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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第3章

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第58話 ーーー黒十字教の元へ(2)ーーー

 




「すごい部屋ね。本当にこんなとこに泊まっていいの?」

「はい。皆さんはここで休んでて下さい。私は現地の諜報員と連絡を取ってきます」

「えっ? エリックさん出かけるの?」

「はい。今後の予定を調整してきます」

「私達も行こうか?」

「サツキさん達は、ここまでデス。情報提供と転移魔法でここまで私を連れてきてくれただけで終わりデス。後は、大人の仕事デスから」

「私達も行くわ」


 エリックはそう言うサツキ達の前で懐の忍ばせていた拳銃を取り出した。みんなは、それを見て言葉を失う。


「これからする事は、こういう事デス。悪魔や悪霊ならサツキやスズネ達の力を借りなければなりませんが、今度は、人相手デス。サツキは、人を殺せますか?」


「ごめん。無理そう……」

「それが、正解デス。サツキは、良い子デス。ここで、待っていて下さい。せっかくですから、ホテル内では、買い物も自由に出来ます。プールもあるみたいデス。楽しんで下さい。では……」


 エリックは、足早に部屋を出て行った。携帯を取り出し誰かと連絡を取っているみたいだ。


「そうよね。今度は、人相手だもんね……」

「わかってたけど、拳銃見たら言葉が出てこなかったわ」

「あっちも拳銃撃ってみたいぜ!」

「先程から、拳銃という言葉を言ってますが、それは何でありますか?」


「ソラスは拳銃知らないのか……火薬を爆発させて、高速で鉄の玉を撃ち出す武器の事よ」

「ホホーーそれは、興味深いであります。要は、鉄の魔弾と言ったところでしょうか……。一度、受けてみたいものであります」

「ダメだよーー当たったら死んじゃうんだよ」

「それ程の威力ですか……これは、ますます興味があります。さて、私は、散歩をしてきましょう。もし、島に行く必要ができたら人目のつかない転移先を調べておく必要もありますし……」

「ソラスも行っちゃうの?」

「すぐ戻りますので、ご安心を……では」


 ソラスも窓から飛び立ってしまった。部屋に残された者達は……


「もうーー、ここで休んでいてもしょうがないわ。サツキちゃん、アスカちゃん、買い物よ。まず、服を買うわ。それと、冷たい飲み物」

「スズネさんに賛成ーー!」

「あっちも実体化して楽しむか!」


 女性達は、ホテルで買い物みたいだ。




 ◇◇◇



 街の中央街から路地に入ったところにある店をエリックは訪れていた。

 店の店主がエリックの顔をみて奥の通路に通す。通路の両脇にはドアが規則的に並んでおり、一番奥のドアをエリックはノックした。


すると、ドアの向こうから……


「サン・ピエトロ」

「安らかに眠る」


 合言葉らしい。中から、日焼けした精悍な男性が現れ、エリックを招き入れた。部屋の中は、8畳ほどの大きさに剥き出しの水道管があり、奥には、もう一つ部屋がある。どうやら、ここはアパートの一室のようだ。


「よく来た。俺はアルディーだ。エリックの情報でやつらが何をしてるか理解したよ」

「エリックです。よろしく」

「予定より早かったけど、どうやって来たんだ?」

「それは、秘密です。状況はどうなんですか?」

「うちの女性諜報員との連絡がもう、一週間途絶えている。何かあったとしか考えられない」

「そうですか……無事でいてくれれば良いのですが……」

「今回の情報の出所はどこなんだ?」

「日本です。悪魔との交信ができる人物から聞き出しました」

「日本にそんな奴がいるのか? その方が問題だと思うけど……」

「監視してますから、今のところは大丈夫です。本人も逸脱する気はないみたいですし……」

「平和な国だし、のんきに育った奴なんだろう?」

「確かにそうです。けど、日本人は、稀に見る戦闘民族であると思われます」

「確かに、今は平和ボケしてる奴らが多いが、あの島国は、戦の歴史で成りたっているからな」

「はい。大陸からの文化を吸収しつつも独自の文明を築き上げた民族デスから」


「島の方は、何人ぐらいいるのでしょうか?」

「50〜100ってとこだ。詳しい人数までわからない。定期的に船が着くそうだ。子供達は、それで運ばれてくるらしい」

「酷い話デス」

「あ〜〜この仕事始めて、こんなに気が滅入るのは初めてだ」

「他には?」

「島の南部では麻薬の栽培をしている。それが収入源みたいだ」

「宗教集団とは思えない所業デス」

「まぁーー俺達も似たようなもんだがなぁ……」

「そうですね……」


「武装の状況は?」

「湾岸沿いに、兵士達がいる。ここは物騒だからな。いて当たり前だが」

「どんな装備デスか?」

「ロシア製のPK機関銃がメインだ。それと、M7グレネードランチャー、ロケットランチャーもあるらしい」

「一個中隊並みですね。兵士の制圧、人質の確保。主要人物の捕獲、若しくは殺害、これでは達成目標が多すぎます」

「あ〜〜こちらも応援を要請しているが、到着まで2、3日はかかるらしい……」

「こちらの地元警察はどうんなんですか?」

「あ〜〜ダメだ。賄賂と癒着の世界だ。あてにはならない」

「そうですか……」

「まぁ〜〜あとは、応援が来てからの話だ。しばらくこっちにいられるんだろう?」

「そう思っているのですが……」

「何か別件があるのか?」

「いいえ。そういうわけではないのですが……それは、こちらの話です」

「じゃあ、上陸手段でも煮つめようか?酒でも飲みながら……」

「いいですね。頂きます」


 二人の話は、夜通し続いた。




 ◇◇◇



「ねぇねぇ、この服、可愛くない?」

「サツキちゃんは、こっちの明るい色の方がいいんじゃないの?」

「そうかぁ〜〜私、いつも、黒、選んじゃうんだよね」

「あっちは、これが良い」

「アスカちゃんは、何でヒョウ柄?もっと、子供らしい可愛いのが良いと思うけど〜〜」

「そういうスズネは、そんなフリフリ似合わねーーぞ!もっと、気合いが入った、そう、これなんか良いと思うぜ」

「何これーー!無理だよ。背中、まる見えじゃん」

「ねェ、水着もあるよ。プールあるってエリックさん言ってたでしょう。買っちゃおうか?」

「どれどれーー、本当だ。買おうか?」

「うん。決まりね。アスカちゃんも買うでしょう?」

「水着って……あっち、泳いだ事無いし……」

「そうだよね……私が泳ぎ教えてあげるよ」

「じゃあ、みんなで水着買おう!」


 女性達が騒ぎながら買い物を楽しんでいると、ホテルのロビーには、警察官らしき人達が行ったり来たりしていた。


 サツキ達は気にしないでロビーを通り過ぎようとすると、一人の女の子が頭から血を流しながら、ソファーに座っている男性の前を行ったり来たりしていた。


「あの子、怪我してるよ。手当しないと、大変だよ」

「待って、サツキちゃん。あの子、この世のものじゃないわ……」

「えっ!」


「あっちが何があったか聞いてくるよーー」

「アスカちゃん。言葉通じるの?」

「霊体なら、思念で伝わるんだ〜〜」


 そう言ってアスカは、その女の子のところに行き何やら話し込んでいる。


「サツキーー!スズネーー!わかったぞーー!」

「どうしたんだって?」

「3日前、このホテルから連れ去られたらしいんだよ。いきなり殴られて袋みたいな物に包まれて…あそこにいるのは、その子のお父さんだってよ」

「て、事は……亡くなったの?」

「あいつは、霊体でも生霊だ。まだ、本人は生きてる」

「大変じゃない。早く助けなきゃーー」

「そうね。あの状態じゃあ、生霊でも、本人はかなり衰弱してるわ」

「アスカちゃん。あの子にどこに連れ去られたか案内してって聞いてみて」

「あいあいさァーー!」


 アスカは、心配そうにソファーに、腰掛けている男性のそばを離れないその生霊に、思念で会話していた。そして、その子とアスカが来ると、


「海の近くらしいぞーー!案内してくれるってさ」

「スズネさん、あのお父さんも連れて行く?」

「いや、やめておこう。父親なら、我を忘れて危険な行動に出るかもしれない。それに、言葉も通じないし」

「そうだよね。じゃあ、私達だけで行こう」


 アスカの話によると、その子は大陸から、家族と一緒に観光に来ていたらしい。母親は、体調を崩し、部屋で休んでいるようだ。お父さんは、心配して探し回ってくれたみたいだが、見つからなかったそうだ。その子が生霊となって、ここに現れたのは、ついさっきの事で、本人の霊体も訳がわからなかったらしい。


「スズネさん、生霊って何?」

「生きているものの思念の塊だとお祖父さんから聞いたことがある。余程の精神状態じゃないと出てこれないとも……だけど、体質的に、生霊をすぐ出せる人もいるんだって……本人の、意思に関わらず出てしまうので、気づかない人も多いけど……」


「そうなんだ。思念の塊なんだ……余程、怖い目にあったのね」

「そんな話はあと、あと、あの子早いからくっちゃべってると追いつけないぜ!」

「本当だ。早い……」

「よ〜〜し!あっちが霊体になってついてくよ。後から追いかけて来な!」

「わかった。お願いね」


 アスカは、霊体になり、空を飛んで追いかける。その子の生霊は、何かに引っ張られるように、壁や車をすり抜け、到底、人の足で追いつける速さではない。


「もしかしたら、あの子、黒十字教と関係あるのかなぁ?」

「行ってみないとわからないけど、油断しないで……相手は人間よ」

「わかってる。でも、こんな事、許せないよ」

「私もそう思うわ」


 アスカが、空からある建物を指差してる。港に近いコンクリート製の頑丈そうな建物だ。


「割と大きな建物ね」

「え〜〜、もしかしたら、連れ去られ子はあの子だけじゃないかも……」

「スズネさん、そうなの?」

「いろんな気配がするわ……それに、もう、悪霊になってる子もいる……」

「えっ?」

「あの建物の、近くに黒い塊が見えるでしょう?あれは、魂が暴走状態になっているのよ。普通の人間が近づくと具合が悪くなるわ」


「お〜〜い、中見て来たけど、地下室に6人の女の子が隔離されてるぜ!それに見張りは、ガラの悪そうな奴らが4人、今、麻雀してるよ」


「アスカちゃん、ありがとう。捕まってる女の子の救出を急ぎたいけど、見張りをどうにかするのが先ね。仲間を呼ばれたら、面倒だし……」


「じゃあ、私が、子供達を救出するわ。回復魔法も使えるし」

「わかった、じゃあ、行こうか!」

「うん」


 スズネは、護符を取り出し【顕現せよ!破魔の剣!急急如律令】と唱えた。護符が破れ、破魔の剣が出現する。

 そして、サツキは、亜空間ボックスから、異世界で使ってた片手剣を取りだす。


 サツキ、スズネ、アスカは、その建物に侵入するのだった。




 ◇◇◇



 アスカが壁をすり抜け内側から窓の鍵を開ける。みんなが入った部屋は寝室だった。酒ビンがあちこち転がっている。


「こんなに散らかってるとこ見たら、シロウ兄だったらすぐ掃除しだすよ」

「そうかもね。本来の目的忘れて、掃除に夢中になりそう」

「そうそう、そんな感じ」


「おい、この部屋出ると、廊下の先の部屋に見張りがいるよ。地下室の入り口はその部屋の手前の階段から降りれるよ」


「ありがとうね。アスカちゃん」

「アスカちゃんは、こういう時、便利ね。一家に一幽霊欲しいわ」


「エヘヘへ、それほどでもね〜〜よ」


「私が先に行って、見張りをかたずけるわ。その隙に、サツキちゃん、子供達をお願いね」

「わかった」

「ねぇねぇ、あっちは?」

「アスカちゃんは、遊撃よ。私達がピンチになったらお願いね」

「遊撃か〜〜カッコいい感じだぜ!」

「行くよ!」


 スズネは、剣を構え、ドアを開け走り出した。相手はまだ気づいていない。

 スズネは、手前の背を向けて麻雀に夢中になっている人物の後頭部を鞘で思い切り突く。その男は、崩れるように椅子から転げ落ちた。

 あと、3人だ。思ってた通り、拳銃を取り出した。右手の奴を剣で薙ぎ払う。鞘付きの剣が首にあたり、その男も崩れ堕ちた。


 正面の男が、拳銃を構えた。スズネは、隠し持っていた独鈷杵(どっこしょ)を左手で投げる。その男の眉間に当たり、気絶した。しかし、左手の男は、拳銃をスズネに向けて発砲した。

 その弾は、スズネの頬を掠めながら、なびく黒髪を数本切り裂いた。

 しかし、スズネは、破魔の剣でそいつの首筋を叩く。その男は、目を見開きながら、スズネを見て倒れ込んだ。


「よっし、制圧完了っと……」


 しかし、見張りは4人では無かった。一人、トイレに入っていた。

 銃声の音がしたので慌てて出てきたみたいだ。ズボンが垂れ下がっている。

 手には拳銃が握られており、スズネは、気づいていなかった。


「あれ〜〜もう一人いたんだ〜〜」


 霊体のアスカの声で、スズネは後ろを向く。拳銃は、発砲されたが、明後日の方向に飛んで行った。アスカが便器掃除のスッポンでそいつを叩いたからだ。


「アスカちゃん、助かったよ」

「へへーーい。こいつは、トイレ地獄の刑にしよう〜〜」


 アスカは、トイレってペーパーを取り出しそいつをグルグル巻きにする。そこにあるだけのトイレットペーパーを巻きつけた。いくら紙でも、これでは身動きできない。


「ミイラ男の出来上がりっと……」


 アスカは、その男を思い切り蹴飛ばした。男は、便器に頭を打ち付け気絶したようだ。


「げっ!こいつ、流してねーーじゃねーーか!う◯こマンだな」


 この男が、見張りの中で一番惨めば気絶だった。



 ◇



 一方、サツキは、スズネが飛び出してすぐに地下室に向かった。階段を降りると中は暗かった。


「どっかに電気のスイッチないかなぁ……面倒だ。【ファイヤーボール!】」


 サツキは、火魔法で、火の塊を出現させ灯の代わりをした。

 部屋の中には猿ぐつわをかまされ、両手両足を縛られた女の子が横たわっている。

 みんな、死んでいないようだけど、気絶してるようでもない……


 サツキは、部屋の電気を見つけ灯りをつける。すると、注射器が何本も転がっていた。


「もしかして、薬を打たれたの……騒がられない様に……なんて、ひどい事を……」


 女の子の拘束を剣で切り解いていく。そして、


【ヒーール!】


 回復魔法を唱えた。ルアンダ国の獣人を救った魔法だ。


 女の子達の怪我が治っていく……

 意識も回復してきたみたいだ……


 その中に、さっきの生霊の女の子がいた。着ている服も一緒だった。


「@#¥@#@¥%@#」

「#¥…@#¥@###¥」


 女の子達が気づいたようだ。何かを話しているが通じない。

 サツキも、言葉をかけた。


「みんな、大丈夫?今、外に出してあげるからね」


「#¥…@#¥@###¥」


「歩けるかなぁ〜〜私について来れる?」


「#¥…@#¥」


 サツキは身振り手振りでみんなを誘導する。みんなの身体の具合は大丈夫そうだ。


 そこに、スズネ達がやってきた。


「こっちは、片付いたわよ。さぁーー行きましょう」


 スズネを先頭に階段を登り、家の外に出る。

 みんなの顔に笑顔が戻った。


「ちょっと待ってて……」


 スズネは、建物の側にある黒い塊のところに行った。さっき、スズネが悪霊って言ってたものだ。


【十方三世。一切諸佛。諸菩薩。願わくば。いまだ成仏せざらん亡者は有縁の浄土へ。とく成仏をなさしめ給え。急急如律令!】


 と唱えた。手は、宙を網の目を書くように動いている。


 すると、黒い塊は、段々と薄くなり、その場から消えて無くなった……


「スズネさん。今のは?」

「悪霊をあるべきところに帰したのよ。私の仕事だから……」

「すごいね〜〜。感動したよ」

「こうなる前なら、いろいろできたんだけど、もう、自我もない状態だから強制的に送るしかなかったの……」

「ここにいるよりずっといいよ」

「そうね……」


「おい!お前ら、そろそろ帰ろうぜ!こいつらも、このままじゃマズイだろう!」

「わかった。サツキちゃん、行こう!」

「うん」


 救出された子供達は、近くのホテルに案内した、言葉が通じないので、ホテルの人達に任せたのだ。


 そして、サツキ達は、自分のホテルに戻っていった。







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