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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第3章

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第65話 ーーー剣の師匠はーーー

 




 俺とクルミは、冥府のリーナの居室にドアを開いた。そして……


「なんじゃ、こりゃあーー!」

「こ、これは、ひどいですね……」


 服は脱ぎっぱなし……ゴミは、落ちてるし……ベッドは、ぐしゃぐしゃ……

 リーナの部屋は、完全に汚部屋に様変わりしていた。


「シロウ、遅い」

「リーナさん、これ、どうしたの?」

「何が?」

「部屋です!これっ!ゴミっ!これは、ゴミ箱に捨てるの!それに、服は脱いだら洗濯するんだよ」

「そうなの?」


 そうだった……リーナは、日本にいた時も、こんな感じだった……


「今まで、綺麗にしてたじゃないか?急に、どうしたの?」

「何時も、クルミがしてくれた」


 そうかっ!クルミが俺のとこに来たから、リーナの身の回りの事が出来なかったのか……


「サリーナ様。私がお片づけ致します」


 クルミは、慣れているのか、せっせと片ずけ始めた。俺も、仕方なく掃除を手伝う事になった。


「リーナ、まさか、部屋が汚れたから俺達を呼び出したの?」

「そう……違う。2人には、注意してもらいたい事があった」

「今、そう、って言ったよね〜〜。リーナ、俺の目をよく見てごらん〜〜」

「わかった……ちょっとは、そう思った。けど、伝える事もあるのは事実」


 リーナのオドオドした目が可愛いが、これは別だ。


「リーナも一緒に片そうね。綺麗になったら、ケーキ、一緒に食べよう」

「ケーキ……わかった。仕方がない」


 この部屋、無駄に広いんだよなぁ……俺のスキルを使っても、片付けが終わるまで1時間程かかった。




 ◇◇◇



「クルミの入れてくれたお茶は美味しい」

「私も、サリーナ様に給仕をさせて頂けるのは幸せな事です」


 綺麗になったリーナの部屋で今は、ティータイムだ。リーナは、美味しそうにケーキを頬張っている。


「リーナ。クルミは、リーナのとこにいた方が良いんじゃないか?」

「私も、そう思います」


 クルミの目がキラキラしてる。リーナは、お茶を飲みながら……


「私には、クルミが必要。でも、今はそうも言ってられない」

「そう言えば、俺に伝えたい事があるって言ってたね。何なの?」

「冥府から、4魔いなくなった」

「そうなんだ……で?」

「シロウ達の世界に行ったらしい」

「何だ、そんな事か……って!それっ!大変じゃないかーー!」

「だから、そう言っている」


 ……相変わらず、リーナは、こういう事には動じないんだから……


「シロウがルシファーを連れて来てくれたお陰で、冥府だけは、結界が外れた。冥府に落ちてくる魂も桁違いに多くなった。でも、その隙に、以前、召喚があった術式を解読してシロウ達の世界に行ったようだ」


「前、ここに来た時、悪魔召喚の光が結界に当たったあの術式を解読したの?」

「そう」


 という事は、あの東南アジアの島の半壊事件は、冥府の悪魔が引き起こした事になる。


「どんな悪魔なの?」

「私が人間と契約してる事を快く思わなかった奴。強欲を司るマンモン、淫魔のサキュバス、地獄の伯爵ハルファス、地獄の大公爵アガレスの4魔」


「皆さん。上級悪魔達ではありませんか……」

「そう、だからクルミはシロウのとこにいて」

「わかりました。シロウ様をお守り致します」

「ありがとう」


「それって、ヤバい奴らだよね。俺達の世界、滅ぶくらいの……」

「そう。力を使えばそうなる。でも、時空移動で、殆ど力を使い果たしたはず。直ぐには回復しない」

「どのくらいの期間は、大丈夫そうなの?」

「半年……いや、場合によっては1ヶ月もあれば回復すると思う」

「1ヶ月か……」

「人を大量に殺せば、一週間で回復する」

「大量って……?」

「1魔、約1億人、合計で4億人」

「なっ…………!」


「シロウがいる世界を選んだのは、シロウを殺す為でもある。そうすれば、私との契約が破棄され、奴らも喜ぶ」

「それは、リーナと俺が契約してるから?」

「そう。奴らは、人間との契約など悪魔の尊厳に関わると再三言っていた。つまり人間は、餌。餌と契約する悪魔など以ての外という考え」


 ……マンモンって、確か、リーナの就任式で俺を睨んでた奴だ……


「奴らが回復したらクルミだけでは勝てない。だから、応援を要請した」

「応援って?」


 リーナの部屋をノックする音がした。そして……


「どうも〜〜。あら〜〜んシロウちゃんじゃない。元気してたぁ〜〜?」

「シロウ様。先日ぶりです。また、血を頂きに参りました」


 堕天使アザゼルと吸血鬼のドラ子だった。


「この2魔を、シロウの側に置く。それに、そっちにはソラスもいるはず。これでシロウも大丈夫」

「リーナは、相変わらず忙しいのか?」

「うん。今度は、冥界北西部の邪龍族のところに行かないとならない。あっちで友好条約の調印式がある。現地でドラキュラ伯爵、ルシファーと合流する予定」

「そうなんだ……リーナしかできない仕事だ。頑張れよ」

「うん。そのつもり……」


 また、リーナがモジモジし出した……リーナがいてくれたら心強いが……


「でも、アザゼルが暴れたら俺がいる世界、壊れちゃうと思うんだけど……」

「やだぁ〜〜シロウちゃんは〜〜、私、そんな凶暴じゃないわよ〜〜ん」


 ……いいえ!あんたが一番危ないですからっ!……


「アザゼルには、力を自重してもらう。そういう約束」

「それなら、大丈夫か……」


 ……心配だ……危険な感じしかしない……


「でも、もし戦闘になったら相手をやっつけてもいいの?一応、リーナの配下なんでしょう?」

「シロウを狙った時点で、極刑!これ、冥府の常識」

「リーナの常識でしょう?」

「そうとも言う……」


 ……リーナのモジモジが激しい……


 あの世界で悪魔達が暴れたらどれ程の犠牲者が出ることやら……

 これは、緊急事態かもしれない……



 ◇◇◇



 俺は、アザゼル、ドラ子、クルミを連れてリーナの家に戻った。アザゼルは、着いた早々、酒を飲み出した。ワイン頂戴だの、ウォッカをくれだの……ウザい。


 俺は、冥府で聞いた事を、シアン、スズネにも念話で連絡を入れといた。2人とも、驚いていたが、ある程度、あの島が半壊した事で予想してたみたいだ。


 そして、俺は、何故かミリエナ国、王宮の応接室にいる。あの後、直ぐに、アンリエット王女から呼び出されたのだ。


「シロウ様にお願いがあるのです」

「何でしょうか?」

「あの〜〜その〜〜」


 ……メイド1号の目付きが相変わらず怖い……


「以前、シロウ様がお持ちだった魔法のステッキが欲しいですの!」


 ……あぁ……あのステッキ、女神が持ち逃げしたんだよなぁ……


「あのステッキは女神様が持ってるみたいなんですが、返してくれないんです。他ので良かったら買ってお持ちしますけど……」

「他にも、あの様な綺麗なステッキが売ってるんですか?」

「はい。アキバに行けば売ってると思います」

「私も一緒に買いに行きます!」

「えっーー!」


 というわけで、今度の土曜日に買いに行く事になった。睦美との約束もあるのでちょうど良いかもしれない。


 ……でも、メイド1号もくるよねーー憂鬱……


「それと、シロウ様には、私の剣を見てもらいたかったんです。あれから、練習して、随分、上達したんですわよ」

「それは、俺も見てみたいです。というか、教えてもらいたいくらいです」

「シロウ様にですか?」

「はい……実は……私、剣が下手で、剣を構えるだけでみんなが笑うものですから……」

「わかりました。私、一生懸命お教え致しますわ」



 ◇◇◇



 王宮の裏庭では、剣を撃ち合う音がする。もちろん、俺とアンリエット王女だ。


「シロウ様、腰が引けてますわよ。もっと、背筋をお延ばしになって……」

「こうですか?」

「それでは、手が明後日の方角を向いてしまいますわ」

「こうですか?」

「シロウ様、顎を引いて下さい。顎で攻撃するつもりですか?」


 アンリエット王女の指導に、俺も夢中で剣を振る。そして、


「最後の振りは良かったですわ」

「あ、ありがとうございます〜〜はぁ〜〜はぁ〜〜」


 かれこれ、1時間、剣を振っていた。少しはまともな形になってきたらしい。


「ゴミは、やはりゴミですね」


 と、メイド1号の言葉が何よりも攻撃力が高かったけど……。


「私は、女神様の加護でこのように剣を振る事が出来ましたけど、以前はシロウ様と同じでしたわ。そんな私が、シロウ様に剣の指導をする日が来るなんて……」


 アンリエット王女は、俺の剣を見て思うところがあったらしい。その姿を見たメイド1号は、


「アンリエット様に何をしたーー!この糞転がしめーー!」


 持っていた短剣で俺を攻撃し始めた。


  ……このメイド1号、二刀流なんだ……


 剣は早く、避けるので精一杯だ。すると、アンリエット王女が


「シロウ様。ソランジュの攻撃を避けれるのですね。凄いですわ。ソランジュの二刀流は、誰も避けれないほど、早いのですから……」


 確かに、このメイド1号の剣は早いけど、俺には、スローモーションのように見える。これって、悪魔達の加護のお陰かもしれない……。


「ちょこざいなゴミ虫め!避けずに、剣の餌食になりなさい!」

「当たったら、死にますよーー!」

「死ねば良いのです。ゴミは、息などしないのですからーー!」


 メイド1号の剣がさらに早くなる。これは、これで凄い腕だ。

 そして、いきなりメイド1号が消えた。すると俺の背後の影から急に現れた。

 メイド1号は「ニタ」っとしてる。俺は、すかさず後ろ蹴りを食らわした。

 そうしないと、斬られていたからだ。どうやらメイド1号の腹にヒットしてしまったらしい。お腹を抱えてメイド1号は、苦しがっていた。


……あれが、女神から授かった影渡か……凄い、能力だ……


「そこまでですわ。ソランジュもシロウ様もとても素晴らしかったですわ」


 アンリエット王女の拍手に、救われたのだろう。そうじゃないと、きっと俺はあの後、メイド1号に殺されてたかもしれない。


 だって……目付きが……これまで見たこともないくらい殺気を込めてたから……


 俺は、回復薬をメイド1号に渡して、飲ませた。そうしないと、内臓を傷つけているかもしれない。


 その後、お茶を頂き、俺は、元の世界に戻った。






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