20話 村襲撃
移動中の会話はかなり弾む様になって色々と話してくれた。
「じゃあ村には上級魔導書があるの?」
「あぁ村を守る自警団には中級魔法が必須条件なんだが、そこから自警団でもトップクラスの人は上級を習得できるんだ」
誰でも習得できる訳では無い。村長や村人に認められた場合のみ魔導書の閲覧が認められる。
強力な魔法だから間違った使い方をしない者を選んでるって事だな。見てみたかったがまず余所者の俺に見せてくれる訳がないだろう。
「俺の父さんは団長だし兄貴も自警団の一員で2人共上級も使えるんだぜ。直ぐに俺も認められて習得してやるんだ」
誇らしげに語るアビウス。
「でも俺はゲイルの方が凄いと思うんだよな。俺の知ってる中で無詠唱で魔法使える奴見た事無いぜ」
「そうなのかな?」
まあ俺の場合ワイズのお陰もあるからズルの様な気がしないでもない。
「そしたら何でアビウスはギルドに入ろうとしたの。村で自警団の仕事してた方が認められるんじゃない?」
「自警団に居ても大した仕事が回ってこないんだよ。エルフは長寿命だから俺なんてまだまだ赤ちゃんみたいなもんなんだ、そんな奴に大事な仕事や大きな仕事は回ってこないんだ」
「それでギルドの高ランクの依頼を達成して認めさせてやろうと?」
「そんなところだよ、無駄足だったけどな」
やり方は強引な気はするが向上心と行動力には驚かされる。見習っていかないとな。
出発から1ヶ月経ち、もう村が見えてきてもおかしくない所までやってきた。
「そろそろ見えてくるはず・・・」
アビウスが言葉を飲み込んだ。歩く道の先に黒煙が上がっているのが見える。
「アビウス、あれはもしかして・・・」
隣にいた筈のアビウスは既に駆け出し煙の方へと向かっていた。すぐさま後を追う。
村全体を探知すると何件か燃えていて、その煙が黒煙となって立ち上っていた。村中央の広場の様な位置に複数の人を感知する事が出来た。
「アビウス、落ち着けって」
並走しながら落ち着かせようと試みる。
「あの煙を見て冷静ではいられねぇよ」
「確かに何件かは燃えてるけど怪我してるような人は感知できなかったから落ち着けって」
「本当なのか?」
「本当だ。村の中央に何人かの反応はあったから誰か居るはずだ。聞いた話と人数は合わないから全員ではないだろうが」
現状分かっている事を伝えると多少は落ち着いたように見える。
「そうか、とりあえずその人が集まってる場所に向かうぞ」
やってくるとエルフの男達と深紅の鎧を身にまとった者達が向かい合っていた。エルフの方はボロボロだ。
「父さん、どうなってんだよこれ。こいつらは一体・・・」
「アビウスかお前は無事だったか、だが早く逃げろ殺される」
先頭に立つエルフがアビウスの父親か、てことは此処に居るのは自警団のメンバーか。
深紅の鎧の1人がこちらに一瞥をくれると
「まだ1人エルフの子供が居たか丁度いいまとめてやるぞ。もう1人の君は人間だろう?どうしてエルフと共にしている」
俺の事だよな
「エルフの村を見てみたくてここまで来たんだ。そんな事よりこの村の有様はあんたらの仕業か」
「だったらどうだと言うんだ。危険なエルフ達を野放しには出来んと思ってた所だったからな」
エルフ達が何かをするとは思えないが。
「今までは上手く共存出来てたんじゃ無いのか。彼らが何をした?証拠はちゃんとあるんだろうな」
「今まで実際の被害は無かったから上手くいっていた、だがついに本性を表しやがったんだよ。各地で人間の子供の誘拐が多発している、西や南の村の貴族の子供が被害にあっている。こうなっては我らも黙ってはおれんのだ」
南の村ってアルス村、シアンの事を言ってんのか。だとしたらエルフな訳がない俺が実際に見てるんだ。
自警団の皆も、我らがそんな事する訳が無い、と口々に言っている。
「南の村ってのはアルス村か?だとしたらおかしいな俺は実際に見てたがエルフなんて居なかったぞ」
「我々による調査の結果にミスはない。魔物を擁護し嘘をつくとは許せん、お前も一緒に始末してやる」
こいつら元からエルフ達を潰すつもりで捏造してやがる。なら何を言っても無駄だろう、腐ってる。
「そうかいあんたらの汚いやり方は分かったよ、エルフの人達の方が余っ程人間らしいさ。これ以上好きにはやらせない、俺が守ってやる」




