22話 決意
目を覚まし周囲を見渡すが誰もいない。
「くそ、何も出来なかった。怒りで何も見えてなかった。守れる力はあったはずなんだ」
悔しさばかりが込み上げてくる。あの動き、スピード、威力から見てアルフレッドも纏気を使えると見えた。もっと魔力を込めていれば互角かそれ以上に戦えただろう、と今更考えても仕方ないのだが。
しばらく休み落ち着きを取り戻すと魔王の領域へと向かう。
アビウス達が逃げた方向、あの時黒煙が立ち上っていた所へと。
しばらく歩くとあたり1面、木や地面すら黒焦げている場所があった。もちろん誰の姿も無い、それどころか遺体や骨すら見当たらない。どれ程の魔法を使ったのか、魔物に荒らされたのか分からないが埋葬すら出来ないなんて。
「守れずすみませんでした。必ず皆さんの為にもアルフレッドは倒します」
誰もいない黒焦げた地面に一礼し、その場を後にした。
エルフの村へ戻ると日が落ち暗くなりはじめた為誰かの家を借りて1晩明かすことにした。ベッドで横になるがアビウスやエルフの人達の事を考えてしまう。
道中にアビウスから聞いただけだが過去に人魔大戦に参加した者の多くは望んでいたわけじゃ無かったと、強制的に徴兵された者や、人質を取られ仕方なく参加した者が多かったと。それ程までにエルフの魔法は強力だったのだろう。
だが多くの人間を殺した事実には変わりない。だから人間からの迫害にも耐えてきた。そして一つのルールを必ず守っていた。
《人間へ悪事を一切働かない》
そうすればいつか自分達を見る目は変わると信じていたと言う。確かにアビウスや他のエルフの人達から悪意や恐怖を感じる事は無かった。
そんなエルフの人達を人間が切り捨てるなんて許してはいけない。悪であるならまだ許せるかも知れない、だが今回は確実に罪の無いエルフが犠牲になってしまった。何処かの汚い心の人間のせいで。
「アビウス、待っててくれ。必ず今回の件を仕組んだ奴には償わせてやるから」
必ず黒幕を見つけ出し罪を償わせる決意を固めその日は眠りについた。
翌日、ヴェルンドへ向けてエルフの村を出る。アルフレッド達を使った事から王都である程度の権力者である可能性が高い、となると早く王都へ向かいたい所だが1つ引っかかっていた。
シアンの事件のことだ、奴らはあの事件の犯人をエルフに仕立てあげていた。偶然起こった事件を利用したとも考えられるが、あの時の犯人達の自白後の不可解な自決を考えるとシアンの事件すら仕組まれていたのではないかと考えてしまう。
なのであの時の犯人達4人組について少し調べて見ようと思う。情報はかなり少ないがやってみないと分からない。駄目なら王都へ乗り込めばいい話だしな。
こうしてヴェルンドへ向かって歩き出した。




