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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第3章

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第71話 ーーー淫魔サキュバスが言うにはーーー

 



「今、出て来ました。跡を追います」

『油断するな。相手は、人間じゃないかもしれん』

「はい。十分注意します」


 背広姿の男2人は、新宿にある歓楽街の片隅にある店から出てきた女をマークしていた。


「良い女ですね。先輩。本当にあれが悪魔なんですか?」

「油断するな……何人も骨抜きにされているらしい」

「あっ、タクシーを拾いましたよ」

「追尾班に連絡しろ。タクシー会社は〇〇だ。ナンバーは、〇〇ー〇〇」

「わかりました……」


「あれ先輩、どこですか?」

『あっ!』


 目の前には、さっきタクシーに乗ったはずの女がそこにいた。

 2人の男が歓楽街から静かに消えた……



 ◇◇◇



「ババンババンバンバン〜〜歯を磨けよーーってか!。全く、今日もつまらねぇ人助けをしちまったぜ!アスカちゃん最高ーーってか!」


 アスカは、毎夜フラフラと夜の街を漂っていた。本人は、散歩らしいが、見えるものからすれば、ただの不良小娘である。


「おっと〜〜あそこにも、寝転んでる奴がいるぜ!最近の若い奴は酒の飲み方も知らねぇ〜〜のかよ。飲んでも飲まれるなっつーーの!」


 アスカは、ビル隙間に寝転んでいた2人の背広姿の男を揺さぶり起こそうとしていた。しかし……よく見ると、心臓がえぐり取られている。


「おぉーー!できたてホヤホヤのお仲間の抜け殻かよーー、参ったぜ!」


 アスカは、どうしようか迷ったが、放っておく事にした。


「あとでシロウにでも言っておくか〜〜あっちじゃ見かけが子供だから大人は信用してくんねーーしなぁ〜〜」


 アスカは、次の街へと散歩に出かけた。



 ◇◇◇



「多分、淫魔のサキュバスは、新宿の歓楽街を根城にしている」

「シアンさん、どうやってわかったのですか?」

「データーを分析してそう思った。もう、諜報部員が目をつけているはず」

「シアンさんってすごいんですね。私、鬼族なのに全然、わかりませんでした」


 2人は、夜食の買い出しの最中だ。何時もはシロウが行くのだが、みんなが気を使い、シロウは、今、エリックさん達と話している。


「ちょっといい?2人とも綺麗だね〜〜こんな夜遅くに何処行くの?」


 見るからにチャラそうな男が数人クルミとシアンを取り囲んでいる。


「え〜〜と、この人達何でしょうか?」

「ナンパ……女を引っ掛けていやらしい事をするのが目的……」


「外人のオネーーちゃんよーー。よくわかってるじゃねーーか。そんなら手間も省けるぜ。ちょっと付き合ってもらおうか?」

「シアンさん、どうしましょう?」

「面倒臭い。こういう奴らは、少し懲らしめた方が良い」

「わかりました。私がお相手します」


 クルミは、取り囲んでいる男達を次から次へと殴り、蹴りを入れていった。手加減したみたいで誰も死んではいない。


「クルミ、お見事……でも、蹴り入れる時は、スカートじゃない方がよい。パンツが丸見えだった」

「えっ〜〜見たんですか〜〜?」

「リボンが可愛かった……」

「感想なんていらないです〜〜!」


 この2人ならどんな夜道でも大丈夫だろう……。


「シュピーゲル、シュピーゲル、シュピーゲル、3・2・1・0ドッカーーンそら行けキャプテン・アスカちゃんってか!っとあれは、シアンとクルミじゃねーーか。よっしゃーー、いっちょ、とびっきりの幽霊パフォーマンスを見せてやるかーー!」


 アスカは、買い物袋を持っているクルミ達の前を気配を消して驚かそうとしていた。しかし、2人には丸見えだ。


「アスカちゃん、何かしようと思ってたんでしょうけど丸見えですよ」

「あっちゃーー、シロウなら良いリアクションしてくれるのによーー。こりゃ参ったぜ!」

「夜遊び不良幽霊娘が何の用?」

「シアン、それはないぜーー!あっちは、パトロールしてるだけだし〜〜」

「小学生の幽霊がパトロールしても意味ない」

「そんなことねーーっつーーの!さっきだって、心臓えぐられたお仲間の死体を見つけたんだから〜〜」

「心臓……えぐられた?」

「そうそう、新宿の歓楽街のビルの間に寝転んでたぜ、2人もよ〜〜」


「それって……」

「そう、淫魔サキュバスの仕業……やられたのは、この国の諜報員達。帰ってエリックに伝えないと……」


 すると、突然、あたりの空気が重くなった。そして、空間が歪み始めた。


『誰に伝えるって?』


 突然、その場に現れた美人の女はそう言った。艶かしい色っぽさが漂っている。


「あっ!淫魔のサキュバスさん!」


 クルミは、その女の正体を知っていたらしい。シアンは、戦闘態勢に入っていた。


「クルミだったの?誰かと思ったわ。何でここにいるの?サリーナのとこにいたんじゃないの?」

「サキュバスさんこそ、何でこの世界に来てるんですか?冥界に戻りましょうよ」

「だって、あそこ、つまんないじゃない〜〜。サリーナは、雑魚まで庇うし〜〜」

「冥界を安定させる為です」

「安定って、私達悪魔なのよ〜〜、そんな事されてもつまらないわ〜〜」

「そんな事ありません。とても立派な事だと思います」

「あんたは、サリーナの腰巾着だもんねーー、同情するわ〜〜」

「サリーナ様への侮辱は許しません!」

「私とやるっていうの?」

「お望みなら……」

「面白いわ〜〜でも、今日はやめとくわ。面白そうな幽霊の後をつけて来ただけだから……あんた達の仲間って訳ね」

「そうです。アスカちゃんに手出ししたら私が許しません」

「鬼っ娘のクルミも言うようになったわね〜〜面白いわ〜〜ひとつだけいい事教えてあげる。この世界、後6日で滅びるわよ。私と来た奴らが息巻いてたから……それじゃあね〜〜」


 そう言って淫魔のサキュバスは空間に消えていった。


 シアンは、目を抑えている。妖精の眼が穢れたらしい。


「シアンさん、大丈夫ですか?」

「えぇ……大丈夫よ。今、薬を飲むから……」


 シアンは、シロウから預かっていたフェニックスの涙が入った薬を飲む。

 すると、痛みがスーーっと消えて無くなった。


「あいつ。あっちの後をついてきたんだ〜〜全然気づかなかったぜ!」

「サキュバスさんは、あぁ見えて上級悪魔ですから……」

「後、6日で滅びるって言ってたな〜〜どう言う事なんだ?」

「きっと力を蓄える準備が、後6日で済むのでしょう。皆さんに伝えないと」


 クルミ達は、急いで家に帰るのだった。




 ◇◇◇



「あと、6日デスか?そうすると、来週の金曜日、今日を含めれば木曜日という事になります」


 シアンとクルミは、家に帰ってさっきの出来事をみんなに伝えた。


「世界が滅ぶって、一体どうやって?」

「いろいろな方法がありますが、こちらに来た悪魔の特徴を考えると、人を操り、戦争、核ミサイル、また、大規模な自然災害、地震などデスか……」

「そのサキュバスが嘘をついてるって事は考えられる?」


「シロウ、それはないと思う。会った感じだと全て本当の事」

「妖精の眼を持つシアンが言うなら信じるよ」


「世界が滅び前に、悪魔達を倒さねければなりません。これは、大変な事デス」


 ……あんな思いをするのは二度とごめんだ……


「せめて居場所さへわかれば先手をうてるんだけど……」

「そうデスが……世界は広いデス。思うような結果は、難しいでしょう」


「サキュバスは新宿の歓楽街にいるんでしょう?今から行って捕まえて、計画を吐かせればいいんじゃないの?」

「ドラ子さん、多分、もうそこにはいないと思います。他の諜報部員から、帰ってきてないと連絡を受けてますし……」


「最善を尽くして、情報を集めます。シアン、今日も徹夜にやりそうデスよ」

「わかった……」


 それぞれが出来る事を模索し、行動に出た。エリックとシアンは、情報収集、ドラ子とソラスは、空から街の様子を探っていた。


 そして、俺は、アンリエット王女とカトリーヌ王女に悪い事をしたと、反省していた。




 ◇◇◇




 あれから、数日たち、今日は水曜日だ。朝、学校に行くと後ろの席の大輝が珍しくマスクをしていた。


「大輝、風邪でも引いたのか?」

「あぁ〜〜ちょっとな……」

「随分、声が枯れてるなぁ……無理しないで保健室に行くか?」

「大丈夫だ……」


 いつもと、様子がおかしかったが、風邪のせいだと俺は思っていた。


 ここ数日の間、みんなで手分けして、悪魔達の動向を追ったが、まるっきり手がかりが無かった。早ければ、明日、予定通りなら明後日この世界は、本当に滅びるのだろうか?


 俺は、いつもと変わらない日常が急に滅びることなどないのではないかと内心どこかで思っていた。

 シアンは、あれから学校に来ていない。スズネは、いつもと変わらなかった。ここには、いつもと変わらない日常があった。


 放課後、俺とスズネは不思議研究倶楽部の高志間先輩に捕まってしまい部室に顔を出した。


 この倶楽部では、今は、あの東内木投資コンサルタント社員飛び降り事件を調査していたのを知っていたので、ここには来たくはなかったのだが……


「鈴風君、これは、大変な事件です。それに、ペルー沖の地震も何かおかしいと思いませんか? これは、この世界の滅亡を暗示しているのかもしれません……どうしましょう、どうしましょう」


 銅嶋 翔先輩は、口癖のように「どうしましょう」と、つぶやいていた。


「先輩、まだ、そうと決まった訳ではありません。こうしましょう。みんなで現地を調べてみてはどうでしょう」


 高志間 章先輩は、「こうしましょう」と提案をしている。


 ……現地調査なんて、やめてほしい……


「先輩方、今は、まだ、日も浅いですし、遺族の方の事もあります。興味本意で現地に行くのは、ちょっと、マズいと思うのですけど……」

「鈴風君、君の言いたい事もわかるが、これは、大変な事なんだよ」


「私もシロウ君と同じ意見です。今は、時期尚早だと思います」

「神屋代君も同意見か……わかった。今は、まだ、情報を整理した方が良さそうだ。いいかね。高志間君」


「わかりました……けど、個人的に調べるのは、OKなんですよね? 私、ちょっと行って来ま〜〜す」


 そう言って、高志間先輩は、出かけてしまった。


「やれやれ、困ったものだ……」


 高志間先輩の行動は、何時もの事らしい。銅嶋先輩も呆れていた。



 ◇◇◇



 木曜日


 早ければ、今日がサキュバスの言っていた日かもしれない。

 相変わらず、後ろの席の大輝は、風邪が治らないらしい……。


 悪魔達の手がかりは以前、掴めてなかった。シアンは、情報が掴めず焦っているようで、クルミが食事の用意などの世話をしていた。



 ◇◇◇



 そして、運命の金曜日。


 いつもと変わらない朝だ。俺達は、学校に行くべきか悩んだが、いつもと変わらない生活をしたほうが気もまぎれる為、学校に向かった。


 穏やかな日だ。本当に今日、この世界が、滅びるのか?

 嘘なんじゃないのか?

 気温も暖かくなりすっかり春の陽気だ。若葉が陽を浴びてきらめいていた。


 誰もが、爽やかな日だと感じるだろう、そんな、穏やかな一日になるはずだった。


 でも、異変は、もう、起こり始めていた……。





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