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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
最終章

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第129話 ーーー冥府での戦闘ーーー





『神の使者が来たぞーー!!』


『リーゼが裏切ったぞーー!! 』


『裏切り者共々、やっつけろーー!!』


 俺達は、冥界に転移した。


 これが、戦争だ。


 紫炎を纏い、悪魔達を取り込む……

 聖剣で悪魔達を斬り裂く……


 リーゼの計画では、まず、ゼルゼブブ家を襲う。次にリーナのいる冥城だ。


 ベルゼブブ家には、結界のようなものが張り巡らせてある。

 シアンの浄化でそれを消した。


 俺達の目の前には、ミミーのお父さんが立ち塞がっていた。


 俺は、構わず、その相手を斬るつける。

 流石、ミミーのお父さんだ。聖剣でも、歯が立たない。


 俺は、紫炎に意識を集中する。一回りもふた回りも大きくなった。


 そして、攻撃を繰り出すミミーのお父さんを、俺は、紫炎で取り込んだ。


 紫炎の中で消えていくミミーの父親と目があった。そして、虚しく空を見上げ天を睨んでいた。


 リーゼ達は、ミミーの確保の為に、先に屋敷に入り込んでいた。そして、


「いたよーー! 」


 リーゼの声がする。俺は、ミミーの前に立ちその顔を見た。


 涙を浮かべて俺を睨むその目を俺はきっと忘れる事など出来ないだろう。


 ドアを開き、ミミーをその中に入れる。封印完了だ。


 あとは、リーナ達だ。


 その間も、悪魔達の攻撃が襲いかかっている。リーゼのシールドである程度は防げているが、それでも、足りないくらいだ。


 出来るだけ、殺したくはない……


 エリックさんは聖水を取り付けた金の弓矢で矢を放つ。死なないまでも、攻撃は緩む。


 シアンは、今度は、冥城の結界を浄化魔法で消している。城からは、多くの悪魔が、出てきて、俺達の足止めをしていた。そして、意味を理解しているのか、無駄な血を流さないようにしているのか、その真意はわからないが、リーナのお父さんであるアスモ=サタンが城から出てきて俺達の前に立ち塞がった。


『お父さん……』


 リーゼの声が届く。


『リーゼよ。覚悟はよいのだな? 』

『はい。お父さんを殺して、この荒れ果てた冥府を終わりにします』

『わかった。手加減は無しだ。思う存分、力を使え』

『はい。みんな、いくわよーー! 』


 リーゼの掛け声とともに、サタンとの戦いが始まった。まず、アンリエット王女が雷撃をサタンに向けて落とす。しかし、サタンの黒炎に阻まれてしまった。シアンは、浄化を、エリックさんは金の弓矢で攻撃する。どちらも、その黒炎には、影響を及ぼさなかった。


 リーゼは、攻撃魔法を繰り出す。無駄だとわかっていても、これが、この親子の最期の挨拶だ。手加減はしていない。サタンは、一瞬、黒炎を消す。そして、リーゼの攻撃をまともに喰らった。


 ダメージは、あまり受けてない様子だが、サタンの顔は誇らしげだった。


『シロウ……お願い……』


 リーゼの悲痛な声がする。きっと、悟ったのだ。この親子は……


「……わかった……」


 俺は、紫炎を最大限にして、サタンの黒炎とぶつかる。黒炎は、音もなく静かに俺の紫炎に吸収されていった……


 それを見たサタンは、


『こいっ! 』


 俺は、その言葉と共に、聖剣を構えてサタンの黒炎の中に入った。そして、聖剣をサタンの胸に刺した。紫炎がサタンを包み込む。黒炎もサタンも音も無く消えていく……


 そして、サタンは、


『……娘達を頼む……』


 そう言ったような気がした。

 そこには、もうサタンの姿は無く、ただ、折れた聖剣が転がっていた。




◇◇◇




 サタンがやられたという声が冥府に響き渡る。


 悪魔達は、我よ我よと逃げ出し始めた。


 しかし、もう、1魔、黒炎を纏った悪魔が近づいてきた。


「……リーナ……」


 父を殺された感情が爆発し、暴走している。

 紫炎を纏えば、リーナを消してしまう……


 俺は、紫炎を圧縮して服の下に隠すように小さく纏った。

 これなら、リーナの黒炎も無効化できるし、リーナを誤って消すこともない。


 俺は、折れた聖剣で、リーナと対峙する。


 リーナの黒炎が俺に襲いかかる。服を貫くが、俺には効かない……


 後方では、エリックさんとシアンが援護している。リーゼは、リーナに向き合い、そして、こう言った。


『お父さんを殺したのは私よ。リーナ、かかってきなさい! 』


 その声にリーナは反応する。そして、リーゼに向かって黒炎を放ち始めた。

 リーゼは、それをかわしながら、チャンスを待っていた。そして、目で俺に合図した。


 俺は、計画通り、ドアを開く。中には、聖剣の鞘が収めてある。聖剣の鞘は、綺麗な宝石がちりばめられている。リーナなら、一瞬でもそれを見るはずだ。


 俺達の予想通り、リーナは、その鞘を見た。その時、俺は、リーナの背後に周り、黒炎を潜り抜けリーナを押し込む。そして、直ぐにドアを閉じたのだった。


「終わったのか……」


 俺は、そこにひざまづいていた……

 周りには悪魔はもう、いないようだ……


 俺は、紫炎を消して、そこに手をついた。


「やってしまった……ミミーのお父さんも、リーナのお父さんも俺の手で殺してしまった……」


 呆然としていると、シアンが


「危ない! 」


 シアンは、黒炎に包まれていた……


 まだ、終わって無かった……


『シアーーン!! 』


 みんながシアンの名前を呼ぶ。シアンは、笑ったような気がした。


「なんで、なんで、なんでーー! 」


 俺は、紫炎を纏った。しかし、攻撃相手がいない……

 何故だ……


 すると、


「シロウ、上よ! 」


 そこにいたのは、カラスのハルファスだった。何か瓶のような物を持っている。


「わははは、黒炎を閉じ込めた特製の瓶よ。どうだ。恐れ入ったか!!」


 黒炎は、もう、俺の紫炎で消されている。もう、冥界に何処を探しても黒炎をその瓶に閉じ込める事は出来ないはずだ。


 俺は、ハルファスに紫炎を放つが、転移したようで逃げられてしまった。マップで探しても見つからない……


「シアン……何で、俺なんか庇うんだよ……」


 もう、シアンはどこにも存在していなかった……



「リーゼ! リーゼは知ってたんだろう? シアンがこうなる事を! 」

「…………」

「リーゼーー! 」

「答えはあとで言うわ……もう、戻りましょう」


 俺達は、リーゼの転移であの家に着いた。


 そして、リーゼは、


「みんな……ご苦労様」


「何がご苦労様だ! シアンは、シアンは、死んだんだぞーー! 」


 エリックさんが物凄い剣幕で怒っている。しかし、リーゼは、


「私も父を失ったわ……永遠にね……」


「でも、どうすればーーこの気持ちをどうすればいいんだーー! 」


 エリックさんの気持ちが痛い程伝わってきた。俺を庇って死んだシアンを俺は、リーゼを責める事ができるのか……


「エリックさん、左手怪我してるよ。待ってて……」


 俺はバッグに入っているはずのフェニックスの涙を探した。どうやら、街の人達にいろいろ配って在庫が殆ど無い。1つをエリックさんに渡した。


「みんな、元の世界に送って行くわ……」


「俺は、もう、たくさんだ。元の世界に帰ってもシアンがいない……シアンは、この世界で亡くなったんだ。俺は、この世界に残る! そして、ここから出て行く……」


 エリックさんは、そう言って、この家を出て行ってしまった。


 その背後姿に俺は、声もかけれなかった……


「では、アンリエット王女だけでも送っていきます。シロウは、まだ、やる事があるので……」


「いいえ、私も残りますわ」

「それは、ダメです。王女には、王女しかできない事があります。それを成し遂げてください」


 リーゼはそう言って、アンリエット王女をこの時間軸に連れて来る前の元の時間軸に転移した。


 俺は、それを見て、この家を出る。そして、あの丘に向かって歩き出した。






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