表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/132

第55話 ーーールシファーを探そう(1)ーーー

 




「凄いです。凄いですわ」


 私はミリエナ国第一王女 アンリエットです。最近、シロウ様をこの王都でお見かけする事がありませんでしたので、この世界には、もう、戻って来られないのでは……と考えておりましたら、何と不思議な事でしょう?

 シロウ様の声が聞こえてまいりましたの……

 私、思い切って頭に中でシロウ様に声をかけましたら、不思議な事にお話しする事が出来ました。シロウ様は、この力の事を『念話』とおっしゃっておりましたが、私には、女神様が私の思いを叶えて下さった物だと信じております。

それに、ソランジュに孤児院のことを頼んだとあとからお聞きしました。

男爵家が商人と関与して市民に横暴を働いていたなんて、とても信じられませんでしたが……。

 ジャルバン男爵は、事務官ドリトスの問い詰めに観念し、今迄の悪事を話したそうです。民の事までご心配されるとは、細かいところまでお気遣いできるのですね……。これで、苦しむ民も救われますわ。


 全て、シロウ様のお陰で……。


「アンリエット様、アンリエット様」

「どうしたの? ソランジュ」

「何かお考え事ですか? もう少し、股を広げてくださらないと入るものも入りません」

「わかったわ。こうかしら……」

「そう、そうです。いいですよ〜〜アンリエット様」

「痛い、痛いですわ。強くしないで下さい」

「いいえ、これぐらい我慢してくださらないと……」


「姉様、姉様」

「な、何ですの? カトリーヌ」

「もう、そんなに足を広げられるんだ。木剣の長さまであるよ」

「まだ、まだですわ。私は身体が硬かったですから、もっと柔軟性を高めないと後から痛みが出ますから……」

「今日も、稽古するんでしょう? 柔軟終わってから?」

「お願いいたしますわ。もう少し、待っててくださいまし……あっ!ソランジュ痛いですわ〜〜!」


 アンリエット王女は、日本から帰国して以来、柔軟運動を欠かさないで続けているのでした……。




 ◇◇◇




 俺とシアン、それにドラ子とクルミは、ミリエナ国の王都に路地裏にドアを開いた。ドラ子とクルミはこっちの世界では、普通に会話ができるので問題ないが、シアンは、異世界初体験なので、ソラスが魔法でミリエナ国の共通語を話せるようにしてくれた。


 この路地裏は、以前、孤児院のシンシアさんを助けた場所だ。人目につかない絶好のドア開閉場所である。


「そうだ。クルミ、角を隠してもらえますか?そうすれば、人間と区別つかないですから……」

「はい。畏まりました」


 クルミの角が光り出した。どうやら透明化できるようだ。


 通りに出ると、そこはファンタジー世界だ。何度来ても、新鮮な感じがする。


「こ、これが異世界なのねーー素敵だわ……」


 シアンが、ここまで感情を表すのは目面しい。余程、こっちの世界に来たかったようだ。


「どこか、諸点を置こうと思うんだけど、宿屋でいいかな?」

「いいわ。シロウ様に任せる。それにしても、久しぶりだわ。人族のところに来たのは……」

「ドラ子なら、霧化して出られたんじゃないの?」

「無理よ。ドラキュラ伯爵でさえ、フォルネウスの体内に入って水転移してたくらいだもの」

「わ、私は、初めてです。人族の街は活気があるのですね」


「じゃあ、まず、宿屋に行って、腹ごしらえしよう」


 俺は、王都に来ると泊まっていた宿屋銀杏亭の向かった。




 ◇◇◇




「えーーっ!1部屋も空いてないんですかーー!」


「わりーな、あんちゃん。今日は5、10日だから、商人の出入りが激しいんだよ。多分、他所の宿屋も一杯だと思うぞ」


 困った……異世界初心者と悪魔達を連れて、どこに行けばいいんだ……

 俺は、他の宿屋も一応当たってみたが、やはり、どこも一杯だった。


 俺は、女性達にお金を渡して、それぞれの武具や防具、日用品などの買物を頼む。シアン達は異世界の買物に大喜びだった。


 俺は、王都で落ち込んだ時、何時も座っていたベンチに腰掛けて、先行きを案じてる。きっと、周りからは、デートプランを一生懸命考えて当日に臨み、行く先々でプランが果たせず、彼女から「計画性が全くないわね!役立たず!」と、罵られ落ち込んでる残念な人に見えるだろう。


すると、


「覗き魔の兄ちゃんだーー!」

「本当だ。覗きのお兄ちゃんだーー」


 聞いたことのある子供の声が聞こえた。

 連れの女性達は、その言葉に反応して、俺の方を見つめている。


「俺は、覗き魔じゃありません。シロウです!」

「あれっ、シロウさんですか?」


 聞いたことのある声だ。振り返ると、あの孤児院のシンシアさんがそこにいた。


「あっ、シアさん」

「どうかしたんですか? あれから、一度もお見えにならないので心配していたのですよ」

「ちょっと、いろいろありまして……その後、どうですか? 孤児院の方は?」

「お陰様で悪事を働いていた首謀者達が捕まりまして無事に暮らしております。それに、王女様から新しい施設を紹介されまして、みんなでそこに移りました。今度の家は、広くて快適なんですよ」

「そうだったのですか……」


 ……あの手紙とメイド1号に感謝だな……


「もし、よろしかったら、うちに来ませんか? みんなも会いたがっています」

「でも、見た通り、大人数で迷惑でしょうから……」

「大丈夫です。今度は施設は別棟もありますし、皆様はそこでお休みできます」


 ……嬉しい誘いだが、どうしよう……


「さぁ、さぁ、早く行きましょう」


 シアさんは、俺達を引っ張って、孤児院に連れて行ってくれた。確かに今度の場所は、敷地も広いし、建物も大きい。


「何して遊ぶ? 覗きごっこ?」

「こっち、こっちだよ」

「あーー、覗きのお兄ちゃんがやっと来たーー!」


 俺の姿を見て、覚えていた子供が一斉に集まって来た。


「シロウ様、これは、どういうことですか?」

「以前、この孤児院のシアさんを暴漢から助けた事があったんだ」

「そうでしたか。わかりました。わ、私も何かお手伝いしましょう」


 クルミは、そう言って、キッチンのある方に向かった。ドラ子は、面倒くさそうに子供の相手をしている。そして、意外だったのが、シアンだ。子供の扱いが、とても上手だ。


 ……シアンの意外な一面を見てしまった……そう言えば名前が似てる。シンシアとシアン。シアがつく人は、子供ウケが良いのか?……


「お待たせしました。お茶と焼き菓子です。前に、お約束しましたよね。今日は、ちゃんと召し上がっていって下さい。それと、クルミさんに手伝って頂きました。お茶を淹れるのがとてもお上手なんですよ」


「ありがとうございます」


 俺達は、子供達と一緒にお茶を飲む。焼き菓子もとても美味しい。


「シアンは、子供の扱い上手なんだな」

「私もエリックも孤児院で育った。こういうのは慣れている」

「そうだったんだ……なんか悪い事聞いちゃったな」

「スズネも同じこと言った。日本人は、気にし過ぎ。どんな環境で育とうが今、どうしてるかが大事だと思ってる」

「そうだね……」


 ……いきなり深い言葉なんですけど〜〜……


「シロウ様、私はどうもこういうのは苦手であります。子供達は何をするにも全力ですので、扱いが難しいです」


「良いんですよ。色々な人がいて、色々な考えがあって、でも、子供達を見てればわかります。その人がどういう人なのか……きっと、彼女はとても愛される方だと私は思います」


「シアさんが言うなら本当でしょう。良かったね。ドラ子」


「えっーー!ドラ子って言うんだ。ドラ子!ドラ子!」


「ドラ子って言うなーー!言った奴はお仕置きするぞ〜〜!」


『わ〜〜〜い!』


 ドラ子は子供達を追いかけて行った。子供達は嬉しそうに逃げ回っている。


「シロウさんは、これからどこに行くつもりだったのですか?」

「明日、エルフの郷に行こうと思いまして、今日は、何処かに泊まろうとしたのですが、宿屋がどこも一杯で……」

「泊まるなら、離れを使って下さい。皆さんが泊まれる部屋数はありますので」

「良いんですか?」

「構いません。子供達も喜びますので」


 俺達は、何とか宿泊先を確保できたみたいだ。




 ◇◇◇




 夕食後、孤児院の離れでルシファーの件で俺達は、話し合っていた。


「ドラ子は、ルシファーの居場所、気配とかでわかるの?」

「だいだいはわかりますけど、距離が離れていると正確な場所の特定は難しいです」

「クルミは?」

「私は、幹部達のような特大の気配感知はありません。せいぜい、この王都の内ぐらいです」

「それでも凄いと思うよ。しかし、困ったなぁーー、俺のスキルではチェックいれとかないと場所の特定はできないし、ひとつひとつ鑑定してたら時間がかかり過ぎるし……それに、地図を探しても何処にもエルフの郷という記述が見当たらないんだ」


「私の妖精眼は直接見ないと特定は難しい。けど、妖精達に聞けば居場所がわかるかもしれない」

「シアンは、妖精と話ができるんだ?」

「話はできない。こちらの言うことを妖精は理解するので、身振り手振りで教えてもらう」


「凄いわね。人族なのに妖精に懐かれるなんて」

「生まれ持った宿命。でも、良いことばかりではなかった……」

「私の場合、望んでドラキュラ伯爵から血を頂いたから、生れながらというのは大変かもね」

「私も鬼族と人族のハーフでしたから、小さい頃から差別の中で暮らしてきました。それを、助けて頂いたのがサリーナ様です」


「リーナもハーフだから思うところがあったのかもしれないね。それにしても、エルフの郷って、どこにあるんだ?」

「エルフは古の森の民ですから、獣人達なら知っている可能性があります」

「そうだね。ドラ子の言う通り、獣人の国ルアンダ国で情報を仕入れよう。明日の朝、出発でいい?」


『はい』


「ルアンダ国は、魔獣も多いから、準備だけはしておかないと……シアンは街で武器買ったの?」

「私は、魔法杖を買った。あとで、ドラ子さんに教えてもらうつもり」

「そうなんだ。俺も教えてもらおうかな……ドラ子は何買ったの?」

「私は、持ってるから買ってないです。霧化してあるのでいつでも取り出せます」

「因みにどんな物?」

「これです」


 黒い霧からあっという間に大鎌が現れた。


「おぉーー、凄い……大鎌なんだね。ドラ子に似合ってるよ」

「ありがとう御座います。シロウ様に褒められると良い気分です」

「そ、そう。クルミは?」

「私は、これです」


 クルミも亜空間から武器を取り出した。大きな金棒だった。


「凄い!これ、重そうだけど持てるの?」

「はい。鬼族は力がありますので問題ないです」

「そうなんだ……」


 ……みんな強そうだ……俺も剣の練習とかしてみようかな……


「シロウ様は、何の武器を使うのですか?」


「え〜〜と、その〜〜、実は……武器を使って戦った事ない……」

「はい?」

「だから、武器を持って戦ったことがないんだよ!」

「この世界に来て、どうやって生きてこれたのですか?」

「俺が剣を振る前に、リーナ達が全部倒しちゃったんだよ」

「あ〜〜なるほど……つまり、シロウ様は、戦闘に関しては役立たず、という事ですね」

「ドラ子は、正直に言いすぎだよ……」


「そんな事はありません。シロウ様は、きっとやればできる子です」


 ……クルミ……その慰め方やめて……惨めになるだけだから……


「シロウは、日本で暮らしていたのだから仕方がない。武器を持たなくても過ごせるって事は、とても幸せな事」


 ……シアンの言葉は重みがあるよ。何があったの?……


「シロウ様が役立たずという事で、明日は、女性達で頑張りましょう」

「ドラ子、俺も頑張るよ」

「いいえ、きっと邪魔になるだけですから……」


 ……ドラ子って容赦ない性格だな……


「明日は早いので、このへんにしておいて早く休みましょう。私は、久々の人族の世界の夜なので、散歩してきます」

「散歩って、これから?」

「基本、吸血鬼は夜、行動するものです。でも、安心して下さい。血を吸ったりしませんから……後で、シロウ様からちゃんと頂きますので……」


「シ、シロウ、ドラ子さんとそんな約束したの?」

「シアン慌てないで〜〜成り行きでそうなったけど、俺も、納得してるから」

「シロウの血を吸うなら、私の血を吸って!ドラ子さん」


「ごめんね〜〜私、男性からしか血を吸わないのよ〜〜それに、これはリーナ様との約束でもあるから……」


「シロウ、そうなの?」

「ドラ子の言う通りだよ。シアン、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」

「そ、そう……シロウがそう言うなら……」


「じゃあ、私、行ってくるね〜〜。情報も仕入れてくるから〜〜」


 そう言ってドラ子は、出て行ってしまった。夜は悪魔の血が騒ぐのかもしれない。


「クルミは、出かけなくていいの?」

「私は、夜、出歩く習慣がありません。シロウ様達と一緒にいます。それと明日の携帯用の食事の用意をしておきませんと……」

「俺も手伝おうか?」

「シロウ様に手伝わせる訳には参りません。私、一人で大丈夫です」

「わかった。でも、手伝える事があったら言って下さい」

「はい。サリーナ様が、シロウ様と契約された理由がわかる気がします」

「リーナが?」

「はい。でも、それは内緒です……」


「シロウは、クルミさんと仲良いんだーー!」

「な、何、怖い顔してんの?シアン……」

「シロウには、内緒!」


 そう言って、シアンは部屋に入ってしまった。

 俺は、どういう事か、わからなかった……





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ