57話 邂逅
「ジュリア、まだかい?」
「ちょっと待ってよ・・・よし、出来たわ。そもそも、突然王都に戻るだなんて言われて直ぐに準備なんか出来ないわよ」
少し急かしすぎたせいか不機嫌になっていた。
「ごめん、ごめん」
「これから旅に出るんだから喧嘩は駄目よ?
準備は・・大丈夫そうね。戦闘になるから充分気をつけてね」
レイラが様子を見に来たようだ。
「ゲイル君。裏切り者の事だけど、もし混合部隊の中に居るとしたら結構手強い筈よ。各部隊の精鋭の中の1人なのならね」
「はい、分かってます。誰だろうと負けませんけどね」
「フフッ、頼もしいわね。じゃあ気をつけて行ってらっしゃい」
シュタオストの門から少し歩いたところで
「さて、ジュリア。空中散歩と行こうじゃないか」
「今回は飛んで行くのね。慣れたら面白いのよねあれ、ラッキー」
ジュリアが俺の隣へ移動するのを確認して空中へ飛び出した。
今回の旅はどの部隊より先に王都に着いて隊員を観察する必要があると考えて先を急ぐ事にした。そんな考えとはつゆ知らずジュリアははしゃいでいるが。
「ちょっと危ない、俺の側から離れないで。大きな風の球を維持するのは疲れるから最小限に抑えてるから」
「うん、分かったわ」
繋いだ手が少し強く締め付けられた。言い方がきつかったか?
ジュリアは俯き加減で表情が読み取れないがまずったかな?
少し覗き込むと空中飛行に興奮してか分からないが頬を赤らめていたが、口元が綻んでいるのは見えたから怒ってはなさそうだ。
半分の期間の1ヶ月で王都に到着した。
「さて、確か王城に作戦本部を作ってるらしいからそこに行こう。きっとモーリスを訪ねれば大丈夫だろう」
門番に部屋を聞き向かっていると、
「おや、その隊服・・もしかして君はゲイル君かい?」
祭服を身に纏った立派な逞しい髭が印象的な坊主のおじさんが話しかけてきた。
「貴方は?」
「そういえば直接会うのは初めてだね。レイラから話は聞いていたから、そんな気がしなくてね。私はブルーノだよ」
あぁ、どこかで見たようなと思ったら戴冠式で見たからか。
随分と気さくな人だな。お偉いさんはもっと険しい顔した奴らばっかだと思ってたよ。
「どうも、初めまして」
「それにしても早いね。どう見積もっても1ヶ月程で戻って来たみたいだけど。どうやって来てるんだい?」
「すいません、そこは秘密です」
説明するのが面倒臭いから適当に濁しておこう。
「ははっ、そうかそうか。まぁいいんだよ、レイラが推す人間は信用してるからね」
「っと、そういえば引き留めて悪かったね。モーリスに会いに来たんだろう?」
「はい、そうなんです」
「頑張ってくれよ、期待してるからね」
すれ違いざまに肩を叩き去っていく。
「この部屋だな。行こうか」
これから周りは敵だと思って行動するとしよう。




