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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
最終章

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124/132

第124話 ーーー俺は1人でーーー





 迷宮都市ルーンがあった場所が、この時代では、一番大きな町らしい。建造物も、石でできているものもあり、今まで周ってきた村里とは、格段の差があった。


 その建造物の、1つが教会だった。当時から、信仰は盛んだったようだ。


 俺達は、この町一軒しかない宿屋に泊まる。そこで、リーゼから話があった。


「明日、教会の神託が行われるわ。私達は、その直後転移して、その教会に現れようと思います。それで、問題なのだけど……」


「何が問題なの? 」


「名前よ。それと、シロウ、シアン、エリック、王女の容姿。冥界に行く事になったら、知ってる悪魔もいるでしょう? その後の関係に影響を及ぼすわ。だから、みんなには変装してもらいます」


「変装デスか? 」


「王女様、勇者一行の名前は知ってますか? 」

「はい。勇者のムサシ。雷撃のスレイサー、魔法使いのマリーゼ、聖女のターミヤそして、エルフのスミスですわ」


「よくできました。それで、ここだけみんなの名前を変えてもらいます。シロウ、貴方はムサシ。王女はスレイサー、シアンはターミヤ、そして、エリックはスミスね」


「別に良いけど、後付けだよねーーこれって……」


「仕方ないのよ。そうしないと、この国の歴史がめちゃくちゃになちゃうじゃない」


「そうだけど……」


「それと、シロウには、ここで、リーナ達を封印する部屋を用意してもらうわ。他のみんなは、私と、ここにある迷宮に潜りましょう。少しでも、レベルを上げときたいわ」


「これからデスか? 」

「もちろんです。明日は、忙しいからネ」

「ヤレヤレ、リーゼは、人使いが荒いデス」

「これは、エリックの為でもあるのよ。今、一番レベルが低いのですから」

「はい、はい」


 完全に俺とエリックさんの立場が逆転したようだ。

みんなは、少し休んで迷宮にむかった。俺は、リーナ達を封印する部屋を用意しなければ……


「リーゼ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

「なに? 」

「封印って、千年だよね。その間の食事とかどうすればいいの? 」

「魔力があれば、エネルギーに変換できるから大丈夫よ。でも、シロウの部屋はどうなってるの? 」

「わからないよ」

「そうなんだ。じゃあ、魔獣の核とかあれば、魔力循環装置ができるよ。千年耐えられるとなると、キメラクラスかな? 」

「あっ、それなら、バッグに入ってるよ。でも、魔力循環装置って、どうやって作るの? 」

「えっ!? 知らないの? しょうがないな〜〜魔核が納められる箱の中に魔法陣を描くだけだよ。あとで魔法陣を用意しておくよ。シロウは、箱を用意しといて、せめて、ミスチルとはいかなくても、それに近い金属でできてると良いわね」

「わかった。探して、作っておくよ」

「じゃあ、私達は、迷宮に潜りましょう」


 リーゼ達は行ってしまった。ここでは、狭くてキメラの魔核を取り出せない。


「広い場所に移動するか……」


 俺は、黒翼のマントを羽織り、王宮のあった草原に行く。


 バッグの中には、キメラの遺体がそのまま入っている。俺は、それを取り出して魔核を採取した。


「あとは、金属か……確か、ライン王がサラマー国の北部の山脈にあるって言ってたっけ」


 俺は、ドラ代ことゼロスリーに魔法を教えてもらった場所にドアを開いた。




◇◇◇



 山脈の麓には、人が住んでいるようなところは存在しなかった。でも、マップで確認すると、人の存在が数名ある。岩場の洞窟の中にいるようだ。


 俺は、その洞窟まで行く事にした。現地の人間なら、鉱物の採れる場所を知っているかもしれない。


 洞窟の中に入ってみると、俺は愕然とした。そこにいたのは、数名の子供達で、首と手に鎖をつけられ、牢屋のような場所に押し込められていたからだ。


 俺が、そこを覗き込むと、サツキぐらいの年長の女の子が、みんなを庇うように両手を広げて俺を睨んでいる。


「あの〜〜君達は、どうしてここにいるの? 」

「…………」

「俺はシロウ……じゃなかった、ムサシって言うんだ。探し物があってこの山に来たのだけど、君達は捕まっているの? 」


 見て捕らえられていることはわかっていたが、警戒心を解くためにあえてそう話してみた。すると、その年長の女の子が


「あいつらの仲間じゃないの? 」

「あいつらって? 俺は、今、東の町から来たばかりだよ」

「本当? 嘘じゃないって証明して! 」


 しっかりした子だ……


 俺は、バッグの中から、携帯の食料と、ペットボトルに入った水を差し入れた。この前、マイルームで調達しておいた品だ。


「それ、食べていいから……水も、人数分あるよ」


 さらにバッグから、水を取り出して、牢屋の中に差し入れる。蓋は開けておいた。


 みんなは、警戒しながらも、お腹も喉も渇いていた様子で、それを取り上げ水を飲み、食べ物をムシャムシャと食べ始めた。


 食事が一通り終わる頃に、もう一度話しかける。


「君達は、なんでここにいるの? 」

「あいつらに捕まった。ここにいるのは、村の子供達、あいつらは村を襲い、そして、私達をここに閉じ込めた」

「あいつらって? 」

「オークよ」


 オークって、あのオークだよね。豚みたいな……

俺ってその豚に見えたの……


「村の人はどうしたの? 」

「多分、殺された……と思う」

「事情はわかったよ。取り敢えずここを出ようか? 今、開けてあげるから」


 俺は、鉄のような金属でできた何本かの格子を手で引きちぎり、出口を作った。そして、その金属を、バッグにしまう。


 鉱物が無ければこれを加工すればと考えたからだ。


 中にいた子供はみんな女の子だった。すると、その年長の女の子は、


「何で素手であんな事できるの? 貴方何者なの? 」

「何者と言われても……」


 俺は、何者なんだろうか……


「そんなことより、村はどこら変なの? 」

「ここがどこかわからない。でも、近くだと思う。それに、そろそろ、オークが来る時間。早く逃げないと」

「そうなんだ。でも、そいつらやっつけとかないと、他にも犠牲になる人達が増えそうだし、来るまで待ってるよ」

「あなた、馬鹿なの? 人間がオークに勝てるわけないでしょう? 早く逃げ……」


『ブォオオオン』


「来ちゃった……もう、お終いよ」


 オークと言われる豚人間が十数体こっちに向かって来た。子供達が、牢から逃げたのを知ったのか、咆哮を上げ、襲いかかる。


 俺は、紫炎を纏った。そして、その炎をオーク達に放つ。十数体のオークは一瞬で消えていなくなってしまった。


「何、何、何が起きたの!? 」

「もうやっつけたから大丈夫だよ。ちょっと、待ってて……」


 俺は、全マップ探索で村らしき場所を探す。ここから、約5キロ程離れた森の中に集落らしき場所があった。数人が生きている様子だ。


「もしかして、村は森の中にあったりする? 」

「そうよ。何で知ってるの? 」

「じゃあ、多分、あそこだ。帰ろうか」


 俺は、子供達を連れて、その村にドアを開く。そして、子供達をその村に送り届けた。




◇◇◇




 子供達がいた村は、割と大きな集落だった。森の恵みのお陰か、飢えている子は少ない。だが、大半の人は、さっきのオークの集団にやられてしまったようだ。


 親に会えた子、親を亡くした子。喜びと悲しみが入り混じる再開だった。


 俺は、村も様子を見ていると、その年長の子がやって来て、


「さっきは、ありがとう。私はアイン。貴方はムサシって言ってたわよね」

「そうだよ。アインか〜〜いい名前だ」

「さっきの、あれ何だったの? ねえ」

「魔法の1つだよ」

「あんな魔法あるんだ……」

「ちょっと、特殊な魔法だからね。それより、この村は、何で襲われたの? 」

「知らない……襲われるのなんて、何時もの事よ」

「そうか……」


 俺は、近くに魔物がいないか調べてみると、この村の数キロ先、さっき子供達が捕まっていた場所から近い場所にオークの集団がいた。きっと、さっきのやつらは、ここから来たんだ。


「何で、子供達だけ攫われたの? 」

「そんなの決まってるじゃない。繁殖のためよ」

「繁殖って……そうか、だから、女の子だけだったんだ」

「そうマジマジ見ないで……私達は、何もされてないわよ。まだね」


 あのオークの集団を放っておくと、いずれそうなる可能性があるという事か……


「俺は、そろそろ行くよ。もう捕まんなよ。アイン」

「えっ! もう、行っちゃうの? 」

「あぁーー用があるからね」


 俺は、そのまま村を出て、あのオークの集団の場所にドアを開く。そして、遠慮なく紫炎を纏った。







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