05話 対決
クライフと共に校舎近くの野原にやって来ている。奴に連れられ教室を出る時はクラスメイトが可哀想だの、今度はあいつか、だのとひそひそ話していたので展開は大体読めている。
「おい、お前腹立つから殴らせろ」
どこの暴君だよ。
「そんな理由で?嫌だよ」
120cmの長身と鍛えられた身体で凄まれれば大概の子供は怯えただろう。そうして今までやってきたんだろうが俺は恐れない。
体格差も無いし負ける要素が無いからな。
「その態度も腹立つんだよ!俺に逆らってただで済むと思うなよ?」
クライフは胸ぐらを掴み右腕は殴りかかろうとしている。
「どうなるの?」
「こうなんだよ!!」
右腕が顔に迫ってくる。俺は左手首を掴み力を込めると簡単に放した。顔を歪めて左手首を抑えているクライフ。調整はしたから折れては無い…はずだが?
「どうなるって?」
煽ってみた。
「この野郎少しは出来るみたいだな。」
良かったまだ余裕があるみたいだ。
「俺が本気出したらお前死ぬぞ?」
それ負ける奴のフラグじゃないか?
瞬時に火球を詠唱し発現させこちらに向かって投げつけると同時にクライフも駆け出して向かってくる。なるほど2段構えか、俺には無駄だがな。
右手を前に掲げ2mの水壁を発現する。ファイヤーボールは吸い込まれ消える。足に纏気を集中させ即座に背後にまわる。ウォーターウォールが目隠しにもなった為クライフは俺を見失っていた。
「おい」
振り向きざまのクライフに右ストレートが炸裂、1発KOだ。
気絶から目覚めるまでに傷は癒しておいた。親にバレたら面倒くさそうだからな。
「う…ん?」
「起きたか?」
「お前…くそっこんなに強い奴とはな何だよあの魔法聞いてねぇぞ」
「まぁ言ってないから当然だよな、こんな事をしたのは何故だ?
本当に気に入らなかったからか?それとも…」
「あのクラスで知らない顔が一人いた、お前だよ俺は今までこのやり方で従わせてきた。今回もそうなるはずだった。なのに…」
やはり自分の力を誇示するのが目的か。
「従わせてどうする?部下にでもすんのか?」
「こうしないと俺の周りから人が居なくなるんだ、あんなのもう嫌なんだよ。でも今回の件で台無しだな、もう誰も恐れねぇ」
嘗ての自分を見ているようだった。子供の頃に友達の作り方が分からずどうしたらいいか分からない。
クライフのやり方は誉められたものじゃないが人を引き止めようと必死だったんだろう。ここは俺が一肌脱いでやろう。
「じゃあ俺が友達になってやる。」
「はっ?」
「俺はお前より強い、だから恐れないしお前の両親の権力なんか知ったこっちゃないだからただのクライフ・バーミリオンに対して言ってるんだ。友達にならないか?」
「ふっ、偉そうな口聞きやがってしょうがねぇ、なってやるよ。」
熱い握手を交わし友情が生まれた。
グレン、リリス入学早々に友達が出来ました。