29話 予期せぬ再会
「もうすぐ見えてきやすぜ」
ラフティの言うように進むと森が広がっていた。情報の代わりとしてアドラメレクの壊滅を引き受けた為に拠点へ向かう途中だ。フロレストを出て早3ヶ月、大陸西部に来ている。
「あの森の中に建物があるんですが、出没する魔物や道の複雑さから人を寄せ付けない様になってるんでさ。まずAランク以上じゃなけりゃ辿り着けやせんぜ」
まぁ闇ギルドに行きたい奴はそうそういないだろうがな。
ラフティの案内で魔物と遭遇せず到着する事が出来た。
「今日は定期的にメンバーがここに集合する日なんでさ、各自の報告なんかをしてやす。そこに奇襲をかければ一網打尽でさ。ただし1人でも逃せばあっしは必ず探し出されて殺られてしまいます、なんで必ず全員倒して下さいね」
「わかったから相手の人数を教えてくれ」
「8人居やす、今まではあっしとビシアスを含めた10人でしたから」
「よし分かった、まずは俺が正面から突撃して相手の注意を引きながら何人か倒そう、その間にジュリアは別の場所から侵入して背後から戦闘に参加してくれ」
「了解よ」
「あっしは?」
「ラフティは戦えないだろ、ここに隠れててくれ終わったら呼びに来るから」
「分かりやした」
ジュリアが侵入の為に移動しようとした時、建物から爆発と黒煙が上がり出した。
「今のはなんだ、何かおかしい。ジュリア、作戦変更して一緒に行くぞ」
確認するため正面から駆け込んだ、ラフティの言っていた部屋は炎に包まれていた。
「俺ら以外にもアドラメレクを狙ってた奴がいたのか」
「誰か分からないけど注意して進みましょう」
「いや、ジュリアはラフティの所へ戻ってくれ。この炎では建物が焼き尽くされてしまう、その前にビシアスの情報は持ち出して欲しいんだ」
「そう・・・分かったわ。ゲイルならどんな奴でも倒しちゃうかもだけど、あまり無理はしないでね」
「分かってる、そっちも気をつけて」
ジュリアは駆け出してラフティの元へ向かう、俺は炎魔装を纏って炎の中へ進む。辺りにはアドラメレクのメンバーらしき人達が倒れていた。ピクリとも動かない、死んでるのか?
炎の奥に2人の人影が見えた。1人は肩膝をついている、特徴がドリスと一致した。もう1人はドリスと向かい合っている為こちらからは背中しか見えない、しかし身長からして子供に感じた。
ありえない、子供にこんな強力な魔法扱えるはずが無い。こんなの中級か上級レベルの魔法じゃないか。
子供はドリスに近付きながら右手に禍々しい黒い炎を纏わせた。その右手がドリスに触れた瞬間、黒い炎が全身を包み燃やしていく。後には何も残らなかった、骨すらも。
「これでよし、次は・・・」
子供が何処かへ移動しようとした
「おい、お前誰だ」
声を発した事でようやくこっちに気が付いた子供はこちらを向いた。炎と黒煙ではっきり見えず仮面を身に付けていた為性別も分からない。しかし醸し出す威圧感は子供のものでは無かった。
「なんだよ、まだいたのか」
奴は黒い炎を今度は球状に変化させた。同時に俺に向かって放つ、咄嗟に剣へ手を伸ばし防ぐ。辛うじて、炎魔装のお陰か黒炎球を弾くことが出来た。
弾かれた黒炎球は壁にぶつかり凄まじい勢いで燃え広がっていく。恐らく触れた物を燃やし尽くしてしまうんだろう、弾けなかったらヤバかった。
しかし建物に当たってしまったということは燃え尽きるのも時間の問題だな。片をつけるにしても急がないと。
頭で戦闘シミュレーションをしている間にも奴は炎の中をゆっくりと歩みながらこちらに近づいてくる。
「へぇ、今のを弾くのか。中々骨がある奴も居るんだな」
ようやく姿をはっきり見る事が出来る位置にやって来た。仮面の為相変わらず顔は分からないが緑がかった髪と長い耳を覗かせていた。エルフだ。
そこである可能性に気付き心臓が早鐘を打つ。
声に聞き覚えはあったが、居るはずの無い者だった。
「お前はもしかして・・・でもありえないあの時・・・嘘だろ?」
相手も俺の顔を確認できたのか次の攻撃の為の黒炎が消え、動きが止まった。その事で可能性は確信へと変わった。
「お前・・・アビウスだろ?生きてたのか。今までどうしてたんだ、何でこんな事してるんだ」
黙ったまま返事が無い。
「おいなんで答えないんだ、アビウス」
「こんな所で会うとはな。お前にだけは会いたくなかったよ、ゲイル」
一言残しアビウスはその場から姿を消した。追いかけようとするが天井が焼け落ちてきて塞がれてしまった。
「ゲイル、情報は無事よ。もうこの建物は崩れるわ早く出なきゃ」
ジュリアに連れられ外へ避難するが、喜ぶべき再会の筈が以前との変化に理解が追い付かず放心状態だった。




