表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/132

第56話 ーーールシファーを探そう(2)ーーー

 




 俺達は、ドラ子の転移魔法で獣人の国ルアンダ国に転移した。いきなり、里の中に現れるのは無理があるので、今は、ルアンの森の里の近くの森林にいる。


 俺達は、転移してすぐに、ブラックウルフという魔物に囲まれてしまった。


「いきなり、戦闘ですか〜〜?」


 俺は、フェニックスがくれた勇者の遺品から、片手剣を取り出し構えた。

 すると、何故かみんなが笑い出した。


「シロウ様、わはははは、お尻突き出して〜〜何ですか? その格好〜〜」

「シロウ様は、ブフッ!さ、下がっていてくださぃ〜〜」

「シロウの戦闘力が今、わかった……もう、ダメーー!おかしぃ〜〜」


「みんなひどいよ!俺、そんなに変?」


『はい……ギャハハハ〜〜』


 と、みんなが笑っているうちに、ブラックウルフが飛びかかってきた。

 敵も、弱い相手がわかるらしく、標的は俺になっている。


「わぁーー!」


 襲いかかったブラックウルフを避けると俺は、剣を落としてしまった。

 次の攻撃が来る。俺は、みんなを見ると、お腹を抱えて笑っており、頼りになりそうもない。

 仕方なく、拳で魔物を殴り飛ばす。すると、魔物は遥か遠くに飛んで消えて行った。俺は、次々と襲いかかって来るブラックウルフを殴り飛ばした。


 シアン達も笑いながら、自分に襲いかかって来るウルフと戦っている。誰もが簡単にウルフをやっつけていた。

 意外だったのはシアンだ。身のこなしが早い。


 すると、


【ポミャン……レベルが10に上がりました……うふふふ】


 ……おい!脳内アナウンスまで、笑う事ないだろう!……


「何なんだよーーもう〜〜」


 そうこうしているうちに、ブラックウルフの群れを討伐した。俺は、レベルが久々に2つも上がったのが嬉しかった……けど、


「何なんですか? シロウ様は……私達を笑い殺しにするつもりなのですか?」

「シロウ様は、きっと、練習すればできる子になります……ブフッ」

「シロウはシロウで、お尻合い?」


 ……俺が剣を構えるだけで、何でそんなにおかしいの? シアンの思考は意味不明だし、理解できないよ……


「さぁーー、もう、行くよ!」


 そう言って、ルアンの里に向かおうとした時、奇妙な視線を感じた。俺は、直ぐに全マップ探索で確認したが、近くには誰もいなかった。


「気のせいか……」


 俺は、みんなの笑い声を背に、ルアンの里を目指した。




 ◇◇◇



 ルアンの里に着くと、門兵が俺の事を覚えていたらしく、いきなり握手を求めてきた。そして、門の休憩所に通され、少し待っててくれと言われた。


 10分ぐらいだろうか……休憩所でお茶をご馳走になっていると、あのシロクマ耳の獣っ子、モモリー姫が現れた。


「サツキ様のお兄様のシロウ様ですよね。お、お久しぶりです。どうして、すぐに来て下さらなかったのですか? サツキ様はお元気ですか? シロウ様は?」


 矢継ぎ早の質問に戸惑いながらも、俺は、そのシロクマ耳に目が離せなかった。


「ご無沙汰しております。モモリー様。今日は、お聞きしたいことがありまして、この里に寄らせてもらいました」


「シロウ、こ、こ、この可愛い耳……シロクマ耳さんは誰なの?」


 ……そうだった……シアンは可愛いものが好きだったんだ……


「こちらは、この国の王女様のモモリー姫様だよ」

「名前まで可愛い……」


 シアンは、モモリーに夢中になっていた。


「シロウ様、ここでは英雄様に失礼です。どうぞ王宮までお越しください」


『英雄様ーー!』


「シロウ様が〜〜あのお尻で〜〜?」

「シロウ様は、できる子にだったんですね〜〜あのお尻で〜〜」

「シロウ、この国ではお尻を突き出す事が英雄の証なのか?」


「みんな、言い方ってもんがあるでしょう? とにかく説明はあとで!」


「皆さんも、どうぞご一緒いらして下さい」


 モモリー姫の好意で俺達は城に案内されるのだった。




 ◇◇◇




 ルアンの里の城は、前にも来たが、ここは、上質な木で作られており、居心地が良い。


「木の香りが、気持ちを落ち着かせてくれるよ。ここは〜〜」

「何かあったのですか?シロウ様がみえる前に森が騒がしかったですけど……」

「この里の近くに転移したんだけど、すぐにブラックウルフの群れに襲われて」

「だ、大丈夫だったのですか……ブラックウルフは、知能も高く群れで行動しますから、討伐も厄介なんですよ」

「そ、それは、何とかなりました……けど」

「けど?」


 連れの女性陣達は、思い出したのか、また、笑い出した。


 ……どんなけ、ツボってんだよ!……


「い、いいえ。何でもないです!」

「そうですか……それならよろしいのですが……?」


 ……マジで、剣術の練習しないと、また、笑われそうだ。

 ……誰かに教えてもらいたいけど……

 ……今いる女性達は?……笑われるから、嫌だ!

 ……他には……サツキは論外。兄の面目が丸潰れだ。

 ……スズネは……平気で無茶しそうで、怖い……


 ……そうだ。アンリエット王女なら、スキル、モーションコピーがあるから、剣術も達人並みだし、あの人は、人を笑うなんてしないだろう。でも、ついてくるよね〜〜メイド1号が……却下!


 ……あ〜〜誰か!無茶しないで、優しくて、それに笑わない剣の師匠がいたら教えてくれ〜〜……


「こちらで、お休み下さい。今、お父様をお呼び致します」


 モモリー姫はそう言って、お付きの獣人に言付けを頼んだ。

 白熊王と会わなければならないらしい……


 ……白熊王は、怖いんだよなぁ〜〜身体もでかいし、声もでかい……


「やぁーーシロウ殿ーー!やっと、英雄様が登場したかーー!」

「ご無沙汰してます。白熊王」

「本当だぞ。あれから、すぐ来てくれるものだと思っていたからな。モモリーなんか『いつ来るの?」ってうるさかったくらいだ」

「お父様、やめて下さい。恥ずかしいです……」

「わっははは〜〜、今日は、ゆっくりしていけるんだろう?」

「実は、エルフの郷を探してまして、ルアンの方なら何か知ってるかと思ってここに寄ったのです」

「エルフの郷か……」

「ご存知なのですか?」

「知ってはいるが、我らとエルフ族の間には盟約があってな〜〜場所を教えられないんだ」

「盟約ですか……それなら、仕方ないですね……」

「すまんな……いくら英雄様といえども約束を違える事は出来ぬ。今回は、力になれない」

「いいえ。こちらで探しますから」

「だが、エルフ族は……いや、まぁ良い。南の方を探すと良いかもな〜〜。これは、独り言だ〜〜」

「はい。ありがとうございます」

「今宵は、宴じゃーー!みんなもゆっくり過ごしてくれーー!ワーハハハ」


 ……方角さえわかれば気配感知で何とかなりそうだ……


「シロウ様、サツキ様はどうされているのですか?」

「サツキは別件で動いています。元気ですよ」

「そうなのですか……お会いしたかったです……」

「伝えておきますよ。サツキもきっと喜びます」

「はい、ありがとうございます」




 ◇



 ルアンの森の里で、夜の宴が始まった。ここの料理は、新鮮でとても美味しい。


「シアンは、モモリー姫と話し込んでる。余程、気に入ったんだな」


 シアンは、モモリー姫の側を離れない。クルミは、出てくる料理の話を熱心に聞いていた。


「シロウ様、ちょっと良いですか?」

「何、ドラ子」

「血を吸わせてもらいたいんですけど……」

「そうか……良いよ。どこでしようか?」

「あの、家屋の裏なら目立たないと思います」


 俺とドラ子は、家の裏手に移動した。全マップ探索で一応確認する。


「良いよ。今なら大丈夫だ」

「ありがとうございます。ご馳走が並んでたので、私もお腹が空いてきました」

「普通の食事も食べるよね。それでも、血は必要なの?」

「はい。吸血鬼にとって血は、身体維持に欠かせないものです」

「痛くしないでね……」


 そういう間も無く、首を噛まれた。痛くない……けど……なに、これ……

 すごく気持ち良いんですけど……


 ドラ子の良い香りが、俺の一部分を隆起させた。


 ……マズい……俺、どうにかなってしまいそうだ〜〜……


「ドラ子、ドラ子!」

「はい、美味しかったです。久しぶりの人間の血でした……」

「そうじゃなくて〜〜その……」

「あ〜〜、成る程〜〜、吸血鬼に血をすわれると催淫効果があります。私が処理しましょうか?」

「えっ!?だ、大丈夫だから〜〜そのうち、治るから〜〜」

「そんな事、言わないでも大丈夫です。すぐ、すみますから〜〜」


 俺の隆起した一部分をドラ子に噛まれた? いや、これは、アレだ……



 確かにすぐにすんだ……



「シロウ様、こちらも美味しかったです。また、お願いします」

「は〜〜い。こ、こちらこそ〜〜」


 ドラ子は、宴会に戻って行った。


 ……悪魔って、こういう事、平気でできるの? 恥ずかしくないの?……


俺は、一皮剥けた大人になった気分だった。その後、顔を赤くしながら宴会に戻る。その後の事はよく覚えてなかった。




 ◇◇◇



 次の日、俺達は、ルアンの森の里を後にした。シアンは、名残惜しそうだ。

 モモリー姫達も寂しそうに見送ってくれた。


 南に進路をとり、森の中を進む。全マップ探索で確認したが、エルフの郷は確認できなかった。


「気配探知でも、こちらの方面にあるのはわかるのですが、場所の特定まではできません」

「ドラ子の気配探知でもダメなら地道に探すしかなさそうだ」

「森の民は、特殊な魔法を使うことができます。きっと、そのせいで気配を感知できないのでしょう」

「さすが、エルフって事だね。この世界に来てもエルフを見かけたのは一度だけだったし、隠れる必要があるのかもしれないね」

「あそこの開けた場所で休みませんか? 獣人達に教わって携帯の食事も用意してきましたので……」

「ありがとう。クルミ。何から何まで……」

「いいえ。それが私の仕事ですから」


 ……この鬼っ娘、良い子だわ〜〜、ずっと、そばに置いときたい……


「シアン、ちょうどいいわ。ここで魔法を教えてあげる」

「本当? ありがとうドラ子さん」

「悪魔は、約束を違えないわ」


「俺にも教えてくれる?」

「シロウ様もですか? 構いませんけど、大丈夫ですか?」

「大丈夫です! 火魔法や回復魔法なら何とか使えるんだから〜〜」

「わかりました」


 ドラ子の教え方が上手かったのか、シアンはみるみる魔法を習得していく。特に風魔法が得意なようだ。


「シアンは、妖精の加護があるから魔法を使う度に妖精が喜んでいるわ」

「ドラ子さんにも見えるんですか?」

「もちろんよ。吸血鬼だし……」

「そうなんです。魔法の発動の手助けをしてくれてます。風の妖精が一番相性がいいみたいです」

「私は、悪魔だから光魔法は使えないけど、そこにいるのは光の妖精でしょう?シアンは、教会の人間だからきっと光魔法の方が適性高いわよ」

「そうでしょうか? 」

「うん、絶対!でも、それは他の人に教わってね。私達とは相性悪いから」

「はい。わかりました」


 シアンは、魔法が使えて喜んでいる。


「シロウ様は、何でもできそうね。その中でも、闇魔法が得意そうだわ。リーナ様やミミー様と契約してるからだと思うけど」

「闇魔法にはどんな使い方があるの?」

「例えば、アンデットを呼び出すとか、相手の意思を思い通りに動かすとかよ」

「死霊系は、アスカだけで十分だよ。これ以上アスカみたいなのが増えたら、素敵な装飾を施したバイクの集団で町中を走り回りそうだ。相手の意思をどうにかするっていうのも気がすすまないなぁ〜〜」


「じゃあ、相手を一時的に暗闇の中に閉じ込める『ブラックシャドウ』なんかどうかしら。戦闘力を奪えるわよ」

「それ、面白そうだ。教えてくれる?」

「いいわ。まず、イメージして……相手の視界、聴覚、臭覚を奪う黒い影を……」

「うん、わかった」

「イメージできたら、ブラックシャドウって唱えるだけよ。呪文は必要ないわ」

「やってみるよ」


【ブラックシャドウ!】


 俺は、目の前にある木に向かって暗闇を想像した。すると、その木は黒い影に覆われる。


「そうそう、初めてにしては上出来だわ。リーナ様と契約してるだけはあるわね」

「初めてドラ子に褒められた気がするよ」

「昨夜は、シロウ様を美味しく頂いたしね」


「食事の用意ができましたよ〜〜」


 クルミの声が聞こえたと思ったらシアンが詰め寄ってきた。


「シロウ、何? どういう事」

「どうしたの?シアン」

「さっき、ドラ子さんが昨夜は、とか言ってた」

「あ〜〜それは、血を提供したんだよ……」

「それだけ?」

「そ、そうだけど……」


「いいえ、あと、シロウ様の……」

「ドラ子、それ、言わないでーー!」


「怪しい……正直に話しなさい!話さないとーー」

「話さないと?」


【トルネード!】


 そう、シアンが叫びと、風が吹き荒れ竜巻が発生した。俺と隷属状態にある為、魔力が高い。

 俺は、竜巻に巻き込まれ、空へと吹き飛ばされてしまった。

 みんなは、口をポカンって開けて俺を見ていた。


「また、こんな展開かーー!!」




 ◇◇◇



 俺は、吹き飛ばされた森の中で目を覚ます。気がつくとそこには、エルフの女の子がいた。


「大丈夫ですか?」

「はい。大丈夫です。美しい貴女に会えて幸せです」

「あの〜〜頭打ちました?」

「はい。少々……」

「すみません。起きてもらえますか?」

「はい。貴女の為なら……」

「良かったわ。薬草が無事で〜〜」


 ……あれっ?この会話、前に一度……


「それでは、御機嫌よう」


 エルフっ娘は立ち去ろうとする。俺は、王都北の迷宮都市での事を思い出した。


「あーー!貴女は、前に一度会いましたよね。北の迷宮都市の森の中で〜〜」

「そういえばそういう事もありましたけど、あの時の方ですか?」

「そうです。そうです。また、貴女に助けられました」

「私は、薬草を撮りにきただけですけど……」

「いいえ!貴女がいたから目覚めたのです!これ、本当です!」

「そんな事言われても、困ります。私達は人族の方と関わらない決まりなので」

「そんな事、言わないで下さい。是非ともお友達、いや、お知り合いになりましょう!」

「何を言ってるのかわかりません。手を離してくれませんか!」

「お願いします。私はシロウです。どうしてもエルフの郷に行かねばならんのです」

「郷にですか? 無理です。人族の方は入れません!」

「そこを何とか、後生です。後生ですから〜〜!」

「貴方のような頭のおかしい人は、ごめんです。私、急ぎますからーー」

「どうしても、貴女の郷にいるルシファーを連れて帰らないといけないんです」

「えっ?それっ!本当ですか? あのキモい奴を連れて行ってくれるんですか?」

「はい。その為に来ました」

「少し、考えさせて下さい」


 エルフっ娘は、何やら思案中だ。俺は、この隙にシアンと念話をし、この場所を伝えた。すると、あっという間に、シアン達はここに転移して来た。


「貴女たちは何者ですか?転移魔法使えるなんて……」

「俺達は、ルシファー探索隊です」

「はい?」


 森の中には爽やかな風が吹いていた……





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ