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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第1章

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第17話 ーーー残念な1日(1)ーーー

 



 俺は、あれから荷物を受け取り、王宮を出て、噴水のある公園のベンチに腰掛けている。端から見たら、職を失ったサラリーマンが家族に言えず公園で時間を潰す哀愁の漂った人に見えるだろう。


「何で俺は、女性に強く出られるときちんと断る事が出来ないんだろう。でもあの状況で断る事ってできる?できないよね。できるんだったらどうやるの?」


 一人でぶつぶつ呟いていると、サツキから念話が入った。


『シロウ兄、すごいよ。火の鳥だよ。カメラ、カメラ持ってない?』

『サツキ、そこ熱くないの?俺は死にそうだったよ。その場所……』

『何言ってんの!こんなすごい事、経験できないよ』

『わかった。わかった。気をつけてな』

『は〜〜い』


 ……サツキみたいな奴が勇者とか異世界ライフに向いてるんだろうな……


「明日の事を考えると憂鬱だ。王女様達だけならきっと大丈夫だよ。でも、いるよね。メイド1号、2号が……」


 ……あの二人、超怖いんですけど……


「ハァーー、胃が痛い……」


 俺は、また一つ大きなため息をついた。


「気晴らしに、紹介された家を見に行こうかな……」



 ◇◇◇



 その家は、湖のほとりにあり、環境は良いところだ。しかし、家は、人が住める状態ではなく、かろうじて雨露をしのげる程度の物だった。


「周りは、いいんだよ。こういう方が、リーナ達がいるし気兼ねなく過ごせるし何かあっても、周りに被害が出ないというのも良いと思う。でも、家があれじゃあ、どうしようもない。修理にいくらかかるかわからない」


 すると、サツキからまた念話が入った。


『シロウ兄、シロウ兄、上半身人間で下半身が蛇みたいだよ。未確認生命体だよ。UMAだよ!』

『サツキ、そこの湖の水飲むなよ。毒だから」

『シロウ兄、もしかして、飲んだの?』

『悪いか?』

『馬鹿じゃないの?オシッコやウンチが混ざってるかも知れないんだよ』

『サツキーーお前、女の子がそんな事言うんじゃない』

『うるさい!変態兄貴!ブチッ!』


 ……携帯みたいに念話で通話切るなよ。もう……


 サツキのテンションが羨ましい。小さい頃は、あんな感じだったけど、大きくなったら、あんまり感情出さなくなったなぁーー。まぁ、思春期の兄妹って普通会話ないよね。空気みたいな存在になるし……


 今のサツキは、良い感じだ。きっと、異世界が合ってるんだろう……


「せっかく来たんだ。建物の中に入ろう」


 俺は、蜘蛛の巣が張る扉を開き中に入る。二階建てで、大きな家だが、床が腐って所々抜け落ちてる。


「外見はダメでも中は大丈夫というパターンじゃなかったみたいだ」


 天井も崩れているところがあり、修理するより、建て替えた方が早いんじゃないかと思われる。


「地下室があるって言ってたよな……」


 廃屋の探検みたいで、興味がわくが、一人で入るには怖い。


「うーーむ。やめようかな……でも……せっかくだし……う〜〜む」


 すると、また、サツキから念話が入る。


『シロウ兄、シロウ兄、世界遺産だよ。すっごい綺麗な海』

『異世界にサツキが初めて来たとこだろう』

『この間は、夜だったからよくわかんなかったの。ここ最高。コバルト色だよ。こんな素敵な場所ってあるんだね』

『わかった。わかった』

『シロウ兄、テンション低いよ』

『お前が、高すぎるんだよ』

『あっ、なんか出てきた。でかい鰻?』

『失礼のないようにな。下手すると殺されるぞ』

『あ〜〜い。ブチッ』


 ……だから、念話をそうやって切るなよ。もう……


 サツキのせいで、俺はイライラしてきた。俺がこっちに来てすごく大変だったのに、サツキは、異世界ライフをエンジョイしてる。


 ……俺の気持ちも知らないで……


 俺は、地下室の扉を苛立ちの反動で開けてしまった。階段が地下に繋がっている。俺は、先までの臆病さは無くなっていた。迷わず地下に降りる。


 そこは、錬金術の作業場みたいで、いろいろな工具が散らばっていた。誇りやカビ臭さで息がしづらい。長いは無用の場所だ。すると、俺は、棚に飾ってあったあるものに目を奪われた。


「こ、これは、この世界のフィギュアだ」


 洗練されたフォームに、流れるような動きを感じる。


「これは、これでいいんじゃないかな。身体のラインは良いけど、髪の毛が表現しきれてない。難しいよな。髪の毛を表現するのは……でも、すごく作った人の愛情を感じる作品だよ」


 よく見ると、他のも4体あった。モデルは、皆同じみたいだ。鑑定を使ってみると、


 ……………………………

 人物造形物 素材 ミスチル鋼

 モデル 雷撃の剣姫スレイサー

 作家 錬金術師 ダミー・スミス

 ……………………………


「この錬金術師は、これを自ら作り、飾って眺めていたに違いない……錬金術は、金以外の素材を金に変えるとかのイメージしか無かったがこういう風にも使えるのか……」


 俺は、この屋敷の住んでいた人を想像しながら、あれこれ考えていた。


「俺も、自分の部屋に好きなフィギュアを飾りたい。いや、絶対、飾るぞ!」


 俺は、このフィギュア達を持ち出す事はしなかった。きっと、この家にいたいだろうと、勝手に思っていたからだ。


 俺は、この物件を諦め王都に戻るのだった。




 ◇◇◇




 街に戻ると、また、サツキから念話が入った。


『シロウ兄、シロウ兄、私、いっぱい加護もらっちゃった』

『良かったな』

『うん』

『それでね。私も悪魔と契約しちゃったんだ』

『そうかーー良かった……いや、まてーー!!それ、どういう事?』

『だから、悪魔と契約したの。すっごい可愛いんだよ』

『おいおい、何やってんだよ。そいつ、大丈夫なのか?』

『平気だよ。それに、二股かけてるシロウ兄に言われてもピンっと来ないよ』

『二股って、失礼な言い方するんじゃない』

『うるさい!バカ兄貴!ブチッ!』


 ……あいつ、何やってんだよ。相手は、悪魔だぞ。とするとしたのか。アレを……あーーやはり、この世界に連れてくるんじゃなかった……


『リーナ、リーナ。いる?』

『シロウ 何?』

『さっき、サツキの念話で悪魔と契約したって聴いたんだけど』

『そう。さっき契約終わった』

『その悪魔さんは、大丈夫なの?それに、男?女?』

『冥界の大君主だよ。もちろん男』

『あーーそのーー契約って、アレするよね。アレ』

『そう。する』

『サツキは、そのーーその悪魔さんとしたのかな?アレを』

『したよ』

『あーーそうなんだ。いや、その……』

『シロウおかしい。契約は厳粛なもの』

『そうだよねーー。うん。サツキが決めたのなら、そのーーわかってるんだけど心配というか、何というか……』

『大丈夫。ソラスは良い子』

『ソラスって言うんだ。わかったよ。リーナも気をつけてな』

『うん。もうすぐ、帰る』

『じゃあ』


 ……あーー俺のせいだ。サツキをこの世界に連れてきたから……


 俺は、どうしようもない後悔に(さいな)まれていた。




 ◇◇◇



「えーーと、この方が私と契約した悪魔、ソラちゃんよ」

「あの……」

「シロウ兄聞いてる?」


 ここは、異世界の宿屋。あれから、俺は王都に戻り、泊まっていた宿屋に帰って、リーナ達が転移してくるのを待っていた。そして、みんなが現れて今、この状況である。


「聞いてるよ。それが、悪魔なの?」


『それとは、(いささ)か失礼なのではありませんか?サツキ様の兄上でなければ即刻冥府の釜に投げ入れていたでしょう』

「あっ、すみません。ちょっと意外だったものですから」

『まぁいいでしょう。貴殿は、黒炎の姫と蠅の王の姫の契約者でありますので我に対する無礼は今回は見逃してあげましょう』


 先程から上から目線で話してくるのは、サツキの契約悪魔ソラス。冥府の大君主だそうだ。俺には、ただのフクロウにしか見えないけど……


「サツキ、ソラスだっけ?契約して良かったのか?」

「もちろん。だって、可愛いんだもん」

「可愛いって言ったって、ただのフクロウだぞ」


『貴様!我をただのフクロウと言ったな。我は、そのような下等な生き物ではない。謝罪を要求する。この()れ者が!』


 ……痛い。痛い。俺を突くなーー!


「ソラちゃん。お兄は、理解できないんだよ。ソラちゃんが強くて可愛いって事を、許してあげて」

『サツキ様がそうおっしゃるのでしたら、この辺で勘弁してあげましょう』


「シロウ、ソラスは、こう見えて、誇り高き冥府の大君主。失礼はダメ」

「リーナ、わかったよ。でも、契約ってやはり魂と交換なのか?」

「我には、そのような物は必要ない。豪華なディナーと酒を交換したのです」


 ……また、食いしん坊さんだ……


「一応、確認の為、二人のステータス見てもいい?」

「シロウ兄、そんな事できるの?」

「戦闘系は、さっぱりだけどサポート系は割と充実してるんだよ」


『我は構わん。見たければ見れば良い』

「あとで教えてくれるなら、私もいいよ」


「じゃあ。ステータスオープン」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ソラス=ストロース(1428歳) 冥府の大君主


 Lv 486


 HP 11600(+10000)/11600(+10000)

 MP 12400(+10000)/12400(+10000)



 SKILL

  闇夜の羽根

  古代魔法

  攻撃魔法(闇・火・水・風・土)大

  防御魔法 大

  回復治癒魔法 大

  自動回復 治癒特性

  魔法無効化 特大

  物理攻撃無効化 特大

  身体 ・精神異常耐性 特大

  気配察知 特大


【称号】 冥府の大君主 26の軍団の指揮者 空間把握 誇り高き者

  酒好き 封印されし者 放浪者 変幻の術者 サツキの契約者

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 サツキ スズカゼ(12) 人族 平民 職業 学生


 Lv 21


 HP 210(+1000+1000+1000+10000)/

  210(+1000+1000+1000+10000)

 MP 420(+1000+1000+1000+10000)/

  420(+1000+1000+1000+10000)


 SKILL

  攻撃魔法(火・水・風・土)中

  回復治療魔法 中

  亜空間収納ボックス

  毒無効化耐性

  火・熱耐性

  異常状態無効耐性

  即死耐性

  精神異常無効耐性

  言語能力(日本語 Lv 6 英語 Lv 2 ミリエナ国共通語 Lv 1)


【称号】 鈴風家五人目 家事補助者 勤勉家 努力家 お兄大好きっ子

  イジメられっ子(無)我慢耐性保持者 拾得者 投石者 投棒者

  フェニックスの加護 フォルネウスの加護 レヴィアタンの加護

  ソラスの契約者


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「わーーっ!何でこんなにレベル高いの?」

『我にとっては、当然の事であります。ホーホー、ホケッキョ!』


 ……何でフクロウが、鶯の鳴き声? えっ!誰も突っ込まないの……


「サツキも何でこんなにレベル上がってるの?」

「迷宮行ったからだよ」

「えっ?」


「迷宮で魔法の使い方教えた。サツキは筋がいい」

「サツキおねーちゃん、ちゅおくなっちゃでちゅう」

「それにしても、こんな短時間で?」

「殆どリーナさんやミミーちゃんが魔獣をやっつけたんだ。私は、拾った石や棒を投げつけただけ」


 ……俺、確かレベル7だったよな。獲得経験値10倍あるのに、妹に抜かれるって、何なの?……


「どんなけすごい魔獣倒したんだよ。お前ら……」

「強くない。普通」

「そりゃあ、リーナにとってはそうだけど……」

「シロウも早くレベル上げたほうがいい」


「シロウ兄、今、レベルいくつなの?」

「…………」

「いくつなのよ?」

「……7」

「何してたの?」

「もう、いいだろう。これでも、俺、必死だったんだからーー!」

「はい、はい」

「はい、は一回でいいんだ。サツキ。わーーっ」


 俺は、いたたまれなくなり、みんながいる部屋を出て行った。


 ……妹に抜かれるって結構しんどい。もう、心が折れたよ……



 




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