第21話 ーーー王宮の応接室でーーー
いつも読んで頂いてありがとうございます。
今回、話、短めです。
翌日、俺達はそれぞれの行動を起こした。新たに加わった戦争の件は慎重に対処することになり、まず、情報を集める事になった。そして、俺とサツキは、王宮内のこの間の応接室にいる。サツキは物珍しそうにキョロキョロ、目の動きが激しい。
俺は、サツキに念話した。
『わかるぞ。サツキ。この応接室だけで日本の俺達の家がいくつ入るか考えているんだろう?』
『えっ、何言ってんの?シロウ兄』
『俺もその事は考え済みだ。約、二つ半入る計算だ。つまり、俺達の家が55㎡とすると、55㎡×2.5=137.5㎡となる。つまり、超高級マンションのワンフロアーと一緒なのだ。どうだ、凄いだろう〜〜』
『何くだらない事言ってんの?いっぺん死ねば』
『なっ!なんてことを……』
『私は、単純に素敵なところだなって驚いてるの。お兄みたいに残念な頭じゃないの』
『残念って……』
サツキとの念話の途中で王女達がやってきた。もちろん、あの怖いメイド1号2号も一緒だ。
……あーー、胃が痛くなってきた……
「シロウ様お待たせ致しましたわ」
「シロウさん。お待たせしました」
……メイド1号の眼力が前より険しい。俺、生きて帰れないかも……
「こちらこそ、ずうずうしくお招きのご厚意に甘えて、来てしまいました。ご迷惑ではなかったではと心を痛めておりました」
……[念話中]……
『シロウ兄キモい!超八方美人なんですけど!』
『サツキ。急に念話するな。不審がられる』
『わかってるよ。馬鹿兄貴!ブチッ』
……[念話終]……
「そんな事、ありませんわ。私も心待ちにしておりましたもの」
「ありがとうございます。こちらは、妹のサツキです。一緒に話を聞きたいというものですから連れてきてしまいました。ご迷惑でしょうか?」
「まぁ。ご迷惑なんてとんでもありません。シロウ様の妹様なのですね。アンリエットです。仲良くしてくださると嬉しいですわ」
「私は、カトリーヌと言います。アンリエット姉様の妹です」
「はじめまして。私は、スズカゼ サツキです。よろしくお願いします」
……[サツキの心では]……
……何なのこの凄い美人達は……しかも、お姫様だよ……
「自己紹介も済みました事ですし、戦争のお話を致しましょうか?」
「はい。よろしくお願いします」
「では……」
アンリエット王女は史料を用いて詳しく説明してくれた。内容要約すると
まず、一千年前、当時の教会の巫女に神託があったそうだ。それは、冥界の魔人達が、この世界を滅ぼしかねない邪神を呼び出そうとしているというのである。
その当時、人種による小競り合いはあったもののそれまで、大きな争いは無かったそうである。だが、神託が真実なら、地上に住む生物は滅んでしまう可能性がある。よって、魔人達が住むといわれる冥界にそれぞれの人種の強者が討伐に向かう事となった。
しかし、魔人達は圧倒的な強さを持ち、戦況は劣勢だった頃、神の力を授かった一人の勇者が現れ、仲間を率いて、冥界に行き魔王を打ち滅ぼしたという。
その勇者が『ムサシ』そして、勇者の仲間ある雷撃の剣姫『スレイサー』魔術師 『マリーゼ 』慈悲の巫女『ターミヤ』 疾風の弓使いエルフの『スミス』というメンバーだったらしい。たった5人で冥界を征服しこの世界に平和をもたらしたそうだ。
「そうだったのですか……教会の神託が始まりだったんですね」
「そう聞いておりますわ」
「これ以上の詳しい史料はありませんのよ」
「わかりました。とても、良いお話を聞けて嬉しく思います。ありがとうございました」
……[念話中]……
『シロウ、キングウルフの群れを見つけた』
『ころちゅでちゅう』
『無理するなよ』
『うん。もう、終わった』
『えっ?今見つけたんだよね』
『そう。なんで?』
『あまりに早かったから……』
『ミミーもいるから簡単』
『そうか。討伐部位の角を持ち帰ってくれるか?』
『死体が残ってるのは少ない』
『どれくらい?』
『100体くらい』
『……』
『シロウ?』
『残ってる奴だけでいいよ。ありがとうなリーナ。ミミー』
『うん』
『ハイなのでちゅう』
……[念話終]……
……どんなけ強いの?あの二魔……
「シロウ様どうかなさりましたか?」
「シロウさんボーッとしてたよ」
「あっ、シロウ兄は、たまにそうなるんです。気になさらないで下さい」
「そうでしたの。私の話がつまらないのではと心配しました」
「いいえ。つまらないなんてとんでもないです。とても良い勉強になりました」
「シロウさんは、勉強熱心なんですね」
「カトリーヌ様にお褒めいただけるような、勉強好きではないですよ」
「いいえ。この国の歴史を学ぼうなんて、とても素晴らしい事ですわ」
……[念話中]……
『シロウ兄、私、疲れたよ』
『俺もだよ』
『あの二人のメイドさん、シロウ兄を睨んでるけど何かしたの?』
『俺も何でか聞きたいよ』
『すっごい圧かけてくるよね』
『あ〜〜胃が痛いよ』
……[念話終]……
「ありがとうございます。アンリエット様」
「シロウさんは、この後、ご予定は?」
「特にありま……
……[念話中]……
『バカ!そう言ったらダメだよ。予定があるっていうんだよ』
……[念話終]……
……実は、孤児院に行く約束がありまして、この後行くつもりでした」
「そうでしたの。孤児院ではどのような件で?」
「先日、知り合った方が、一人で多くの子供達を面倒見ていたものですから少しでもお役に立ちたいと思いまして」
「シロウさんは優しいんですね」
「カトリーヌ様ほどではありません。いつも民の事を思って行動してらっっしゃるのですから」
「私もその孤児院に行こうかしら……」
「えっ!」
「いけません。アンリエット様。アンリエット様が街に出られたら、騒ぎになります」
……メイド1号が怖すぎる。眼力で殺されそうだよ……
……[念話中]……
『ねえ、このお姫様、シロウ兄が好きなんじゃないの?』
『まさか……身分が違いすぎるよ』
『そうだけど……じゃあ天然なのかなぁーー』
『それは、否定できない』
……[念話終]……
「今のお言葉でアンリエット様がとてもお優しい方と再認識致しました。ですが、街は危険が伴います。このような事は、私のような人間にお任せ下さい」
「ですが、シロウ様はもう帰ってしまわれるのですわよね」
「はい。でも、いつでもお会いできますよ」
「今度はいつ、来られますか?」
「ここ何日かは、冒険者の仕事もありますので難しいですが、仕事のケリがつきましたら、また、お目にかかりたいです」
「そうですわよね……。きっとまた、お会いしましょうね。シロウ様」
「はい」
「シロウさん、私にも会いに来て下さい」
「はい。もちろんです。カトリーヌ様」
そのあと、お茶をご馳走になり俺達はやっと解放されたのだった。
◇◇◇
俺達は、合流して遅いお昼を食べることになり、王都で評判の店「香燻亭」という店に入った。
注文した品々にハーブ、香辛料がふんだんに使われており、この世界のサッパリ料理とは、格段に違って美味しかった。
ここにで俺達は、それぞれの役目の報告を行った。
「俺の方は、無事に話が終わったよ」
「えーーシロウ兄は、また、別の予定をしそうになってたよね。私がいなければ、きっともう別の予定が入ってたよ。ほんと、シロウ兄が、優柔不断だって、確信したよ」
「それは、そうだけど……」
「それに、シロウ兄は、他所で良い顔し過ぎ!何あれ?キモいんですけど」
「わーー。わかったよ。サツキ。もう、勘弁してくれ〜〜」
「他所で良い顔しない事。いいね」
「はい……」
……何で俺、怒られてるの?……
「ミミーとリーナおねえちゃんは、すぐお犬さん殺したでちゅう」
「群れはもういない。大丈夫」
「ありがとうな。リーナ、ミミー」
「角たくさん持ってきた。ここでだす?」
「いやいや、あとで預かるよ。ギルドに持って行かなきゃ」
「そう。いつでも言って」
「うん。わかった」
「我の方は、特に変わった様子はありませんでしたぞ。たまに、子供達が我を見つけて石を投げつけてきたので、相応しい罰を与えたぐらいです」
「えっと、罰ってまさか、殺したりしてないよね?」
「いいえ。サツキ様が悲しみますからそうのような事はしてません。ただ我の眷属ノミ男爵を呼び出しただけであります。今頃は『痒み』で喜んでいるでしょう。ホーホケキョ」
「ノミ男爵って……」
……あとで、痒み止めの軟膏買って持っていこう……
「これから、どうしようか?一旦、日本に戻ろうと思ってるんだけど……」
「私は構わない」
「ミミーもだいじょうぶでちゅう」
「我は、サツキ様がに従うまで、異論はありません」
俺達は、人気のない路地に入り、全マップ探索で周囲を警戒し確認してからドアを開いた。
すると、そこには見慣れない女性が一人ベッドでくつろいでいた。




