第29話 ーーーマイルームでの会議ではーーー
俺達は、今、マイルームの部屋にいる。何故か、いろいろな方から暖かくご指導されている。特に俺だけだが……
◇◇◇
あれから、サラマー国とルアンダ国の戦争は一応終結し、俺達はリーナの転移魔法でサラマー国にやって来た。
ライン王子は、その現状を見て、悲しんでいたが、友好国であるミリエナ国の助力も仰ぎ、国の再建を行う事になった。
そして、俺達は、アザゼルをどうしようかと相談する為にマイルームに移動したのだ。すると、そこには、女神エリーゼが疲れた様子でベッドに横たわっていた。
「シロウ、どういうことですか?また、神域に悪魔を閉じ込めるなんて!」
「あの場合、どうしようもないと思います。だって、あのまま、暴れてたら、リーナまで暴走してしまいます。そしたら、あの世界滅んじゃいますよ。それでも良かったのですか?」
「そんな事、言ったってあのアザゼルですよ。元、天使の……私なんか教科書でしか見た事ないです。伝説の堕天使ですよ。いきなり、部屋に来たものだから、ビックリです!浄化しまくりで過労死寸前です。10円ハゲでもできたらどうするんですか?もう、鬱です。鬱状態で仕事になりません!」
「今の女神様が鬱状態なら、俺の方が、もっと鬱です。もう気力もありません。高校入試絶対落ちます。俺が高校浪人してもいいんですか?兄弟姉妹からなんと言われるか、考えただけで、10円ハゲができそうです」
「いいえ、私の方が10円ハゲです!」
「いいえ。俺の方が10円ハゲです!」
「シロウーー!!」
「女神様ーー!!」
『う〜〜!!』
「シロウ兄、これ、おいしいね」
「シロウ、もっと丸ケーキを食べたい」
「シロウおにいちゃん。イチゴがのってるのがほしい」
「我は、このボジョレー何とかの葡萄酒のお代わりを所望する」
「ふぅ〜〜シロウ。私はプリンが食べたいわ」
「もう、みんなは……」
チラシから、それぞれの注文を受け購入する。みんなは、満足そうに食べ始めた。
「ところで、シロウ。あのアザゼルどうするつもりなのですか?」
「どうしたらいいでしょうか?女神様」
「つまり、考えなしという事ですね」
「はい」
「部屋に閉じ込めるのはかわいそう」
「そう言ったってリーナ。どうすればいいの?」
「契約すれば良い」
「契約って……無理無理。もう、渡せるものなんかないから」
「私、契約してもいいよ」
「ダメダメ!サツキ。それは、絶対ダメ!お兄ちゃんは許しません」
「じゃあ、どうするの?」
「う〜〜む。ほんと、どうしよう……」
「ここは、貴方の能力が作り出した亜空間の部屋です。私達、女神には、手出しはできません」
『そのような事を言うでない。エリーゼよ』
突如、部屋の中に、白髪のお爺さんが現れた。
「あっ!これは、ゼウス様。ど、どうしてこちらに?」
『かしこまる必要はない。エリーゼよ』
「そうおっしゃられても……」
『エリーゼが、この者に能力を与え、この部屋を作った事は知っておった』
「えっ!バレてたんですか?」
『うぉほほ。知っておったよ。面白そうなので覗いておった』
「わーー、すみません。すみません。ご報告が遅れて……」
「女神様、このお爺さん誰ですか?」
「馬鹿!シロウ、この方は、最高神ゼウス様です。頭が高いです」
「というと、エリーゼ様の上司の方ですか?」
『うぉほほ。面白い人じゃのう。シロウじゃったかのう。お主に頼みがある』
「ゼウス様がシロウに……とんでもないです。この人間に頼み事なんて……」
『まてまて、エリーゼよ。シロウはなかなか見込みのある人じゃ。何せ、サタンの位を持つ黒炎の姫とあのベルゼブブの娘と契約しているのじゃからなぁ。それに、そちらは、ソラスか。冥府の大君主と言われている上級悪魔まで懐いておる。これは、普通の人では出来ない所業じゃ』
「ゼウス、知ってる。父上と戦った神」
『お主の父はすごかった。強さは冥界一じゃった……』
「リーナのお父さんと戦った事があるんですね」
『そうじゃ。あの頃は、まだ、神界と冥界はそれぞれ基盤を造る最中だった。混沌の時代とでも言うのかのう。力ある者は、それぞれ、腕試しに戦い、その力を誇ったものじゃ。今では、考えられない事じゃがのう。何度も世界が滅んでは再生し、今に至るのじゃ。その頃、わんぱく坊主だったアザゼルが神界でいろいろ悪さをしておった。それで、地上に落とされたのじゃ。まぁ、子供の悪戯としては処罰が厳しかったかと思う。だが、あの時は、少しの火種が神界をも滅ぼしかねん状態っだ故、アザゼルを追放したのじゃ』
「そうだったんですか……」
……話が大きすぎて、よくわからない……
『お主に頼むのは、アザゼルに遭わせてもらいたいのじゃ。ここは、お主の世界。筋は通さんといかんと思ってなぁ〜〜』
「構いませんが、危険ではないですか?」
『それは、大丈夫じゃろう。エリーゼが必死に浄化しとったようじゃしのう」
「女神様、いろいろバレてますよ……」
「シロウ、私は、バレても恥ずかしい事はしてません」
「そうですか〜〜。酔っ払って、グデグデしてたじゃないですか?」
「それを言いますか!言っちゃうんですか!見損ないました。シロウは口が堅いと信じてましたのに。では、シロウは、あの事言っていいんですか?チンケなお人形集めをしてる事を……」
「もう、言ってるじゃないですか!何で知ってるんですか?それに、チンケな物ではありません。至高の品々です。芸術です」
「パンツが覗ける芸術品などありません!」
「人間の裸体を模した芸術などたくさん存在します!」
「シロウーー!」
「女神様ーー!」
『これこれ、お主達は、仲が良いのか悪いのか理解に苦しむわい。シロウ、よいかのう。アザゼルに会っても』
「それは、構いません。俺達には、どうしたら良いか見当もつきませんでしたから」
『では、頼む』
「はい、こちらです。【ドア2オープン】」
ドアが現れ、ゼウスは扉を開けその中に一人で入っていった。
◇◇◇
どれくらいの時間が経っただろうか。リーナがホールケーキを3個平らげた頃、ドア2が開き、ゼウスとアザゼルが俺の部屋に入って来た。
……狭い。人口密度が高すぎる……
アザゼルは、ガタイの良い巨漢の男だった。そして、アザゼルが
「どうも〜〜アザゼルで〜〜す」
「…………?」
「みんな〜〜元気ないぞ〜〜」
「…………??」
「あらん。そこの子。私がなぐちゃった子よね〜〜めんご、めんごよ〜〜ん」
「…………???」
『うぉほっん。アザゼルと話はついた。これも、シロウのおかげじぁ』
「ゼウスったらん。いつのまにかお爺ちゃんになってるんだもん。ぶったまげよ〜〜ん」
「リーナ、ミミー、ソラス、おひさ〜〜」
「アザゼル、キモい!」
「アザゼル、ひちゃしぶりなのでちゅう」
「相変わらずでありますね。アザゼルは……」
「えーーと、本当にアザゼルさんですか?」
「な〜〜に、この子、アザゼルさんだってーーもう、食べちゃおうかしら……」
「いやいや、そのーー戦闘時と雰囲気が違うものですから……」
「それは、そうよ。瘴気たくさん頂いたもの〜〜」
『アザゼルは、シロウと共に行動して善行を積む約束じゃ。そうすれば天界に戻れると確約したのじゃ』
「えっ!俺と一緒ですか?」
『何か不満かのう?』
「いいえ、いいえ。不満とかじゃないんですけど、俺の家、つまり、日本の家が狭いんです。これ以上増えたら窒息します」
『そうか。日本という国にもお主らは行くのであったな。わかった。その件は儂がどうにかしよう。そして、シロウと共に行動して善行を積み早く天界に戻れることを儂も願っておる。頑張るんだぞ。アザゼル』
「ゼウスの頼みじゃ断れないわよね〜〜ん。わかったわよ〜〜」
「シロウ、頼むぞ!」
「えっーー!」
俺は、新たに不気味な生き物と行動する羽目になってしまった。
◇◇◇
シロウ達が日本に帰ると、マイルームで最高神ゼウスと女神エリーゼが話をしていた。
『なかなか良いベッドじゃのう』
「これは、良いですよね。とても気持ち良いです」
『ところで、この部屋の能力の件じゃが……』
「はい。シロウは、まだ気づいてません」
『まだ、子供じゃしのう。でも、いずれは気づくであろうな」
「はい。まだ、神域にこの部屋が存在してますので干渉できますが……」
『シロウが独自に造った亜空間であれば、我々とて、手出しはできまい。それに、そのドアじゃ。先程、触ってビックリしたぞい』
「ゼウス様も気づかれましたか……」
『うむ。これは、とんでもない代物じゃ。シロウが望む場所の何処でもドアを開ける。それに……』
「それに……?」
『時間を超える事ができる』
「えっ!それは、知りませんでした」
『過去でも未来でもそして、どの場所でもこのドアは開くのじゃ』
「それは、恐ろしいものですね」
『シロウの使い方次第では、神界も危ない』
「どうしたらよろしいでしょうか?」
『まぁあ、あの子の事じゃ。そう、悪い使い方はしまい。でも、様子は見ておくのじゃぞ。エリーゼよ。それとも、あのシロウとエリーゼが良い仲になってくれた方が万事上手くいくかもしれんな〜〜』
「はい。かしこまりました。えっ?それは、その……どういう事でしょうか?」
『夫婦になってくれたら、不安の種も消える。神界は良いことずくめじゃ〜〜』
「それは、いくらゼウス様のお言葉でも意に添わぬ婚姻などできません」
『例えばの話じゃ。例えばのな……』
「はい!?」
『しかし、良いベッドじゃのう……』




