49話 継承者
崩御の報を聞いて早いもので2ヶ月が経つが、思った程の混乱は起こらなかった。継承者が決まらない中でもモーリスが上手くやった結果と言えるだろう。
因みに俺の心配は杞憂に終わった、モーリスが国王になる事は万に一つ有り得ないと。血族のみに継承権があるらしい。
しかし
「何で継承者は直ぐに決まらないんですか?国王に子供は居なかったんですか?」
素直に疑問を正面に座るレイラとレオナードにぶつける。
「居るよ。フォーリ王子が第1位継承権の持ち主だよ」
「正直モーリスに良いように使われてる操り人形よ。だから国王になろうものなら魔族排斥の動きは一気に強まるわ」
「それを阻止してるのが我ら魔族擁護派のブルーノさん率いる数名の教会幹部なんだ」
なるほど、フォーリ王子を国王にしたいモーリスと、させたくないブルーノとの間で知らぬ間に駆け引きが行われてる訳か。
「ですけど、ブルーノさんは反対してどうするんですか?こちら側の継承者でも居るんですか?」
「そうよ。第2位継承者のソラリス王女は魔族擁護派なの、だからブルーノはソラリス王女を擁立しようとしてるのだけど・・・」
「何か問題が?」
「そのソラリス王女が今王都に居ないのよ」
はい?居ない人間を国王に擁立なんて何が何でも無理だろう。
「それでは何処に居るんですか?」
「誰も分からないわ。ソラリス王女は庶民派の感覚を持ち合わせているから、民から厚い信頼を受けてるわ」
「それで巷ではソラリス王女の方が国王に向いてるなんて話が上がってね。でもそれをよく思わない奴らが居るだろ?」
「それからソラリス王女はフォーリ王子もといモーリスからの命で襲撃を受け始めたわ。身を案じたブルーノは光聖を護衛にして王都から逃がした、今の様な状態になるまでね」
「全ては光聖に一任されてるからブルーノさんでさえ今何処に居るのか分からないって言ってたんだ。国王崩御の報は届いてると思うんだけどな」
つまりソラリス王女を国王に擁立する為にブルーノが粘ってるから国王不在が続いてる訳だ。
しかもモーリスが国政に集中する事で排斥派の動きを緩める狙いもあるみたいだ。
「つまり、俺達に今出来る事は少ないですね」
俺は聞くだけ聞いていつもの王都の警備へ戻った。光聖が戻れば丸く収まる、と安易な考えで。
まさかあんな騒動に発展する事になるとは知らず。




