場所までたどり着く。そして、パスを入力した。


「でた……」


 そこには、スイス軍が保有している核ミサイルの場所と、兵士達のリストがズラリと並んでいた。


「これで、尻尾を掴んだ……あとは、反対勢力に情報を流せば……」


 その時、ホテルのドアがノックされた。こんな、時間に誰か来るのはおかしい。

 シアンは、すぐにホテルの監視カメラをハッキングして、通路のカメラを覗く。

 そこには、若い兵士3人がドアの前にいた。手には、拳銃を持っている。


「バレた? 情報が漏れたの?」


 シアンは、荷物をまとめ窓際に行こうとした。手に持っていたお気に入りのペンが床に落ちる。すると……


 シアンが、背後の花瓶が割れた。


「狙撃だ……」


 床に伏せながら逃げ道を模索していた。ドアには、兵士が、窓には狙撃兵が狙っっている。逃げ道はない……。


 狙撃が合図だったのか、ドアから兵士が流れ込んできた。手には、拳銃を構えている。

 シアンは、兵士達に向かって風魔法を放った。兵士達はいきなりの暴風に戸惑っている。先程の狙撃で窓ガラスにヒビが入っていたのか、窓が割れる。ここは13階だ。でも、シアンは躊躇することなく、その窓から飛び降りた。狙撃兵も一瞬の事で目で追えなかったみたいだ。ビルから落下するシアンは、地面に直撃する手間えで、風魔法を放つ。すると、落下スピードが落ち、地面に叩きつけつけられる事なく着地出来た。シアンは、夜の街の人混みに紛れた。


 翌日、スイス首都ベルンのアーレ川に1人の男の死体が浮かんでいた。ローマ聖教現地諜報員のジョンだった……。




 ◇◇◇




「シアンからさっき念話があって、現地諜報員の人が殺されたらしんだ」

「そうですか……人間は、悪知恵が働きますから厄介ですよね」


 ドラ子は、悪魔より人間の方がタチが悪いと思っていた……。


「私が応援に行こうかしら〜〜ん」

「アザゼルが行ったら、街が無くなっちゃうよ」

「あらん、酷いわね〜〜、シロウちゃんは〜〜」


「では、私が参りましょう。少し、空を飛び回りたいと思っていたものですから」

「ソラス、お願いしても良い?」

「もちろんであります。サツキ様に会えないのは寂しいですが……ホーホケキョ!」


 ……どんなけ、サツキの事、好きなんだ……


 俺は、全マップ探索でシアンの場所を確認し、ソラスに伝えた。ソラスは転移して、その場所に向かった。



 ◇◇◇



 シアンは、町外れのレストランにいた。無性にステーキが食べたくなったみたいだ。食事を終えて、外に出ると、ソラスが空から降りてシアンの肩に止まった。


「シロウ様に言われて来ました。ここは、空気が美味しいですね」

「ソラス……ありがとう」

「お礼を言われるまでもありません。それで、これから、どうするのですか?」

「ジュネーブ郊外に、今は使われていない施設がある。1950年代のもので全てアナログの建物。私のハッキングは、意味がない。だから、そこに行こうと思う」

「そこには、何があるのですか?」

「核ミサイル……3機、保存されているらしい……」

「そのカクカクミサイルとは何ですか?」

「人類が発明した偉大で最高に愚かなもの。これが、発射されると数万人の命が消える」


「ほぉ〜〜興味がありますなぁ〜〜私とどちらが強いでしょうか?」

「比べる対象が違うから答えが出せない。でも、どちらもすごい物としか今は言えない」

「わかりました。では、その場所に行きましょう」


 シアンとソラスは、その施設まで、転移魔法で向かうのだった。







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