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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第2章

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第35話 ーーー放課後は探索の時間ですーーー

 



 ここは、リーナ達の家。


 あの後、ワイバーン討伐後冒険者ギルドで討伐完了を報告しその後リーナ達と合流した。


「迷宮?何ですか、それっ?」


 俺達は、迷宮には寄らずに、さっさと王都に帰ってきたのだ。


「レベル上げなんて、いつでもできる。うん」


 という事で、サツキと神屋代を連れてすぐに王都に帰ったのだ。

 サツキと神屋代はワイバーン討伐で、ちゃっかりレベルがあがっていた。

 巣穴の中には、ワイバーンが10体も居たそうで、ソラスの睡眠魔法でおねんねしている隙に討伐したらしい。お陰で、神屋代のレベルは19になっていた。


 ……俺のスキル、獲得経験値10倍あるんだけど、何なの?……


 俺の日常は、いつまでもひねくれている訳にはいかない。料理、洗濯、掃除とやる事は満載だ。あと、受験勉強も……

 それに、三季姉の誕生日のプレゼントを買うのを忘れた俺は、こっ酷く怒られた。


 ……プレゼントってあげる人の気持ちだよね。何で怒られるの?……


 それから、今日は、リーナが話があるといって神屋代もリーナの家にいる。


「リーナ、話って何?」

「この間、爺さん悪魔が言ってた」

「ふ〜〜ん、そうなんだ。って何を?」


「シロウ君、それ、きっとウケないよ。笑いが取れないと惨めなだけだよ」

「神屋代さん。私はお笑い芸人ではありません」


「話がすすまないじゃない。シロウ兄は黙ってて!」


 ……いつもは、サツキがうるさく邪魔するくせに……


「で、リーナさん。そのお爺さん悪魔って誰なの?」

「吸血鬼ドラキュラ伯爵」

「吸血鬼なんだーー」

「そう、もう、5000年程生きてるもうろくジジイ」


「話がながかっちゃでちゅう」

「ドラキュラ爺さんは、昔の事から話始めますから、若者の私達には辛いだけであります」


 ……千年以上生きてて、若者って……


「とにかく、爺さんが言うには、跡目を決めたいらしいけど、血を分けた5魔のうち、1魔、行方不明らしい」

「もしかしたら、その、行方不明の吸血鬼を探すって事?」

「サツキは賢い」


「リーナさん、何で探す必要があるの?」

「跡目を決めるのに、血の血判が必要。それが、揃わないから数千年跡目が決められない」


「ドラキュラ伯爵って死なないんだろう。跡目なんか必要ないんじゃないの?」

「シロウは、わかってない。跡目が決まれば、その本人もヤル気を出す」

「それって、いつもはヤル気なしって事?」

「そう。吸血鬼は、基本、寝てダラダラしてる」

「ダラダラはともかく、棺桶で寝てるイメージはあるよ」

「そう。その通り」


「でも、行方不明じゃ探しようがないよ」

「こころあたりはある」

「リーナさん。居場所知ってるの?」

「多分、こいつ。スズネも知ってるはず」


 リーナが持ち出したのは、某新聞紙に紹介されていたL・PHONEを手がける実業家 ステーリン・チャプスだった。


『えっーー!この人がーー!』


「そう。日本にもこいつの手先がいる。この間、シロウが殴ったのはその手先の雑魚の雑魚の雑魚」

「何でわかったの?」

「シロウ、私の気配感知は特大」

「そうでしたね〜〜」


「でも、この人、VIP中のVIPでしょう。私達が会いに行けないよ」

「サツキ、それは違う。向こうが私に挨拶に来るべき」

「えーー、それはそうかもだけど……」

「多分、来る。その時に、血判をもらう」

「連れて帰らなくていいの」

「面倒くさい。血判があれば事足りる」


「何時頃、来るの?」

「それは、わからない。100年後か1000年後か来るまで待てばいい」


「リーナ、俺達、その頃は、土に還ってるよ」

「人間は、貧弱」


「まぁーー急ぎの用ではない事がわかったので、この話はこれで……」

「ドラキュラは、急いでた」

「えっーー!じゃあ、どうするの?リーナらしくないなぁーー」

「そう言わないと、話が終わらなかった」


 ……長話に付き合わされるのが嫌で約束したんだな……


「今、シロウ、私を悪く思った」

「思ってないよ。本当だよ……」

「嘘!成敗!」


 リーナの黒い影がゲンコツの形になって俺に当たった。


 俺は、その場で伸びていた。



 ◇◇◇



「リーナさん。その吸血鬼達がこの世界で人間を襲ってるとしたら私退魔師として、ほっとけないよ」

「雑魚は雑魚。倒しても構わない」

「いいの?仲間じゃないの?」

「人間だって、悪い奴は警察とやらのご厄介になる。悪魔も同じ」

「血を吸うことは、吸血鬼にとって、生きる為に必要なんじゃないの?」

「必要。でも、殺さないようにして吸っている奴もいる」

「私にとっては、吸血鬼の善悪なんてわからないわ。危険な存在だと判断したらやっつけるから」

「構わない。でも、スズネでは、無理な存在もいる」

「それは、私に倒せない相手って事」

「そう。例えば、さっきの新聞の奴。彼奴は死なない。私なら、殺せるけど」

「大物なのね」

「ドラキュラ伯爵から直接、血を分けてもらった存在。普通では殺せない」

「他の吸血鬼は?」

「多分、この世界にいるのは、奴の血を分けた雑魚達。それなら、シロウやスズネでも倒せる」

「わかったわ」


 神屋代は、退魔師としての誇りがあるのだろう。俺には無いけど……


「シロウ君、手伝ってね」

「はぁ?今なんと ……」

「だから、手伝ってねって言ったの」

「それは、わかるけど、なんで俺?レベル8だよ」

「前、吸血鬼殴り飛ばしたじゃない」

「あれは、あれ。これは、これでしょう?」

「シロウ君、あの事、バラすわよ〜〜」


「シロウ兄、あの事って?」

「何でもない。何でもないよ。サツキ」

「怪しい……」


「じゃあ、シロウ君お願いね」

「…………」


 ……何でこうなるの?………




 ◇◇◇




 俺と神屋代は、放課後、吸血鬼退治をする事になった。


 ……何で血の血判をもらうことから、こんな事になる訳?……


「神屋代、俺受験生なんだけど……」

「私もそうよ。クラスメートでしょう。忘れたの?」

「いや、知ってますけど……」


 リーナ達は、面倒と言って家に帰った。今日の夕飯はサツキに任せている。


「神屋代、その袋は、まさか、あの刀じゃないよね」

「そうよ。吸血鬼相手だもの。持ち歩くのが当然でしょう」

「イヤイヤ、ここ日本だから。そんな危ないもの持ってたら補導されるでしょう」

「そんな事言って、私が吸血鬼に血を吸われてもいいんだ。シロウ君は……」

「そういう話じゃないよね〜〜」

「じゃあ、どういう話?」


 ……ダメだ。暴走少女は聞く耳を持ってないらしい。こうなれば、ちょっと町を回って、すぐ帰ろう。暗くなる前なら、補導されなくてもすむ……


「あ〜〜今日は、徹夜になりそうね〜〜」

「何ですとーー!それ、無理でしょう。俺達、中学生だよ。無理。無理」

「吸血鬼は夜、行動するのよ。知らなかったの?」

「神屋代は、平気なの?帰らなくても……」

「私の家は、退魔師の家庭よ。こんな事、普通だわ」


 ……神屋代の普通は、世間の非常識ですから!……


 ……困った。この暴走退魔師少女は……これでは、確実に補導される……


「そうだ。俺、家に忘れ物してきたんだ。取りに帰るね。神屋代は、先に行ってていいよ。じゃあ」

「逃げるつもりじゃないでしょうねーー!」

「ま、まさか……そんな事、する訳ないじゃないですか」

「本当にーー!」


 ……怖い。あのメイド1号と同じ気迫だ……


「あっ、カバンに入れてあったよ。ごめん。ごめん」

「そう。じゃあ、行きましょう」


 ……あーー神様。補導されませんように……高校入試が……内申が……


 そして、


 俺達は、町を周り、今、路地裏にいる。

 目の前には、頭を金ピカにして、腰から鎖を下げているとてもファッションセンスの良い人達が、ご丁寧に窓ガラスをスモークで隠した黒いワンボックスカーまで案内して下さったようだ。


「男に用はない。誰にも言うんじゃねーーぞ!」

「あの〜〜鼻にピアスつけて痛くないんですか?」

「何テメ〜〜死にたいの?」

「そうじゃなくて、牛みたいですよ」

「テメ〜〜ゼッテーー殺す。男も連れてくぜ!」


「ねーーシロウ君。この人達、あれじゃないわね」

「あれって?」

「血を吸う人達よ」

「どう見ても違うんじゃないかな」

「そうね」


「何ほざいてんだよ。テメーーら!」

「いいから、はえーーとこ連れ込んじまおうぜ!」


 男達が神屋代に触れようとした時、男は地面に転がっていた。


「おい!女、何しやがった!」

「あの〜〜やめといた方がいいですよ」


「うるせーー!」


 そう言いながら、数人が殴りかかってきた。俺は、そいつらの拳を掴みグイッとあらぬ方向に曲げた。


「痛ててててーー!」


「だから、言ったのに……」


 他の奴らは、神屋代が退治したようだ。みんな路面でお昼寝してる。


「こういう奴ら、執念深いんだよね。どうする?」

「平気よ。記憶を奪えば……」

「神屋代は、そんな事できるの?」

「当たり前でしょう。退魔師だもの」


 そう言って、神屋代は、倒れている奴らの後頭部を蹴り出した。


「って。おい!それ、蹴ってるだけだよね。退魔師とか関係ないじゃん」

「大丈夫よ。何時もこうしてるし……」


 ……この暴走退魔師少女はどういう教育を受けてきたんだ?……


「さぁ、シロウ君。行きましょう」


 ……あーー神様、絶対、補導されませんように……




 ◇◇◇



 今は、夜の11時。何時もは、そろそろ寝る用意をする時間だ。

 俺は、全マップ探索全開で、警察のいないところを探索している。


「そろそろ、帰らない。今日は、血を吸う人出てこないみたいだよ」

「そうは、いかないわ。私には、退魔師としての誇りがあるもの」

「退魔師の前に中学生の誇りを持とうよ」

「シロウ君はどこの高校行くつもりなの?」

「多分、〇〇高だよ」

「じゃあ、私もそこにしよう」

「えっ?進路そんなに簡単に決めちゃっていいの?」

「高校なんてどこでも同じでしょう。私は退魔師の仕事があるし……」

「イヤイヤ、ちゃんと決めた方がいいよ」

「もしかして、シロウ君、私と同じ高校じゃ嫌なの?」

「そういう訳ではないけど……」

「じゃあ、決まりね」


 ……高校入ってまでこんな事してらんないよ……


「今、何か言った?」

「ううん。全然」


 俺は、神屋代を誘導しながら、危ない通り、もちろん、補導されない通りだ。すると、通りにうずくまっている如何にもシスターの格好をした女の人がいた。


「どうかしましたか?」

「ここで、待ってろと言われたので待っている」

「連れの人がいるんですね?」

「そうなの?」

「はい?」

「誰に待ってろと言われたんですか?」

「連れの男」


 ……何か、関わってはいけない人なような気がする。面倒事は、神屋代だけで十分だ……


「神屋代さん。連れがいるなら行きませんか?」

「何言ってんの。見たところ、異国の人じゃない。こんなとこで犯罪にでも巻き込まれたら大変よ」

「俺達だって、大変だよ」

「何が?」


 ……あ〜〜そうだ。この人、人の話を聞かないんだった……


 すると、向こうから如何にも神父さんらしき格好をした男性が歩いて来た。両手には、某ハンバーガーの包みを持っている。


「おーー待たせたねーー。シアン。うむ。君達は?」


 流暢な日本語を話すが、この人も異国の人だ。


「この人がうずくまってたので声をかけたんです」

「おーーソーリー、ソーリー。お腹がすいてたんだよ。こっちに来て食べてなかったからネーー」


 そのシスターは、神父らしき男が抱えていた包みを奪い、中身のハンバーガーをムシャムシャ食べ始めた。


「神屋代、そろそろ行こう!」


 俺がそう言うと、


「君、神屋代?もしかして、スズネですか?」

「はい。神屋代 鈴音ですけど……」

「おーーこんなとこで会えるなんて、神は私達を正しく導いてくださったーー」


 ……なんか、面倒ごとになりそうなんですけど……


「神屋代の知り合いなんだ。じゃあ、俺は、ここで退散するよ……」

「シロウ君、何、逃げようとしてるの?」

「だって、知り合いみたいだし……俺、邪魔かなって……」

「私、この人達知らないわ」

「えっ、そうなんだ……」


「私は、ローマ聖教から来ました神父のエリックというものです。こちらはシアンです。私達は、貴女のお祖父さん黎明と知り合いです。訪ねて来て道に迷いました」

「お祖父さんの知り合いでしたか?」

「はい。お知り合いのエクソシストです」


『はい?エクソシストーー!!』


 また、面倒事が増えそうだ……





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