25話 少女と騎士
次なる目的地は南部最大の商業街フロレストに決定した。
フロレストはアルス村から王都までの丁度3分の1程の距離に位置し、ヴェルンドからなら馬車で2週間ほどすれば着くだろう。
フロレストには多くの名店が軒を連ねており王都からも多くの貴族が訪れる。表向きは休暇として訪れる貴族が多いが裏では奴隷市場や地下闘技場による賭博を目当てに訪れる者も少なくないらしい。
それだけ人が集まる場所ならば欲しい情報の1つや2つ見つかるんじゃないかとジュリアとの話し合いで決まった。
馬車を手配してヴェルンドを出発する。道中では別れてからのそれぞれの話をする。
ジュリアは俺が街を出た後はギルドで見つけたAランクパーティーに入れてもらい、数々の依頼をこなしていたらしい。多くは戦闘がつきものの依頼ばかりだった。
「ミノタウロスやキマイラなんて話でしか聞かない魔物も討伐したわ。それに6人パーティーとはいえ風竜を討伐出来たのよ」
見たことないが強そうな魔物の名前を次々と上げるジュリア。戦闘経験を積む為にとにかく数をこなした事が感じ取れる。
「最初は大変だったけど炎龍剣の魔装も慣れると凄かったわ。周りがスローモーションに見えるんだもの」
火竜から手にいれたマジックアイテムには炎龍剣と名付けられていた。そのまんま過ぎないか?まぁいいが。
ふと疑問に思ったが
「それにしても何でこのタイミングでビシアスの事を追い始めたんだ?」
「簡単な事よ、兄と同じAランクの冒険者になってからって決めてたの。ゲイルと出会ってBランクまで上がらなければ何時まで掛かったか分からないけど思ってたよりずっと早く旅立てたわ」
ハロルドさんが何も出来ずにやられた相手だ、確かにそれ以上強くならなければやられてしまうだろうな。
そう考えれば15歳でAランクのジュリアは戦闘の才能があったという事なんだろう。
お互いの話を終える頃にはフロレストまで2日の位置に来ていた。快調に飛ばしていた馬車が突然急停止したので何事かと外の様子を伺う。5m程前方に馬車が横転し道を塞ぎ、しかも盗賊に囲まれていた。
「これじゃ先に進めないな、ちょっと助けに行こうか」
「そう言うと思ったわ、早く助けてあげましょう」
盗賊は10人で馬車を囲むように位置していた、その中央、馬車のそばには胸あたりまであるストレートの黒髪が綺麗な小さな女の子とその子を守る純白の鎧を身に付けた騎士が居た。
明らかに騎士の強さは盗賊を圧倒出来るだろうが、女の子を守りながらこの人数は厳しいだろう。近づいて行くと少し会話が聞こえて来る。
「もう諦めて捕まってくれよ、命までは取らねえからよ」
いやらしい笑い方をしながら盗賊は1歩ずつ馬車へとにじり寄る。
「この程度の奴ら瞬殺よね、ゲイル」
さすがに殺っちゃだめだよジュリアさん
「殺すのはだめだ、気絶させて自警団にでも突き出せば充分だと思うよ」
「ゲイルは悪にも優しいわね。まぁいいわ、私が半分やるから残りはお願いね」
そう言うとジュリアは駆け出していった。
実はこの時ジュリアは強くなった成果を少しでもゲイルに見せられると思い、異様に好戦的になっていた。
次々と盗賊を切り捨てるジュリア。動きに無駄が無くなり滑らかな動きで1人、また1人と地面に倒れていく。
「俺の分も倒されそうだ」
突然の襲撃に対応出来ず棒立ちの盗賊達、1分もかからず全滅させ身体を縛って自由を奪っておいた。




