第30話 ーーー新たな生活ーーー
いつも読んでくださってる皆様、ありがとうございます。
ここから、第二章になります。
俺達は、昼休みの空き教室にいた。いつものメンバーに加えアザゼルも一緒だ。困った事にアザゼルは男の格好だが、羽根が生え角がある。どう見ても、中年おっさんのコスプレだ。
「あの〜〜アザゼルさん。その格好どうにかなりませんかね〜〜?」
「どうして?いつもの格好よ〜〜ん」
「あの、この世界、日本では、そのような格好ですと警察のご厄介になってしまいますので……」
「意味わからないわ〜〜?」
……どうしよう。話が通じない……
「だから、前に言ったのであります。アザゼルは話が通じないと」
「ソラス。そういう意味だったんかい!」
「あっ、シロウ兄が突っ込み入れたーー」
「サツキ、からかわないでお前も考えてくれよ」
「姿消してもらったら?」
「日本にいる間、ずっとかい?それは、あまりにも酷だろう。それに、家族になんて言えばいいんだよ」
「そう言えばそうよねーー」
……サツキは、頭が良いんだか悪いんだか……
「角取って、羽根を仕舞えばいい」
「リーナじゃあるまいしそんな事……」
「そんな事で良いの?えいっ!」
そう言ったアザゼルは、頭から角を取り外し、羽根を収納した。
「あの〜〜アザゼルさん。何で角取れたんですか?」
「あぁ〜〜これ〜〜。強そうだから、つけてただけよ〜〜ん」
「あんたもかいっ!」
「また、シロウ兄が突っ込み入れたーー」
……冥界では、角はファッションなの?何で取れるの?……
「アザゼルは、元天使。元々角など無い」
「リーナは、ハーフだからないんだっけ?」
「そう。ハーフ」
……角もない。羽根も仕舞えるみたいだし、あとは服装か……
「あとは、服だけです。それなら、どうにかなります。今日だけ透明化してもらえますか?」
「いちいち面倒ね。でも、わかったわ。この世界は、そうなんでしょう?」
「はい。すみません」
アザゼルを説得して透明になってもらった。そして、俺達は、午後の授業を受けるのだった。
◇◇◇
俺は、忘れている事があった。この世界には、神屋代 鈴音という厄介な人物がいる事を。
俺達は、どういう方法かわからないが、神屋代に常に監視されていた。
「はぁ〜〜」
……もう、ため息しか出てこないよ……
あっちの世界は、戦いやらで忙しいし、こっちの世界では、監視で身動き取れないし、それに、受験もある。俺、本当に高校入れるのか?
俺達が家に帰ると、珍しく母親がいた。今週は夜勤らしい。
「ねえねえ聞いてよ。隣の田中さん。宝くじが当たったんですって。何と一等二億円だって。凄いわねーー。そんな話、本当にあるんだねーー。それでね。今朝引っ越して行ったのよ。駐車場付きの一戸建てですって。しかも、キャッシュで買ったみたいよ。羨ましいわーー。私も、宝くじ買おうかしら」
「そんな夢みたいな事、あるんだね」
「それで、話はここからなの。隣が空いたでしょう。さっき公団の人が来てリーナさん達にどうぞっていうのよ。普通、抽選でしょう。私達の時もそうだったのに。今は、空家が増えてるから、すぐにでも入ってくださいって言うのよ。時代のせいかしらね〜〜。でも、ちょうどよかったわ。これで、リーナさん達とは、お隣同士ね」
……神ゼウスがどうにかするって言ってたけど、何でこうなるの?絶対うちが宝くじ当たって、一戸建てに引っ越して行くパターンだよね。普通。何でお隣さんなの?……
「あれっ、そちらの男性は?」
「あっ、アザゼルさんというリーナ達の保護者代理の方みたいだよ」
「あら、そうなの。よろしくお願いします。シロウの母です」
「よろしくね〜〜ん」
「シロウ、ちょっと、変わった人みたいね……」
「まだ、日本に慣れてないみたいだよ」
「そういう事で、もう、お隣、今日から入れるわよ。掃除も業者が終わらせてくれたみたいだし」
……神様の権能を無駄に使ってない?……
「わかった。リーナ達を案内してくるよ」
俺は、お隣さんの家にリーナ達を案内した。
◇◇◇
日本の俺達の家は、都営住宅3DK 五階の502号室だ。リーナ達は501号室になる。5階建ての団地型住宅で、階段は共用だ。玄関を開ければ、リーナ達の家の玄関が見える。
「間取りは逆みたいだね。でも、角部屋だけあって、窓が多いよ」
「ここに住むの?」
「そうだよ」
「シロウは?」
「俺は、今までと一緒だよ」
「シロウと一緒がいい」
……何、このセリフ。俺にだよね……
「そうは言ってもこの世界では、結構難しいんだ。我慢してくれると助かる」
「そうだけど……」
「お隣さんだから、すぐ来れるよ」
「でも、ご飯とかどうするの?」
……しまった。ここにいる悪魔達、もちろん家事などできそうもない……
「交代でするとか?」
「無理」
「そうですよね〜〜。わかったよ。俺が作るから」
「そう。初めからそう言えばいい」
……さっきのセリフ。メシ目当てだったんかい!……
「うちから、余ってる布団とか生活用品持ってくるから」
「わかった」
ゼウス神の権能で、リーナ達、悪魔は俺の家のお隣さんになったのだった。
◇◇◇
リーナ達がお隣さんになって、俺の仕事は2倍になってしまった。食事の用意、掃除洗濯、全て2件分だ。その合間に受験勉強もしなければならない。
……これ、何かの試練なの? 全くもって自分の時間が無い……
また、リーナ達が日本で暮らしていくためには、この世界の事を知ってもらわなければならない。初めリーナ達は
「蛆虫の真似事するのは面倒」
「ちゃからうものは、殺せばいいのでちゅう」
「魂食べちゃえばいいのよ〜〜ん」
「郷に入っては郷に従えという言葉もありますし、芋虫共の真似事をするのも一興かと……」
……ソラスがまともな事を言ったと思ったけど、どこかズレてる……
「この世界では、人を殺してはダメです」
「何で?」
「ころちゅです〜〜」
「魂ごと丸呑みにすればお腹も膨れるわ〜〜ん」
「地べたを這いずり回るしか能のない者など、地中に埋めて仕舞えば良いのです」
……そうですよね〜〜悪魔ですものね〜〜……
「とにかく、ダメなものはダメ。それに、無闇に能力を使うのも厳禁です!」
『えっーー!』
「そうしないと、ご飯作りません!」
「シロウがそう言うのなら……」
「丸いケーキ食べちゃい」
「善行積まないと、天界に帰れないしね〜〜」
「美味い酒を所望する」
……先が思いやられる……
俺は、忙しく這いずり回り、二件分の世話をして、この日は終わるのだった。




