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異世界で引きこもりたいけど周りの女性が許してくれない件について  作者: 涼月風
第4章

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第116話 ーーー吸血鬼達 VS 原初の悪神




 この世界が、魔法や魔力が存在しない世界と知り、己の魔力回復の為、ドラキュラ伯爵を取り込んだ原初の悪神 アンラ・マンユは、不敵な笑みを浮かべている。


「おい! キレまくりの中坊! 」

『はぁ!? それ、俺のこと? 』

「ドラキュラ伯爵を元に戻せ! 」

『何言ってんの、人族! 消えたもの戻せるわけねーーだろ? 』

「お前は、何をしたかわかってるのか! 」

『俺様にそんな口を聞いたのはアフラ以来だぜ! おい、人族。お前、何者だ!手に持ってるのは聖剣だよな? 』

「この世界の人間ですけど、何か? 」

『人間!? まぁ、いいや……聖剣ってのは、アフラのカケラなんだぜ。それを、お前が持ってるって事は、俺の敵って事、わかってる? 』

「全く、わかりませんけど、何か? 」

『わははは、結構、面白そうな奴だな。お前、俺に勝てると思ってるわけ? 』

「微塵も勝てる気してないよ。でも、この世界、キレまくりの中坊に壊されたくはない! 」

『自分を弱者だと認めながら、強者である俺に望もうって話か……俺もナメられたもんだぜ。これも、アフラの奴の所為で……ブツブツ』


 ドラキュラ伯爵が黒炎に吸い込めれ消えた瞬間、頭に血が上ったが、アンラと戦って、勝てる気がしないのは事実だ。俺はアンラと話しながら、どうしたらこの事態を治められるか考える時間を稼いでいた。




◇◇◇




 ドラキュラ伯爵が黒炎に取り込まれた所為か、ゼロツー、ゼロスリー達吸血鬼は、伯爵の血の支配から解放されていた。そして、伯爵の気配が消えてしまった事に違和感を感じ、アンラと対峙するシロウの元に駆けつけた。


「シロウ様。先程は失礼しました。それから伯爵がいないようですが……」


 伯爵の血の支配下にあっても、その時の事をゼロスリーは覚えているらしい。


「シロウさん、伯爵のいないよ。どうしたの? 」


「伯爵は……」

『ドラキュラなら、俺が喰ったぜ! 』

「喰った……どういう事ですか? 」


「ゼロスリー、伯爵は、奴の黒炎に取り込まれ、奴の魔力の糧になっちゃったんだ……」


「何て酷い事を……許せません。絶対に! 」

「伯爵、喰われちゃったの? 何で、ねーー何で? 」


 ゼロ達にきちんと話してあげたいがその余裕はなさそうだ。アンラの黒炎が大きくなっている。


 その攻撃は、いきなり始まった。黒炎が伸びて吸血鬼達を襲う。

 ゼロ達、吸血鬼は、咄嗟に霧化したようだ。でも、その黒炎は、俺にも向かってきた。


 聖剣を盾にして、それを防ぐが、跳ね出す黒炎の衝撃で、後方のミミーのところまで吹き飛ばされてしまった。


『ヤレヤレ、折角、魔力補充の糧になってもらおうと思ったが、やり損ねちまった……これもアフラが、消えちまうから……ブツブツ』


「シロウお兄ちゃんは、やはりヘタレなのでちゅう」

「ミミー受け止めてくれてありがとう。あいつの弱点って何かわかる? 」

「わからないでちゅう。でも、黒炎は、悪魔にとっては無敵でちゅけど、神族にとっては、対抗策があるらしいでちゅう」

「神の力か……この聖剣も神の力の一端だから、黒炎を防げたのか……」


 霧化したゼロ達が、シロウの元に戻った。2魔は、伯爵の件もあり、苛立っていた。


「シロウさん、血をちょうだい。そうすれば、少しは、あいつとやりあえるよ」

「私にもお願いします」

「わかった。好きなだけ、吸え! 」

『頂きま〜〜す。カプッ』


 俺の左右の首元を噛み血を吸うゼロ達。端から見たら、実にシュールな光景だ。


「は〜〜い。ドラ次郎こと、ゼロツーでーーす。ニッコ! 」

「出席番号3番 ドラ代こと、ゼロスリーで〜〜す。今日は、盛り上がっていくわよ〜〜キュン」


……お前ら、こんな状況でも、豹変するの? ……


 ゼロ達吸血鬼は、アンラに向かって攻撃をしだす。魔法は、アンラの黒炎が吸収してしまうので、主に肉体戦だ。しかし、アンラの黒炎がそれを阻む。ゼロ達は、黒炎が襲ってくると霧化し、攻撃は実体化して戦っていた。やはりネックは、黒炎だ。


『シロウ兄、そっちは大丈夫? 』


 サツキからの念話だ。


『今、ゼロ達が戦っている。けど、難しそうだ』

『天空弾撃ち込むから待ってて』

『わかった。頼む』

……[念話終]……


 サツキの天空弾は、神の力だ。アンラとて無傷ではいられないだろう。


 アンラの黒炎を繰り出すスピードがさらに早くなっている。ゼロ達は、少し疲れてきたようだ。


「ゼロツー、ゼロスリー、一旦下がれーー!」


 俺の掛け声とともに、ゼロ達は、アンラから距離をとる。その時、亜空間から、サツキの天空弾がアンラに襲いかかる。


 強烈な破壊音と共に、周辺に土埃が舞う。


「やったか……」

「まだなのでちゅう。アンラは、あのくらいでは、ビクともしないのでちゅう」


 ミミーが、そばで話すと同時に、サツキの位置をどうやって知ったのかわからにけど、アンラは、サツキに方に転移し、そして、サツキを蹴り飛ばした。


『うっ……』


 サツキは、その蹴りで、数百メートル転がり地面に倒れた。


「サツキーー! 」


 アンラがトドメを刺そうとした時、ソラスが、サツキを亜空間に収納して、すぐにその場から転移した。


『シロウ君、ソラスがサツキちゃんを連れてきたわ。凄い怪我してる』

『サツキのポケットに回復薬があるから飲ませてくれる。頼む。スズネ』

『わかった』

……[念話終]……


「よくもサツキをーー!!」


 俺は、アンラの元に飛んで行こうとすると、ドラ子とドラ太郎が、俺達のところに転移してきた。


「待って下さい。感情任せでアンラと戦っても勝ち目はないです」

「ドラ子、離してくれーー! サツキがーー」

「大丈夫です。スズネが回復薬を飲ませてました。確認してからここに来たのですから」

「大丈夫なのか……」

「落ち着いて下さい。サツキさんは無事です。私が保証します」

「わかった……わかったよ。ドラ子」

「物分かりの良いシロウ様は好感が持てます。それより、伯爵はどうしたのですか? 」


「痴呆老人は、アンラに食べられてしまったのでちゅう」


「何ですってーー! 伯爵が……本当なのですか? 」

「ミミーの言ったとおりだよ。魔力の無い世界と分かると、伯爵を取り込んで自分の魔力を補充したんだ……」

「そうだったのですか……シロウ様、血を頂けますか? もうすぐリーナ様が来られると思います。それまでの時間稼ぎをさせて下さい」

「わかった。吸血鬼達、俺の血を吸え! 」


『はい。かしこまりました』


 吸血鬼達4魔は、腕や、足、そして首筋に牙をたて、俺の血を吸い出した。さっき、血を吸ったゼロ達もだ。これで、もう、3分、時間が稼げる。


「さぁーー兄妹達、伯爵の仇です。思う存分、力を出しましょう」


 ドラ子の掛け声に、吸血鬼達は、雄叫びをあげ、アンラに挑んで行った。


 俺は、少し、貧血気味でクラクラしていたが……




◇◇◇



 吸血鬼達の攻撃は壮絶を極めた。物凄い速さで攻撃を仕掛けているが、やはり、アンラの黒炎がそれを阻んでいる。


 ドラ子が大鎌で風を起こし、流れ薄れた黒炎部分をドラ太郎が剣を突き立てる。しかし、アンラには、届いていない様子で、修復した黒炎がドラ太郎を襲う。


 それを、ドラ代の影が防御し、隙を見て、プロペラ型の武器を投げつけた。ドラ次郎の武器は、手甲なので、主に、援護に回っていた。仲間達に不意に襲いかかる黒炎の攻撃を持ち前のスピード移動で救出していた。連携のとれた体制だが、アンラには、蝿が飛んでる感覚なのだろうか、ブツブツ言いながら、時たま大きな欠伸をしていた。


『煩いなぁ〜〜お前ら、何してんの? 』


 アンラの黒炎が『サッ』と収束し出し、そして、一気に広がった。先程の衝撃波程では無いが、周囲にその波紋が広がる。


 吸血鬼達は、一瞬の事で霧化が出来なかったらしい。みんなはじきとばされていた。


 それを、見ていた俺とミミーは、


「何だ……あの攻撃は〜〜」

「風船が破裂するのと同じ、魔力を一気に吐き出したのでちゅう」

「そんな技があるのか……」


 倒れた吸血鬼達にアンラの攻撃が襲いかかる。今度は、霧化して無事だったようだ。そして、アンラは、黒炎の一部分を霧散させた。


「アンラは、何をしようとしてるのだろう? 」

「あっ! ドラ子おねー〜ちゃん達、逃げるです。大気に黒炎を撒き散らかしたのでちゅう。魔力を吸われるでちゅう〜〜! 」


 ミミーの言った通り、アンラは、魔力補充の為に己の黒炎を大気に霧散させ、吸血鬼達の周囲に撒き散らした。吸血鬼達は、魔力を吸われているのか、動きが鈍くなっている。そして、


「このままだと、魔力欠乏を起こして、たおれてしまうでちゅう」

「ドラ子ーー! ゼロ達ーー! 転移して、安全な場所に避難しろーー! 」


 吸血鬼達は、転移したが、ゼロツーだけは、人一倍動いていたせいか、魔力欠乏が酷く、転移出来ない状態だった。


 そこへ、更にアンラの霧散黒炎が襲いかかる。ゼロツーは、その場に片膝をついてしまった。


「危ない! 」


 俺は、黒翼のマントに最大出力で魔力を流し、ゼロツーの元に向かう。しかし、アンラは、実体化した黒炎をゼロツーに突き立てようとしていた。


「間に合わない……」


 でも、ドラ子が再転移してきたらしく、その黒炎を影で防御した。そして、俺は、アンラの黒炎を聖剣で斬り裂いた。


『おい! 人族。邪魔するな! 魔力が回復できねーーだろーーっ! 』


「ドラ子、一旦、ドラ次郎を連れてソラス達のとこに転移して回復してくれ」

「でも、シロウ様が……」

「いいから行けーー! 」

「はい。かしこまりました」


 聖剣なら少しはどうにか出来そうだ。タダでやられてやるもんか……


 ドラ子達が転移したのを見届けてから、俺は、アンラに向かって行った。







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