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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第4章

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第120話 ーーー紫炎を纏いし地上人ーー





 リーナやミミーが負った怪我を見て、俺は、知らないうちに紫色の炎を纏っていた。


 理由はわからない……


 その色の意味もわからない……


 ただ、その炎は、俺の意思で動かせる事は、理解できた。そして、感情が薄くなっている自分に気づく。例えば、ゲームで自分のキャラを動かしているように、外から自分を見つめている感じだ。


 俺の纏った紫炎は、アンラほど大きくはない。というより、だいぶ小さい。俺の周囲50センチぐらいなものだった。


『なんだーーその炎は〜〜人族が一丁前に炎を纏ってんじゃねーーよ! 』


 何か言い返したかったが、言葉が出てこない。

 炎を纏った所為なのか?


 俺は、アンラに向かってゆっくり歩き出す。そんな、俺に向かってアンラは、黒炎を放つ。


 俺は、防御も取らずただ真っ直ぐ、アンラに向かう。黒炎は、俺の紫炎にぶつかり吸収された。


『な、何ーー!! 』


 アンラは、何度も何度も黒炎を俺に向かって放った。その度に、俺の紫炎に吸収される。俺の炎は、50センチから1メートルぐらいに大きくなっていた。


『何なんだ。その炎はよーー! アフラのカケラでもねーーみてーーだし』


 黒炎が有効でないと悟ったアンラは、魔法攻撃に移る。火、風、水、土、闇とあらゆる攻撃を繰り出すが、俺の紫炎は、それを悉く、消し去っていった。


 俺は、ただ、歩いているだけだ。そして、とうとうアンラの前に立ち塞がった。俺の感情とは別にアンラに拳を入れる。


 黒炎を纏った相手に素手で攻撃したら、身体に届く前に、手が消えてなくなるだろう。しかし、俺の紫炎は、その心配はないようだ。


 拳がアンラの左頬にヒットした。アンラは、数十メートル後退り、そして、拳を受けたところを痛がっていた。


『おい!人族、てめーー俺様に、拳を入れるとはいい度胸だぜ! あとで、後悔するなよ。塵も残さず、この世から消してやるからよ〜〜。「デス・デビル」あいつを片付けて来い! 』


 アンラがそう言うと、地面から大鎌を持った黒いマントを羽織るスケルトンが湧き出てきた。その大きさは、10メートルぐらいはある。


 目が怪しく光りだし、大きな大鎌を俺に向けて振るった。


 しかし、大鎌の、衝撃は感じられたが、僅かなものだった。紫炎に触れた大鎌は、跡形もなく消え去っている。


『何だと〜〜』


 そのスケルトンは、影からまた、大鎌を再生し、俺に何度も振るう。その度に、大鎌は消失し俺は、ただ、そのスケルトンの攻撃を受けているだけだった。そして、俺は、紫炎を操り、そのスケルトンに巻きつけた。


 巻きついた部分が吸収され、スケルトンは、無残な姿に変貌した。


 アンラは、焦っているように見えた。きっと、存在し始めて、初めて味わう恐怖なのだろう。いつものニヤニヤした顔が真顔に変わっていた。


『お前、何者なんだよ。さっきまで、弱っちい人族だったじゃねーーか! 急に変貌しやがって〜〜』


 アンラの口調は変わってないが、その言葉の端々に、焦りの表情を浮かべている。


 俺は、アンラに文句の1つでも言ってやりたいが、何度試しても声が出てこない。


 そして、俺は、とうとうアンラを追い詰めた。


 アンラの黒炎が一回り大きくなる。出し惜しみしていた魔力を使ったようだ。その黒炎は、俺の紫炎とぶつかり、吸収される。リーナとの戦いでが、黒炎同士がぶつかり合えば、衝撃波が発生し、地震が起きた。しかし、俺の紫炎とぶつかり合えば、黒炎は音もなく吸収され、静寂が周囲に広がる。


 俺は、そのまま、アンラの黒炎の中に入る。そして、


『来るな! 来るな!キモいんだよ。てめーーは! これ以上、近づくんじゃねーーよ! 』


『来るな、来るな、来るな! 』


 俺は、そのまま、アンラに抱きついた。


『あぁ……』


 アンラの微かな声が聞こえた。


 そして、アンラは、俺の腕の中で消えて無くなった……




◇◇◇




「……シロウ、シロウ」


 リーナの声が聞こえる……


「……シロウお兄ちゃん」


 今度は、ミミーだ……


「シロウ! いつまで、寝てるんですか! 」


 えっ……女神様……そういえば、俺……女神様とキ……


 俺は、その時、覚醒した。少しの間、気を失っていたようだ。


「あっ! アンラは? 世界は無事なの? 」

「やっとおきた。シロウは、寝坊助」

「リーナ、アンラは? 」

「もう、大丈夫。全部終わった」


 俺は、周囲を見渡した。ここは、戦場ヶ原のようだ。さっきまでの、岩がゴツゴツ突き出した世界ではない。


「うむ ……俺は、夢見てたのか……そうだよね〜〜邪神が蘇るなんてある訳ないですよね〜〜」


「シロウ、夢ではありませんよ。さっきまで、アンラは、いました。シロウが倒したのですよ」


「えっ……」


 女神様がここにいるって事は、夢じゃなかったのか……?

 俺が倒したの……?

 邪神を……?


 腕の中で消えたアンラを抱きしめた感触が残っている……


「マジで? 」


「うん。シロウが倒した。それが、事実」


 リーナは、嘘は言わない。あれは、夢じゃなかったんだ……


「……そうか」


 俺は、これで全部終わったんだと思った。


 この世界が滅びなくて良かった……


『シロウ、何なのですか? あの紫色の炎は? 』


「エリーゼ様、俺にもよくわかりません……ただ、リーナやミミーが怪我をしたのをマップで見てたら、急に出てきたんです」


『とても綺麗な炎でしたよ』


「ありがとうございます……メサイヤ様」


「シロウは、いつか炎を纏えると思っていた。だから、当然の事」

「リーナ……」


「すごかったのでちゅう。尊敬なのでちゅう」

「ミミーありがとう」


 すると、その時、


『やっと、紫炎を纏えるようになったわね』


 その場にいた全員がその声の方を向いた。



「……リーゼ」



『シロウ、約束よ。行くわよ。連れて行く人間は決まったから』


 俺は、あっという間に、リーゼに拉致された。そして、リーゼは、


『リーナ、少し、シロウを借りるわね。また、あとで会いましょう』


「リーゼ、何故貴女がここに……シロウ……シローーウ!! 」


 リーナの声が戦場ヶ原に響き渡る。


 俺と、リーゼは、この世界から消えていた……




◇◆◇




 上空で、シロウの戦いを見ていた最高神ゼウスは、シロウが纏った紫炎を見て、驚いていた。そして、シロウがリーゼに拉致されてようやく事態の根幹を理解した。


「シロウ、お主が……そうだったのか。リーゼよ……それが、お主の望みなのか……」


 ゼウスは、残された皆を見つめながら天界に戻って行った。






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