54話 被害
王都を出発して2ヶ月後
「ここが東の拠点、シュタオストだね。思ったより慌ただしい、被害がそれだけ出てるのかも知れないから急いで確認しよう」
街の中には既に避難してきた人達が見られて、人で溢れていた。中には負傷して治療されている者や、掲示板の前で貼り出された紙を夢中で見ている者、さまざまだった。
掲示板に近付くと2枚の紙に人の名前が書かれていたが、それぞれの紙には『missing』、『dead』と書かれている。
知り合いの名前を見つけ肩を落とす人達を見ていて思わず立ち去りレオナードの元へ戻る。
「思ったより魔族の動きは早いですよ」
「そうだね。ところでゲイル君は治癒魔法は使えたよね」
「ええ、まぁそれなりに」
「じゃあ、手分けして動こう。僕は領主の館に行って情報をまとめるから、ゲイル君は救護班の所へ行って手伝ってくれ。見た感じ手が足りてないみたいだし」
「私はどうしたらいい?」
「ジュリアは、そいつらも使って警護の強化をしてくれ。此処の自警団長が何処かに居るはずだから」
「分かったわ、ほら来なさい」
ジュリアの手には3本の縄が握られており、それぞれの先には3人の男が縛られている。
こいつらはシュタオストに来る途中に立ち寄った街に居た盗人だ。その街の住民は既に避難を終えて誰も居なかったが、こいつらときたら火事場泥棒なんてしてやがった。
見逃す筈もなく捕まえて現在に至る。人手はあって困るもんじゃないからな。
「よし、解散」
それぞれが動き出す。
俺は救護所にやって来た、が悲惨な状況だった。負傷者は比較的軽傷な人が多く見えるが、圧倒的に魔導士が足りてない為、放置された負傷者で溢れている。
「水冷の守護龍のゲイルです、何が手伝えますか?治癒魔法なら扱えます」
「助かります。人手が足りてないのでとにかく診てもらえると助かります」
救護班長と話すが明らかに顔色が悪く魔力切れが近い。
「分かりました。魔力総量には自信あるんで魔法の必要な方はどんどん回してください。ただ治療の知識はあまり無いので魔法の必要ない方はお願いします」
街に着いた時は昼だったのに気が付けば辺りは真っ暗になっていた。しかし救護所の中に溢れていた負傷者は皆処置することが出来た。
「助かりました。でも本当に凄い魔力です、100人は居ましたけど何とも無さそうですね」
「魔力は全然問題ないですよ、ただ流石に疲れましたね」
魔力的には3分の1も使ってないから本当に問題は無い。
「じゃあ、俺はこれで。領主の館に用がありますんで」




