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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
最終章

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130/132

第130話 ーーー異世界で引きこもりーーー





 何も考えられなかった。何かしてれば気がまぎれるのか?

 フェニックスの涙を取ってこよう。何かをすれば、きっと……


 俺は、以前、リーナと潜った迷宮に行き、フェニックスの涙を取りに出かけた。しかし、フェニックスは、どんな事をしても死なない。俺は諦めてドアを開き丘に戻った。


 すると……


「シロウ、ここにいたの? 」

「…………」

「アンリエット王女は送って行ったわ」

「…………」

「シロウ、さっきの話だけど、シアンがこうなる事は知っていたわ……」

「なんで、なんで、なんでなんだよーー!」

「でも、どこでそうなるかまでは知らなかった。それが、答えよ」

「もう……どうすれば……」


「シロウ、リーナ達を閉じ込めたドアを出してくれる。安全なところに埋めておかないといけないわ」

「リーゼは、何でそんな事務的にできるの? お父さん、俺が殺したんだよ」

「平気じゃないわ。私も苦しい……よ」


「俺なんか、どうしたら良いのか分からないんだ! あの時、トラックに轢かれて死んでいれば良かった……そうすれば、変な能力なんか持たないで普通に暮らせたんだ。みんなを巻き込む事なんかにならなかった。俺なんて、厄病神だ。俺がいると、みんな不幸になるんだ。俺は、俺は……」


「辛いのは同じよ……私も苦しい……シロウ、抱いてくれる? 」


 俺は、リーゼと抱き合った……

 何も考えられない……

 ただ、お互いを貪るように求めた。

 お互いの傷を舐めあっているのはわかっていた。

 でも、他に何をすれば、この気持ちを抑えられるのだろうか?


 俺と、リーゼは、その丘で、1つになった……


 明け方、リーゼは、リーナを封印したパンドラの箱を北部の山脈に埋めに行った。



 そして、俺は、マイルーム、ドア4を開き、世界から隔絶された部屋に閉じこもった。




◇◇◇



 あれから、どれ程経っただろうか?

 この部屋には時間が無い。


 吸血鬼達が柩に引きこもっていた気持ちがわかった。

 自分ではどうする事も出来ないんだ……

 きっかけは、それぞれだ……

 でも、長い時を重ねると、ここから一歩も出られなくなる。

 吸血鬼達を軽く扱って悪い事をしたと思う……


 何もする気が起きない……


 俺は、その部屋で寝て過ごしていた。




◆◆◆




 ここは、現代の冥府。リーナの居室だ。


 リーナは、自分が母親を殺した事、シロウがリーゼに連れ去られた事、そして、シロウがあの炎を纏っていた事で考え込んでいた。


「サリーナ様、眠れませんか? ミルクティーでもお持ちいたしましょうか? 」

「ありがとう、クルミ……」


「シロウ、何処に行ったの? 念話も通じない……一緒にいてくれるって言ったのに……」


リーナがそう呟くと、それに答えるように返事が返ってきた。


「そうネ。シロウもそう言ってたわ」


「……リーゼ」


「リーナにきちんと話すって、シロウと約束したからここに来たの……」

「よくもーー! シロウも、お父さんもーー! 」


 リーナは、黒炎を纏った。でも、リーゼは、そんなリーナに


「ねぇ、リーナ、これが、わかる? ここに、新しい命があるのよ」

「えっ……」

「リーナには悪いと思ったんだけど、これは、私とシロウの子なの……」

「なんで、そんな……嘘よ! シロウがリーゼとなんてーー! 」

「聞いて、リーナ。全部話すから……」


 リーゼは、今までの事をリーナに話す。きっと嫌われるだろうと覚悟の上だ。でも、シロウと約束した。悪魔は、約束を違えない。


「これで、全部よ……リーナ、ごめんなさい……」

「じゃあ、シロウは、今どこにいるの?千年もの間、行方不明だなんて……」

「きっと、自分の部屋に引きこもってるんだわ。それも、絶対、外界から探知されない亜空間にネ」

「千年も……」

「リーナだって、千年封印されてたでしょう? おあいこよ」

「どこの亜空間か分からなければ探せない……」

「そんな事はないわ。リーナの部屋には。ドアがあるでしょう? きっと、強くシロウの事を思ってドアを開ければシロウの部屋に通じる事ができるわ」

「そんなことが……」

「分からないけど、思いは岩をも砕くものよ。シロウをお願いね。私は、もう、これを最後に時空移動ができなくなるわ。会うのは、これが最後になるわね」

「えっ、なんで? 」

「時空移動は負担がかかるのよ。それに、私はミリエナ国を作り上げないといけないし……」

「人族の王になるの? 」

「もう、決まってる事だから……この子は、その2代目よ。じゃあネ。話せてよかったわ」

「待って、リーゼ……姉さん」

「お姉さんて呼んでくれるの? 最高のプレゼントだわ。シロウをお願いね」


 そう言ってリーゼは、消えて行った。


 リーナは、ドアノブを握り、強くシロウの事を思った。このドアは、神の力によるものだ。悪魔の私に反応するとは思えなかった……


「ダメだわ……シロウ……」


「サリーナ様! 悪いとは思いましたが、今の話を聞いてしまいました」

「クルミ、良いのよ……もう、シロウは帰って来ないわ……」


「サリーナ様。失礼します! 」


『ピシッ! 』


 クルミは、リーナの頬を思い切り叩いた。そして、


「サリーナ様のシロウ様に対する気持ちは、そんなものなのですか! それなら、私の方がきっと、シロウ様の事を思っています。サリーナ様ができないのなら、私がシロウ様をこのドアで探します。私は、絶対に諦めません! 」


「クルミ……わかった。ミミーを呼んで来て。それとドラ子達もお願い……悪魔だって、みんなの力を合わせれば、きっと神の力を動かせるわ」


「サリーナ様……すぐに呼んで来ます! 」


 クルミは、急いでみんなを呼びに行った。そして、リーナは、ドアを開いて日本に行きシロウの家族にお願いしに行った。




◇◇◇



 今、冥府のリーナの居室には、リーナを始めミミー、吸血鬼達、そして、クルミ、アザゼル、ルシファー達悪魔と、日本のシロウの家族とスズネがそこにいる。


「さっきも話した通り、シロウは、亜空間の部屋に引きこもっています。でも、みんなの力を合わせれば、きっと、シロウのいる部屋にこのドアが通じると思ってます。力を貸して下さい」


 リーナは、ここにいるみんなに頭を下げた。そして、みんなは、


「全く、千年も引きこもるなんて、呆れるわ」

「二葉姉言い過ぎだよ。きっと、辛かったんだよ」

「サツキちゃんは優しいね」


「これは、シロウ様を見習って私達も引きこもらないといけませんね」

「流石に、千年出てこない事は無かったよ。柩にトイレ無いしね」

「立派です。シロウ様は引きこもりの中の引きこもりです」


「みんな、お願い」


 リーナの言葉にみんなはそのドアに触れる。そして、


『シロウーー! 』


 叫びながらドアを開いた……




◆◆◆




 俺は、寝ていたが、何やらガヤガヤ声が聞こえて来た。ここは、俺だけの亜空間。誰もいるはずが無い……


 夢だと思っていたが、あまりにも煩いので目を開けると……


「シロウ……」


 リーナを始めとして、この狭い部屋の中のみんながいた。


「なんで……ここが……」

「シロウ、リーゼが教えてくれた」

「リーゼが……」


「シロウ!何やってんの! 説教だぞ! 」


「流石、シロウ様です。引きこもるには最高の場所です。是非、私に貸して下さい」


 それぞれ言いたいことばかり言ってる。

 こんな、気分になるのはいつぶりなんだろう……


「シロウ、このドア。時空も超えられるみたいだぜ! ラッキーだな! 」

「時空って、本当ですか? ルシファー先輩……」

「あぁ〜〜間違いないぞ。元、天使が言ってるんだからな? 」

「じゃあ、これを使えば、シアンを助けられるのか……? 」

「きっと、助けられるのでちゅう」


『行こう! シロウ! シアンを助けに……』


「うん……」




俺は、シアンを思ってドアを開いた……。








いつも読んで頂いて有難うございます。

『異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について』

この130話で終了となります。


長い間、飽きずに読んでくださった皆様に感謝致します。


どうも、ありがとうございました。

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