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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第3章

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第75話 ーーー最悪の日を阻止せよ!(2)ーーー

 




「シロウ、学校休んで何してたの?」


 この日の夜、俺は三季姉の前で正座させられていた。


「ちょっと、野暮用で……」

「野暮用って何? 学校より大事な事なの?」


 ……世界が滅ぶ事より大事な事ってある?……


「まぁ〜〜その〜〜」

「シロウ、どうしちゃったの?可愛い女の子ばかり側にいるからって、リア充気取りなの? 学校でも噂になってるのよ。三季の弟は、美人の女の子両手に(はべ)らせて、良い気になってるってーー!」


 ……誰だ!そんな事言っている奴はーー!俺の気も知らないで〜〜……


「三季姉、シロウ兄にもきっといろいろあるんだよ」


 ……サツキ、いろいろって何だよ……


「シロウも高校生だから、いろいろあるのは理解できるけど、学校休むのと女の子泣かすのは勘弁しないからね!」

「はい……」


 俺にどうしろっていうんだ。でも、明日も大丼田さんにならないと、あのビルの飛び降り事件を防げないかもしれない……困った……




 ◇◇◇




 次の日(金曜日)快晴


 前の時間軸だと、今日の放課後、アンリエット王女を迎えに行った日だ。

 そして、明日は、みんなでアキバに行って、ペルーで地震が起こり、ビルから東内木コンサルタントの社員達が飛び降りた日だ。


 俺は、学校に行くふりをして、今日も大丼田 海士のフリを演じ会社に向かった。会社に行く途中、俺の肩を叩いた人がいた。誰だか良く分からなかったが、その頭で思い出した。


「やぁ〜〜大丼田君、おはよう。清々しい朝だね〜〜」


 ……清々しいのは、おっさんの頭だと思うけど……


「はぁ、おはようございます」

「君のお陰でね〜〜やっと勇気が持てたよ〜〜。これだと、飲み屋の女の子のウケも良くてね〜〜あんな物つけてた自分が小さく見えるよ。ワーハハハ」


 おっさんの頭は、日の光を浴びて輝いていた。溢れる笑みがさらに輝きを増幅させている。


「今度、馴染みの店に飲みに行こう!大丼田君!」


 おっさんは、俺の肩を強めに2回叩いて先に行ってしまった。


 ……結構、痛いんですけどーー絶対、根にもってるぞ、あの、おっさん……


 俺は、昨日から株の本を買い勉強していた。あのグラフみたいなのはチャートと言うらしい。それに、点滅する金額をクリックして購入か売るかすれば良いのだというところまでは理解した。


 あとは、会社の方針で買い続ければ問題ないだろう。多分……


 今日は、アスカを連れて来ていない。もし、マンモンが来れば、すぐに気づかれてしまうからだ。それに、マンモンに食べられでもしたら、可哀想だし……。


 午前中の取引が終わる頃、会社内がざわつき始めた。どうやら、社長、東内木 慎一郎が出張から帰って来たらしい。ワンフロアー内に社長室があるので、ここからでも立って覗き込めば見える距離にある。だが、相手が相手だ。俺は、パソコンとにらめっっこしながら動向を探っていた。すると、ドラ子が……


「魂が随分、穢れていますが、マンモンではないようです。腕輪も見当たらないようですし……」

「そうか……」


 まだ、マンモンと接触していないのかもしれない。


 昼休み、ドラ子と一緒に近くの公園でお弁当を食べていた。すると、前の日の朝、俺に話しかけて来たあの美人のOLがやって来て……


海士(かいし)、どういうつもりなの? 昨日から、その子とイチャイチャして、私と別れるつもりなの?」


 大丼田(だいどんでん)君はこの美人OLとお付き合いしているようだ……


「違うよ。宮結木(きゅうけつき)さんには、仕事の事を教えていただけだよ」

「本当に〜〜それだけ……連絡もメールもくれないじゃない!」

「携帯壊れてしまったんだ。今、修理に出しているんだよ」

「信じていいの?」

「もちろんだよ……」

「じゃあ、ここでキスして!この子の目の前で」

「えっーー!?」


 ……これは、困った。いくら世界を救う為とはいえ、恋人達の仲を壊すつもりはないが、こんなとこでキス出来るわけもない……


 すると、ドラ子が……


「貴女、嘘を付いてますね。貴女の身体からは、いろんな男の匂いがします。そんな方が、大丼田さん1人にこだわる理由がわかりません」


「えっーー!?」


 ……そうなの? これって、どういう状況?……


「あんた何様!何でそんな嘘つくの?」

「私は、嘘はつきません。悪魔ですから……」

「あんた、頭沸いてんじゃないの? もう、いいわっ!」


 そのOLは、そそくさと行ってしまった。


 ……えーーっ!なになに、どうなったのこれ?……


 俺が、呆けた顔をしてたので、ドラ子は


「女は、顔じゃありません。魂の穢れで見極める事をお勧めします」


 ……ドラ子さん、魂の穢れなんて、普通、わかんないから……


 これは、大丼田君に良かったのか、悪かったのか、俺は、考えるのをやめた。



 午後、東内木社長は昼食に出たきり戻ってこなかった。明日も出社して欲しいと連絡が入ったきりだそうだ。

 もしかしたら、マンモンと接触した可能性がある。俺とドラ子は、適当に仕事をして、その日を過ごした。それでも、今日の売り上げは、ドラ子が一番だった。


 どういう事?




 ◇◇◇



 スイスに潜入しているエリックは、国連事務総長アレグロ・カターシアのパスを入手しようと奔走していた。国連事務員になりすまして、国連内部に入り込んでいた。

 一方、シアンは、ホテルでパソコンから、様々な情報を集め検証していた。

 どう考えても、アレグロ・カターシアの資金の流れがおかしかった。東内木投資コンサルタントにも資金提供がなされている。


「この莫大な入金額は異常だ」


 シアンは、アレグロ・カターシアに資金を渡したある人物を特定していた。

 それは、L・PHONEを手がけたステーリン・チャプスだった。


「シロウに、連絡を入れておこう」


『シロウ、シロウ。聞こえる?』

『シアン、聞こえるよ。どうしたの?』

『L・PHONEのステーリン・チャプスが関わってるみたい。東内木投資コンサルタントに間接的に資金援助がなされている』

『それって、吸血鬼のバンピーゼだよね』

『そう、一応、シロウの耳に入れておく』

『わかった。ありがとう、シアン』

『私は、当たり前の事をしてるだけ』

 ……[念話終]……


「ドラ子、今、シアンからの念話でバンピーゼが関わってるかもって話があったけど、どう思う?」

「バンピーゼですか〜〜そうですね〜〜、モグモグ」

「どんな吸血鬼なの?バンピーゼって……」

「やんちゃ坊主だったけど、すごい怖がりで、昔、寝る前に怖い話をしたらトイレ行けなくて、オシッコ(ひつぎ)の中に漏らしちゃったんですよ。モグモグ」

「そうなると、積極的に関わってる感じじゃなさそうだけど……もしかして脅されたのか?」

「その可能性はあります。昔から臆病で優柔不断だけど、頑固な性格ですし、どことなくシロウ様に似てる気がします。モグモグ……」


 ……臆病の優柔不断で悪かったな!……


「ところで、ドラ子、何食べてるの?」

「これですか? これは、冥界にいるゴブリンのモツです。これが、なかなか噛み切れなくて……味は美味しいんですけど……シロウ様も食べますか?」

「遠慮します!」

「そうですか……美味しいのに……モグモグ」


 ……そんなゲテモノ食べれるわけないだろう!……


 ドラ子と一緒に帰りながら、そう話していたけど、今夜はモツ鍋にしようかと俺は思っていた。




 ◇◇◇



『エリック、ちょっと妙な話を聞いたんだが……』


 スイスの現地諜報員のジョンは、唐突にそう電話をかけてきた。


「何でしょう?」

『この国に徴兵制があるのは知ってると思うが、若い兵士達に不穏な動きがある』

「どういう事デスか?」


『スイス軍の最高指揮官は、大統領だが、実質権限は首相にある。現、首相のスミスは、スイス国民党の出身だ。だが、社会民主党のマラベスが次期選挙で第1党を目指し、叔父にあたる連邦参事会のマイヤー氏を通じて国軍に働きかけているらしい。つまり、若い将校達を手玉に取って票を獲得しようとしてるって事だな。でも、そこに、大量の資金が流れ込んでいる。それを援助してるのが、国連事務総長のアレグロ・カターシアだ』


「そうデスか……。これで、アレグロ氏と繋がりました……」

『エリック、目をつけていたのか?』

「はい。今、国連本部に潜入しています。資金の流れに不透明なところがありましたので……」

『そうだったのか……実は、もうひとつ重要な事がわかった』

「何でしょうか?」

『その若い将校達が、クーデターを引き起こすんじゃないかという噂だ』

「なっ、このスイスでデスか?」

『あぁ……このスイスでだ……エリック、気をつけろ!国連本部にもきっと手先がいるぞ!』

「はい。十分注意して行動してますから……」

『また、何かわかったら連絡する』

「はい。お願いします」


 シロウが言ったように、事態は深刻なようデス……




 ◇◇◇



 俺は夕飯のおかずをクルミと一緒に作っていた。もちろんモツ鍋だ。

 味噌とニラの良い匂いが食欲をそそる。


「そういえば、アザゼル1魔で大丈夫かな?」

「結構優雅にやっている様子でありますよ。ホー、ホケキョ」

「それならいいけど……」


 ……アザゼルが一番不安なんだよね〜〜俺が付いていくわけにもいかないし……


「アザゼルは、慎重派でありますから派手な事はしないでしょう」


 ……存在事態、派手だけど……


「ソラス、明日、悪いんだけど、東内木投資コンサルタントのビルの屋上で、待機していて欲しいんだ。もし、マンモンに操られた人間がいたら眠らせて欲しいのだけど……」

「わかりました。このソラス、このモツにかけてゴミ虫どもを眠らせて見せましょう。ホーホー、ふぅ〜〜ふぅ〜〜ケキョ」


 ……モツ鍋がそんなに美味かったのか? 熱いのはわかるけど……


 俺やドラ子には、精神支配魔法は効かない。内部の者が、上手く誘導できればあの飛び降り事件は起きなくて済む。


「私、マンモンに顔バレしてますし、気配を消してソラスと待機してますね」


「そうだよね。ドラ子は、冥府の幹部だし……俺だけ潜入してるよ。それと、クルミはサツキと睦美を連れてアキバに行って欲しいんだ。睦美のゲームを買わなきゃいけないけど、アキバにいないとマンモンが姿を現さない可能性もあるから」


「わかりました。精一杯、買い物させて頂きます」


 ……クルミさん、ちょっと思考がズレてますよ……




 ◇◇◇




 そして、土曜日


 アザゼルは、ペルーの海岸沖の上空にいた。小さな漁船にアガレスの反応があったからだ。


「あの爺さん、人使ってこんな沖まで出ていかなくてもよいのに〜〜、ほんといけ好かない老害ジジイだわん」


 アガレスは、漁船の人を操ってペルー沖に出ているようだ。その魔力を検知したのである。


 アザゼルは、その漁船に降りる。もう、気配も消していない。


「ほぉ〜ほぉ〜アザゼルじゃな……」

「そうよん。何してんの〜〜こんなとこで」

「儂の魔力回復の為に、少し力を使おうと思ってのう〜〜どうじゃ。アザゼルも手伝わんか?」

「イヤよ〜〜面倒くさいわ〜〜」

「お主もいずれ天界に戻るつもりなのじゃろう?儂も何時迄も冥界にいるわけにはいかんのじゃ〜〜。ほれっ、天界が儂を必要としておるのじゃしなぁ〜〜」

「いつの話よ〜〜。とっくに天界は代替わりしてるわよ〜〜。あんたが行っても厄介者が増えるだけよ〜〜」

「それは、儂の力を知らん若者が増えたからじゃあ、儂の力は、天界随一じゃったものだ……」

「あんたは、もう歳なんだから、徘徊ジジイが増えるだけじゃない?それに、頭も古くて役に立たないわよ〜〜ん。そろそろ自分を知ったら?この老害!」


「何お〜〜儂を老害というか!このひよっこが!」

「何よ〜〜この徘徊痴呆老害ジジイが!」


 2魔の魔力が跳ね上がった。それだけで、漁船は沈み、震度3程の地震が起きる。海面が盛り上がり、海の中から大きなイカとタコが現れた。


「どうじゃあ。アザゼルよ。儂の使い魔は〜〜恐怖で言葉も出まい〜〜おぉほほ」

「呆れて言葉を失ってたのよ〜〜ん。イカもタコも随分、歳みたいじゃないの〜〜腰、曲がってるし……」

「まだ、わからんのか〜〜こやつらは、歳をとればとるほど元気になるのじゃあおぉほほほ」

「あんたの頭の中が怖いわよ。とうとう、脳ミソが縮んだのね。お気の毒だわん」


「アザゼルよ覚悟せよ!やってしまいなさい。イカさん、タコさん」


 巨大イカと巨大ダコがアザゼルに襲いかかる。アザゼルは、面倒くさいのか動こうとしない。イカさん、タコさんの触手がアザゼルの身体に巻き付き動きを封じた。


「おぉほほほ、どうじゃアザゼルよ。もう、動けまい」

「疲れるから、動かなかっただけよ〜〜ん」

「減らず口を叩きおって……ノコギリザメの弥七、出番じゃあ!」


 アガレスがそう言うと、触手に拘束されたアザゼルの背後から巨大なノコギリザメが現れて、そのツノをアザゼルの臀部(でんぶ)に突きたてた。


「おぉーほほほ、どうじゃあ、痛かろう〜〜」

「もう少しズレてたら黄門様だったのに〜〜惜しかったわ〜〜」


 アザゼルは、拘束していたイカさん、タコさんの触手をブチちぎり、殴り飛ばした。そして、アガレスの目の前にやってきて


『迷惑ジイさんは、老人ホームで大人しくしてな!』


 底冷えのする低い声を発し、アガレスを思いっきり蹴り飛ばした。

 海に落ちた瞬間、高い水柱が出来上がる。震度5弱の地震が起きた。


 そして、海面の浮かんできたアガレスを拾い上げ転移していった。



 ペルーの海岸では、巨大なイカとタコそしてノコギリザメが打ち上げられた。

 大きな地震の前触れではないか、地震による生態系の異常ではないかと報道されていたけど……




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