55話 疑惑
「東も同じです、やはり何処も似たようなものですね。先遣隊である我々の到着で今日は何とかなりましたが、想像以上に魔族は組織化していますね」
領主の館に来ると、1室からレオナードの声が聞こえたので扉を開けてみると、以前見た水晶の魔導具が4つ並び他の拠点との連絡を取っていた。
俺の気配に気付いたレオナードは
「今日のところは以上ですね。ではまた何かあれば連絡を」
手に持った水晶を机に置きこちらに振り返る。
「やぁ、お疲れ様。話は聞いたよ、凄く感謝されていたよ」
「困ってる人を助けるのは当然の事でしょう。それより今度はそれ壊さないてくださいよ?」
「勿論さ、あの時はこっぴどく叱られたんだから」
「はは、そういえばそうですね」
「ところで、どうしたんだい?休んできたらいいのに」
「そういえば話があったんでした。単刀直入に言うと裏切り者が居る気がするんです」
俺はヘイトリウスの宣戦布告から現在に至る迄の違和感を確認しに来たのだ。
「それは、どういう事だい?」
「そもそもあの宣戦布告だってタイミングが良すぎるんですよ。新たな国王が誕生する所にやって来て国王を殺る、なんて狙ってきたとしか思えないんです」
「だけど戴冠式の事はあの段階では聖騎士にしか知らされていないよ」
「そうです、他の人にはまだ知らされていない事がヘイトリウスには筒抜けだった、となれば通じる者が居るはずなんです。しかも俺達の身近に」
「そうか、決行日を決めていて後は各地で魔族を待機させておけば直ぐに戦闘に入れる、だからこっちは後手に回っていると、そう言いたいのかい?」
「そうです、裏切るメリットは正直分からないですけど可能性は高い気がするんです」
暫く考えた後
「とりあえず今は此処の対処で手一杯だ。連絡があったんだけどもう1週間すればレイラさん達が来るからその時にまた考えよう」
「そうですよね。すいません変な事言って」
「いや、可能性は無いわけじゃない。ゲイル君は頭の回転が早いから僕の思い付かない事が多いんだよ、だから気になったらどんどん言ってくれ」
「ありがとうございます。じゃあ今日はこれで休みます」
「うん、お疲れ様」
領主の館に用意された部屋で眠りについた。
それからも毎日、周辺の村から避難してきた人の対応、魔族に傷付けられた人の処置、防衛体制の強化に追われあっという間に1週間が過ぎた。
レイラ率いる水冷の守護龍の本隊が到着した。




