33話 最終試験
「なぁ、君やるな。さっきの荒波は中級じゃないか、それをその年で発動出来るなんて」
Aグループが終わり2階でジュリアと試合観戦していたら突然声をかけられた。
「えっ、まぁそうですね」
よく見たら彼は同じAグループで残った内の1人だった。
「やはりね、俺の目に狂いは無かった。どうしても君が只者には見えなかったんだ。それにまだまだあんなものじゃないだろう?」
彼は銀髪の長髪をなびかせながら少し興奮しながら問いかけてきた。かなり美形で爽やかな好印象だった。
「まぁそんな所ですね。まだ何があるか分からないからあまり話せませんが」
「まぁそうだろうね、皆そうさ。手の内なんて話したくないよ。じゃあ邪魔したね、君とは1度戦ってみたいよ」
そう言って去っていく彼。
「やっと見つけた、全力でやれる相手を」
謎の寒気を感じた。それに去り際に何か聞こえた様な気がしたんだがまぁいいか、しかし名前を聞きそびれたなぁ。
「良し、かなり人数は絞れたな。では次の試験に進むぞ」
全てのグループが終わり200人が40人まで一気に半分以下までしぼられた。
「それでは皆、2人組になってくれ。誰でもいいぞ、知り合いが居ればそれでもいいからな」
それなら当然ジュリアとだ。ジュリアも1次を余裕で超えてるからな。
「皆組めたな、そしたらもう1度くじを引いてもらい戦ってもらう。今度は2対2の戦闘を見せてもらうぞ。いくら強くても協調性の無い奴は要らんからな」
次からは勝ち抜いたそれなりの力を持った相手だ、それでも俺とジュリアに勝てる奴は居ないだろうがな。
くじ引きの結果、Tだった。最後の組だな。
順調に進行され気付けば俺達の番になっていた。
「次ゲイル、ジュリアペア、マッド、ニックペア中央へ」
アルフレッドにコールをされ中央のリングへ向かう。そこで向かい合った相手はさっきの銀髪の彼だった。しかしさっきとはかなり印象が異なる。少し俯き気味だが彼の目は瞳孔が開きまくって鼻息も少し荒い、とにかく興奮しているようだ。
「さっきはどうも、大丈夫ですか?」
完全に無視された。少し心配になり近付いて顔を覗き込もうとすると
「早くもこの時が来た、今日の相手は大丈夫だろう、頑丈そうだ途中で壊れるなんて無いだろうからな。楽しみだ。くっくっくっ・・・」
大きく顔を歪ませて笑いながらぶつぶつと呟いていた。
こいつはヤバイ奴だ。狂ってる、さっきの寒気はこいつから感じたものか。
「それでは最終戦、はじめ」
かけ声と共に
「ニックは女の方をやれ、ゲイルは俺の獲物だ。手を出すなよ」
そう言いながら銀髪の彼、マッドが俺の方へ向かってくる。口調すら変わっていてもはや別人格なんじゃないか?
ヤバイ奴だが強い。ワイズも纏気の強化を勧めてくる。全身纏気の出力を上げて様子を伺う。
「ジュリア、少し離れて戦おう。マッドは周りが見えてないから巻き込む可能性が高い」
「そうね、こっちは任せて」
ジュリアにつられてニックとやらも離れていく。マッドは詠唱しながら俺へと歩み寄って来る。
「行くよ。地獄の炎で敵を焼きつくせ獄炎流」
マッドがかがみ、地に手を着くとそこから炎が吹き出し凄まじい勢いで俺へと向かってくる。咄嗟に荒波を発現させるが、蒸発してしまい勢いは止まらない。
素早く切り替えて囲うように土の壁を創り出す。しかしマッドは地に手をついたままで次々炎が吹き出して来る。これでは長くは持たない。
「とんだ期待外れだな、そんな物直ぐに破壊してやるぞ」
マッドの魔力に呼応し更に勢いが増す。
その間に俺は右手に青色、左手に緑色の異なる属性の魔力を練り上げる。
「期待には応えるさ、だけどこれには少し時間が掛かってね」
土の壁の上に立ち様子を伺う。一部分は焼け崩れかけていた、ギリギリセーフだな。
「さて行こうか。凍てつく風で万物を凍りつかせよ零度の息吹」
左右の手を胸の前に合わせて魔法を発現させると、絶対零度の風が吹き出しリング諸共炎を凍らせていく。
全力でやると皆凍らせてしまうので調節してマッドの地についたままの手を凍らせる程度で止めた。マッドの魔法は無力化されて炎の勢いは無くなった。
「くそっ、何なんだこの魔法は見たことねぇぞ」
そうだろうね。ワイズ曰く上級魔法らしいからね。でも別に習得した訳じゃない、偶然発見出来たんだ風魔法と水魔法を組み合わせてみたらね。
「まだ終わりじゃねぇからなぁぁぁ」
手の周りの氷を溶かして俺へと叫びながら突っ込んでくる。しかし
「残念ながら終わりだよ」
「私も居ることをお忘れかしら?」
背後に回ったジュリアの手刀でマッドの意識は無くなりそのまま倒れ込んだ。
「これは2対2の戦いなんだから忘れちゃ駄目だよ」
「そこまで。以上で全ての試験を終了とする。身体を休めて1時間後にまた集合してくれ。入隊者の発表を行う」




