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act.6 信念


―隠者の森―


 『初手からしくじったわね。』

 俺を襲ったと思われる少女と狼に見下ろされながら、ため息をつく。別に拘束されていたりはしないが、アキレス腱を切られていて上手く立ち上がることができないし、何より少女と狼のコンビから逃げられる気がしない。

 この森には人間は住んでいない、グリードはそう言っていた。一見すると、人間に見える少女も、人間ではないということなのだろうか?未だにこの世界の特異性を理解できていないが、それについてはまた後で考えよう。

 そう、後があればの話だ。何としても敵意がないことをこの少女に伝えないと、すぐにでも殺されかねない。

 「話があるだと?」

 ああ、そうだ。まさか理由も聞かずに、俺を始末したりしないよな?

 「・・・聞くだけ聞いてやるよ。せいぜい遺言にならないように気を付けるんだな。」

 ついさっきここに来たばかりだが、俺の命の価値が羽毛の如く軽いことはよく知っている。できるだけ正直に話さないといけない。

 「拉致されて人探しを頼まれた?それでこの近くに捨てられこの家に迷い込んだ、と。中に狼がいたから、住民を助けようとしたところを俺に倒されたってことか?」

 どう考えても信用されないだろう、グリードについては端折った。だが、それでも非常に怪しい内容なことは変わらない。現に少女も俺の首筋にナイフを当て、凄んでいる。

 「こんな辺鄙な場所で人探しだと?はっきり言って信用できないな。だが・・・」

 少し迷う素振りを見せながら、少女はナイフを片付けた。

 「住民を、俺たちを助けようとしたっていうのは本当みたいだな。何か隠し事をしているのは確かだが、悪意はないらしい。」

 見た目の割に物分かりがいいんだな、わかってくれて助かる。

 「話も聞かずに攻撃して悪かった。だけどこの狼・・・オズは俺のたった一人の友人なんだ、傷つけてもらっては困る。」

 少女は俺に近づき、自身がつけた傷口に手を当てた。激痛が走り、思わず反応してしまったが、「動くな」と注意された。

 少女が目を閉じ、己の手に意識を集中する。再び目を開いた時には、痛みも傷も、まるで無かったかのように消えていた。

 「それで、人探しをしているんだろ、手伝ってやるぜ?その代わり・・・」

 その代わり?

 「さっきの事はチャラでいいよな?そっちにも非はあるんだしよ。」

 目線を逸らしつつ、少女は言う。フードをかぶっているせいで表情はよく見えないが、罪悪感を感じているようだ。

 俺はそれで構わない。傷も治してくれたし、こっちも不法侵入者であることは変わらないしな。

 「よし!俺の名前は家守リンネだ、よろしくな。お前が探し人を見つけるまでの間だが、仲良くしてやるよ。」

 あくまでも建前、義理だということを強調した自己紹介だった。さっきの事で距離を置こうとしている・・・という感じではないな。まさか誰が相手でもこんな感じなのか?

 「俺にはやらなきゃならないことがあるんだ。友人だとか仲間だとか、そんなのを作ってる暇はない。まあ、それよりもだな・・・」

 リンネは露骨に話題を逸らした。あまり触れられたくないことだったらしいし、俺にも関係のないことなのでこれ以上は突っ込まないことにする。

 「すぐにでも探しに行きたいけどよ、師匠がまだ起きてきてないんだ。師匠が起きてくるまで待ってくれないか?」

 リンネは何者かの弟子らしい。その師匠とやらにも話を聞きたいし、大丈夫だと返事する。その時、グリードが俺に話しかけてきた。

 『「信念」の絆・・・純粋な意思や正義感から生まれる絆だけど、同時に酷く脆いわ。当然ね、そこには利害や理念の一致しかないのだから。』

 急に出てきて何を言っているんだ?

 『あんたが目的達成するための一歩を踏み出せたことを祝福してやってんの。初手の失敗が良い感じに活きた結果ね。』

 ・・・それって罪悪感に付け込んだだけじゃないのか?

キャラクター設定 


家守 リンネ【ヤモリ リンネ】 ♀


年齢:13

種族:半人半妖

職業:無職

属性:風【意思や信念を表す】

絆:信念

外見特徴:深緑の頭巾をかぶった赤い瞳の少女



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