17話 ヴェルンド
次の街、ヴェルンドへ向けて馬車に揺られている。馬車で3日かかる距離にあるヴェルンドはキシリスより規模が大きく主に工業に発展している工業都市らしい。
馬車の揺れが止まり、外を見ると日が落ち暗くなっていた。今日のキャンプ地を決めたようだ。俺は貿易商の1団とヴェルンドへ向かっている。キシリス出発前に交渉して護衛の1人として共に旅をする事になった。
キャンプの準備を進め、貿易商1団のテントと護衛用のテントを設置する中周囲の探知を行う。周囲500メートルに反応は無かった。
「ゲイル、火を頼む」
「任せて下さい」
「こっちには水を頼む」
「分かりました」
「こっちは湯を沸かしてくれないか」
魔法が使えるだけでキャンプでは引っ張りだこ。雑用だがな。魔道士はパーティーでは重宝される。戦闘では勿論のことキャンプでも役立つからだ。
食事を済ませテントで一休みする。護衛は6人いるため2人ずつで見張りをし3時間交代で回している
2日後、襲われる事も無くヴェルンドへ到着し、目に入ったのはキシリスでも見た街を守る外壁だ。しかしキシリスに比べ大きく強固なものだった。
巨大な門をくぐると街の中では多くの煙突から煙をはいていた、工房が多いと言う事だろう。街の入口で貿易商と護衛の人達と別れを告げて散策へ繰り出す。
門の脇にヴェルンドの全体図を見つける。正方形で外壁に守られ最も奥には立派な王城が建てられている。その手前には工房が多い工業区、宿屋や酒場の多い商業区、住民の住む居住区の3つに分かれていた。
まずは工業区へ向かう。通りの左右に軒並み並ぶ武器と防具を見て回る。綺麗に輝く剣や鎧を見るとこの街の鍛冶屋のレベルの高さが分かる。
武器にもランクがあり、ノーマル、レア、ウルト、レジェンド、ゴッドとなる。
ワイズによると多くがノーマル、レアだが時折ウルトの置いてある所もある。高ランクはそれなりの値が張るからまず買えないけどな。
飽きないから店を1つずつ見て回っていたが1通り見終わる頃には夜になっていた。所謂ウインドウショッピングで1日を使ってしまった。ちょっと勿体ない気もするが楽しかったから良しとしよう。
今日の宿を探す為商業区へ向かう。そこら中の酒場から陽気な声が聞こえてくる。うるさすぎるのは嫌いなので少し静かな店に入り食事を済ませる。
宿屋を見つけ部屋に通される。今日はもう特にすることも無い為寝る事にする、明日から何をしようか色々と考えながら。