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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第1章

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第5話 ーーーラスボス VS レベル2ーーー

 




 王宮前広場は、さっきまでの様相と異なり、戦場跡のようになっていた。広場中央には、大きな半球形の光の壁が見える。その中に、あの裸の子と一諸に来た人達、騎士や兵士と一般人とみられる人達が30人程集まっていた。


「もしかしたら、結界魔法かな?」


 俺は、降り注ぐ塵と埃の中で、スキル 全マップ探索を用いて状況を調べる。


俺は、マップを拡大して自分の位置を把握した。


「ここは、王宮前の広場なんだ……すると、さっきの爆発は王城からか?」


 自分の周りをマップで見ると、城の傍にある建物跡から黒煙がゆらめいている。拡大して、見ると大きな黒い炎を纏った黒い物体が兵士らしい人物に攻撃されていた。


「あれが、この騒ぎの元凶? マップから、ステータスが見られると便利なのだけど……」


 そう思うと、黒い炎の物体のステータスが表示された。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 サリーナ=アスモ=サタン(1313歳) 冥府の王 第二子女


 Lv 866


 HP 2305/188000

 MP 3217/268000


 強制覚醒による魔力暴走状態


 SKILL

  冥府の黒炎

  古代魔法

  攻撃魔法(闇・火・水・風・土)特大

  回復治癒魔法 特大

  自動回復 治癒特性

  魔法無効化 特大

  物理攻撃無効化 特大

  身体 ・精神異常耐性 特大

  気配察知 特大


【称号】 冥府の王 サタンの第二子女 暴虐なる者 魔物使い

  キラキラ大好きっ子 裏切られた者 封印されし者

  眠り姫 覚醒者 暴走少女

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「………」


 ……これっ、無理じゃね。この世界、終わった……


 レベル866って、どんなけーー!


 この世界の事わからんけど、きっと兵士がどんなけ束になっても叶わない相手なんじゃないの……


 異世界来て二日目でラスボス登場って……しかも、今日、俺の誕生日だし……


「うわぁーー!」


 今、目があった……俺、スキルで見てただけなのに……

 真っ赤な目だ。吸い込まれそうになる……

 どんなけ、凄いんだよ。想像遥かに超えてるよ……


 でも、何か悲しそうな目だった……

 俺は、称号の欄の「裏切られた者」に目がいく。


 この世界のことは、この世界の人達に頑張ってもらおう……


 俺、レベル2だし、HPも最大18しかないし、あっ、HP減ってる……今、9しかない……


「一桁じゃん!」


 MPは、減ってないけど、黒い奴のステータス見た後だから、俺のステータス、ゴミ以下だよ。


「あっ!あれ、確か俺が牢屋に入れられていた時に来た偉そうな爺さんだ」


 黒炎相手に、炎やら、風やら、水の魔法を放っているけど、黒い炎に魔法が触れた途端に消えてしまっている。

 また、ゴツい兵士がでかい斧の様な物で攻撃しだした。やはり、黒い炎に武器が触れた途端、触れた部分が綺麗に消えている。


「凄い……なんだあの炎は……」


 俺は、奴のスキルである黒炎に鑑定機能を使った。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 冥府の黒炎

 冥府の者が稀に所有できる黒い炎

 触れたものを一瞬で吸収、消滅することができる

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 これ、チートだろう。あいつ無敵じゃん。最強じゃん。戦ってる兵士達早く逃げた方がいいよ。


 きっと、魔法攻撃は、吸収されてしまうし、物理攻撃は消滅しちゃうよ。黒炎の中の黒い人物らしい奴に、攻撃届かなきゃ、やっつける事なんてできないんだからさぁーー命、大切にしようよ……


 200人ぐらいはいるだろうか?遠巻きに魔法攻撃を放つ人、剣や槍を構えて牽制している人、連携が取れてて優秀なのはわかるけど、そいつには、無理だよ……いたずらに、兵力減らす事はしない方が良いよ……


「黒い奴が動き出した!まずい。このままじゃ、奴はこっちに来る……」


 何度も言うが、俺は張り付けにあって身動きができない。奴が、俺の側を通り過ぎただけで、きっとあの炎で消滅してしまう。


 広場を見ると、結界を張っているあの裸の子達は事の重要性をわかっていない。結界の中で動かずにいた。


「早く逃げた方がいいよーー!」


大きな声で叫んだが、こちらを無視するそうにみんな、城の方を見ている。俺は、自分の心配もあるがあの裸の子達の事も気になっていた。


「何か二葉姉に雰囲気が似てんだよなぁーー、それに、あのショートカットの子。あっちは、三季姉と重なるよ……」


 いかん!もう、黒い奴は広場の近くの塀の内側に来ている……

 身動きできない以上、俺にできる事はない……


 すると、突然、俺がくくりつけられていた木に衝撃が走った。

 兵士達の魔法が当たったみたいだ。


「痛ててて、どこに撃ってんだよ。危ないじゃん!ヤッベーーHPが6に減ってる……」


 その衝撃で、きつく縛られていた手足の拘束具が弛み始めた。

 俺の周りには、兵士はいない。みんな、あの子が張ってる結界の中にいる。俺だけ、結界の外で放置されてるのだ。


「ヤバイ!ヤバイ!放置プレイの後は、強制戦闘かよ。レベル差ありすぎで一瞬で終わっちゃうよ。無理だって。どうしよう。どうしよう〜〜」


 俺は、弛んだ拘束具を何とか外す事を考え、身体を動かせるだけ動かした。そんな、俺の事を見ていたのか、結界の中から冷たい視線が突き刺さる。あの怖そうなメイド服を着た女性が、俺を睨みつけていた。


「もう、勘弁してくれーー俺が何したっていうんだーー!」


 すると、俺は、ある事に気がつく。結界を張っている裸の子、もちろん今はきちんと豪華な服を着ているが、その子の手に握られている棒状の物に見覚えがあった。


「あっーー!そのステッキ俺のだーー!」


 俺は大きな声で叫んでいた。あの子が握ってたのは俺がお守りがわりにこの世界に持ち込んだ『魔法巻毛少女くるくるパッツン』愛用のステッキだ。おもちゃにしては、精巧な作りで色鮮やかなおもちゃの宝飾とボタンを押すと光り輝き、ファンなら、どうしても手に入れたい一品だ。


 俺の声が結界の中の子にも聞こえたのか少しうつむき顔を赤くしていた。


『ガッシャーーン!』


 塀が壊れる大きな音が鳴り響いた。とうとう、ここに来てしまった。


 最悪の冥府の黒炎が……




 ◇◇◇



 黒い炎はさっきよりも大きくなっている。高さも10メートル以上はありそうだ。多分、攻撃された魔力を吸収したのだろう。それに、黒炎には、自動回復特性を保持している。覚醒から、時間が経てば経つほど強くなるという事だ。


 黒炎は、広場中央で結界を張っているあの子達に向かって動き出した。そのまま進むと、俺は、黒炎に飲み込まれる計算になる。


「あぁ……もうダメだ。諦めよう、諦めよう。これで、俺は死ぬんだ……」


俺の頭の中で走馬灯のように家族の顔が浮かんだ。


「ダ、ダメだ。ここで死んだら、一度、二葉姉達に救ってもらった命を無駄にする事になる。それに、大切な家族のあんな顔、もう見たくない」


 何かできる事はないか? 何か……

 マイルームは閉鎖されている……

 家事 手伝い……こんな時に、料理や掃除してどうすんの!

 鑑定……全マップ探索……


 黒炎が近づいて来た。あとを追って、あの偉そうな爺さんや騎士達もやって来る。俺の拘束はまだ、解けないままだ。


「これで、どうやって……」


 黒炎が近づくにつれて、あたりは急に寒くなった。直に黒い炎を見た俺は恐怖で身体が震えだした。


「お、終わった。終わりました……ご臨終です。二度も先立つ不孝をお許し下さい……」


 俺が諦め始めた時、黒炎の中身の奴と目があった。赤く暗い悲しい目だ。


 その時、急に拘束具が外れた。見ると、あの偉そうな爺さんが俺を見上げている。


「あの黒炎は、お主と関係あるのか?」


「あんな化物、初めて見たんだ。知る訳ないだろう!」


 この期に及んでまだ、俺を疑うのか……

 こんな状況なのに、俺の中に怒りが湧き出てきた。


 黒炎がすぐ近くに迫った。凄い冷気だ。魂まで吸い上げられそうな感じだ。すると、爺さんは俺を抱えて距離を取る。どうやら、救い出そうとしてくれてるみたいだ。


「もしかしたら、良い人だったのか……」


ここに、これだけの人がいて、俺を助けようとしてくれたのはこの爺さんだけだ……


少し、離れた安全そうなところに俺は置き去りにされ、爺さんは、兵士達と攻撃に参戦し攻撃魔法を放つ。俺は、その攻撃を見て思わず叫んでいた。


「魔法は、ダメだ! 魔力を吸収され、あいつが強くなるだけだ!」


 爺さんが驚いたように俺を見ていた。


 黒炎の中身が手を払う動作をする。すると、黒炎の一部が、細く長くなり俺の頭上を通過した。黒炎が当たった建物は、丸くくり抜かれている。


「な、何で俺が……こんな目に合わなくっちゃいけないんだ……」


 そして、黒炎が広場中央の結界に触れる。一瞬で、結界が消えてしまった。黒い炎は勢いを増す。


 泣き叫ぶ声……

 大きな悲鳴……

 死を目前とした人々の魂の叫び……


 そんな、いろいろな叫び声が広場に響き渡る。

 何かわからないが、俺の中に熱いものがこみ上げてきた。


【全スキル 全ステータス オープン!】


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 シロウ スズカゼ(15) 人族 平民 職業 学生


 Lv 2


 HP 4/18

 MP 18/18


 首 手首 足首 の裂傷


 SKILL(50P)

  鑑定 Lv 3

  マイルーム Lv 1

  家事 手伝い Lv 3

  処理スピード2倍 魔力譲渡

  獲得経験値10倍

  全マップ探策

 

  言語能力(日本語 Lv 5 英語 Lv 1 ミリエナ共通語 Lv 1)


【称号】 鈴風家四人目 家事担当者 折り込みチラシ研究者 残念趣味道楽家 造形美愛好家 隠蔽者 女神の失態目撃者 奇跡の生還者 松葉杖使い 頼られる者 覗きし者 露出 放置プレイ家


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 眼前には、その他スキルの詳細、ステータス表示 様々なウィンドウが開く。


【家事スキル、処理能力2倍!】


 頭の回転が速くなり、広げられたスキルを即座に処理できるようになった。


【ポミァン 家事手伝いスキルがレベル3から4に上がりました。派生スキル処理スピード2倍が3倍になりました】


 頭に聞こえる声に従って、処理スピードを3倍に設定する。


 頭の働きがさらに速くなる。それと、運動能力も通常の3倍になった感じだ。


 黒炎が騎士達に囲まれたあの裸の子達の側に来ていた。俺は、躊躇いもなくその人達のところに走りだしていた。




 ◇◇◇



 俺のHPは3になっている。0になったら終わりだ。MPは、まだ全部残っている。


 走りながら、有効なスキルがないか改めて検証した。処理能力3倍のお陰で俺は、ある事に気づけた。


 スキル『マイルーム』だ。女神によって封鎖されているが、それは、最初に作った部屋で、新たに作る部屋には、干渉できないのではないかという疑問だ。


 俺は、黒炎があの裸の子達に迫る前に、スキルポイント50Pで3m×3m高さ 3mの立方体の部屋を新たに作った。後は、黒炎をこの中に入れて仕舞えば、とりあえずこれ以上の被害が出ないで済む。その後、どうなるかなど、あとで考えればいい……


 中に誘い込む方法もないわけではない。でも、多分、悠長に黒炎が中に入ってくれるまで、待つ時間は無い。


 一瞬でいい。ドアの中の部屋に興味を引くものがあれば……


 俺は、黒炎の前に立ち、裸の子が掴んでいた俺のステッキを取り上げた。騎士達や怖い目のメイドに睨まれながら……


 よく見ると、王女様みたいだ。ステータス表示がオープンされたままなので、この広場にいる人達のステータスが見れば分かるようになっていた。


「この女性、もうMPが無い……結界を張るために魔力を消費したか……」


 俺は、家事手伝い派生スキルの魔力譲渡で俺のMPを1残した全部を分け与えた。怖いメイドや騎士達に邪魔されたが、そんな事、構っている場合では無い。俺は、無理矢理手を握り魔力を譲渡したのだ。ぐったりしていた彼女は、少し持ち直したようだ。


 俺は、黒炎に向けておもちゃの魔法のステッキに装備されている点滅機能のスイッチを押した。


 ステッキが綺麗に光りだす。黒炎は、その輝きに反応した。


「やはりだ。称号 キラキラ大好きっ子は、これに反応すると思った」


 大好きってことは、何よりも好きという事だ。俺ならその事を、痛いほど理解できる……


 黒炎が、近くに迫る。冷気で倒れそうだ。

 俺は、スキル マイルームを発動する。


【マイルーム ドア2 オープン】


 すると、亜空間からドアが出現した。俺はドアを開け、ステッキを放り込んだ。黒炎の中の赤い目は、ステッキに注がれている。


「今だ!」


 俺は、ドアを開いたまま前に抱えて、黒炎に突っ込む。


「おぉーー!!」


 無謀な賭けだった。でも、俺はあの女神の言葉を思い出し確信していた。


 この部屋の中は神域だと……

 神域に付属するこのドアもきっと神の力が宿ってるはずだと……




 ◇◇◇



黒炎は、不思議とドアの中に吸い込まれていく。そして、現れた黒い人影に、俺は、ドアごと覆いかぶさった。


どれくらい時間が経っただろうか? きっと一瞬だったのだろうが、俺にはとても長い時間が過ぎた感じがした。


ドアは消えている。俺は、うつ伏せのまま、蛙のように倒れ込んでいた。


「黒炎は? 黒炎はどうした?」


 俺は、そのままの格好であたりを見回す。黒炎は、どこにも存在してなかった。


 ドアを持っていた両手の手がえぐられて出血していた。黒い炎に接触したのだろう。俺のHPは1になっている。MPも1だ。身体は、重く思考が薄れていく。


どうやら、上手くいったみたいだ。黒炎は、俺のマイルーム ドア2の部屋に入ったのだろう。俺の許可が無ければ出る事はできないはずだ。


 俺は、立ち上がり、あの裸の子達の前に向き直った。


『おぉーー!!』『キャッーー!』『やったーー!!』


『キャッーー!!』


 歓声とともに黄色い悲鳴が聞こえる。


 俺は、黒炎がドアから出て来たのかと思いあたりを見回す。しかし、黒い炎はどこにもない。


 そして……


 俺は、大切な事を忘れていた。俺の身体には、汚い布地一枚しかつけて無かった事を……


 その布地も今は、どこにあるのかさへわからない……


 俺は、兵士達に取り押さえられてしまった。


 みんなの悲鳴の原因は、俺だったのだ……


 そして、また、俺は、気を失ってしまった……






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