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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第3章

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第59話 ーーーシロウ達とサツキ達は(1)ーーー

 




 エルフの女の子、名前は、ペリンという。ペリンは、俺達をエルフの郷に案内するか随分迷ってたみたいだが、ルシファーを連れて帰ってくれるという条件付きで案内してくれることになった。


「本当に、本当ですよ。絶対、あのルシファーを連れて帰ってくださいよ!」

「もちろんです。僕達は、その為に来たのですから……」


「シロウ、頭打った? 気持ち悪さに拍車がかかってる……」

「シアン、酷いなぁーー僕は、いつもこうじゃないか」

「オェーー!キモい……」


「シロウ様は、きっと、サリーナ様の契約者として自覚されたのでしょう」

「クルミ、僕は、いつだってそう思ってるよ」

「おぇーー!は、吐き気が……」


「シロウ様は、きっと、大人になったからでしょう。私が……」

「いけませんよ。ドラ子。そんな事をおっしゃっては」

「オェーー! キショ!」


「皆さんは、冒険者なのですか?」

「そうです。貴女の為に、ここまで来たのです」

「あの〜〜シロウさん、手を離してくれませんか?手汗が気持ち悪いです」

「この汗は、貴女の事を思うと、出てしまうのです」

「き、気持ち悪いです。離れて下さい!え〜〜い!【エアーフラッシュ!】」


 俺は、風の風圧で飛ばされたみたいだ。


「あれ、ここどこ?」

「シロウ様、大丈夫ですか?」

「クルミ、俺、何してたの?」

「シロウ、頭を打っておかしくなってた。もう一度、頭を打ったから治った」

「まさか〜〜そんな漫画みたいな事、あるわけないじゃん」

「本当です。先程までのシロウ様は、とても気持ち悪かったです」


「あの〜〜ごめんなさい。吹き飛ばしたりして……」

「えっと……エルフの……」

「ペリンです。あなた達をエルフの郷に案内しています」

「そうだった……記憶はあります……大丈夫です」

「良かったです。でも、そのまま、永遠に眠っていてくれた方が良かったです」

「はい? 俺、何かしました?」

「はい。とっても気持ち悪かったです……」


 俺は、記憶が所々欠除していた。


 ……深く考えないようにしよう……


「で、エルフの郷に案内してくれるんですよね」

「はい。ルシファーさんを連れていってくれるって約束で……」

「わかりました。よろしくお願いします」


 いろいろあったみたいだけど、エルフの郷へ俺達は向かった。




 ◇◇◇



 エルフの郷は森の中だと予想していたが、確かの入り口は森の中だった。それも霧に覆われ、案内なしにこの森に入れば100%迷うと断言できる。ペリンは、大きな大木に近づきそそのまま歩いていく。普通なら木にぶつかるのだが、その木は大きな樹洞があり、何かの仕掛けで隠されていたようだ。


「皆さん、こちらにお入り下さい」

「こんなとこに入り口があるんだ。これじゃあ、わからないはずだよ」

「ルシファーーは、どうやって中に入ったのかしら?」

「シアン、ルシファーは、元天使の王です。これぐらいの仕掛けなど見つけるのは容易いでしょう」

「そうよね。ドラ子さんも上級悪魔だもんね。普通に接してたから忘れてたわ」

「私は、その方が気を使わなくて助かりますけど……」


「おい、みんな入ろうよ」


『はい』


 俺達は、その大きな樹洞に入る。すると、転移なのか? ……あっという間にエルフの郷に着いた。


「転移魔法なのか?」

「はい。皆さんが使っているものとは違いますが、郷と、入り口を結ぶだけのものですけど」

「ここが、エルフの郷か……森の地下なんだね。どうりで見つからないわけだ」

「外と同じように、太陽の光も入ります。もちろん増幅する仕掛けを施してありますけど……」

「綺麗なところね〜〜、言葉に言い表せないわ。妖精もたくさんいるし……」

「冥府と同じ仕掛けのような気がします」

「素敵なお家がいっぱいですね」


「妖精って、妖精が見えるのですか?」

「はい。私は、生まれつき妖精の目を持ってます」

「それは、素晴らしいです。エルフでも妖精を見れるのは族長だけですから……」

「そうなのですか?」

「はい。きっと、人族の方でも族長は喜ぶと思います。こちらです。まず、族長にご挨拶をお願いします」


 ……シアンが気に入られてくれれば、話が通りやすいけど……


 エルフの族長が住まう家は、大木の中腹にあり、エルフの郷を見渡せるように作られていた。木で作られている螺旋階段を登ると、広いデッキに出た。入り口はすぐそこだ。


「結構、登るんだね。エルフの人って疲れないの?」

「普段は、このデッキまで、飛んで来ますから……階段を利用したのは、私も久し振りです」

「エルフは飛べるのか〜〜それなら、納得できるよ」

「はい。古代からの魔法がそのまま残って伝わってますので……」


「どうぞ、中にお入り下さい」


 中に入ると、木の良い香りがした。ルアンの森の里を思い出す。

 奥には、応接間らしいところがあり、俺達はそこで待つことにした。


 ほんの数分だろうか、ペリンと一緒に入って来たのは、中学生くらいの年格好をした少女のエルフだった。


「お主らが、ペリンの言ってた冒険者たちか……儂には、違うように見えるがな」


 ……妖精眼を持っている相手に嘘はつけない……


「冒険者である事は事実です。俺達がここに来たのはルシファーを連れて帰る為です。冒険者の仕事ではありませんが、ある方に頼まれたのは事実です」


「嘘はついてないようじゃが……しかし、変わったメンツじゃのう〜〜、吸血鬼に鬼族の娘、それに、お主達人族は、この世界の人間ではないときた……こんな客人は初めてじゃ」


「えっ!そんな方々だったのですか?」

「見かけは普通の人にしか見えんが、中身は、誰もが異質な存在じゃ」

「ま、まさか……私を騙したのですか!」

「ペリンよ。違うみたいじゃぞ。言ってる事は本当のようじゃ」


「族長の言った通り、変わったメンツですが、ペリンさんを騙したわけではありません」

「そ、そうですか……私の早とちりですね……」

「いいえ。こちらが、きちんと説明しなかったのが悪いんです。俺も、どう、説明しようか迷ってたくらいですし……」


「その人族の女子は、儂と同じ妖精の目を持っておるなぁ。この目を持ってる者に会うのも久しぶりじゃ。せっかく来たのじゃ。歓迎しようぞ」


 どうやら、エルフ族長に受け入れられたらしい。


「あの〜〜ルシファーは、どこにいるんですか?」

「この郷の外れの館におる。歩くと半日かかるぞ」

「この郷ってそんなに広いんですか?」

「あぁーー広いぞ。ここは、ある意味、別世界じゃからのう」

「別世界?」

「説明はあとじゃ、ゆっくりしてくれ。そのうちわかるじゃろうし……」


 この郷にも何かの秘密がありそうだ。俺達は、ペリンが入れてくれたエルフご自慢のお茶をご馳走になりながら、今までの経緯を簡単に説明するのだった。




 ◇◇◇



 エルフの族長の話だと、ルシファーーがここに来たのはリーナのがパンドラの箱から解放された時、その衝撃でここまで吹き飛ばされて来たようだ。エルフの結界をあっという間に破り、郷外れの館に居ついてしまったようだ。

 エルフは、始め敵が侵入して来たものと思い、討伐を試みたが、相手が堕天使だとわかり、手に負えないで今まで時間が経ってしまったらしい。それに、ルシファーが誰かを傷付ける行為や暴れる様子もなかったのも一因である。


 しかし、ルシファーは、ワガママで、アレしろコレしろと煩く言うので、エルフ達も困っていたらしい。


「ルシファーは、どこ行っても嫌われるタイプですから……」

「私は、まだ、お見かけした事はございませんけど、冥界の噂では、キモ堕天使と言われてました」

「どんなけ、評判悪いんだ。大人しくいうこと聞いて冥界に来てくれればいいんだけど……」

「堕天使は、プライドが高い。教会ではそう、教わった」


「まぁ。ルシファーも俺達が来てる事ぐらい気づいている事だろうし、とにかく、一度会って話をしないと始まらないよね」

「シロウ様は、加護があるから大丈夫でしょうが……シアンはここにいた方が良いと思います」

「私も行くわ」

「そう言いますが、ルシファーは、怠惰の業を背負ってます。話をするだけでも、相手は怠け者になってしまうでしょう」


「そ、そうなんです。あのキモ男と接したみんなは、怠け者のなってしまって、誰も働かなくなってしまったのです」

「ペリンは平気だったの?」

「私も、怠け者になっていました。族長が、治してくれましたが……」

「そうだったんだ……」


 ……ルシファー、なんて羨ましい奴だ……俺も、こんなとこに引きこもって、趣味を満喫したい……


「わかったわ。私は、ここにいるね。怠け者になってみんなに迷惑かけたくないし……」

「そうしてくれる。俺もその方が安心だよ」

「シロウ、待ってるから」

「わかった。すぐ戻るよ。ドラ子、お願い、ルシファーのとこまで転移してくれる?」

「わかりました。では……」


 俺とドラ子とクルミは、ルシファーの引きこもってる館に向かった。




 ◆◆◆



 一方、サツキ達は、ホテルに戻り、遅い食事をしていた。アスカも美味しいご馳走に満足してるみたいだ。


 部屋に戻ると、テレビでニュースをやっている。意味はわからないが、サツキ達が救出した女の子達が無事に戻ってきた事を大々的に報道していた。


「この子達、さっきの子達だよね」

「そうみたい。あの子やそのお父さんもいるし……」

「あっち達のお陰だな〜〜、気分がいいぜ!」


「でも良かったね。みんな無事で……」

「アスカがいなかったら、私、撃たれてたわ。感謝しなくっちゃ!」

「そうか、そうか〜〜気分最高だぜ!」


「ホーーホーー、皆さん、何やらご機嫌な様子でありますな」


「ソラスーー、帰って来たんだーー」

「ホーーホーーもちろんです。島の情報も掴んできました」


「島はどういう状況なの?」

「スズネさんは、気が早いですな。まずは、水を一杯頂いてからお話しましょう」


 ソラスが言うには、島はここから、100キロ程離れた場所にある。船をチャーターして、行くには2〜3時間、みておいた方がよさそうだ。

 島の湾岸部には、武装した兵士がおり、交代で見張りがいる。

 悪魔召喚を行なっている場所は、地下にあり、島北西部の山の麓に洞窟があり、そこから出入りしているそうだ。


「そんなに遠いんだ〜〜もっと、近いかと思ったよ」

「洞窟って、地下で儀式なんかしたら、もし悪魔が召喚されたら崩壊するんじゃないの?」

「あっちは、海見たい!」


「そうですね。私の転移なら一瞬ですが、人が攻め込むには、厄介なところです。それに、スズネさんの言う通り、儀式が成功すれば、悪魔の品格にもよりますが洞窟、いや、島ひとつぐらい破壊されるかもしれませんね」


「そんなに悪魔召喚は、大変な事になるの?」

「もちろん、低級の悪魔でしたらそんなことにはなりませんが、今は、冥界も飢えてますし、洞窟を崩壊させるぐらいの悪魔が召喚に答えても不思議ではありません」


「島には、関係ない人もいるのかしら?」

「そこまではわかりませんが、捕まっている虫ケラなら30名ほどおりました」

「捕まっているって子供達って事?」

「虫ケラは虫ケラですが、そういう言い方もできます」


「スズネさん、大変だよ。さっきみたいな子達がもっといるんだよ」

「ほっとけないけど、エリックさんがね〜〜」

「あっちは、海行ってお刺身とか食べたいぜ!」


「皆さんが行かれるのでしたら、転移先とか安全な場所は見つけてありますが…」

「よしっ!行こう!ねっ、スズネさん」

「そうね……これでは、エリックさん達だけじゃ心配だし……」

「あっち、アワビとか焼いて食べたい」


「そう致しますか?転移は朝方の方がよろしいでしょう。陽が昇る前に連れて行きましょう。それまでは、お休み下さい」

「わかったわ。ソラス、ありがとう」

「サツキ様の為なら、これぐらい朝メシ前であります。ホーホケッキョ」



 ◆◆◆



 夜明け前、サツキ達は、エリック宛にホテルに書き置きをして、ソラスの転移で島を訪れた。辺りは、鬱蒼とジャングルのようだが、近くに小川が流れているようで、水の流れる音がする。


「エリックさん、怒るかなぁ?」

「手紙も書いとしたし大丈夫でしょう」

「しかし、如何にもジャングルってとこね」

「あっちは、こういうとこも好きだぜ!」


 地平線から陽が昇り始めた。周囲が明るくなり、視界がだんだんと開けてくる。


「何、これ〜〜気持ち悪い〜〜」

「ヒルみたいね。サツキちゃん、取るわよ」


 サツキは、ヒルに足を噛まれたらしい。少し、ジンジンする……


「回復魔法をかけましょう【ヒール!】」

「ソラス、ありがとう」

「たいした事はありません」

「ヒルとヒールってか!」

「アスカちゃん、そういう事でふざけては、いけません!」

「わかったよ〜〜もう、スズネは、怖いんだから……欲求不満なのか?」


「静かにして下さい。誰か来るみたいです……」


 ソラスの気配感知が誰かを捉えた。茂みの中をガサガサと葉が擦れる音がする。相手は、どうやら、小川の方に行くみたいだ……


「こんな時間に誰かいるの?」

「見張りでは無さそうだし、獣でもないわね」

「あっちが、ちょっくら見てくるよ〜〜」


 アスカは、音のする方に行ってしまった。


「お〜〜い!こっち来てくれ〜〜」


 アスカの声がする。


「もう、アスカちゃんは、静かにしないとダメなのに……」

「何か気になるわね。行ってみよう」


 2人と1魔は、アスカのところに向かう。すると、そこには、全身傷だらけの男の子がいた。





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