43話 飛翔
レイラから情報を聞きつつ身支度を整える。救援要請を出した隊員、レオナードは大陸西部で起こった魔族絡みの事件の対応していたらしい。
「では魔族の理解が得られず戦闘になってしまったんですかね?」
「だとしたら相当厄介ね。何たって我が 水冷の守護龍 No.2なんだから。それでも苦戦するなんて余程だわ。ちなみにNo.1は勿論私よ?」
そんな順位は今はどうでもいいんだが。
「因みに場所は、何処に居るんですか?」
「地図だとここになるわね」
レイラが指さした場所は嘗て訪れたアドラメレクのアジトから更に西に行った所だった。
「それに肝心な魔族の事やどんな状況か聞く前に魔法が切れてしまったから何も分からないのよ」
「わかりました、とにかく急いで向かいます」
何が起こってるか分からない以上早く現場に着いて損は無いだろう。そうなると馬車での移動でも時間が惜しい。
よし、ちょっとアレを試してみるか。
「ジュリア、準備はOK?」
「今終わったわ。行きましょう」
足早に王都を後にする。
門を出て少しして
「また魔装で走った方が早いわよね?」
ジュリアが魔装のため抜刀するのを制止する。
「いや、今回はちょっと試したい事があるんだけどいいかい?」
俺がジュリアをおんぶする形になる。
「ちょっとゲイル、何をする気なの?」
「まぁいいから。ただ高い場所とか速いのは大丈夫?」
「それどういうこ・・・」
ジュリアの言葉を遮り、2人の身体は唐突に動き出す。
俺は自分の足元に土魔法で柱を最大速度で出現させる、と同時に風魔法で背後に突風をおこし打ち上げる。さながらカタパルトから射出される航空機の様に。
次第に打ち上げられる力が弱まり、重力に従い下、つまり地面へ向かい始める。
「ちょっと、ちょっと、このままじゃ落ちちゃうわよ。死んじゃう」
横目でジュリアを見ると目を瞑り俺のローブを掴む手にも力が入っている。普段見れない怯えているジュリアが可愛く思えてつい頬が緩んだ。
おっと、このままじゃ本当に落ちて2人とも死んじまう。ワイズ、頼むぞ。
最近気付いたんだが眼に魔力を集中すると人のみならず、自然の物までに通う魔力が可視化出来るようになっていた。
そしてそれで得た風の動きをワイズによる演算で最小限の魔法で上昇気流を操作し高度を維持する。同時に身体の周囲を風の膜で覆い空気抵抗を無くす、これで快適な空の旅ができる。
「ほら、もう大丈夫だから目を開けてごらん?」
恐る恐る目を開くジュリア。
「うわぁ、何よこれ。私達空飛んでる?嘘でしょ?信じられない」
小さく見える地面の景色を見てはしゃいでいる。
俺1人では密かに実験して成功はしていた。2人になるとより力が必要になる為少し不安ではあったが、杞憂だったようだ。
これなら迂回する山も飛び越して最短距離を直線で行けるので1ヶ月もすれば着くだろう。
それでも遅い可能性だってあるが。




