18話 アビウスとの出会い
朝のトレーニングを終え街中の散策へと向かう。
ギルドの近くを通りかかった時、言い争う様な声が外まで聞こえてきた。
「何で駄目なんだよ、お前らと大した差なんて無いだろ!」
「うるさい、駄目なもんは駄目だ」
1人の少年がギルドからつまみ出された。緑がかった髪の爽やかな印象の同い年くらいの美少年だった。
「何があったの?」
「誰だお前?関係ないだろ」
睨みつけられた。爽やかな印象とは大違いの性格みたいだ。
「そうだけどさ、何があったかくらい教えてよ。」
「ちっ、ギルドの登録を断られたんだよ」
「何で?俺の時は年齢は関係ないって言われたよ?」
ギルドは来る者拒まずのはずだ。全て自己責任にはなるが。
「年は関係ねぇよ、あとよく勘違いされるがこれでも15歳だからな」
えっ、明らかに見た目は10歳くらいなんだが。しかしよりわからなくなった、何故断られたんだ?
「人間じゃないと駄目なんだと」
何を言ってるんだ?どこを見ても人間しか居ないじゃないか。意味が分からず悩んでいると
「お前、まさか気付いてないのか?お前らと俺では違うとこらがあるだろ」
どう見ても普通の子供だろう、緑がかった髪は珍しいが冒険者になる為よく鍛えられた体と整った顔完璧じゃないか。よく見るとチャーミングな長い耳まであるしな。
長い耳?そういえばよく見たら明らかに周りの人よりも長い耳が髪から姿を覗かせていた。あれはゲームや漫画で見た事ある様な…
「あれっ、そういえばその耳少し長いね」
「やっと気づいたのかよ」
「で?それがどうかしたの?」
確かに違うがよく見ないと分からない程だ、あまり大差は無い。
「本当に言ってんのか?お前、エルフ知らないのか?」
やはりエルフか、だとしたら色々聞きたい。
「やっぱりエルフなんだね。それで年の割には若く見えるんだ、やっぱりエルフって長生きなの?みんな魔法得意なの?エルフって・・・」
「うるせぇ!いっぺんに色々聞くんじゃねえよ。しかも何でエルフって聞いてテンション上がってんだよ、みんな普通は怯えるんだよ」
やばいやばい、少し落ち着いて。
「ごめん、初めてエルフを見たもんだからつい。恐れられるってエルフはそんなに怖い種族なの?」
「違う!みんな本当は穏やかで優しいんだ。お前本当に知らないんだな 、しょうがねぇから教えてやるよ」
彼はアビウスと言うらしい。彼はエルフと人間のハーフらしく、だから見た目は大差無いらしい。純粋なエルフは髪が緑なのだとか、綺麗だろうな。
嘗てエルフは人魔大戦において人間側に大きな驚異となった。魔法を得意とし強力な魔法に人間は手も足も出ない状況で、甚大な被害をもたらしたらしい。
元よりあった魔族への嫌悪感をより強くしてしまい、そして綺麗な緑色の髪は恐怖の象徴となってしまったらしい。なので魔族は街中へ入る事も難しい、しかしアビウスの様なハーフなら入るのは難しくないそうだ。
「つまり魔族は人間に忌み嫌われてると、だから色々と出来ない事があるんだね」
確かに歴史を振り返れば忌み嫌ってもしょうがないとも言える、しかしどうにか共存出来ないものだろうか?現にアビウスから悪意などを感じることは出来ない。態度は悪いが根は悪い奴じゃないだろう。皆が皆悪では無いと思うのだが・・・そう上手くは行かないか。
「分かったらもういいだろ?ほっといてくれ」
「でもこれからはどうするのさ?」
「1度村に帰るさ、金も無くなっちまったしな。ギルドに入れないんじゃ稼ぎようもないし」
村?まさかエルフの村?そんなの行ってみたすぎるだろ。
「じゃあさ俺も村に行っちゃ駄目かな?他のエルフの人も見てみたいんだ」
「そんな事言う奴初めて見たぜ。変人だな」
「変人だなんて酷いな。何故か皆が言う程エルフの人って怖くない気がするんだ、だから自分の目で確かめてみたいんだよ」
「名前は?」
「へ?」
「一緒に旅するのに名前も知らないじゃ話にならないだろ。お前の名前は?」
少し嬉しそうに少し口元を綻ばせながらアビウスが言う。受け入れようとする人間は珍しくて嬉しいのだろう。
「良かった、連れてってくれるんだね。ゲイルって言うんだ、よろしく」
「よろしくな、ゲイル」
こうしてエルフの村へとアビウスと共に向かう事になった。




