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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第3章

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第61話 ーーーエルフの郷ではーーー

 




 俺達は、ルシファーを連れてからドアを開き、冥府に戻った。

ルシファーは、面倒くさがっていたが、酒を飲んでたとはいえ、俺と約束したので、約束を違えない悪魔の性格により仕方なく重い腰を上げたのだ。


「おーールシファーよ。久し振りじゃのう〜〜」

「どうもでぇ〜〜すって、ドラキュラのジイさんかよ〜〜」

「相変わらずじゃのう〜〜冥府に降りて来た時を思い出すわい」

「まだ、そんな事、憶えてるんかい!とっとと忘れてくれって……」

「悪ガキじゃったからのう。儂もほとほと手を焼いたわい」

「わかった、わかったよ〜〜ジイさん話し長いから〜〜参ったね、こりゃ」


 そんなドラキュラ伯爵とルシファーの会話を聞いて、俺は、


「ルシファー先輩!どうしちゃったんですか?会話ができてますよ」

「何言ってんの、シロウ、俺はいつでも、ノリノリだぜ〜〜」

「先輩、頭打ったんじゃないですか?それとも、酒を飲みすぎておかしくなったんじゃないですか?」


「シロウ、ルシファーは、ドラキュラ伯爵に育たられた。天界から追放され行き場をなくしたルシファーを、伯爵が冥府に連れてきて世話をしてた……いわば、お父さん、みたいな感じ」


「そうだったんだ〜〜それなら、わかるよ」

「シロウは、きっとルシファーを連れて来ると思ってた。タイプが似てるし」

「リーナには、かなわないなぁ〜〜」

「シロウの事は、何でもわかる」


「サリーナのお嬢ちゃんが冥界の王になったんだ。あんな小さかったのになぁ」

「それは、昔の事、今は、もう、大人」

「俺の後輩と契約してるんだって〜〜シロウは、怠け者の素質があるぞ〜〜」

「知ってる。いつも、サボろうとしてる。シロウみたいな性格は甘やかすと図に乗って、どんどんダメになる。だから、働かせる」


「リーナさん、それ、酷くない?」

「事実だから仕方がない」


「でも、シロウ様の血は美味しかったですけど……」

「ドラ子さん、余計な事言わなくて良いからね」


「サリーナ様、お約束通り、シロウさま、ルシファー様をお連れいたしました」

「クルミ、ありがとう。シロウの世話は大変だったでしょう?」

「そんな事、ありません。シロウ様は、見かけによらず、お優しい方でした」

「そう、それは良かった」


「ルシファーよ。お主がいない間に、サリーナ様が王に就任した。ここに承認の印と冥界を覆っている神族の結界を解いてもらいたいのじゃ」

「それは、良いけどよ〜〜ジイさん、それが終わったら俺、また、ここ、出て行ってもいいんだろう? ここ、面白くね〜〜し」

「好きにしたら良い、と言いたいところじゃが、しばらくいてもらうぞ。儂の仕事を手伝ってもらわんとのう」

「マジかよ〜〜参ったなぁ、こりゃ〜〜」

「何、すぐ済むはずじゃ〜〜お主が真面目に取り組めばのう〜〜」


「わかったよ。これ、承認の印ね。それとこれ1人じゃ、結界全部解く事できね〜〜ぞ。良くても、この冥府だけだ。それにアザゼルはいるのか?あいつにも手伝ってもらわね〜〜と……」

「アザゼルなら、もう、北の冥府の塔で準備しておるよ。お主は、南の塔に行って、準備してくれ」

「全く、堕天使使いの荒いジイさんだよ」


 ルシファーは、そう言って南の塔に転移した。俺の頼まれた仕事は取り敢えず達成したのだ。


「シロウは、ゆっくりしていく?」

「ミミーにも会いたいけど、エルフの郷にシアンを置いてきちゃったんだ。急いで戻らないと、心配してるだろうし……」

「そう、わかった。残念だけど、また、来てね。待ってる。それと、ルシファー連れて来てくれてありがとう。お礼を言ってなかったから……」

「そんな事ないよ。俺は、リーナの契約者なんでしょう?パートナーが、困ってたらいつだって手助けするさ」

「シロウ……クルミ、シロウについて行ってもらえる?心配だから……」

「わかりました。サリーナ様のご命令とあれば、神族の空までもお供致します」


「いいよ。悪いし……それに、こっちもまだ、大変なんでしょう?」

「大分落ち着いて来たけど、冥界を全部を賄うには、もう少し時間がかかりそう。でも、クルミは連れてって……この子はとても良い子だから」

「それは、一緒にいたからわかるけど……わかった。リーナの言う通りにするよ」

「始めからそう言えばいい。シロウは、優柔不断」

「もう、リーナは……じゃあ、また来るよ。用があったらいつでも呼んでくれ」

「うん」


 俺はドアを開き、クルミと一緒にエルフの郷の族長が住んでるデッキに移動した。




 ◇◇◇



 俺とクルミは、エルフの族長のところでペリンが入れてくれたお茶を頂いていた。シアンは、族長と一緒にエルフの郷の中にある妖精の泉まで出かけているようだ。


「族長がシアンさんを気に入ったらしいんです」

「そうなんだ。そういえば、何でエルフ達は、人族を避けてるの?」

「シロウさんは、この世界の人では無いから知らないのでしょうけど、100年前までは、人族と仲が良かったのです。でも、人族の王家の継承争いに巻きこまれてしまって、エルフ達は、酷い目に遭ったんです」


「人族の王家って、ミリエナ国の事?何で人族の争いにエルフが関わったの?関係ないと思うんだけど……」

「それは……王家を継ぐ予定の王子がエルフの娘を嫁に迎えたからです。それを快く思わない周りの人達が反乱を起こしたんです。関係ないエルフ達も捕まって多くの犠牲者が出ました。それ以来、私達は、人族と関わらないように決めたんです」


「そんな酷い事が……すみますん。何も知らないで、ここまで来てしまって…」

「いいんですよ。シロウさんは、ルシファーさんを約束通り連れて行ってくれましたし、この世界の人では無いんですから……」


 ……どこでもあるような話しだが、当事者にとっては大変な出来事なんだろう。俺は、リーナ達が少し心配になった……


「シロウ様、サリーナ様は大丈夫ですよ。心強いお仲間もおりますし」

「クルミ、何でわかったの? リーナの事、心配してるって……」

「私は、サリーナ様の従者ですから主人が契約されているシロウ様の事は、理解できます」


 ……女の勘というやつだろうか?……下手な事を考えられないなぁ……


「あっ、族長達が戻ってこられたみたいです」


 ペリンがドアを開けると、族長とシアンがそこにいた。


「シロウ、帰ってきたんだ。私ね。妖精と話せるようになったんだ。族長が教えてくれたの」


 シアンは、子供のように無邪気に喜んでいた。


「シアンは、なかなか筋が良いわい。妖精たちにも愛されておるしのう〜〜」

「族長のお陰です。有難うございました」

「良い良い、儂も、同じ妖精眼を持っているお主が気になっただけじゃしのう」

「シロウ。もう帰るの?」

「できればそうしようと思ってる。サツキ達が心配だし……」

「あれっ、クルミさんも来るの?」


「はい。サリーナ様からシロウ様のお付きを命じられました。私も一緒に日本に伺います」

「本当? 嬉しいわ。よろしくね」

「はい。こちらこそ」

「じゃあ、そろそろ行こうか」


「ちょっと待ってください」

「どうしたの?ペリンさん」

「実は、会ってもらいたい人がいるんです」

「俺達に?」

「はい。昨夜、私がお世話しているし方にシロウさん達の事を話したら、会いたい素ぶりをしてましたので……」

「いいけど、誰なんだろう?」

「人族の方です。もう、お歳で口もきけない状態で……その……もう、命の方も」

「わかった。どういう理由かわからないけど、会うよ」

「あ、ありがとうございます。今、案内しますからーー」


 ペリンはそう言って出て行った。


「誰だろう?」

「ペリンの父親じゃ。もう、長くない……」

「お父さん何ですか?」

「あーー、人族じゃが……理由があってのう……」

「そうなんですか……」


「こちらです。すぐそこですから……」


 ペリンはデッキに出て飛び立ってしまった。余程、急いでいたのだろう。

 俺は、黒翼のマントを出して、シアンとクルミを抱え後を追う。ペリンが案内したところは、街中にある自宅だった。


「ここです。どうぞ、中に入って下さい」

「お邪魔しま〜〜す」


 中に入るときちんと整頓されている綺麗な家だった。奥の部屋にその人物はいるらしい。


「この部屋です。どうぞ会ってあげて下さい」


 俺達は、部屋の中に入ると、寝たきりのシワシワのお爺さんが横になっていた。誰が見ても、命の灯火が消えかかっていると思うだろう。


 俺達は、そのお爺さんの寝ている横に座った。すると、シアンが


「えっ!な、何で……」


 そう言って、驚いた顔をしていた。お爺さんも目を開く。その細い目でシアンを見つめ、驚いたように、そして、涙を流した。


「何でここにいるの? ねぇーーどうしてお爺さんになってるの?」


 シアンが叫び出す。お爺さんさんは何か言いたそうにしているけど、声が出てこない。そして、俺を見つめ、何かを悟ったように頷いた。


 お爺さんの手がシアンに伸びる。シアンは、その手をしっかり握りかえした。


「お父さんが、ここまで反応するのは、久し振りです。きっと、皆さんに会いたかったのでしょう」

「シアン、このお爺さん知ってるの?」

「うん。理由はわからないけど、エリックよ」

「えっ!?」

「妖精の眼じゃなきゃわからなかったわ。だって、ダミー=スミスさんって名のっていたらしいから……」


 ……どこかで聞いた名前だ……思い出せない……


「シアンさん、お父さんと知り合いなんですか?」

「うん。でも、私の知ってるエリックは、もっと若いけど……」


 ……エリックさんだとしたら、どういうわけなんだ。理解できない……


 そのお爺さんは、俺にも手を伸ばしてきた。そして、


「シ……ン………た…………て…………」


 と声を出した。聞き取れない部分も多かったが、シアンの事だと直感した。


「わかりました。シアンの事ですよね」


「……にこ…………、た………く……」


 意味はわからないけど、心配しているようだ。


「わかりました。お任せ下さい」


 その言葉が一番良いのでは、と思いお爺さんに告げる。

 お爺さんは、ニコって笑うように目を閉じた。


「きっと、疲れて眠ってしまったんだと思います」


 ペリンは、お爺さんに布団をかけながらそう話す。

 シアンは、わけが分からずただ、悲しかったようだ。涙が止まらない……


 俺達は、少し側にいて別の部屋に戻った。シアンだけは、まだ、お爺さんについていた。

 ペリンさんが入れてくれたお茶を飲む。すると、シアンも戻ってきた。


「シアン、大丈夫か?」

「今、混乱してる……」


 ……そうだよね。あれがエリックさんだなんて、想像もつかない……


 俺達は、その場で言葉を失った。何をどう理解したらこうなるのかわからなかったからだ……


 俺達は、ペリンに別れを告げ、ドアを開く。俺達は、いつでもエルフの郷に遊びに来て良いと族長のお墨付きをもらったのでいつでもここに来れる。


 そして、リーナの部屋に戻った俺達は、少し違和感を感じた。




 ◇◇◇




「あれ〜〜おかしいな。サツキ達が居るはずなんだけど〜〜」

「何処かに行かれたのではありませんか?」

「だって、このドアは、入った時間に戻るんだよ。俺達、みんなの前でドアを開けて向こうに行ったんだから、戻って来るときは、みんなが必ず居るはずなんだ」

「そうなのですか……」


 シアンは、持っていたスマホを見ている。すると、


「今日は、日曜日よ。このドアに入って2日経ってる」

「えっ!時間が経過したのか……今まで、こんな事、無かったはず、あっ!そういえば、エミリア国に行った時も時間が経過していた……どうして?」

「サツキさん達は、黒十字教のところに向かったんじゃないかしら……」

「ちょっと、サツキに念話してみるよ」


 ……[念話中]……

『サツキ、聞こえる?サツキ』

『何、シロウ兄、煩いなーー!』

『お前、今、何処にいるんだよ?』

『今、東南アジアの島だよ。黒十字教のいるところ』

『何だってそんな所に……無茶するなって言っただろう?』

『もう、うるさいなぁーーもうじき帰るから大丈夫!じゃあねーーガチャ!』

 ……[念話終]……


 ……また、ガッチャって念話切りやがった……


「東南アジアの島にいるそうだ」

「エリックに連絡とってみるね……」

「ソラス様がついていれば大丈夫でしょうけど……」

「そうなんだけど……心配というか何というか……」

「わかったわ。エリックは止めたんだけど、サツキちゃん達がエリックのいない間に島に侵入しちゃったらしいの。エリックは、今、ヘリで向かってるって」

「ほら〜〜やっぱり無茶してる〜〜」


「私達も向かいましょうか?」

「今から飛行機の手配をしても間に合わないわ」

「俺のドアなら移動できるよ。サツキはチェックしてあるし」

「なら、向かいましょう」

「はい」

「本当にもう、しょうがないんだから〜〜」


 俺は、サツキの元へドアを開いた。





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