31話 新たな舞台へ
ジュリアに連れられ建物から避難する。焼け崩れていく建物を呆然と見ながらアビウスの事ばかり考えていた。
「どうして・・・あんな殺気のこもった攻撃出来るんだよ」
俺とは気付いてないとはいえ確実に殺せる魔法を放ったアビウス。俺にはそれが信じられなかった。俺の知っているアビウスは口や態度が悪く周りに誤解されやすいが、掟である《人間に悪事を働かない》を忠実に守っていた。そんな彼がどうしてこうなったのか。
確実に炎聖のアルフレッドに家族や仲間をやられたせいで人間への恨みが勝ってしまったんだろう。
つまり守れなかった俺にも原因はある筈だ。だからこそ余計に悔しい、あの時守れてさえいれば・・・
しけし、いつまでもたらればを言ったって何も変わらない。もう1度会って話せば分かるかもしれない、復讐なんて誰も望んでないはずだから。
「ゲイル、大丈夫?」
「ごめん、ジュリア。心配かけたねもう大丈夫だ」
「それならいいんだけど。エルフの彼の居場所は分からないんだけど、依頼者は判明したわ」
そう、俺達の目的は依頼者を突き止める事だ。忘れていた。
「それで誰なんだ?」
「大物も大物でさ、アルステリア教会に属する六聖将を部下に置き、この国の軍事を一任されている男、モーリス・ハドソンです。まさかこの国のNo.2が出てくるとは」
超大物の登場だ。そうなると今回のエルフの1件はモーリスの独断なのか、王の命令かも気になる所だ。王の命令だとするとこの国の中枢は腐りきって真っ黒だということだ。
「しかし相手が相手なだけに簡単に話が出来そうには無いな」
「そうでさ、モーリスは滅多に人前に出る事はなく、教会本部からも外に出る事は少ないときたもんだ」
「どうにか方法は無いのか?」
「必ず最低でも六聖将の1角が側に居て警備はバッチリ、となると方法は1つしかありやせんが・・・」
「何だよ、言ってくれよ」
「絶対反対されそうですけど、いいですか?王国軍へ入るんです。そして上位へ登り詰めればモーリスと会う機会も増えるって感じはどうでしょう」
こいつは何を言ってるんだ?あんな奴らの仲間になれと?
「更に大きな問題が入れるのは15歳からと決まってるんです。成人と認められてなければ無理なんです」
はぁ?しかも4年後じゃないと駄目なのか。かなり面倒臭いが
「それしか、手は無いのか?」
「正面から突っ込んでも勝ち目は無し、侵入しようにも教会本部の警備を前にしては無理ですね」
確かに六聖将を複数相手にする場合を考えると難しそうだな。
「分かった、4年後俺が15歳となってから作戦を実行しよう。それまで待たせる事になるけどジュリアは大丈夫かい?」
「いいわよ、気にしなくて。ただ4年間どうするの?無駄にするつもりは無いでしょう?」
「もちろん。皆を付き合わせる形にはなってしまうけど、アビウスの事を調べたいと思ってるんだ。何処に誰と居て、何を目的に動いているのか」
「それにはラフティの力も必要になるんだが・・・」
「もちろん、ついていきやすぜ」
その後俺達はフロレストへと戻った。存在が広まっては困るラフティの為にフロレストの隠れ家を拠点にし、アビウスの情報を集める事にした。
4年もあるんだ。絶対探し出して目を覚まさしてやる。
少年期 終
次回より青年期 王都編となります。




