44話 呆然
快適な空の旅を続ける事1ヶ月。
レイラから聞いた場所の近くにやってきた。感知魔法を展開し反応を確認する。
500m程の距離にある洞窟の中から複数の反応を確認出来た。1つは人間だが残り10数名は魔族だ。
徐々に高度を下げ静かに着地する。
「この中に反応があった。この中にレオナードがいるはずだ」
「なら急ぎましょう」
なんとなく嫌な予感はする。
洞窟の中へ入って行くと奥から声が聞こえてきた。だが笑い声が混じってる。やっぱり・・
「ガハハハハ。おい、レオナードの酒が無くなっているぞ、早く持ってこい」
「すいません、お頭」
呆然とするしかない。何たって助けを求めてた筈のレオナードが魔族と酒盛りしてるんだから。
感知した魔力から戦闘中ではない事は分かったがまさか酒盛りとは。
「これ・・・どうなってるの?」
「俺にも分からないよ」
俺達はその酒盛りを遠目から眺めていた。
さっきお頭と呼ばれた奴とレオナードが少し高くなった壇上で隣合って盃をかわし、その前に部下らしき奴らが酒の補充に勤しみながらも楽しんでいる。
こいつらが何者かは一目で分かった。お頭とやらは3m近い巨躯に着流しらしき物を身につけているが、筋肉を見せつけるかのように上半身ははだけている。そして額には2本の立派な角がある。
これはもうあれだな、この世界に来る前に何かの本で見た事がある奴と全く一緒だ。確かあれは酒天童子だったかな?
つまり鬼。鬼人族だな。
周りや他の鬼人族を見ているとお頭と目が合った。
「ん?何だ、また人間がやってきたぞ。レオナードの知り合いか?」
左隣に座る細身の男、レオナード。
シュッとした顔立ちと肩付近まで伸びた白髪のイケメンだった。レイラに次ぐ実力者に見えないな。まぁレイラも強そうに見えないから見た目はあてにならんか。
「いやぁ、知りませんね。誰でしょう?」
レオナードの側まで歩み寄る。
「初めまして。最近、水冷の守護龍に入りましたゲイルと、こっちがジュリアです」
「あぁ、何だそうなのか。いやぁようこそ我が水冷の守護龍へ」
「レイラさんから救援要請があったと聞いて来たんですが・・・これはなんですか?」
「それはいろいろあってね。まず・・・」
「おい、レオナード。そいつらは結局何なんだ」
「トレスカ、すいません彼らは私の後輩の様です。初対面だったもんで」
オーガの頭はトレスカって言うんだな。
「そうか、ならお前ら2人の席を用意させるから飲め」
いろいろとレオナードに聞きたい事があるんだ
「えっ、それはちょっと・・・」
「俺の酒を断るのか?」
空気がピリっとして周りの鬼が少し慌てている。
「ここは諦めて相手をするしかないよ。断りなんかしたら暴れて手が付けれなくなってしまう」
レオナードが耳打ちしてくる
観念する様にため息を吐き出し
「いえ、そんな事は。喜んで頂きます」
そこから酒盛りに参加したが意外な事にジュリアがかなりの酒豪だった。
俺はと言うと数杯飲み終わると強烈な睡魔に襲われ意識が遠のく。
「ゲイルは情けないな。ジュリアはまだまだいけるというのに。なあ?」
「もちろんまだこんなもんじゃ無いわよ」
ガハハハハ、アハハハハ
最後に聞こえたのはトレスカとジュリアの馬鹿笑いだった。




