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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第3章

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第66話 ーーー黎明祖父さんの話はーーー

 



 俺達の世界に悪魔が4魔、冥府から来た事を、シアン達に伝えたら、ローマ聖教を始め、各部署を通じて、各国も限界態勢に入ったらしい。


 それだけ、悪魔は危険視される存在なのだ。


 今、ここで、テレビを見て、グダグダしてる悪魔達もいるけど……


「シロウちゃ〜〜ん。もっと、イカ臭いの頂戴。オツマミがないのよ〜〜」

「アザゼル、イカ臭いじゃなくて、イカの燻製でしょう!」

「それよ〜〜ん。早く出してよ〜〜ん」


 全く、こいつらときたら……


「シロウ様、私が買ってまいりましょうか?」

「クルミいいの?」

「はい。お任せ下さい」


 クルミは、買い物バックを持って少し楽しげに出かけて行った。1人でここに住んでいた頃は、もしかすると、淋しかったのかもしれない。


「ねぇーーアザゼルやソラスの気配感知で、ここに来た悪魔達の所在ってわからないの?」

「今のところは、全然、引っ掛かりません。アザゼルは、あまりそういうのは得意ではないはずです。来るもの拒まずの精神ですから」

「そうだよねーー。アザゼルほど強いと、気配感知なんて必要無いかもね。俺の全マップ探索でもダメなんだよ。マンモンは、チェックしてあるはずのに……」


『シロウ君、シロウ君』


 スズネからの念話だ……


『どうしたの? スズネ』

『明日、学校終わったらうちに来れる?』

『別に予定は無いけど……』

『じゃあ、お願いね』

『わかった……』

 ……[念話終]……


 ……なんだろう? もしかして、親父さんからの呼び出しか?……明日、スズネに聞いてみよう……




 ◇◇◇



 次の日、俺が学校に着くとある人物が待っていた。エリックさん、いや、先生だ。


「昼休みに、お話があります。シアンとスズネにも伝えおいて下さい。場所はそうデスね〜〜屋上でどうでしょうか?鍵は開けておきます」

「わかりました……」


 悪魔達の件だと思った。少しでも俺からの情報が欲しいのだろう。


「あっちも行っていい?」

「アスカかーー急に現れるなよ〜〜ビックリするだろう?」

「もちろんデス。アスカちゃんもお願いします」


 エリックは、そう言い忙しそうに職員室に入っていった。学校の仕事とエクソシストの兼務も大変なのだろう。ふと、異世界での爺さんのエリックを思い出す。


 あのお墓は、誰だったのだろうか……


 昼の時間、今日は、何時もの場所ではなく屋上でお弁当を食べていた。

 シアンは、眠そうな顔をしてる。


「シアン、眠れなかったの?」

「違う。寝かせてくれなかった」

「まさか……それって……」

「エリックと情報収集していた。エリックは、人使いが荒い!」

「そういう事ね……」


 ローマ聖教も大変なのだろう。何せ上級悪魔が4魔も出現したのだから……

 俺は、自分の卵焼きを食べようとしたら、そこにあるはずのものが無くなっていた。


「あれっ〜〜おかしいなぁ。卵焼きなくなってる……」


 アスカは、自分のお弁当を食べてるし、シアンやスズネが取るはずもない。

 すると、今度は、俺の見てる前でミートボールが宙に浮かんで消えていった。


「あっ!そうか〜〜出てこいよ〜〜そして、俺のお弁当返せ!ドラ子!」


 気配を消していたドラ子が現れる。みんなは、気づいていたようだ。


「シロウ様だけですよ。この中で私に気づかなかったのは……」

「そうなの?」

「シロウ様は、普段から警戒心が足りません。少しは、スズネやシアンさんのように気配を察知出来るようでなければ、あっという間に殺されてますよーー」


 ……俺だって、全マップ探索を展開してればそんな事無いのに……


「今度の相手は、普通の相手ではありませんよ。上級魔族でも強者なのですから」


 確かに、ドラ子の言う通りだ。でも、お弁当の件は別だと思う。


「そいつら、どんな能力があるの?」


「それは、私も聞きたいデス」


 エリックさんが来た。これで全員揃った。


「では、皆さんが揃ったところでお話ししましょう。まず、マンモン。こいつは、強欲の業を背負う悪魔です。特に金銭にかけては、目がないです。人の心にある金銭欲を増大させ、魂を欲で満たします。それを喰らうのです。一見、強そうに見えないかもしれませんが、欲に支配された人間を使う事が出来ます。生きた人間を盾にできると考えて良いでしょう。シロウ様達のように人を殺める事を躊躇う人達には厄介な存在かもしれません。


 次に、淫魔のサキュバスです。淫魔ですので人の性欲を支配できます。これも、性欲で満たされた魂を喰らう事によって自らのエネルギーを補充します。また、マンモンと同じように生きた人間を操る事が出来ますので、こいつも厄介な存在かもしれません。


 地獄の伯爵ハルファス。こいつは、鳥の姿です。ですが、変化してるようで本当の姿を見た冥界の者はおりません。ただ、しわがれた声で話すのが特徴で、これで変化を見破るしかありません。主に武器や基地などの建設、保管、補充などに優れていますので、戦争屋にとっては、有難い悪魔かもしれません。


 最後に、地獄の大公爵アガレス。こいつは、元、力天使に属していたとされていますが、本人が言ってるだけで本当の事は分かりません。お爺さんですが、その能力は、地震を起こす事が出来るので面倒な相手です。31の軍団を指揮するとも言われておりますが、実際のところよくわかってないのが実情です。とにかくプライドが高くて、冥界でも誰も相手にしなかった迷惑爺さんなのです」


 ドラ子の説明をみんな真剣に聞いていた。


「この悪魔達は、連携をとって行動するものなのデスか?」

「悪魔は、自由な存在です。連携を取る事は、まず、考えられません。この世界に来る為だけに、協力しあったのでしょう」

「それなら、まだ、対策は取れそうデス」


「皆さんにも伝えておかねばなりません。現在、悪魔達の動向はわかっておりません。どこに潜んでいるのかもわからない状態デス。ですので、少しでも、何か変わった事があれば、報告して下さい。勝手に動いてはダメデス。いいですね!」


『わかりました』


「それを言いたくて、ここに来ました。皆さん。絶対ですよ。あの島の様な行動はしないで下さい」


 そう言って、エリックさんは、戻って行った。余程、サツキ達が無茶した事を気になっていたのだろう。


 俺は、もう一度サツキにも念を押しとかないと……と考えていた。




 ◇◇◇



 放課後、スズネに言われた通り、神屋代家に御邪魔する事になった。シアンは眠いと言うので、家に帰っていった。アスカは、あの後すぐにどこかに行ってしまったけど、ドラ子は、人間の姿で俺たちと一緒に着いて来た。


「スズネ……俺に何のようなの?」

「今日は、私が呼んだんじゃないよ〜〜」

「えっ!……」


 ……これは、マズい。あの親父さんか?……


「お祖父さんが、昨日帰ってきてシロウ君に会いたいんだって〜〜」

「ふぅ〜〜黎明さんか……」

「何だと思ったの?」

「いや、な、何でもないよ〜〜」

「私は、いつでも遊びに来てくれた方が嬉しいけど……」


 ……スズネのこう言う発言は、友達としてだから……きっと……


「なかなか隅におけませんな、シロウ様も……」

「ドラ子、言いたい事はわかるけどそんなんじゃないからね」

「はい、はい」


 神屋代家は、この辺りでは旧家だ。都内でこれだけの大きな屋敷は滅多に無い。この前、神屋代の親父さんが、家を維持するだけで大変だって言っていたけど、固定資産税とか家の補修費などでお金がかかるのだろう。


 鈴風家にとっては、羨ましい話だ……


 神屋代家の応接室に通されると、スズネのお母さんがお茶を持ってきてくれた。

 スズネは、着替えをしに自分の部屋に行ってしまった。


「美味しいです、このお茶」

「ありがとう。鈴風君、もっとうちに遊びに来てくれて良いのよ」

「そうは言っても、同級生の女の子の家ですし……あの……お父さんが……」

「まぁ〜〜遠慮しないでいいのに、若い子はもっと、積極的にならないとね〜。それに、うちの主人の事はほっといていいのよ。病気みたいなものだから……」

「はぁ〜〜」

「それに、スズネが、楽しそうなのよ。あの子、小さい時からいろんなものが見えてたみたいだから、周りの子達、気持ち悪がってて〜〜いつも1人きりだったの……

でも、去年の夏頃かしら……とっても明るくなって〜〜きっと鈴風君と出会ったのね。毎日が楽しそうだったわ。最近では、学校から帰って来れば、鈴風君の話ばかりよ」


 ……小さい頃から、こんな事を抱えてたら俺だって人と関わりたくなくなる……それに、俺だって、友達と言える人は片手でで数えても余るし……


「俺もスズネさんと一緒にいて楽しいです……」


 ……楽しいというか大変というか……


「おぉ〜〜よく来てくれたのう〜〜」


 スズネのお祖父さんの黎明さんだ。


「お邪魔してます」

「これは、変わったお嬢さんを連れておるのう。儂に紹介して来れんか?」


 ……正直に言って良いのか?……退魔師だし、問題ないか……


「こちらは、ドラ子さんと言いまして……その……吸血鬼です」

「ほぉ〜〜やはりのう……それにしても、すごいお嬢さんじゃい。オーラが強すぎて儂でも良く見えんわい」

「光栄でございます。ドラ子でございます。冥府の幹部をしておりますが、今はシロウ様の護衛を務めさせてもらっています」


「まぁ〜〜鈴風君、凄いのね〜〜護衛までいるなんて……それも吸血鬼さんなんて素敵だわ」


 ……神屋代のお母さんは、動じないタイプの人みたいだ……助かるけど……


「ほぉ〜〜これは、すごいお嬢さんじゃい。儂が100人いても勝てる気がせん」

「ドラ子さんは、とても頭が良いし理解もありますから危険な存在ではないです」

「シロウ様、そんなに褒められても……私、困ります〜〜」


「わぁははは、ここまで、悪魔達に好かれる人物は初めてじゃい」

「俺も、何でこうなってるのか、わけわかんないです……」

「それは、きっと、お主が自分をもっと知らないといけんのかもしれんなぁ〜〜」

「自分をですか?」

「そうじゃ。自分を知れば自ずと自分がなすべき事を理解できるものじゃ。お釈迦様も、自己の知り自己を制御する事は最大の主人を見つけたのと同じだと言っておる」

「自分をですか……」


 ……俺は、忙しさにかまけて、自分の能力さへ良く理解できてない。黎明さんが言ってる意味とは違うかも知れないが、もっと自分の能力を知らないといけないのかも知れない……


「シロウ君、お待たせ〜〜」

「お〜〜スズネも色気が出て来たのう〜〜」

「何、言ってんの、お祖父さん!怒るわよ」


「ほぉ〜〜ほほほ、そうじゃあ、お主に聞きたい事があったのじゃ」

「何ですか?聞きたい事って」

「旅先でのう、不思議なお嬢さんに会ったのじゃよ。儂が狐付きの人を祈祷しとる時にヒョイっと現れて、その悪さをしとる狐の霊体をあっという間に追い払ったのじゃあ。そのお嬢さんがお主に伝えてくれとなぁ〜〜伝言を授かった」

「俺には、退魔師の知り合いなんてスズネさんしかいませんよ」

「そのものは、退魔師ではない。何者かはわからんがそのドラ子さんと似ておる」

「ドラ子と似てる?」

「その者は、お主に強くなれ、と言っておった。強くなければ、大切な者を守れないだろう、ともな」

「誰なんですか?その人は……」

「名はリーゼと言っておった。金髪の美人さんじゃ」


「リーゼ……!」


 ……リーナの姉さんだ……なんでそんな事を俺に……


「リーゼさんですか……あの方は、こんなとこにいらしたのですね」

「そうか……ドラ子も知ってるんだよね」

「もちろんです。リーナ様の姉上でありながら冥界を滅ぼしかけた悪魔ですから…」


「ほぉ〜〜やはりのう……只者ではないと思っておったわい……」


「何の話なの?」

「スズネには、まだ、早いわい。儂はそろそろ行くかのう〜〜香織ちゃんが待っておるしのう〜〜」


「お祖父さん、また、飲みに行くんですか?お夕飯はどうするんですか?」

「出先で頂くわい。お〜〜怖い、怖い」


 そう言いながら黎明さんは出て行った。でも、何故、リーゼがそんな事を……


 その後、俺とドラ子は夕食をご馳走になって帰った。あの親父さんは残業で遅くなるみたいで、会わなくて済んだのはラッキーだった。





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