第44話 ーーー朝から騒がしいーーー
私は、王宮専属の研究所の所長のシルベルであ〜〜ります。
北の山脈の古代遺跡から発掘さ〜〜れた、およそ2m×3・5mの箱が持ち込まれ、その研究をしてい〜〜たら魔力計測器が暴走し始め、箱の中から黒い炎を纏った魔人が現〜〜れた。その衝撃で研究所は、壊れてしまいま〜〜したが、瓦礫を撤去した後に、あの宝石をちりばめた見事な剣の鞘が無傷で残っておりま〜〜した。古代にこのよ〜〜うな物が存在したなど聞いたことがあ〜〜りません。この、鞘は、魔道具も魔力計測器も受け付けませ〜〜んでした。
もしかしたら、伝説の勇者が使っていた聖剣の鞘な〜〜のかもしれません。でも、鞘だけがな〜〜ぜ、あの箱のな〜〜かに入っていたのでしょうか………?
「シルベル所長、シルベル所長」
「は〜〜い。なんでしょうか?」
「先程から、お呼びしてたのですが、ボーッとしてらしたので……」
「そ〜〜でありましたか? 少し考え事などしてお〜〜りました」
「それなら、良かったです。ドリトス様がお呼びですよ」
「わかりま〜〜した。すぐ行きますです」
「しかし、シルネル様は、この場所がお好きですね」
「は〜〜い。君も研究員なら、あの不思議な事をわすれたりしないでしょう?」
「もちろんです。あの、大きな箱は壊れてしまいましたが、鞘は無事でした。傷ひとつもないなんて信じられません。それと、あの、不審者の荷物も無事だった事が妙に印象に残ってます」
「そうであります。あの、シロウとか言う不審者の荷物も不思議な物ば〜〜かりでした」
「そういえば、今、王宮にいるみたいですよ。先程、魔導師グラハム様がおっしゃってました。何でも、幽霊と一緒だと言ってましたよ」
「な〜〜んなんですか?幽霊と一緒ですと〜〜?」
「はい。大変、変わった幽霊でして、一緒に食事されたそうです」
「これは、これは、また、あの少年であ〜〜りますか。不思議であ〜〜ります」
「はい。私もそう思います」
「その、幽霊とやらに是非とも会いた〜〜いです」
「今はアンリエット様とご一緒のようです」
「そうであ〜〜りますか……」
シルベルの部下は、要件を伝え終えると建設途中の研究所に戻って行った。
シルベルだけは、破壊された研究施設の跡地を動こうとはしなかった……。
◇◇◇
アスカの豹変ぶりに驚いている間に、時間が刻々と過ぎて行き、夜になってしまった。
俺としては、一刻も早くここから出たいというのに、アンリエット王女がアスカの事を気に入ったらしい。それに、メイド1号も、見込みがある幽霊として、アスカを大層ご執心のようだ。
俺達は、不本意ながらも王宮に泊まる事になってしまった。
……アスカの性格がさらに歪みそうな気がする……
俺は、前に、泊まったことのある王宮内の寝室にいた。リーナ達の事が心配だったが、念話してみると『まだ、血判も渡せてない』との事だった。
……どんなけ話し好きなの?……
王宮に泊まる事を伝え、俺は念話を切る。俺としては、不本意ながらも自分だけの時間が持てた。
ここは、俺のスキルで使った事のない『日曜大工』を調べてみようと思いスキルを表示する。
SKILL(60P)
鑑定 Lv 4
マイルーム Lv 2
家事 手伝い Lv 5
処理スピード3倍 魔力譲渡 体力譲渡
獲得経験値10倍
全マップ探策
※日曜大工 Lv 1
回復魔法
攻撃魔法(火)
毒無効化耐性
火・熱耐性
異常状態無効耐性
即死耐性
精神異常無効耐性
言語能力(日本語 Lv 5 英語 Lv 1 ミリエナ共通語 Lv 5)
………………
日曜大工 Lv 1
7日に一回だけ物を作り出したり
修理したりする事ができる能力
………………
7日に一回って……日曜日ってこと?物を作り出すって、材料とかは?
説明が足りない……
使ってみよう……
【スキル 日曜大工!】
目の前にステータス画面のような表示が現れた。
アナウンスが脳内に響く。
……『創作OR修理』をお選び下さい……
じゃあ、『創作』っと……
……『何を創作しますか?頭に思い浮かべるか、見本を提示下さい』……
何にしよう……見本があった方がいいな……えっと……金貨でいいか?
……『金貨。何枚作りますか?』……
できるの?じゃあ10枚ほどっと……
……『では、両手を突き出しイメージして下さい』……
こうか?……
すると、両手に力が宿るのを感じた。そして……
『チャリーーン』
「すげーー!金貨が出来上がってるーー!」
ベットの上には、今、作りあげた金貨が10枚あった。
……これ……すごいよね〜〜。俺、大金持ちになれるじゃん……
「もう、一回やってみよう。今度は日本のお金だ」
俺は、一万円札を取り出し、スキル日曜大工を発動させた。すると
『現在、このスキルは使えません。後6日と23時59分お待ち下さい』
とアナウンスが響いた。
……何でやねん!そうか……それで日曜大工なのか……
【ポミャン 日曜大工のレベルが2になりました。7日毎に2回使えます】
……えっ?もう、レベルが上がったの?あっ、そうだ。獲得経験値10倍あるからか……今度は、2回使えるのか……作る物慎重に選ばないと……
この能力は、面白そうだ。7日毎に使えないのが残念だけど……
俺の夢は、広がるのであった。
◇◇◇
「シロウ、シロウ起きてよーー!変なのが来るのよーー!」
いつの間にか寝ていたらしい。もう、陽が昇ってる。
「アスカか……もう、朝? 変な夢を見たよ……アスカがグレちゃって……」
「何言ってんだかーーグレるって何?あっちがそんなに風になるわけねーつーーの。シロウって、頭わいてんじゃねーーのっ!」
……ガーーン……夢じゃなかったのか? 「あっち」て何?一人称?……
「アスカ、その話し方、止めようよーー」
「そんな事より、変な奴があっちを捕まえようとしてんのよ〜〜!」
「今、姿、消してんだろう?なら、問題ないじゃないか?」
「変な機械持ってんの。それで、あっちの事見つけられるみたいなんだよぅ」
「機械って?」
「わっかね〜〜っつーーの!もう、キビシーーッ!」
「ア、アスカ、そのキビシーーって何?」
「シロウ、知らね〜〜の?テレビでしてたじゃん」
「そんなテレビドラマ知らないよ……」
「遅れてるね。シロウは……アニメのピュンピュン◯だよ。面白いんだから」
「何、それ? 聞いたこともないんだけど……」
……アスカが生きてた頃のやつなのか……いつの時代だ? 昭和?……
……アスカが生きてたら、うちの母さんより年上なんじゃないの……
その時、ドアがノックされ、ベートーベンの髪型をした人が入ってきた。
「これは、これは君の部屋であ〜〜りましたか?」
「あっ、確か研究所のシルベルさんですか?」
「私の事、覚えてくれたのであ〜〜りますか。それは、光栄であ〜〜ります」
……みんなキャラ濃すぎるよ〜〜キャラ酔いしそう……
「アスカに何か用ですか?」
「あの幽霊はアスカと言うのであ〜〜りますか?ちょっと、調べたかっただけであ〜〜ります」
……研究熱心というか、異常というか……
「今度でも、良いですか?これから出かけないといけないので……」
「幽霊も一緒であ〜〜りますか?」
「はい。いろいろ見て回れば成仏するみたいなんで……」
という事にしておこう……
「そうであ〜りますか〜〜残念であ〜〜ります」
「すみません……」
「わかりま〜〜した。今度は、私を訪ねてきてくださ〜〜い」
「は、はい……」
「私は、君にも興味あ〜〜りますので……」
……ゾクッ……この人、怖いんですけど……別な意味で……
そう言って、シルベルは部屋から出て行った。アスカは布団に潜ってる。
「アスカ、もう行ったよ」
「チッ!面倒なやつだわ〜〜ケメ子みたい……」
「ケメ子って誰?」
「シロウって馬鹿なの?ピュンピュン◯に出てくるケメ子だよ。知らないの? これだから、遅れてるって言われるのよーー!」
「遅れてるって……」
「お腹空いたわ。シロウ何か食べようーー」
「はい、はい」
俺は、着替えてアスカと王宮内の食堂に行くのだった。
◇◇◇
王宮内の食堂は、身分に関係なく使えるらしく一般の兵士達とたまに王様も一緒に食卓を囲むらしい。
アスカに実体化してもらって、一緒に食堂で朝ご飯を食べていると、突き刺さるような視線を感じた。そして、
「ゴミ虫、いや、失礼、シロウさんでしたか……」
……あ〜〜メイド2号だ……
「これは、お久しぶりです」
「いいえ、こんなとこで会うなんて……そちらの方が姉様が言っていた幽霊ですか?」
「はい。アスカと言います」
「何も好きこのんで、こんなゴミ虫と……シロウさんと一緒にいなくともよろしいのに……不憫です」
……朝から、この仕打ちを受ける俺の方が不憫だよっ!……
「そうですか……えっーーと確か、あれ名前お伺いしてませんでしたっけ?」
「私の名前を知りたいのですか?何をするつもりなのですか?町中の掲示板にあらぬ事を書き張り出すつもりですか?それとも。枕に私の名前を書き抱きしめて一緒に寝るつもりですか?それとも……」
……また、厄介な人だ……
「いいえ。名前、知らなくていいです……」
「私は、ロリンジュです。すぐに忘れて下さい」
……そう、言われると余計にインプットされるんですが……
「ロリンジュさん、素敵な名前ですね」
「だから、すぐに忘れてくださいと申したはずです。まだ、覚えてるのですか?早く忘れなさい!一刻も早く忘れるべきです。さもないと……」
「さもないと……?」
「このよなゴミ虫の頭の中で私の名前を呼びながらきっと、あんな事やこんな事を想像するつもりなのでしょう?耐えられません。そのような辱めを受けるなどいっそのこと、この場で犯して貰った方があとくされなく終われます」
……何言ってんの?この人……あれだ……残念妄想家なんだ……
「わかりました。すぐに忘れますよーー」
「わかれば良いのです」
……この王宮、キャラ濃すぎだよ……
「アスカ、もう、お腹いっぱいーー」
「そうか、じゃあ、行こうか?」
「うん」
「ちょっとお待ちください」
「なんでしょうか?ロリ……」
「忘れると言いましたよねーー。忘れるとーー!!」
「首、首締めないでーー!息がーー息がーー」
「私としては、不本意ながらもカトリーヌ様がお会いになられたいそうです」
「はい?」
まだまだ、ここを出られそうもない……




